シドの国   作:×90

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143話 八つの目玉

診堂(みどう)クリニック 羊煙(ようえん)草原〜

 

 爆弾牧場の最高峰である星防人(ほしのさきもり)山を超え、樹海を越え、雪原を超え、数日も歩き続けると、徐々に雪は(まばら)になって暖かい風も吹くようになってきた。辺り一面が絵に描いたような瑞々しい草原。太陽は南中手前、羽毛を散らしたような巻雲が青空を舞い、時折寄りかかれるほどに力強く優しい突風が吹き抜けて行く。

 

「少し早いが休憩にしないか?」

 

 この光景に見惚れたラデックが、そう皆に提案する。すると、清々しい景色とは対照的に陰湿で(くす)ぶった濁声(だみごえ)で、ハピネスが文句を零した。

 

「私がさっきからそう提案してるじゃないか。今日だけで何度休憩しようって言ったと思ってる」

「そういうのは自分の足で歩いてから言え」

「そういうのは自分の足で歩いてから言いなさい」

 

 ハピネスを背負っていたイチルギが、ラデックと全く同じ指摘をしながら乱暴に彼女を降ろし、思い切り体を伸ばして背から草原に倒れ込んだ。

 

「っはぁ〜疲れた〜! 今日のお昼何にしよっか〜」

「もう少し優しく降ろし(たま)えよ! 足首捻ったぞ!」

「今日のお昼当番ハピネスよね? そこの川で魚でも獲ってきてよ。今の時期ならヤマメがいいな〜」

「何を馬鹿なこと言ってるんだ。私が川に入ったら流されるに決まっているだろう。今日のランチは缶詰ビュッフェだよ」

「それ、ご飯当番5回に1回だけって言ってるでしょ」

「もう5回経っただろう」

「まだ3回」

「うっそだぁ」

 

 深呼吸のように大きな溜息を吐きながら渋々川へ歩き出したハピネス。同じく昼食当番だったラデックは、暢気(のんき)に寝転がるイチルギとハピネスの背中を交互に見てからタバコに火をつけた。

 

「まあ、多分ハピネスはサボるだろうから俺もついて行こう。火の準備だけ頼んでいいか?」

「オッケー。……なるべくハピネスにやらせてね?」

「無茶を言う」

 

〜診堂クリニック 羊煙草原 火雷(ひがみなり)川〜

 

 草原を横断するように流れる小川。水底の小石が数えられるほど透き通っており、正しく清流と呼ぶに相応しい花紅柳緑(かこうりゅうりょく)の景色である。

 

 ハピネスは川辺に座り込んで素足を差し込み、昼食の準備などする気配もなくパシャパシャと水面を蹴って遊び始めた。

 

「ふんふふ〜ん。いやあ気持ちがいい。お酒も持ってくれば良かったな。ラデックくーん! お酒持ってないー?」

 

 しかし、川の上流の方で釣りをしているラデックに声は届かない。ハピネスは小さく「ちぇっ」と呟き、水筒の水をちびちびと(すす)り始めた。それから暫くボケーっと空を眺めていると、足先にぬるりとした感触があった。ハピネスはすぐさま視線を川へ戻し、その正体を探して目玉を転がす。

 

「う、うなぎだっ! うなぎっ!! うなぎ!!」

 

 水面スレスレを優雅に泳ぐ黒ずんだ細長い魚。ハピネスは見えないはずの目玉をキラキラと輝かせて川に膝上まで入り、土魔法で即席の(もり)を作る。

 

「蒲焼っ! 蒸し焼きっ! 酢の物、刺身っ!」

 

 そのままザブザブと川を進んでいき、ウナギが銛の射程範囲に入ったところでハピネスは大きく振りかぶる。

 

「はっはっは! 魚風情が、この先導の審神者(さにわ)様から逃げられると思ったか! 世界を統べる王の力を思い知れ!!」

 

 ハピネスの投げた銛は珍しく真っ直ぐ飛んでいき、見事ウナギの胴体を貫いた。

 

