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〜グリディアン神殿 検問所〜
「あーははは、誰もいなーい!!」
入国時には
そこへシスターは
「皆出国の準備で忙しいというのに……私を呼び出した理由は何ですか?」
「用事ねぇ」
ラルバは引き出しを乱暴に
「シスターさんには、私のことを少し知っておいてもらおうと思いまして」
そう言ってラルバは検問所の外へ出る。そしてシスターに「こっそり見ていろ」と指示すると、少し離れたところに停まっている一台のトラックへと歩いて行った。シスターは
しゃがみ込む男性の後ろでラルバは小さく咳払いをすると、明るく落ち着いた
「モシ……コノ国の方でショウカ?」
トラックの運転手と思しき
「……あんたは?」
「申シ遅レます。ワタシ、なんでも人形らぼらとりぃーから来た留学生のマディカロベルと言ウます。コンナ見た目デスが、使奴寄リではアリマセン」
「……へえ、あの国の留学生」
「はい!でも……あの
ラルバのしおらしい振る舞いに、男は小さく鼻で笑って立ち上がる。
「なら良かった。丁度街へ行く途中だったんだ。送って行ってやるよ」
「本当です!?嬉シイ!!あなた良い人!!」
「まあ旅は道連れ世は情けだ。荷台乗んな」
ラルバは大喜びで荷台に足を踏み入れる。すると、そこには既に別の男がおり、不気味な半笑いでこちらを見つめていた。
「んん……?失礼しマス?」
ラルバが軽く
「よし!!よし!!捕まえた!!」
「縛れ縛れ!!」
2人の男は暴れるラルバを無理やり押さえつけ、縄で両手足を拘束し
「よしっ……よしっ!やった……!この服絶対高値で売れるぞ……!!」
「角折れ角!!こっちの方がイイ値段する!!」
「馬鹿!
「使奴寄りでもねぇのにこの眼玉と肌か……!しかも角持ち!!クソッ……出すとこ出せりゃ相当いい金になるっつーのに……!!」
男達の正体は、内戦により亡命を
「おい!ポッケに金貨入ってたぞ!!こいつ結構持ってる!!」
「ネックレスに指輪……どっかいいとこの令嬢か?早めに売ったほうがいいな」
「じゃあ今のうちにヤるだけヤるか……!!あのクソ女共に散々こき使われた分、お前で晴らしてやる……!!」
男は汗が染み込みベタついたズボンに手をかけモゾモゾと脱ぎ始める。しかし焦って足を引っ掛けてしまい、後ろへ大きく倒れた。
「痛って!」
男がぶつけた頭を
「おい、何してんだよ」
「こ、こいつ……笑ってる」
「はっ、きっと恐怖で頭がおかしくなっちまったんだろうよ」
そう言って男がラルバの顔を
「がっ」
そしてそのまま下顎を輪っかを握るように
「ひっ……!!!お、俺じゃないっ!!こいつが、こいつがやれって言うから!!!」
ラルバは何も言わず腰を抜かしている男に近づき、彼が
「――――――――!!!」
「安心しろ。私は
そう言ってラルバは
「あっげげ……えあっ……!!」
「ひぃっ……うぅぅぅ……!!」
倒木にもたれ掛かり痛みに
「人を食い物にするお前らにはお似合いの最期だ」
その直後、男達の全身が突然銀色に輝き始めた。光は波打ち、脈動し、男達の足元にまで広がり
「ぎゃあああああああっ――――――――!!!!」
男達を
砂漠の
ラルバは男達の
「日没
すると、検問所へ戻ろうとするラルバの横を、
「はな、離して下さい!!」
「善人ぶるなよ偽善者」
シスターはラルバの手を振り解き、彼女をキッと睨みつける。しかしラルバは吐き捨てる様に冷たく言い放つ。
「私を睨む
「なっ……
「イチルギやジャハル、
「……
シスターはそう告げるとラルバに背を向け男達の元へ走り出す。しかしラルバはシスターを乱暴に
「ちょ、ちょっと……!降ろしてっ……!!」
「私がお前を異能持ちだと断言した理由だが……主に二つだ」
そしてシスターの発言を無視して、独り言の様に
「まず一つ、お前がグリディアンと対面した時のことだ。お前はあの
シスターは藻掻く手を止める。
「二つ目は語り過ぎ。お前、イチルギと会ったときに警告したらしいな。ザルバスは敵だと。しかも、捕まった連中が使奴でも死ぬかも知れないとか」
「そ、それは……推測で……」
