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〜なんでも人形ラボラトリー 検問所〜
「うっひゃぁ〜イっちゃん怖〜!!」
なんでも人形ラボラトリーの出国手続きをしに検問所まで戻ってきたラルバ達。
「うるっさいわね!いつまでそのネタ引っ張るのよ!」
「いやだってさぁ〜正義の世界ギルドの元
ラルバは再現をしてイチルギを馬鹿にする。イチルギはいつもの
「もう好きなだけ言ってなさい……それより、早く出ましょ。もうここに用はないんでしょ?」
ラルバ達が出国手続きをする横で、ラデックはティエップと別れの
「ティエップはあの賊に
「…………」
「君の才能は素晴らしい物だ。きっとみんなの役に立つ」
「…………」
「世話になった。またどこかで会おう」
しかしティエップは黙って
「……悪いが君は連れて行けない。常夜の呪いの外へ出るのは危険すぎる」
ティエップは涙で真っ赤に腫れた目をラデックへ向ける。
「ラ、ラデックさんだって……外は危険ですよ……!?それに、ましてやあの
「俺は大丈夫だ。使奴が3人も守ってくれている」
「でも……でも……!!」
子供のようにボロボロと大粒の涙を流すティエップと、それを
「まったくラデック君も鈍感だねぇ。ティエップは君にゾッコンなんだよ」
「ゾッコンなのか?」
ティエップは
「……本音を言えば、安全な所で家庭を作り平和に暮らしたいのはそうなんだが」
その言葉に少し期待をしたティエップは、何かを乞うような顔でラデックの手を握る手に力を込める。しかし――――
「その願いが叶うのはまだまだ先になるみたいだ。ティエップ。元気でな」
そう言ってラデックはティエップの手を少しだけ強く握り返してから、優しくゆっくりと引き剥がす。
「……ラ、ラデック……さん」
ティエップは何かを探すように慌てて自分の身体を探り、腕輪を取り外してラデックに差し出す。
「こ、これを持っていってください……!私は、ついていけないから……そして、必ず、必ず帰ってきてください……!!」
「……わかった」
そう言ってラデックがティエップの腕輪を受け取ろうとすると――――
「
横からラルバが2人の間を割くように手刀を割り込ませ、腕輪を
「……何をする。ラルバ」
「常夜の呪いで私に言葉が通じないからってコソコソなんかの約束などしよって!!お前なんぞにウチのラデックはやらん!!」
ぎゃーぎゃーと
「ごめんねティエップちゃん。ウチの暴れん坊が
「……すまなかった」
「……いえ……その……ラデックさん達が謝ることでは……」
「……代わりに俺から何かを渡したいが、
「あの!そんな気を
「こういう時は、何か大事な物を形見代わりに渡す文化が広く
「か、形見って……!」
「……本当に何もない。どうしようかハピネス」
「え、私に聞くのかい?そのジャケットとかあげれば?」
「これは知らない使奴研究員の
「ライターは?」
「これも遺品だ」
「ラデック君墓荒らしかなんか?」
「似たようなものではある」
「あのっ!私のことは気にしないで下さい!大丈夫ですから!」
「いやそう言うわけには……」
「ハピネース!!!ラデックー!!!早くこんかぁー!!!」
ゲートの奥からラルバの怒鳴り声が響き、ラデックとハピネスは顔を見合わせる。するとティエップは意を決したようにラデックに近づき、背を伸ばして口づけをした。そして、ハッと我に帰りすぐさま離れ深々と頭を下げる。
「す、すみませんっ!!あ、あの……っかっ必ず、必ず帰ってきてください……!いや、ど、どうか……ご無事で……!!!」
ラデックは黙ったままティエップを見つめ、ティエップの髪をゆっくりと
「大丈夫だ。ありがとう」
そう言ってラデックは背を向けて出口へ歩き出した。ハピネスはティエップにお