 旧文明より、どこの国にも漁には厳しい制約が多くある。しかし、古くからこの診堂クリニック周辺の地域では、ウナギに関する漁業権等の制約は無いに等しい。理由は単純。そんな制約など決めなくとも、誰もウナギなど獲らないからである。

 

 診堂クリニック周辺に生息するウナギは、ウナギのように見えるが全くに別種、硬い骨を持つ硬骨魚類のウナギとは程遠い円口類。ヤツメウナギの一種である。その生態は極めて獰猛であり、執念深いとも言える。捕食者の波導を鋭敏に感じ取る発達した感覚器官。水面から飛び出せるほどの瞬発的な遊泳能力。一度噛み付いたら胴が千切れようとも離さない牙だらけの吸盤の口。そして、骨の髄まで喰らい尽くしてやるという桁外れた食欲。このヤツメウナギは、捕食対象に群れで一斉に飛びかかる習性がある。獲物は即座に血を吸われ意識を失い、熊であろうと混乱魔法で弱らせ水底へ引き摺り込んでしまう。遭遇率の低い大型の魚類や哺乳類を確実に捕らえる合理的な習性と言えよう。熊や鹿にこのヤツメウナギが無数に貼り付く姿が、まるで全身から長い体毛を生やしているかのように見えることから、このヤツメウナギは“ケダマモドキ”と呼ばれ恐れられている。

 

 そんな恐ろしいケダマモドキであるが、事情を知らぬ外来人が硬骨魚類のウナギと勘違いして捕まえようとするケースは珍しくない。幸いケダマモドキは清流にしか住み付かず、大抵そういった清流の近くには事情をよく知る現地民の存在がある。そのため、実際にケダマモドキの餌食になる人間はそう多くはない。

 

 しかし、サバイバル嫌いのハピネスにこんな雑学じみた事情など、当然知る(よし)はない。

 

「おいハピネス。少しは手伝う素振りでも見せたらどうだ――――うわっ。ハピネスがすごい死んでいる」

 

 ヤマメの捕獲に勤しんでいたラデックが気付いた頃には、巨大な毛玉が今まさに川岸から水中へと帰って行く寸前であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲェッホッ!!! ガハッ!!! アッ!!!」

「おお、蘇生した」

「うっ、うなぎっ!! うなぎは!?」

 

 ラデックの生命改造の異能により、ハピネスは無事死の淵から生還することが出来た。しかし、蘇生直後にも(かかわ)らず、ハピネスは血相を変えて己の獲物を探し始める。

 

「あれはウナギじゃない。ケダマモドキだ。ヤツメウナギの仲間ではあるが、身はゴムみたいで生臭い。ハッキリ言って不味いぞ」

「うなぎだろう!! どっからどう見てもうなぎだった!!」

「似てはいるが、よく見ると目の後ろに(えら)の穴が7つ並んでいる。あと、ひっくり返せば分かるが口が化け物だ」

 

 ハピネスは全身から力が抜けて草原に倒れこみ、情けない泣き声をあげる。

 

「ふにぃぃぃぃ……!! そんな……うなぎ……。ラデック君!! 今すぐうなぎを捕まえてきなさい!! 早く!!」

「その前に助けてやったお礼くらい言ってもいいもんだが」

「そんなことはどうでもいい!! もう舌が完全にうなぎを欲しているんだ!! うなぎ食べたいうなぎぃ〜!!」

「……ピガット遺跡では灰亜種(はいあしゅ)の使奴に勝ったらしいが、なんでヤツメウナギなんかに負けるんだ。ジャハルが知ったらすごい顔するだろうな」

「うなぎ食べたい〜!!」

 

 両手足をバタつかせていじけるハピネス。笑顔による文明保安教会の王の落魄(おちぶ)れた姿に溜息を吐きながら、目を逸らすように川の方を見つめる。

 

「しかし変だな。図鑑とは生態が違うのか……?」

「いいや、そうではないだろうな」

 

 ラデックの独り言に、背後から回答が返ってきた。振り向くと、そこには釣竿を担いだカガチが立っていた。

 