「何を
「ザ、ザルバスの動きはどうみても不自然でしたし……」
「お前はロゼと仲が良かったそうだな。ロゼからザルバスの過去の話も散々聞いただろうに……昔の平和馬鹿だったザルバスの姿を知っていて、“敵だ”などと普通は言わん。恐らくは、洗脳されているという事実は知っていだが、洗脳と言ってしまうと自身の秘密まで知られかねないから“敵”という表現を使って
「で、でも」
「次に”使奴でも死ぬ“という発言。お前がどこまで使奴のことを知っているかは知らんが……要するに、どんなに強くとも黒幕には敵わない可能性があるということだ。つまり、お前はグリディアンという存在をとっくに知っていたんだ」
「そ、それは……ロゼの部下から
「苦し
シスターは何も言わずに顔を伏せている。この沈黙そのものが
「しかし一つだけわからないことがある」
ラルバはシスターを肩から降ろし、その足で立たせ顔を覗き込んだ。
「お前、何故私に着いてくるんだ?」
「……はい?」
シスターは依然険しい表情であったが、ラルバの問いに余計顔を
「
「
ラルバが再び歩き始めると、シスターも半歩下がって横に並ぶ。
「確かに“異能のことをロゼ達にバラされたくなければ
「……私の異能は、ラルバさんの仰る通り“記憶操作”です。全消去や全書き換えなんて芸当は出来ませんが……直接接触する事で直近数十分程度の消去や書き換え、ある程度の記憶を覗く事はやろうと思えばできます。ロゼが私に気がある事は最初から知っていました。ザルバスの正体や、何故グリディアンに服従するに至ったのかも……しかし、それは裏切りに値する行為……何せロゼの恋心を無視していたどころか、親友の
「ザルバスも察しのいいヤツだ。私がシスターの弱みを握っていることを察してあっさりと手を引くとは。しかし、それにしたってあっさりし過ぎだ。まるでそれだけではない様な雰囲気だった。私はそこに“お前が私に着いてくる理由”があると推測をしている。ザルバスが気付いていて、私が気付いていないお前の何かに……」
ラルバの舐め回す様な視線に、シスターは凍てつく様な冷たい眼差しで
「……私は、あなたを信じたいんですよ。ラルバさん」
ラルバはシスターの理解できない発言に、数秒思考を止める。使奴の演算能力を以ってしても、言葉の意味を解析する事は不可能であった。
「…………信じたい?」
「はい。私はあなたに期待しています。そして、それが達成されると信じたいのです」
「……くっくっく。面白い奴だな。言っている意味がまるで分からん」
「意味は聞かないで下さい」
「そんな野暮なことしないよ。じゃあ戻ろっか!!今晩はカレーだよ!!」
ゆっくりと歩くシスターを、ラルバはスキップして置き去りにする。シスターは小さくなっていくラルバを見送ってからその場で立ち止まり、両手を胸の前で組んで両目を閉じて
〜グリディアン神殿 郊外のバス乗り場〜
ラルバがシスターと検問所に向かっているころ、検問所から少し離れたバス乗り場でラデック達が荷造りに
「ふう……取り
ラデックはバスの修理をしながら額の汗を拭う。内戦の騒ぎにより、バス会社の敷地はこの故障したバス一台を残して全ての車両がなくなっており、敷地内は休業中の様な静けさを保っていた。
そこへ、ラデックの後ろからやってきたイチルギが顔を覗かせてる。
「ん〜まあいいんじゃない?壊れたらまた修理しましょ」
「使奴がやってくれた方が早いと思うんだが……」
「なんでもかんでも使奴を頼らないの!ラデックは機械系に便利な異能持ってるんだから、こういうところで憶えておかなきゃ」
「機械は苦手だ……」
2人が話していると、ナハルがそこへやってきて2人に
「すみません。シスターを見かけませんでしたか?私に待っていて言ったきり戻ってこなくて」
ラデックは首を振るが、イチルギは少し面倒くさそうな顔をして息を吐く。
「あー……ラルバが話があるって連れて行ったわ」
「な、なんだと!?」
勢いよく走り出そうとするナハルの腕をイチルギが引っ張る。
「でもって!私はナハルに話があるわ」
「離せ!後にしろ!!」
「ごめんねぇ〜ちょっとで、い・い・か・ら!」
