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〜グリディアン神殿 中央庁舎執務室〜
ロゼの虚構拡張により、地上3階にあったはずの執務室は黒雲が怒り狂う龍のように渦巻く荒野へと
「なあザルバス。ここなら盗聴も監視の心配もない……本当のことを言ってくれ……!!」
ロゼが最後の希望に
「あなたを殺します」
しかし、ザルバスはロゼの言葉を冷たくあしらい、両手の二丁拳銃を構える。
「ーっ!!!クソがぁ!!!」
ロゼは腰に手を伸ばし、カードデッキから数枚の金属製のカードを抜き取り、勢いよくザルバスに向けて
しかし、カードはロゼの手を離れた瞬間にザルバスの放った銃弾に撃ち抜かれ、あらぬ方向へと飛んでいく。ロゼは自分の脚を狙って飛んできた銃弾を防御魔法で弾き返しながら、炎魔法で煙幕を張り一旦見を隠す。
そこへザルバスは追い討ちをかけるように銃弾を打ち込み続ける。ロゼは身を隠していた
「しまった――――!!」
ロゼがザルバスの方を見るより早くザルバスがロゼに接近し、ロゼのカードデッキ目掛けて雷魔法を放つ。ごく
カードが封じられたと見るや否や、ロゼは異能を使おうとザルバスに向けて
「くそっ……なんで避けられんだよっ……!!!」
ロゼがそう
ロゼの異能は“空間対象の変化系”である。かつてその座標に存在していた物体を、当時の状態、速度、温度のまま複製する。言わば疑似的なタイムマシン。
ラルバ戦の時には、ラルバが立っていた位置に当時存在していた爆弾や砲弾を呼び出した。今回は、ザルバスの立っていた位置を通過した事のある戦闘機を呼び出した。200年前に高度な文明による大戦争が起こっていたからこそ、この時代では絶大な威力を発揮する異能。
しかし、ザルバスはこの未知の攻撃をいとも
ロゼは隙を見てカードデッキにかけられた雷魔法を解き、カードを弾こうと数枚を
「クソッ!クソッ!クソッ!クソがっ!!」
ロゼは
ロゼは
ロゼは攻撃を避けられる度に、頭の奥から声が聞こえてくるような
「また死角から狙ってる。目玉の動きでバレるぞ」
「無理に意識を
「行動がパターン化してきているぞ。2度目は読まれる」
「分かってる……!!分かってんだよ……!!」
ロゼはブツブツと独り
「ブラフを
「異能に
「隙を無理に突こうとするな。弱点は
「わかってるよ……!!わかってるってば…………!!!」
牙を
「わかってるから……ちょっと黙っててくれよ……!!!」
一瞬姿勢を
「さよなら。ロゼ」
「くたばれ嘘吐き野郎ぉお!!!」
〜グリディアン神殿 10年前〜
「おいっ!!お前っ!!止まれっ!!」
幼女の声にザルバスは歩みを止めた。ふと振り向くと、
「あれ!あれお前がやったのか!?」
「あれ?…………ああ」
幼女の指差す方を見ると、数人の人間が酔い潰れたかのように横たわっていた。先程、学校帰りのザルバスを
「もしかして、君の大事な人達だったりした?だとしたらごめんね」
「違う!!誰があんな弱小共なんかと……!!」
まだ10歳にもなっていないような幼女が、
「なっ何がおかしい!!」
「いや、別に?それで、なんの用かな?」
「俺と戦え!!強いんだろ!!お前!!」
幼女は腰の鉄の棒をザルバスに突きつける。幼気な挑発にザルバスは少し
「おっと」
突然
「お前ぐらい強いやつなら
ザルバスは、幼女が破落戸を”弱小共“呼ばわりしたことが強がりではなかったと知り、
「……いいけど。私、強いよ?」
「強くなきゃ意味ねぇんだよ!!」
「っはぁ……っはぁ……に、逃げんなっつーのに……!!」
「じゃあ追いついてみなよ」
幼女はぜえぜえと肩で息をしながら、ふらふらとザルバスに近寄る。しかし最後の力を振り絞った
「ひ、
「卑怯者に負ける弱者に発言権はないよ」
ザルバスは幼女相手に
「君、名前は?」
「おい、その言い方だと……俺が負けたみてーじゃねーか……!!」
「うん。君の負けだよ。だから名前教えて?」
ザルバスは人差し指を幼女に向けて「バーン!」と銃を撃つジェスチャーを行った。
「………………ロゼ」
「あれ。
「子供
「大人より強くても子供は子供だよ」
ザルバスは参考書を読みながら背を向ける。
「じゃあねロゼちゃん」
「おっ……おい!!次!!次は勝つからな!!」
「ふーん?じゃあ……また明日ね。次も負けないよ」
「だークソッ!!勝てねぇ!!」
「これで100連敗だね。毎日毎日、
「ちくしょー!!何でだ!?お前異能持ちか!?」
「なわけないでしょ。人のせいにしないの。言ってるでしょ?目の動きで狙いがバレバレ」
「そうじゃねぇ時もあるだろ!!」
「無理に意識を逸らすと逆に怪しいよ。もっと自然にやらなきゃ」
「くっそームカつくーっ!!」
「ふう。これで何連敗だっけ?えっと会ったのが卒業式の半月前だから……」