「イチルギに言われて様子を見に来た。そこの芋虫(ハピネス)は餌に使っていいのか?」

「別にいいだろうが、ヤツメウナギくらいしか釣れないぞ」

「等価交換か。非効率的な餌だ」

 

 カガチは川縁に胡座をかき、釣り針を川へ投げ入れた。

 

「使奴も釣りをするんだな。直接捕まえた方が早そうなものだが」

「無論手掴みの方が早い。だが、釣りは私の数少ない趣味の一つだ」

「お、気が合うな」

「合わない」

「悲しい」

 

 カガチとは少し離れたところで、ラデックも同じように釣り糸を垂らす。

 

「カガチ。さっき言っていた“そうではない”ってのはどう言う意味だ?」

「図鑑通りの生態という意味だ」

「俺が見た図鑑では、ケダマモドキは大型の哺乳類や鳥を捕食すると書いてあったんだが……。ここは草原のど真ん中だ。熊や鹿はこんな見晴らしのいいところまで出ては来ないんじゃないか?」

 

 ラデックの疑問に、カガチは黙って川の上流を指し示す。

 

「上流に何かあるのか?」

「……ケダマモドキは川を遡上(そじょう)する生物だ。だが、ここより下流はどこも同じくだだっ広いだけの野原。だとすればケダマモドキの生まれた区域は更に上流のはずだが……、こんなところで棲み着いてしまっているということは、何らかの理由で上流に戻れなくなったんだろう」

「何らかの理由? 上位捕食者とかか?」

「ケダマモドキは天敵程度に怯む生物じゃない。恐らく、原因はアレだろうな」

「アレ?」

 

 カガチが川の中洲を指差す。綺麗な花がぽつりぽつりと咲いているだけの何の変哲もない中洲。そこに、ラデックは到底似つかわしくない物体を目にする。

 

「――――うっ!」

「ケダマモドキはウナギに擬態する割には水質変化に弱く、不純物の少ない清流を好む。過去には工場排水の河川放流によって棲家を失い、数km離れた隣の川まで陸を這って移動したという記述さえある。こんな餌の少ない草原ど真ん中でも、上流よりはよっぽどマシなんだろう」

 

 川のせせらぎに水草が揺れる。その度に、隙間に引っかかった“人間の眼球”がふたつ。ラデック達を恨めしげに睨んでいた。

 

 

 

 

 

〜診堂クリニック 羊煙村〜

 

「死体の腐敗具合からして、この辺りの筈ですが……」

 

 一行は目玉の“持ち主”を探すため、シスターとカガチを先頭に川の上流を目指していた。草原はいつしか木々が生い茂る渓流へと姿を変え、起伏の激しい地形と高い湿度が容赦無く体力を奪っていく。シスターが石に(つまず)き大きく姿勢を崩すと、カガチ腕を引っ張って転倒を防いだ。

 

「あ、ありがとうございます。カガチさん」

「いい加減強がっていないで大人しく運ばれろ、邪魔臭い。ナハル!」

「い、いえ。私は大丈夫です」

 

 ナハルはシスターに駆け寄り、背を向けてしゃがみ込む。

 

「どうぞ、シスター」

「ほら、さっさと乗れ。それともあっちに乗るか?」

 

 しかめっ面のカガチが親指で後ろを指差す。そこには邪悪な笑顔を浮かべるラルバと、真っ青な顔で白目を剥く背負われたハピネスの姿があった。

 

「シスターくぅん……こっちのと交換してよぉ……」

「安心しろ! ラルバ運送の定員は2人だ! スリリングでデンジャラスなエクストリームアトラクションは随時参加者募集中だぞ!」

 

 ほぼ1択の2択を迫られたシスターは大人しくナハルにおぶられ、一行は再び前に進み始めた。

 

「ラルバちゃ〜んジャンプ!!!」

「ああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 例外として、2名は垂直に飛んでいった。

 

