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〜なんでも人形ラボラトリー 市街地〜
一行が入国してから丸一日が経過したが、昼前であるにも
ラデック、ティエップ、ハピネス、ジャハル、ラプーの5人は活気のある市街地を物珍しそうに物色しながら散策し、時折飲食店や雑貨屋で立ち止まって雑談をしている。ハピネスの案内でラルバ達のいる地下街へ足は向いているものの、その歩みは
そこへ1人の踊り子が足を
「おっと。お怪我はありませんか?」
「あ、す、すみません……!!お姉さんこそお怪我は!?」
「鍛えているのでね。心配は無用です」
その様子を見てラデックが思い出したかの様に辺りを見回す。
「……そういえばティエップ。ここでは毎日お祭り騒ぎと言っていたが、この国の風習か何かか?」
ラデックの問いかけに、余所見をしていたティエップがハッとして視線をラデックへと向ける。
「あ、はい!踊りは“常夜の呪い”を保つ儀式なんです」
「儀式?」
「珍しいですよね。詳しい仕組みは知らないんですが、この国は“大勢の人が踊っている間だけ夜になる”魔法がかかっているんです。そして夜の間だけ言葉が
「起源がわかっていない?そんな奇妙な呪い、何故
「あはは……普通そうなりますよね。でも
そう言ってティエップは遠く離れた塔を指差す。話の流れからして月光発電所と思われる施設は、ぼんやりとした青い発光を脈動させている。
「なるほど……簡単に言えば、踊るという運動エネルギーを波導エネルギーに変換しているわけか」
「更に電気エネルギーに変換しているので無駄な手間に見えますが、結構効率が良いんですよ。そんなに土地も要りませんし」
ラデックがブツブツと独り言を
〜なんでも人形ラボラトリー 地下街入り口〜
ラデックが入り口の壁に寄りかかる老人に
彼等が欲しいのは金銭ではなく情報。
老人の態とらしい咳を見たジャハルは、若干顔を
「いやあこらありがてぇなぁ。おい
ジャハルは老人の言葉を無視して突き進み、ラデック達にも「構うな」と
「ティエップ?何か気になることでも?」
「あっいえ……あの、この先本当に行くんですか……?」
「心配するな、いざとなればラデック君が――――」
「…………ティエップ?」
老人の声が2人の会話を遮った。
しかしその声は先程の軽快で
その声はジャハル達にも聞こえた様で、
「ああ、この子“ティエループ・ソニア”って言うんですよ。不出来な預言者でね。優秀な預言者に“ティエップ”ってのがいるもんで、皮肉を込めたあだ名でそう呼んでるんですよ」
嫌な予感がしたハピネスは口八丁でティエップを
「オメェ等出てこい!!!“ティエップ”だっ!!!」
老人の地を揺るがす怒声が洞窟に響き渡る。するとラデック達が逃げ出すまもなく数十人の
吐き気を
「……どういうことだ!?おい!!ジャハル!!」
「わかっている……!!」
ジャハルは大剣を振り
「私は人道主義自己防衛軍所属!!“クサリ”総指揮官ジャハルだ!!彼女の身柄は我々の
「待て」
若い男の声。その声は呟くような小さいものであったが、確実に全員の耳に届き賊は黙って振り向く。そこには赤い髪で片目を隠した男と、紫色の長髪を
「ハザクラ!!ラルバ!!」
ラデックは
「預言者の女性が狙われている!!守ってくれ!!」
しかしその呼びかけにハザクラは答えず、代わりにラルバが
「え?なんて?まあ言葉分かんなくても大体何て言ってるかは想像つくけどさ。あっはっはっは」
常夜の呪いでラデックの言葉が分からないラルバは、カラッとした笑顔で後頭部を
「いやあ私もびっくりなんだけどね。その子、
ラデックが絶句してティエップを見るが、依然震えたまま動かない彼女を見てラデックは再びラルバに向けて声を荒げる。
「何かの間違いだ!!彼女にそんなことできるはずがない!!」
「違うんですラデックさんっ!!!」
強く否定するラデックの言葉を、ティエップが身を震わせながら
「わた、私なんです……!!!その……悪党と言うのは……!!!」
「な……なん……!?」
「すみません……!!!ずっと、ずっと言えませんでした……!!!自分っでも……どう、言ったら、いい、のか……わからな、くて……!!!」
ティエップは泣き崩れながら必死に言葉を
「そいつを差し出せ!!!死にテェのか!!!」
「殺せ!!!私等の
「私達がどれだけソイツに苦しめられたか……!!!ぶっ殺してやる!!!」
「殺せ!!!」「殺せ!!!」「殺せ!!!」「殺せ!!!」
今にも
「ハザクラ!!何かがおかしい!!彼女はドメスティック・スレイヴだったんだぞ!?悪党の
それに同調するかのようにラデックも声を上げた。
「彼女は犯罪など犯せる性格じゃあない!!使奴に
しかしハザクラは顔を伏せ、再び首を小さく振って否定する。
「イチルギとバリアは別行動だ。それに、本人が自白している以上否定は難しいだろう」
「しかしどう考えても――――」
パァン!!!
