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〜グリディアン神殿 中央庁舎資料室 (ラルバ・バリア・ハピネス・イチルギ・ジャハルサイド)〜
「この国には広大な地下空間がある」
ラルバは全員の前で白板に図を描きながら説明をしている。イチルギとハピネスとバリアは邪魔をしないよう
「スラムのクソ共から聞いた話だが、実際に私も少しだけ忍び込んできた。ちょろっと見ただけでも数十人の男達が普通に生活していて、差別どころか普通の商業施設や家屋が立ち並ぶ平和な地下街ってところだな。ざっと見ただけでも相当な広さだ。
ロゼは
「……地下に人間が暮らせる空間があるのは知って居たが……それほどの
グリディアン教――――
混沌としていた死にかけの世界を救った女神“グリディアン”を唯一神とする宗教。グリディアンは自らと同じ姿をした女性を人類の
「古くから男はグリディアンの浄化の加護を受ける習わしがあったが、いつの間にか極端な男性差別になった。今じゃ“オタケ”なんて呼ばれてマトモな人権すら保障されていない」
「だそうです!!その“オタケ”って何?」
「男性器をキノコに見立てた
「ああ、”
「もしこの“グリディアン”が神なんかじゃなく異能を持った人間の支配者だとしたら……意図的に男を被差別民に
「
「ただそれだと一つ問題がある」
「奴隷が
ジャハルが怒りに打ち震えながら声を絞り出す。
「……洗脳教育というのは、ここまで人を貶められるのか……!?人の命を……一体何だと思って……!!!」
しかしジャハルの回答に、ラルバは呆れながらペンをクルクルと回して否定する。
「ジャハルちゃんブッブー。洗脳教育はそこまで完璧じゃないよ。奴隷とはいえ知的生命体には変わりないからねー」
ロゼもラルバに同調して
「奴隷が従順すぎるっつーのは、人間の生態からしてもおかしいっつー意味だ」
「きっと最初っから……異能で奴隷を
「……じゃねぇとザルバスが裏切った理由にはならねぇ……!!」
ロゼは机を強く叩いて身体を震わせる。
「アイツは……アイツは誰よりもこの国を嫌ってた!!弱者を救いたいっつー平和ボケした理念だけで大統領にまでなったんだ!!あそこまで理想に突っ走れた馬鹿が……いきなり裏切って差別者側に回るなんてありえねぇ……!!!」
この言葉に、シスターも顔を伏せて同情する。
「……確かに、ロゼの話を聞くまでは私もザルバスは悪者だと思っていました。彼女の政策……男性出産時の給付金の増加、雇用者への男性雇用手当、男性専用宿泊施設の建設……表向きは男性への
「アイツは誰かに
「善人かぁ〜。もしそうだったらロゼちゃん何とかしてよ。操られてるとはいえ善人ブチ殺すのは楽しくないし……」
「む」
ハピネスがほんの少しだけ声を漏らす。さっきまでロゼ達と話していたラルバは、その小さな
「どうしたハピネス」
「すまない。ラデック達を見失った」
その返答にジャハルが動揺して立ち上がり、その
「なっなんだと!?ハザクラは!?3人の
「上手く逃げ
「すぐ探しに行こう!大体の方角を教えてくれ!」
「痛っ!!な、何をする!!」
「いいよ、行かなくて」
「何を言っている!!もう真夜中だ!!敵に見つかったらどうする!!」
「どうせ見つからんよ。どうせ見つからないなら、もう少し泳いでいてもらおう」
ラルバは大きく
「それに真夜中だしね。ロゼんちって何人泊められる?」
〜グリディアン神殿 アパート「ギテツ」101号室〜
「……狭い」
「だぁから3人が限界っつったろ!!」
ロゼは自宅へ押しかけてきた
統合軍総司令部から歩いて数分の場所にある
「軍のトップって
「寝に帰るだけだからこれで十分なんだよ!!これで全員泊めるのは無理だってわかったろ!!出てけ!!」
「えーお外寒いじゃーん」
このラルバのワガママにはイチルギとジャハルも呆れて何も言えず、同行してきたシスターとナハルもベッドに
ロゼに胸ぐらを
「ふん、反撃しなければいい気になりおって。
「たっ……頼んでっ……ねぇっ……!」
ロゼの苦しそうな表情を見て、シスターが不安そうにラルバの
「や、やめてください……私達が帰れば済む話ですから……!」
「えー、でも君ら自分ち帰ったら殺されるよ?」
「えっ……!?」
