途中からフォーマットや誤字脱字ルビ振りが修正されていないことが増えますが、現在修正中です。しばらくお待ちください。
〜グリディアン神殿 男用検問所地下牢 (ハザクラ・ラデック・ラプーサイド)〜
「なあ!そこの君!」
ハザクラは鉄格子を
「頼む!話を聞いてくれ!」
ハザクラが何度も鉄格子を揺すり金属音を打ち鳴らすと、女は勢いよく立ち上がり振り返って鉄格子を蹴飛ばした。
「うっせぇなクソ共!!次騒がしくしたら目ん玉くり抜くぞ!!!」
「話を聞いてくれ!!悪い話じゃないはずだ!!」
怒り狂う女に、ハザクラは
「報酬はたんまり払う!いや、言われた分だけ払う!!だから一つだけ……」
「ほう……?」
『一つだけ頼みを聞いてくれないか……?』
女は
「聞くだけ聞いてやるよ」
「俺の命令全てに
「あ?」
「抵抗せず俺達の脱出に全面協力をしろ」
ハザクラの異能にまんまと引っかかった女は、その自覚なく自分の意に反して体が動くのを感じた。まるで
「……!?……なん……お前……私に何をした……!!」
困惑する女を
「まずは脱出したいところだが……
「……まあ、好きにしたらいいんじゃないか?」
ラデックは自分の没収されていた荷物を
「触……ん……な……!!クソが…………!!」
女は鬼の
「ふむ……
「ん……まあ条件が
「あんまり頼りにしないでくれ。失敗した時に悲しくなる」
ラデックはハザクラの後ろからパソコンの画面を覗き込み、首を
「調べ物か?」
「ああ、見取り図……できれば警備の巡回ルートとかが欲しいが、ないみたいだ」
「成る程。ラプー、見取り図」
「んあ」
ラデックの言葉にラプーは生返事をしてしゃがみ込み、側にあったコピー用紙に機械のような精度で図面を書き込んでいく。そしてあっという間に描き上がった図面には、警備の巡回ルートどころか、
ハザクラは図面を受け取ると、関心というよりは恐怖に近い
「……なっ何だこれは……!?こんな情報……ハピネスと同じ、それ以上の異能でもなければ……!!ラプー……お前は一体何者なんだ……!?」
しかしラプーは黙ったままハザクラを見つめ返し、石像のように動かない。
「答えてくれラプー!!」
「ハザクラ、静かに。脱走がバレるぞ」
ラデックが唇に人差し指を当て「しーっ」とジェスチャーを送る。
「ラデック……!説明をしてくれ……!彼は一体何者なんだ……!?」
「ラプーは盗賊の国……一匹狼の群れに捕らえられていた処刑予定の情報屋だそうだ。ラルバが面白半分で拾ってきた。……確かに今考えると、世界一の支配力を持っていた笑顔の国に、
「……何故ラプーはお前達についていってるんだ?」
「さぁ?」
2人がラプーを見つめるが、彼は黙ったまま動くことはなかった。
〜グリディアン神殿
ハザクラは手元の見取り図を
「次の通路左。そうしたら監視カメラが右上にあるから、なるべく右に寄りながら手前の部屋へ」
黒髪の女はギリギリと
その後も施設を進み、偶に巡回の警備員に出会しては黒髪の女に
四角い螺旋状に造られた階段は真っ直ぐ上へと続いており、ラデックは自分達が投獄された時に下った階段と同じくらいの距離だと感じた。そのままラデックは階段を登ろうとするが、施設の方へ振り返ったまま動かないハザクラを不審に思い声をかける。
「ハザクラ?行かないのか?」
「ん……いや……」
ハザクラは少し悩んでからラデックの方を見る。
「ラデック。この施設、どう思う?」
「広い」
「恐らくは検問所で捕らえた不審人物の
ハザクラはここから見える場所に設置された監視カメラを指差す。
「監視カメラは監視だけでなく、存在そのものによって防犯効果も持ち合わせている。隠したら脱走を抑制する役割は果たせない。何よりその分
そう言ってハザクラが黒髪の女の方を見るが、女はハザクラの言葉の意図を理解していない様で
「彼女もこの意味を理解していない。つまり、この施設は関係者さえ知らない牢獄以外の役割があるということだ」
ハザクラの言葉にラデックは少し首を
「よくわからん。その内わかるだろう」
ラデックが階段を登ろうとしたその時――――
ビーッ!!!ビーッ!!!
