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ラデックはティエップの両肩を掴み
「どういうことだ!?ここは“なんでも人形ラボラトリー”じゃないのか!?何故ティエップが“多目的バイオロイド研究所”を知っている!!」
ティエップは酷く混乱した様子で
「え、えっと、あの」
見かねたハピネスが2人の間に割って入り、若干見下すような視線をラデックに突き刺す。
「ラデック君。私は君ほど短絡的でも優しくもないが……冷静ではあるよ。まずは落ち着き
ラデックは自分に言い聞かせるように胸に手を当て、タバコに火をつけて大きく深呼吸をする。
「すまなかった。この国……多目的バイオロイド研究所の由来について、知っていることを教えてくれ」
平静を取り戻したラデックに安心したのか、ティエップは未だ落ち着きのない口調でぽつりぽつりと話し出す。
「あの……昔、ここにそういう建物があったそうなんですが……それが由来、らしいです……なんで今も変わってないのかは、わかんない、ん、ですけど……そう言うラデックさんはどこで多目的バイオロイド研究所のことを……?」
「……話が
「ええと……あの……」
「それについては私が話そう」
言葉を詰まらせたティエップを
「ジャハル?分かるのか?」
「恐らくは……ラデック。“クラヴィアルド
「は……?まあ……“クラヴィアルド長槍”?」
「うむ。ではこれを着けろ」
ジャハルは紫色のスカーフを自分の首に巻くと、同じ物をラデックに手渡した。
「む?ああ……これでいいのか?」
ラデックがジャハルの真似をしてスカーフを着けると、ジャハルは小さく頷いた。
「ああ、これは
「……氷点下の炒り豆は
「うん。ちゃんと防げているな。ラデック。さっきと同じ単語を言ってみろ」
「む……ああ、えっと……えーと……ちょっと待ってくれ。そもそも常夜の呪いがないと思い出せないんじゃなかったか?全く思い出せないんだが」
「適当でいい。
「……えー、えーと……長い……えー………………“長くて強い…………おばあちゃん”?いや、絶対違うな」
「いや、合っている」
ジャハルはスカーフを取り、ラデックにも外すよう促す。
「正しくは“クラヴィアルド長槍”だ」
「ああ。そうだ。それだ。正しくはも何も、全く違う意味じゃないか」
「果たしてそうだろうか。ラデック、今度はスカーフをつけている時に何と言ったか言ってみろ」
「……長くて強いおばあちゃん」
「よし。ハピネス。クラヴィアルド長槍と長くて強いおばあちゃん。どう違う?」
突然話を振られたハピネスは、真顔のまま首を
「どう違うか聞かれると……難しいね。違う気はするが、明確に何が違うかは言えん」
ラデックはハピネスの言葉を理解することができなかった。文字も発音も意味も全く違う言葉を、ハピネスは「明確に何が違うかは言えない」と答えた。また、理解不能に
「クラヴィアルド長槍とは、竜の国“バルコス艦隊”から輸入された槍の種類だ。そしてクラヴィアルドというのは女性の名前。当時農婦だったクラヴィスという女性が、
ラデックは納得がいかないといった様子でジャハルを
「……
ジャハルは大きく
「この地で生まれ育った場合は別なんだが……“常夜の呪い”に
拳を高く突き上げて
「はぁ……全く…………“常夜の呪い”とは、言わば“過程と結果という法則を破壊する”魔法だ。言葉は相手に何かを伝えるためにあるが……常夜の呪いの中では、相手に言いたいことは伝わるが言葉は
ジャハルがティエップにチラリと目を向けると、ティエップは酷く悲しそうな表情で
「……わた、私が逃げ出せなかったのも……そういう理由……です。言葉も、文字も、わかんない、し……」
口調に段々と泣き声が混じり始めると、ラデックはティエップの発言を止めるように抱き寄せ髪を
「言わなくていい。辛いことを聞いてすまなかった」
ラデックがティエップを落ち着かせようと背中を
「……ここが使奴研究所なら……早くラルバ達に知らせた方がいいんじゃないかい?」
「確かにそうだな。きっと飛び上がって喜ぶ」
「あ、喜ぶんだ……」
ラデック達は再び宿に向かって歩き始め、明日の予定を話し合いながら真夜中の路地裏を進んでいく。一方その頃…………
〜なんでも人形ラボラトリー 地下街〜
「こっ高価な画角戦争に
男の支離滅裂な叫び声。天井の低い
「待て待て待て待てェェェエエエエエエイ!!!」
それを追いかける快楽殺人鬼が一人、ラルバは
やがて男は袋小路に入り込んでしまい、おろおろと壁に手をついて震える。そこへ追いついたラルバが前傾姿勢で詰め寄り男の顔を
「じゃっ
「う〜ん何言ってるかさっぱりだなぁ……まあでも子供
そう言ってラルバは男の口に両手を突っ込み、勢いよく上下に開いた。石を砕くような音と共に口の端が裂け、男の顎は180度開いた状態から戻らなくなった。
「はぇぇぇぇぇえええっ!!!おえあええええぇぇええええっ!!!おあああああおあああ……」
「
ラルバは振り向いて大声で叫び、ついてきているであろう人物を呼ぶ。
袋小路の角からハザクラが現れ、後ろにバリアと
「……寄るな化け物とか言っていただけだ。特にめぼしい情報はない」
「えーがっくしぃー」
マッチによって常夜の呪いの影響下から脱したハザクラは、
「あまりマッチを使わせるなラルバ。“
「ホイップフラペチーノ指揮官から抗魔スカーフ借りてこなかったのがいけないんでしょぉー。わがまま言わないの!」
ラルバの
「痛った!あにすんの!」
イチルギは返事の代わりに心底
「一日中真夜中で気が狂うから地下に来たのに……言葉が通じないんじゃどっちみち気が狂うよ!!オモシロなーんもないし!!」
後ろから小走りで近づいてきたバリアがラルバの横に並ぶ。
「……一個予想したんだけど、言っていい?」
「ん?バリアちゃんから何んか言うの珍しいね。なぁに?」
バリアは目を細めながら地下街に組み込まれた店を一軒一軒睨みつける。
「……“常夜の呪い”は……真夜中とは無関係」
「いやそれは分かるよ。そんで?」
「一日中夜にして、言語を崩壊させる……多分、“使奴
ラルバが突然ピタッと歩みを止める。
「……使奴除け?」
バリアは振り返って小さく
「……使奴は色んなものを予測できる。でも、簡単に予測できるものを
ラルバはわなわなと肩を震わせて俯く。そして――――
「ネタバレ厳禁ですっ!!!」
ラルバの