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〜グリディアン神殿 貧民街〜
一体あれからどれほどの時間が経っただろう。真夜中に起こった爆発事故を皮切りに、貧民街を中心として起き始めた暴動。中央庁舎から走り出したジャハルが駆けつける頃には、市街地は既に武装した市民が闇雲に互いを殺し合う地獄絵図が広がっていた。ジャハルが暴徒を
真っ暗だった空にはいつのまにか
「はあっ……!!はぁっ……!!クソっ……!!これでは
爆風で崩れる建物を
「手荒ですみません。お怪我はありませんか?向こうの広場に避難所が作られています。鋭い破片が散らばっていますので、足に布か何かを巻きつけて防護してください」
ジャハルが案内を続けていると、遠くから見知った人影が近づいてきていることに気がついた。
「バリア!!丁度いいところに!!ハザクラ達は見つかったか!?人手が足りないんだ!手伝ってくれ!!」
しかしジャハルの声にバリアは
「バ、バリア!?何をする!?」
「ラルバが国を出るから連れてこいって」
「なっ……!!馬鹿を言うな!!せめて私を置いていけ!!」
「ごめん。強制」
〜グリディアン神殿 倒壊した中央庁舎〜
「ぐぎゃっ!!」
「ラルバ。連れてきたよ」
「ん、おかえり」
着地の衝撃で首を痛めたジャハルはバリアの肩からずるりと地面に落ちる。そして
「おい!!ラルバの
するとラルバは鼻を小さく鳴らして笑い、
「はっ。じゃあ愛しのクラぽんとはここでお別れだけど、いいの?」
ジャハルは「えっ」と小さく
「み、皆んな無事だったのか!!良かった……!!」
ほっと胸を
「ハザクラっ!!出国に賛成というのは本当か!?」
必死の
「ああ。ラルバが黒幕を
「ばっ馬鹿を言うな!!この
「ああ、そうだ。不本意ではあるがな」
「ハザクラ……!!何故だ……!!またなんでも人形ラボラトリーの時の様に「人助けにも理由がいる」なんて言うんじゃないだろうな……!!彼等が生き延びたことで我々が困ることはない!!あったとしても……未来に世界を
「……ジャハル。俺達の当初の目的を忘れていないか?」
「それは
「違う。ラルバを
ジャハルはハザクラに話を
「ラルバという巨悪を
「しかし!!」
「それに
ジャハルは悔しさと怒りと悲しさが
「大人しく人道主義自己防衛軍の後援が到着するのを待とう。イチルギも力を貸してくれるそうだ」
そう言ってハザクラは
「じゃあ世界ギルドの方には私からうまいこと言っておくから。ザルバスの方は大丈夫?」
「ああ、何から何まですまないイチルギ。……正直、この後ジャハルの母国……人道主義自己防衛軍が来るなら属国にしてもらうのも手だと思ってな。あちらの大将はイチルギの知り合いの使奴なのだろう?」
ザルバスの
「……そうね。ベル
「構わないさ。私はこの国を救いたかっただけで偉くなりたかったわけじゃない。善良な国民が一人でも多く助かるなら
「……ベルはそんなことしないわよ」
「そうか。まあそうか」
「……あんだよ」
「ん〜?いやあちょぉっとお願いがありましてですねぇ……ザルバスさん?」
「ん?何かな?」
何の疑いもなくラルバに応えるザルバスを、ロゼとイチルギは苦い顔をして見守る。
「いやあ実はですね……我々の旅に増援が欲しいと思っているんですよぉ。異能持ちの」
この発言にイチルギが顔を大きく
「……ちょっと、ラルバ?アンタまさか――――」
「おイチさん黙ってて!」
話に割り込んできたイチルギをラルバは強く
「まあまあイチルギ。まずは話を聞こうじゃないか」
「そうだぞイっちゃん。私だってちゃあんと話し合って、あくまでも合意の上でって思ってるんだから!」
遠くでラデックが小さく「
「というわけでザルバスさん?まずはアナタの合意が欲しいんですヨォ。なんてったって貴重な異能保持者!黙って連れ出すわけには行かない……ねぇ?」
ラルバがロゼに怪しい
「ふざけんなこの人でなしの
「うっわスゴい言うじゃん。悪口事典か?」
2人のやりとりを見ていたザルバスは、顎に手を当てて少し考えたあと小さく頷く。
「うん。構わないよ」
「うぇっ!?」
「やったぁ!バルちゃん大好き!」
信じられないザルバスの発言に、ロゼは彼女の胸倉を
「おいザルバスっ!!お前まだちょっと洗脳残ってんじゃないのか!?」
「いや違うよロゼ。落ち着……落ち……落ち着いて」
一旦ロゼを引き
「今回の戦争、本来であれば統合軍による
ロゼが気まずそうに声を
「ロゼが今後どんなに頑張っても国民からの不信感は
黙って俯いたまま困惑するロゼ。ザルバスの言い分の正しさを理解しているからこそ、何の役にも立てない今の自分の
ザルバスは再びラルバに向き直り頭を下げる。ラルバは満足そうにニカっと笑うと、明後日の方向に大きく手を振る。
「シスターちゃーん!!私らと一緒に行こー!!」
「……はい?」
突然話を振られたシスターは、驚きのあまり言葉を失って立ち尽くす。ラルバの発言にはその場にいたほぼ全員が
「ちょちょちょ、ちょっと待った!!え?誘うのはロゼじゃないのかい!?」
「お前異能持ちが欲しいっつってたろ!!」
「うん。言ったよ」
ラルバはザルバスとロゼを強引に
「ねぇ?異能持ちのシスターさん」
ラルバの指摘にシスターは
「気味の悪い妄想をやめろ!!」
「あん?」
しかしラルバがナハルを睨み返すと、ナハルは胸の奥に矢が刺さった様な息苦しさに
「気味の悪い妄想かどうか……説明してあげてもいいよ?」
「……っ!!」
「やめろ!!!」
そこへロゼが怒号を飛ばして割って入る。ロゼはラルバを突き飛ばし睨みつける。しかしシスターはロゼの手を握って肩を震わせる。
「ロゼ……!やめて下さい……!」
「シスター……!」
「私なら……私なら大丈夫ですから……」
ロゼは強く握られた手から伝わってくるシスターの想いに困惑し、目を強く
しかしそこへザルバスも前に出てラルバを見つめる。
「君の言う異能持ちが、まさかシスターだったとは……ならば同行の許可はできないよ」
「へー、引き留めるんだ」
ラルバの言葉にザルバスは一瞬考えこむも、すぐさま意図を理解して背筋を凍らせた。
「……んひひ。さっすがザルバス大統領。読みが
そしてラルバは周囲をぐるりと見渡す。ジャハルとロゼの二人は未だこちらを睨みつけてはいるが、この状況に依然押し黙っているイチルギを見て同じように口を
ラルバはそれらを満足そうに眺めると、再びシスターに顔を寄せニタァっと笑う。
「で、どう?シスターちゃん。私は君の異能の力を借りたいんだけど……あ。ナハルんも来る?正直
シスターには
「シスターちゃん?どうする?」
シスターは俯いたまま小刻みに震え呟いた。
「……わ、わかり……ました……同行、します……」
「いやっはー!!これからよろしくぅ!!」
目の前で
「ナハルは……どうしますか?無理強いはしません……」
「……私もシスターについて行きます。どこまででも。必ず」
ナハルはその場に
「……ありがとう。……ごめんなさい、ナハル」
「謝らないで下さい。シスター」
【魔導外科医 シスターが加入】
【魔導外科医助手 ナハルが加入】