「…………多分……700……くらい……」
「……なんかごめんね?」
「
「でも最初の頃よりだいぶ良くなったよ!!」
「当たり前だ!!つーか俺人生で負けたのお前とクソババアにだけだからな!?」
「おーすごい」
「……つーかザルバスはなんでそんな強いんだよ」
「………………強くないと、生きていけないんだ」
「そこまで強くなくても生きていけるだろ」
「………………私がじゃない」
「はぁ!?大統領選に出る!?何で!?」
「この国を変えるの。だから将来の選挙に向けて、今から色んな人とコネ作らなきゃ」
「いやいや急過ぎんだろ!!」
「急じゃないよ」
「いつ決めたんだよ」
「ロゼと会う前から」
「……はぁ!?」
「この国を変えて、差別をなくす。貧困もなくす」
「……ザルバスって意外と馬鹿なんだな。無理に決まってんだろ」
「無理じゃない。ロゼ。あなたがいれば」
「いや俺は政治家なんかやらないよ?頭悪いからそっち方面は絶対無理」
「ロゼは頭悪くないよ」
「お前の横にいれば嫌でも理解すんだよ。自分の馬鹿さ加減ぐらい」
「ロゼには軍の偉い人になって欲しい。確かお母さんが大佐だったよね?入れない?」
「入れってめちゃくちゃ言われてっけど絶対やだ。アイツの血縁ってだけでも吐きそうなのに」
「お願いロゼ。あなたぐらい強い人の協力があれば、絶対に叶えられる」
「やだってば」
「お願い」
「やだ」
「お願い!!」
「やーだ!!!」
「あの……師範……」
「なんですかロゼ。学校はどうしたんですか」
「いや……その……が、学校は、辞めようと思う」
「……私の反対を振り切って得た選択を捨てるのですか?」
「……軍に、入れて……下さい」
「はっ……今更何を」
「お願いします」
「
「傭兵上がりでは間に合わないんです。お願いします」
「間に合わない……?ロゼ、あなたまさか親の七光で軍に入ろうっていうんじゃないでしょうね」
「実力は必ず示します。お願いします」
「ふざけるな!!自分の選択も満足にできない奴が!!軍隊になぞ入れるものか!!」
「お願いします!!!」
「
「お願いします!!!」
「ロゼ!!
「……ズルしたけどな」
「お母さんに……言ってくれたんだな……」
「そっからソッコーで上位階級に
「……それ、大丈夫なのか?」
「いや、もうじき問題にされてクビになると思う。だからザルバス。早く権力者
「無茶を言うなぁ」
「お前も無茶言ったんだから、これぐらい頼むぜ」
「……頑張るよ」
「と、統合軍……最高司令官……?俺が……?」
「どうだロゼ。私も見事大統領当選確実!これで権力と軍事力両方を
「お前……何した?」
「んー……良くないことを少々……」
「…………はぁ。まあこの平和馬鹿について来ちまったんだから、
「平和馬鹿ってなんだ平和馬鹿って」
「ぶっちゃけ、俺は今でも国を変えるなんて不可能だと思ってる」
「できるってば!!」
「ザルバスが幾ら
「……ロゼ。ありがとう」
「……頑張れよ。ザルバス」
「なっ何だこれは……グリディアン神殿の地下にこんな場所が……!?」
『んふふぅ〜……あなだが次の大統領……?』
「お前……お前が……この国を……!!!」
『うるざいわねぇ……いいがら黙っで、私のいうごどを聞きなさい……!!』
「断る!!お前なんぞに……私の……私達の国を
『お前達っ!!この女が「分かりました」って言うまで……目の前で赤ん坊を殺しなさい。これでもかってくらい痛めつけて』
「やめろ!!そんなことをしたって国は変わらない!!」
『弱者なら少年でもなんでも良いわ。あ、可愛い子以外ね。お前達が一番
「お前達もこんな奴に従う必要はない!!私が必ず国を変えて見せる!!だから……だからそんなことはやめてくれ!!」
「やめろ!!やめろ!!ふざけるな!!」
「命を……命をなんだと思って……!!!」
「頼む……もう、もうやめてくれ…………!!!」
「………………………………どうして」
『一回だけでいいのよぉ?一回だけ「わかりました」っで言えば……やめであげるがらぁ』
「ほ、本当だな……?言うだけで……」
『そうそう……“言うだけ”よぉ……』
「わ……わかった――――」
「おい……ザルバス……!!!」
ロゼが激痛が走る身体をゆっくりと起こしてザルバスを見上げる。片目は銃弾に貫かれ、最早絶命一歩手前。そんな
「お、俺。お前が……何しても、ついてってやるって……いったよな……?」
ザルバスは再び銃口をロゼに向ける。
「お前は、頭が良いから……俺には、お前が……何やってるかなんて……全っ然わからねぇ。だから……理解は、お前、に、任せて……俺は……手足になろうって……」
銃弾が放たれる。弾は
これは、お前の意思じゃないよな?
暗くなっていくロゼの視界に、
ああ、やっぱり。
それがわかれば、十分だ。