「ハザクラ……!?一体何を……!!」
「この牢獄が一体なんなのか、“その内わかる”じゃあ困るんだ。今知りたい」
ラデックは
〜グリディアン神殿 中央庁舎 (イチルギ・ジャハルサイド)〜
ジャハルと同じ24歳という若さで見事選挙を勝ち抜き、グリディアン神殿のトップに立った鬼才”ザルバス“大統領。絶大なるカリスマ性もさることながら、武芸の才にも
「それで……お話というのは?」
ザルバスは左眼で真っ直ぐジャハルを見つめたまま紅茶に口をつける。
「我が人道主義自己防衛軍の総指揮官、ハザクラをはじめとする3人が不当な理由により拘束されている。即解放を願いたい」
「それは大変申し訳ないことを……直ぐに確認したしますので少々お待ちください」
ザルバスは一切表情を変えず頭を下げ、側にいた秘書にジェスチャーをして退室させた。ジャハルはチラリとイチルギ方に目を向ける。イチルギは少し目を伏せて紅茶を手に取り口をつけた。“相手が嘘をついている時は不機嫌な態度を、本当のことを言っている時は好意的な態度を”。使奴の観察眼を共有するため、事前に2人が決めた合図。ジャハルはイチルギの観察眼から
すると少し慌てた様子で秘書が戻ってきてザルバスに耳打ちをした。イチルギはその瞬間苦い顔をしながらも、もう一口紅茶を口に含んだ。つまり、秘書の耳打ちは非常に不本意な内容ではあるが嘘ではないという意味である。
ザルバスは
「……ハザクラさん達が脱走した様です。しかしこちらの不手際であれば目を
ジャハルはまさかの発言に驚いてイチルギを見る。彼女は苦い顔で歯をぎりぎりと噛み締めており、
「あーそれは本当に申し訳ないことをしたわ。人道主義自己防衛軍の教えはよく知らないもので……そのまま勾留しておいて頂けるかしら?後で面会させて
「なっ……イチルギ!?」
ジャハルは思わず声を荒げてイチルギに顔を寄せる。
「何故っ……何かの間違いに決まっているだろう!!」
しかしイチルギは
「うっさいわね!分かってるわよそんなの!」
「ハザクラ達が無罪なんだったら私らが上手いことやんなきゃでしょうが!」
“ハザクラ達の勾留は正当な
イチルギのメッセージをジャハルは読み取りつつも、不安を
「……そう、か。そうだな……」
イチルギはザルバスに小さくお
「ハザクラ、ラデック、ラプーの3名を“
〜グリディアン神殿 中央庁舎前 (イチルギ・ジャハルサイド)〜
「あーもうっ!!ハザクラなら大丈夫だと思ってたのにぃ〜!!」
正面玄関を出るなりイチルギは頭を掻き
「イ、イチルギ……ハザクラへの勾留が正当とは一体どういう……」
「私だって知らないわよっ!!」
イチルギはジャハルを鬼の形相で睨みつける。
「設備の破壊って!!明らかに故意じゃない!!つまり「イチルギがなんか上手いことやってくれるだろうから態と捕まってみよう」ってことでしょ!?あーもうなんであの子までラルバみたいなことするのかな〜!?」
「……あの、すみません」
2人が振り向くと、そこにいたのは白髪に白いローブを
「シ、シスター!勝手に外へ出られては……!!」
シスターと呼ばれた白いローブの人物は、少し驚いた様な表情で振り返り、ルビーの様に真っ赤な瞳を彼女へ向ける。
「ああ、すみませんナハル。しかしどうしてもお話がしたくて……」
ナハルと呼ばれた大柄の女性は睨みつける様に辺りを見回してからジャハルとイチルギに視線を