 そこから十数分も歩くと、木々の奥に複数の家屋が見えた。建物の数は10軒ほど。決して大きくはないが、外に干された衣服や畑道具に機械を使っているところからして、決して貧しい暮らしをしている様子ではなかった。

 

 だが、違和感はすぐに訪れた。

 

「人が……いないな」

 

 ハザクラは辺りを見回すが、まだ夕暮れには程遠い時間だというのに誰1人として村人が見当たらない。しかし、真新しい干された衣服に地面に描かれた子供の落書き、決して廃村などでもない。

 

「ハザクラちゃんハザクラちゃん」

 

 ハピネスを背負ったラルバがハザクラの肩を叩いた。

 

「あっちのお家入ってごらんよ。真吐き一座のミュージカルより面白いもんが見れるよ」

 

 ハザクラは力一杯に歯軋(はぎしり)りを鳴らしてラルバを見上げた。ラルバと背負われたハピネスの笑顔が、どう見ても非道徳的な催しを楽しむ悪党に見えた。

 

 一軒家の扉が音もなく開かれる。凝ったドアノブの装飾。油の差された蝶番。真新しい建材と部屋の間取りからして、若い夫婦と子供の新居であろうことが分かった。希望に溢れ、愛に満ちた新婚生活。その(いしずえ)となるであろうリビングルームには、部屋を覆い尽くす血飛沫と、1人の若い男の死体があった。

 

「こ、これは……!」

 

 ハザクラは急いで扉を閉め、青褪(あおざ)めたまま別の家屋へと走り寄る。恐る恐る窓を覗くと、女性がベッドの上で首を切られて死んでいるのが見えた。

 

「ぐっ……クソっ!」

 

 ハザクラは自分の脚を力一杯叩き、目を強く(つぶ)って拳を握る。ハピネスがラルバの背中からするりと降りて、ハザクラの横に立って同じように窓を覗き込んだ。

 

「”義殺衝動(ぎさつしょうどう)“だねぇ。好意と殺意の区別がつかなくなり、殺害行為への躊躇(ためら)いが無くなってしまう、大疫病(だいえきびょう)の一つ。この村はきっと団結力が強かったんだろうね。村一つを大きな家族として暮らしていた。だから、たった1人の感染によって全員が殺害されてしまった。感染者の男も、罪の意識から自ら命を絶った……。ま、大疫病が流行(はや)ったにしては割とマトモな終わり方だ。これが”暴食症(ぼうしょくしょう)“や”博愛譫妄(はくあいせんもう)“だったらセンスのないホラー小説みたいなことになってただろうね」

「ハピネス……お前、知っていたのか?」

「何を?」

「あの男が義殺衝動に感染していたことをだ!! 死体はどれもつい最近のものだ! 俺達がもう少し早く来ていれば助けられたかもしれないのに……!!」

「なーんで私がここを知ってるのさ。ついさっき来たばっかだって言うのに」

「お前ならとっくに覗き見で――――」

「馬鹿が」

 

ハザクラの言葉に、ヘラヘラ笑っていたハピネスは突然笑顔を引っ込めて怒りの籠った冷たい眼差しを向ける。

 

 いつもと違う。単純でなんの含みもないハピネスの罵倒に、ハザクラは何か取り返しがつかないことをしてしまったような気がした。いつものハピネスなら、モラルのないジョークや、正論だけを振りかざした説教を繰り出していたであろう。しかし、今回はハピネスのみが気付いていた“何か”があった。それを、何も知らない自分の発言が台無しにした。背筋を冷や汗が伝い、数秒の沈黙が数時間にも思えた。

 

「ジャハル」

「え?」

 

 ハピネスに突然名前を呼ばれたジャハルは、何故名前を呼ばれたのか分からずハピネスの顔を見る。その直後、ラルバが虚構拡張を発動して景色を星空へと塗り替えた。

 

「ハピネっつぁーん。ハル坊に無言の指示出し聞き取れっちゅーのは無理があんでない?」

 

 夜空を埋める星々と石畳が無限に広がる虚構拡張の中、ラルバが陽気に笑ってみせる。しかしハピネスは眉間に(しわ)を寄せたまま、威嚇(いかく)するように口を開いた。

 

