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〜グリディアン神殿 地下街 (ハザクラ、ラデック、ラプーサイド)〜
「ラデック様はこちらへ、私がご案内いたします」
執事風の男性の案内に、ラデックは血相を変えて首を振る。
「いや、断る。ハザクラ達と同じ部屋を頼む」
「すみませんが一人一室でして……」
「構わない。床で寝る」
「そう言うわけには……」
困惑する男性に両手で作ったバッテンを突きつけて激しく
「ラデック。お前なら何とかなるだろう。ひとまず言う通りにしておけ」
しかしラデックは首を大きく左右に振って拒否する。
「嫌だ」
「何が不安なんだ。具体的に説明しろ」
ラデックは案内役の男性から遠ざかってハザクラに耳打ちをする。
「……ここの親玉に心当たりがある」
「何だと?」
「恐らく”ホガホガ“だ」
「ホガホガ?使奴研究員の名前か?」
「いや、本名は知らない。とある絵本に出てくる“ホガホガ大魔王”ってのに容姿が似ていることから保育施設の仲間が勝手につけた
「……まあいい。ホガホガについて教えろ」
「根暗で気味の悪い女研究員で、保育施設の子供達によくちょっかいを出していた。俺が15歳くらいの時だったか、友人がホガホガに
「……当時のホガホガの年齢は?」
「さあ……見た目からすると、もう40後半ってところか。
「親玉がホガホガだと予想した理由は?」
「使奴研究所では下級研究員が給食の調理も
「……わかった。じゃあ最後に、ラデックがホガホガを恐れている理由は?」
「容姿が生理的に受け付けられない」
「行ってこい」
「嫌だ!!!」
「ホガホガは異能持ちか?」
「研究員に異能持ちはいない
「行ってこい」
「嫌だ!!!」
「俺も
「嫌だ!!!」
ハザクラは嫌がるラデックの
『行ってこい!』
「嫌だぁ……!」
ハザクラが異能を使って命令をするが、ラデックも負けじと顔を
「相手の
「適任かどうかじゃない!嫌なものは嫌だ!」
「ラルバよりは怖くないだろう!」
「ラルバより怖い!」
そんな押し問答を続けていると、執事風の男性は2人に近づき恐る恐る声をかける。
「あの〜……そろそろ
「よろしくない」
「ああ、すまない。今行く」
「行かない!!」
嫌がるラデックの手を無理やり引っ張りながら、ハザクラはラプーと共に男性の後ろを歩き始めた。
結局ラデックはハザクラに
「こちらです。中へどうぞ」
ラデックは象が通るような巨大な
「……1人部屋か?」
「どうぞ」
しかし男性は問いに答えない。それどころか、食堂で見せた
ラデックは今すぐ反対方向へ全速力で
よく見れば天蓋カーテンと同じ真っ赤な色の布を
『んふふ……いらっしゃい……』
その肉塊が女性の声を発したことにより、肉塊が生命活動を行なっていることと会話が可能な知性を有していることの二つが判明した。
ラデックはなるべく肉塊を見ないように目の焦点をズラしながら言葉を返す。
「……部屋を間違えたようだ。失礼する」
『間違えでないわよ』
引き返そうとするラデックを肉塊が引き止める。
『そんな遠くにいないで……こっぢ、来てぇ?』
甘えるようなあざとい肉塊の
「い、いや、そうだ。用事を思い出した。早く姉にパンを買って行ってやらねば」
そう言ってラデックが扉に手をかけようとすると、その手を真っ白い肉塊が掴んだ。
『待っでよ』
ラデックは凍りついた。一つを
数mを一瞬で移動する身体能力、真っ白い肌、そして間近で聞いたことにより判明した聞き覚えのある声――――
『ちょっとだけ……ぎゃっ!!!』
ラデックは走り出した。扉を体当たりで突き破り、その勢いのまま壁を走って扉の前で待機していた
追跡魔法でラデックの行動を把握していたハザクラは、
「ラデック!!一体何が――――」
「逃げるぞ!!!」
今まで見たこともないラデックの必死の
〜グリディアン神殿 地上 スラム街〜
何とか地上へ脱出した三人は、真夜中のスラム街へ逃げ込み
ハザクラは大きく肩で息をしながら、過呼吸で横たわっているラデックに
「一体、何を見た……!せ、説明を……しろっ……!」
「はぁっ……!!はぁっ……!!あ、あれは……!!ダメだ……!!」
ラデックはそう呟くと呼吸が落ち着くまで何も答えなかった。ハザクラもこれには何も言わない。
呼吸が落ち着いてくると、ラデックは幽霊を見た子供のように震えながら語り始める。
「あれはホガホガだ……!でも、あり得ない……いや、決めつけは良くないか……」
「自己完結するな。
「……わかった。俺が見たのは確かにホガホガだったと思う……が、あれは“使奴”だ」
「……何?」
「クソでかい部屋にクソでかいベッドがあって、その上に真っ白い肉塊があった。それがホガホガの声で
「真っ白い肌……確かに使奴の特徴ではあるが、それだけで使奴というのは……」
「身の
「さんっ……!?」
「その時はベッドの上に座ってたからよく分からなかったが、俺が背を向けたときに後ろに立って腕を掴まれた。その時の声の位置や手の大きさから
「……元のホガホガの身長は」
「あって160cmくらいだろう。そして
ラデックは
「……俺の異能は、触れた相手のステータスみたいなものを感じることができる。改造するってことは、改造前の能力値も分かるってことだ。……ホガホガの能力値は使奴のそれと何ら変わらなかった」
「……自らを使奴にしたのか」
「そして失敗した」
「失敗?」
「腕を掴まれた時、一瞬だが顔が見えた。しぼみかけの風船みたいな
「……しかし、使奴相手となると
「いや、その点に関しては大丈夫だろう。使奴の戦闘能力の
「じゃあ何が不安なんだ?」
「……ハザクラ、手を出せ」
「……?」
ハザクラが右手を差し出すと、ラデックはその手を取り、
「うっ……!?」
ハザクラは上下の感覚が入れ替わったことに吐き気を
『ぐっ……な、治れ!』
そして自己暗示をかけ、改造された感覚を正常に戻した。
「いきなり何をする!」
「それ、外傷にも適応できるか?」
「はぁ?いや、外傷は無理だ。肉体強化で若干は改善されるが、物理的な
そこまで言うと、ハザクラはハッとしたような顔で固まる。そしてラデックはゆっくりと
「俺がホガホガの身体の自由を
「なっ……ホガホガに異能はないんじゃなかったのか!?しかもよりにもよって俺と同じ
「……恐らく、異能の発生は意識の
「無理往生の異能を使う使奴……これは……厄介なことになった……!」
「地下街の男達は皆彼女の奴隷だろう。さっきの移動でハピネスの
〜グリディアン神殿 地下街〜
『うう〜……うううう〜……うう〜!!治れ〜……治れぇ〜……!!!』
真っ白な肉塊は苦しみながらもぞもぞとのたうち回り、
「うううう〜!!!イライラするぅ〜!!!なんでもうぅぅぅぅぅ嫌ぁぁぁあああああ!!!」
肉塊は空気をビリビリと震わせて絶叫をすると、近くにいた男性を数人捕食するように抱え上げて自分の部屋に転がり込む。その直後、部屋からはけたたましい粘液音と