「…………取り
イチルギとジャハルはナハルに案内され、さっき出たばかりの中央庁舎へと
〜グリディアン神殿 中央庁舎資料室〜
「ここなら見つからないでしょう」
シスターは予備の
「ますは
「世界ギルド境界の門、特別調査員イチルギです」
すると、シスターは
「これは失礼を!グリディアン神殿で
「……助手のナハルです」
ナハルもシスターに合わせて深々と頭を下げる。しかしナハルの顔色は
席に着くなり、ジャハルは
「失礼ですが……シスターというのが本名なのですか?」
「ああ、そうなんです。
「いえ、そういう意味では……その、グリディアン教にシスターという伝統はなかったはず……」
「あはは……確かにグリディアン教は
「こ、これは失礼を……申し訳ありません」
「いえいえ、昔のことですから」
シスターは明らかに20歳になろうかどうかという
シスターは時折子供っぽい照れ笑いを挟みながらジャハル達に話し始める。
「窓の外にお二人が見えた時、内心ちょっと
「いや……まあ、そう、だな?」
ジャハルは素直に
「いいんです。ナハルもこの国の生まれではありませんし、そんなことより……」
そこでシスターは少し声のトーンを落として表情を曇らせる。
「早くお仲間を助けましょう。でないと……手遅れになるかも知れません」
確信を持った物言いに、ジャハルはゾッとしつつも強く言葉を返す。
「だ、大丈夫だ!ハザクラ達は私以上の実力者だ!例え使奴相手だろうが簡単には死なん!」
「仮にハザクラさんが使奴でも死ぬかも知れません」
シスターは再び確信の
「詳しく聞かせて」
イチルギも知らない恐ろしい事実が、ジャハル達の足元で渦巻いていた。
〜グリディアン神殿 ???〜
「ああっ!ああんっ!!んふぅっ!!んあああんっ!!!」
「ああっ!!イイっ!!あんっ!あんっ!!」
肉と肉のぶつかる音。粘液音。荒い吐息。
「ああんっ!!もっと!!もっとぉ!!!」
そして、キングサイズよりも二回り以上大きなベッドの上で
「んああああああああああっ!!!んふぅぅぅぅぅぅーっ!!!」
その白い肉塊と、ぐちゃぐちゃになったシーツの
「んふぅー……んふぅー……」
『新しいのっ!!!持ってぎでっ!!!』
その叫びに、部屋の入り口に立っていたタキシードを着た若い男は震え上がって
「
若い男が部屋を出ようとすると、白い肉塊から
『まっで!!!』
若い男は絶望と恐怖に苛まれながら、身体を石像のように静止させる。
『やっぱぁ……ごっぢ……きてぇ……?』
白い肉塊の甘える様な
「仰せの、まま、に……!!!我が……愛しの主人……!!!」
若い男の笑顔は地獄の
若い男がベッドの真横に立つと、白い肉塊はゆっくりと顔を向けた。
『えへへぇ……わたしのごと……好き……?』
白い肉塊からはみ出た”ソレ“は、顔と呼ぶには余りにも大きく、まるで巨大な
「
若い男はガタガタと身体を震わせながらも、手を後ろに組み化け物を見つめている。
『かわいっ!んひゅひゅっ……じゃあ……わたしとぉ…………シよっ……?』
「……もちろっんっ……で、す……!!!」
若い男の顔に化け物の顔がついているであろう部位がゆっくりと近づき、肉塊に
パーティ現在位置
中央庁舎 イチルギ、ジャハル
酒場 ラルバ、ハピネス、バリア
地下施設 ラデック、ハザクラ、ラプー