「私の覗き見の異能は、他者からは見えない思念体を操作する異能だ。だが、その思念体を視認する方法は皆無というわけじゃない。透視の異能、観測の異能、全知の異能、異能同士の鍔迫(つばぜ)り合いに負ければ視認されてしまう。そしてもう一つが、奇跡的にも“同じ異能者“に出会った時だ」

 

 この発言で、ハザクラは(ようや)く気がついた。己の犯した間違いを。

 

「言わなかった。言えなかった。私達は、火雷(ひがみなり)川からずっと、”見られていた“んだよ」

 

 川で目玉を発見してからラルバがハピネスを背負ったのも、時折ジャンプや急加速をして遊んでいたのも、全てはハピネスを敵対者の視界から外す為。今思えば、義殺衝動に感染した男についてハピネスがはぐらかし続けたのも不自然。あれが、あの時に出来る、異能に言及するなという精一杯のアピールだったのだ。使奴達は全員それらの意味に気付いていたが、人間であるハザクラ達に知る由はなかった。

 

「出来ればラルバが異能者だと言うのも知られたくなかったが、まあ仕方ない。どうせラルバの楽しみが一つ二つ減る程度だ」

「ええ困るよぉ!!」

(ただ)し、気をつけ給えよハザクラ君。今回はこの程度で済んだが、これが仲間の生死を分ける瞬間になったりもするんだ。戦争に開戦の合図がないように、個人の戦いにも合図はないんだ。先手必勝、搦手(からめて)上等。食事中でも排泄中でも交尾中でも睡眠中でも、油断した奴から死んで行く。君はその最前線に居るってことを、もう少し自覚し給え」

 

 ハピネスの光の無い目玉に睨まれ、ハザクラは目を伏せて歯を食い縛る。

 

「……ああ。肝に銘じる」

 

 ハピネスはやれやれと溜息を吐き、大きく背伸びをしてからいつもの薄気味悪い笑顔で笑いかけた。

 

「じゃ、何か良い感じに面白いことになったから、面白いことをしちゃおうか!!」

 

 突発的に訪れた狂気に、ハザクラはいつもの薄気味悪い嫌な予感がして一歩下がった。しかし、さっきの今でハピネスに逆らうことが出来ず、意見することはかなわない。

 

「ジャハルちゃんジャハルちゃん。ちょっとこっちおいで」

「え? え? い、いやだ」

「嫌じゃない!! でもって〜ラデック君! こっち!」

「変なことじゃ無いだろうな」

「大丈夫大丈夫!! ちょっと面白いことをしたいだけだから」

「変なことじゃ無いだろうな」

「うるさいね君。いいからこっち立って〜ジャハル君はここ!」

「嫌だってば――――うわっ! 気持ち悪い! 何だこれ!」

「ここでラデック君が――――」

 

 

 

 

 

〜診堂クリニック 第三診堂総合病院〜

 

「ひっ、きゃあああああああ!!!」

「ど、どうした!?」

「い、院長が、院長が!!!」

 

 診堂クリニック西部。第一診堂中央総合病院直属の5大病院の一つ。第三診堂総合病院。その院長、ムスリナ・エルフロフント。統合医療研究センター西方支部の支部長であり、地獄耳の異名で恐れられる権力者。

 

「おぷぺ? おぺぽぷっぽぺっぽぽ?」

 

 その恐ろしいムスリナ院長が、タコのように両手足を暴れさせながら舌を突き出して病院の廊下を這い回っている。ラデックによる生命体改造、その負荷をジャハルが覗き見の異能の思念体を通して入れ替える。ピガット遺跡で成長したハピネス考案の、不躾な覗き魔を返り討ちにする極めて悪質な作戦。

 

 覗き見の異能でラルバ達の覗き見をしに行ったまでは良かったものの、間抜けにも虚構拡張に囚われてしまったムスリナは、ハピネスの悪意によって想像を遥かに超える代償を支払うこととなってしまった。

 

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