「イチルギが君らと接触したのを敵は知ってるだろうしー、ラデック達が逃げ出したのも知ってるしー、イチルギとラデックが仲間なのも知ってるじゃん?てことは、今敵側からしたらシスターやナハルも十分反乱分子として認識されてると思うよ?自宅にも敵が待ち伏せてるんじゃないかなぁ」
「そ、それは
「杞憂だと思うなら帰れば?そのあとどうなっても知らんけど。その点ロゼっちは私がボコしただけだし、その事実を敵はまだ知らない。身を
ラルバの発言にシスター達が顔を伏せる。すると横からハピネスがラルバの
「それは分かったんだが……狭さはどうにかならないかい?私今晩ぐらいはゆっくり休めると思ってたからもうヘトヘトなんだが……」
「寝れば?」
「グリディアン神殿に着くまでずっと野宿だったんだ。せめて足を伸ばして寝たい……」
「外で寝れば?」
「野宿じゃないか……」
「んもうしょうがないなぁー」
そう言うとラルバは両手を組んで勢いよく
「はい、広くなったよ。最高級プラネタリウムのオマケ付きだ」
ラルバは
ジャハルは空を見上げて
「……そういえばラルバの異能を
「え?言うわけないじゃん」
「……それもそうか。夜空ということは自然現象の類……?イチルギはラルバの異能を見たことあるか?」
「ん?見たことはないけど……ハピネスが言うには“溶岩の
「ふむ……夜空……溶岩……凍結……」
他のメンバーも夜空に
皆が寝静まったころ、ラルバは突然ムクリと起き上がった。そして何かを紙に書き、ロゼのカードデッキの
〜グリディアン神殿 中央庁舎〜
「さあて!!悪党ぶっ殺し隊!!
翌朝、ラルバ達は再び中央庁舎を
目標はザルバスの
「………………誰も出ないねぇ」
するとロゼが後ろからラルバ押しのけベルを乱暴に鳴らす。
「……中には居るはずだ」
「ってことは
ラルバはニヤリと笑うと、その場で全力の
「……全然迎撃体制ばっちしじゃないじゃん。全くもう……私が殺人犯になったらどうするつもりなのよ」
加害者になったことに不満を漏らすラルバを勢いよく
すると廊下や階段から大勢の衛兵が現れ、ラルバ達に向かって一切の
「ここは任せろ!!」
「苦しゅうないぞジャハルん。じゃあロゼっぴ、行こうか」
「……さっき見たいな出会い頭の攻撃、ザルバスにやるなよ」
「やんないやんない」
天井に開いた穴からロゼとラルバが侵入し、ジャハルは再び衛兵達の方へ顔を向ける。彼女はこの数秒の間に相手の規模、戦力、戦法、攻略法を
「バリアそっち手当お願いー」
「わかった」
既に戦場には、イチルギとバリア以外に動いている人物は誰一人としていなかった。ジャハルは自分の
「……そうだった。私元々このメンバーじゃ戦力外じゃないか……それを……ここは任せろって……はっ……」
「い、一瞬で……」
「なんと……」
そこへ何故かハピネスがドヤ顔で説明を挟む。
「ふふふ。
〜グリディアン神殿 中央庁舎執務室〜
中央庁舎最上階の執務室。その中にザルバス大統領は待ち構えていた。ロゼはラルバと共に部屋に入り、彼女と
「来ましたか」
「……ザルバス」
ロゼは歯を
「まず、ロゼ最高司令官。あなたを国家反逆の罪で――――」
「そんな建前はどうでもいい!ザルバス!!」
ロゼが
「お前、正気か?」
「はい。正気ですよ」
ロゼは恐る恐るラルバの方を見る。彼女が善人であればラルバは彼女に手を出さない。そういう約束になっている。今ラルバがザルバスを悪人と判断すれば、
「………………ん〜?」
「おい!どっちなんだよ!ザルバスは操られてんのか!?」
「ん〜………………」
ラルバは再び逆方向に首を傾げて唸り声をあげる。その様子を見たザルバスは手に持っていた拳銃を構えてロゼを睨みつけた。
「私は正気です。そしてロゼ最高司令官……ラルバ・クアッドホッパー。あなた方を処理します」
ラルバはザルバスの
「よくわかんないからロゼ助にあげる!!バイバイ!!」
ザルバスは自らの頭上を跳んでいくラルバを撃ち落とそうと銃口を向けるが、ラルバは既に窓を突き破って逃走してしまっていた。
「……逃げ足の早い」
「虚構拡張」
「“
「……ロゼ」
ザルバスは
「なあザルバス。ここなら盗聴も監視の心配もない……本当のことを言ってくれ……!!」
「あなたを殺します」
「――――っ!!!クソがぁ!!!」