「ふふふ、ラデック君モテるねぇ。世界ギルドの衛兵カルネ、ヒトシズク・レストランのアビス、クザン村のクアンタ、でもってティエップと……この
「アビスもクアンタも別に何かあったわけじゃ……カルネ……?見ていたのか?ハピネス。俺が初めて世界ギルドに来た日のことだろう?」
「偶然ね」
「……別に
「そう言うのを誑かしているって言うんだよ」
〜なんでも人形ラボラトリー ゲート前〜
「うおおおおおっ!!!おおおおおおおおおっ!!!」
ゲートの外で雄叫びを上げているのはハピネスであった。いつもの妖しげな淑女の姿はそこにはなく、生まれて初めて見る遊園地に
「……もも、ものとしては一級品。こ、工場の国“三本腕連合軍”に造らせた最新式のホバーハウス」
「ホバーハウス!?ホバー!?コレ浮くんだな!?」
ハピネスが
「う、浮くどころか、速度も他の高級馬車の比じゃない……防衛装置も通信機も超ハイスペック……ま、まあ通信機は旧文明に比べたらゴミ性能だけど……安定性と安全性、快適さをつきつ、突き詰めた金持ち専用の超高級マシン……これ乗ってる貴族なんか、世界に10人もいない……」
ハピネスは大喜びでホバーハウスの中に走っていき、入り口の段差に
「……こんな代物、どこから持ってきた?無駄金を払うつもりはないぞ」
「だ、大丈夫。ただのお礼……ち、知識のメインギアが管理してた倉庫に……こういうのいっぱいある……他の国から、
「そうか……では
「つつ、付いてる。登録してあるとこしか行けないけど……“グリディアン神殿”に行くんでしょ?登録され、されてるから、大丈夫」
「そうか……グリディアン神殿に着いたらここへ戻ってくるよう設定しておこう。なるべく汚さないようにはする」
するとハピネスが
「返すのか!?なんで!?ずっとこれ乗ろう!?」
トコヨもジャハルを見上げて同意する。
「べべ、別に、俺使わない……
「目立ちすぎるだろう。好意は有難いが、必要ない」
そこへラルバも近寄ってきてジャハルに同意する。
「そうだぞハピネス。こんなド級のヘンテコマシン乗ってたら悪者が
「私が悪党探すから!!ラルバ頼む!!」
「だーめ」
「頼む!!!」
「だーめ!!!」
「どうしたの?」
バリアがラデックの顔を覗き込むと、ラデックは少し考えた後
「…………
「……常世の呪いのせい?」
「ああ、国内で覚えた言葉は
バリアは少し沈黙を挟むと、ラデックの顔色を
「……多分、意味がないんだよ」
「どう言うことだ?」
「あの子、
「そうか………………そうか」
ラデックは振り向いてなんでも人形ラボラトリーのゲートを見つめる。その悲しそうなラデックの横顔を見て、バリアは一つ提案をする。
「ラデック。あの子に何か貰ってたよね」
「ん?ああ、腕輪か。しかしラルバに壊されてしまった。俺があげられる物もなかったし、結局何もやり取りしていない」
「じゃあ名前をあげたらいいんじゃない?」
「名前?そういうものって勝手につけていいのか?」
「きっと喜ぶと思う」
「そうか。名前……名前……」
後日、返却されたホバーハウスの中に一通の手紙が入っていたのをトコヨが発見した。トコヨは中身からそれがティエップ宛であることに気づき、すぐさま彼女の元を
「あれ、トコヨさん……?どうしたんですか?」
「こ、これ、ラデックから。多分、あんたに」
「えっ……!?」
ティエップは
祖国を救った偉大なる預言者へ
国を出てから、君の名前を思い出せないことに気づいた。きっと常世の呪いによる副作用なんだろう。しかし、それはあまりに寂しいことだ。そこで、別れ際に何も渡せず、何も受け取れなかった代わりに、本当に勝手な話ではあるが君に名前を
君は自分の実力を鼻にもかけず、
“スフィア”
スフィアとは、魔力の
またいつかどこかで会おう。スフィア。