発砲音。賊の一人が放った銃弾がティエップの脇腹を
そして、その瞬間。
「――――虚構、拡張」
ラデックが手に持っていた石ころに口をつけ大きく息を吹き込むと、石はまるで”風船のように大きく膨らみ“破裂した。その爆発は賊を吹き飛ばして地面へ叩きつけ、破片で皮膚をズタズタに引き裂いた。
ラデックはそのまま自分の上着をティエップに被せて
「この中にいろ。すぐ終わる」
上着は一瞬で“鋼鉄のように固まり”ティエップを閉じ込め、それを確認したラデックは吹き飛ばされた賊の方を向く。そして突進してきた女の手を掴み“改造”して四肢の自由を奪った。
「降参するまでやめないからな」
そう宣言すると、ラデックは目にも止まらぬ速さで賊に接近し、1人また1人と改造して地面に転がして行く。賊は必死の抵抗を見せるが、ラデックが全員の行動を封じるまでに5分とかからなかった。
景色が再び“燃え上がって“コックピットが焦げ落ち、元のみすぼらしい
そしてラデックは無表情のままゆっくり立ち上がり、ハザクラの方へ顔を向ける。
「……これがお前の正義か?」
ラデックはいつもと変わらぬ無表情だが、その目には確かに燃え盛る敵意が宿っている。しかしハザクラは黙ってラデックを見つめ、静かに目を伏せる。
「もし今回ティエップが無実なのであれば、想定を
ラデックは眉一つ動かさずに視線をティエップへと戻し、その身を案ずるように髪を撫でた。しかしティエップは再びポロポロと涙を溢し、ぼそぼそと
「ごめんなさい……全部、全部私がやったんです……こど、子供達も、いっぱい殺しました……色んな、人を……たくさん……たくさん……殺しました……ぁ……!!!」
しかし、最早ラデックはその言葉を全く信じていなかった。
「大丈夫だ。俺がなんとかする」
突然一瞬で空気が澱み、魔力が変質したことが感じ取れた。ラデックが振り向くと、ハザクラがマッチのような木片、
「せいやっ!!」
「ぐあっ!!」
ハピネスを引っ叩いた。
「な、何故……」
「ハピネス!!ネタバレは
「な、何も言ってない!!」
涙目で
「あー喜べラデック。多分その子は無実だ」
ラデックは驚いてラルバに顔を寄せる。
「ほ、本当か!?」
「ん。ていうか最初見た時から善人って分かってたしね。そんな極悪人だったらとっくにカマかけてボコしてるよ」
その言葉を聞いて地に伏せていた賊が声を震わせて何かを言うが、霊祓灯が
「あーなんつってるのか分かんないけど、君等も多分間違ってないよ。この子が悪党のリーダーだって情報は本当だろーねー」
ラデックは理解が追いつかず首を
「どういうことだラルバ。同姓同名の別人がいるのか?しかし自白に関してはどう
ラルバは大きく溜息を
「……ハピネスの反応見てれば分かるよ。全くこいつは……」
ラルバがハピネスの額にデコピンを打ち込む。
「あだっ!何故だ……何も言ってないのに……」
「態度が
ラルバは子供のように
「ハピネスは異能でずっと私を追ってたんだろう!?じゃあ私と合流した今はどこを見てるって言うんだ!」
ハピネスが身体をびくっと
「どっか近場で面白そうなところを見にいったんだろうさ。私だったらイチルギの方を見に行くが……残念ながらハピネスはイチルギの
ラルバはラデック達に背を向けて洞窟の外の方へ顔を向ける。
「でもって
ラルバはすっと目線を上げ、監視カメラを
「私等を監視する使奴研究員とかさ」
〜???〜
「く、く、くっ………………そ……が、ぁぁぁぁ…………!!!」
その表情は憎悪か恐怖か、老人は乱暴にモニターの電源ボタンを殴り、態と足音を立てて部屋を出て行った。