イチルギはナハルを引っ張り倒して地面に座らせる。するとどこからともなくバリアが現れ、ナハルの背中にしがみついて拘束に参加した。周囲にはハザクラやジャハル達、出払っているラルバとシスター以外の全員が顔を揃えている。
「何をするイチルギ!!シスターとあの馬鹿を2人きりにするなど……!!」
「ん〜まあ確かに心配だけど……私はどっちかって言うとアナタの方が心配」
イチルギがナハルを怪しげな眼差しで見下ろすと、ナハルは何かを恐れ
「や……やめろ!!」
「う〜ん……」
「言うな!!」
「やっぱりアナタ使奴ね」
その発言のナハルは
「正直最初っから
「頼む……シスターには言わないでくれ……!!」
「分かってるわよ。ていうか、そのために今分断させてる訳だし」
ナハルは驚いて顔を上げる。
「何だと……?」
「ラルバは最初っからアナタがシスターに使奴であることを隠しているの知ってたそうよ。心当たりあるんじゃない?」
ナハルは小さく
「で、道中の口裏合わせのために
ナハルが小さく首を振ると、バリアがナハルの背中から離れた。ナハルは抵抗する素振りを一切見せず、その場にぺたんと座り込んでいる。イチルギは大きく溜息を
「で、なんで内緒にしてるのよ」
「……だ、だって……使奴だぞ?“使”い捨ての性“奴”隷だ……!!そんな如何わしい存在だとシスターに知れたら……きっと
「いや私も使奴なんだけど。目の前で“そんな
「如何わしいだろう!!こんな男の欲情を
「確かにそうだけども……別にそこまで言わなくても」
「シスターは優しい人だ……だからきっと嫌悪を顔には出さずにいてくれるだろう……!!しかし!!その優しさが……私にはこの上なく苦しいんだ……!!!」
ナハルの
「シスターは相当な人格者に見えたが……彼はそんな偏見を抱く人物なのか?」
「まさか!!シスターは差別なんて
「じゃあ気にしなくていいんじゃ……」
「しかし確定ではない……!!誰しも、間違いはある……!!」
「ナハルが
「違う……違うんだ……!!
ナハルは頭を抱えながら髪をガシガシと
「恐れていることの理解を
ラデックがバス停近くのベンチに腰掛けてタバコを吸っていると、夕陽をバックに手を振るラルバがやってきた。ラルバはラデックの隣にどかっと腰掛けると、持ってきたカレーの器を手渡す。
「ありがとう。今日の当番はハピネスか」
「あいつカレーしか作らんな。今度煮物でも教えてみるか」
「創作活動にはあまり興味がないみたいだな。ん……かなり辛いな」
「多分本人が一番困ってるよ。ねえねえ、ナハルんの説得どうだった?」
「失敗に終わった。やはり正体は知られたくないらしい」
「うへぇ……面倒くさくなったなぁ。ま、いっか」
「しかしラルバにしては
「え?ああ、弱みは握っておくに越したことないからな」
「
「シスターの方は結構
「結局、何故シスターを誘ったんだ?」
「んえあ?」
「ラルバは善人が嫌いだろう。シスターはジャハル以上に善人だと思うが……」
「ふっ……まっさかあ。アイツ……相当な悪だよ」
「……なんだと」
「まあ見る人からしたら善なんだろうけど……いつか
「……ラルバ」
「極論じゃないって!!いや
「信じ
「まあ見てなさいよ。どうなるかは知らんけど……そういや行き先どうなった?」
「
「ほへぇ……じゃあ今の所、目的は二つだな」
「二つ?あと一つはなんだ?」
「“漆黒の白騎士”の
「漆黒の白騎士?それは黒いのか?白いのか?」
「分からん。各地で
「悪なのか?」
「いやあ悪じゃないかなぁ。世界を滅ぼして回った
「ほう。どうやって探すんだ?」
「それは追々……で、三つめだが」
「二つじゃないのか」
「通り魔の討伐だ」
「通り魔?」
「世界各地で無差別に
「成る程……あれ?でも前にイチルギが“積極的に人を害する使奴は希少“だと……」
「私の他にもいるだけだろ。ただ……その使奴、ハピネスも1回しか見たことない上に、イチルギに至っては噂も知らないそうだ」
「……世界各地で出没する残忍な通り魔を、世界を
「んっふっふ……快楽殺人鬼VS極悪通り魔。どっちが強いか勝負だ!!」
「快楽殺人鬼の自覚があるならどうにかしろ。不愉快だ」
「ゴメンて。直さないけど」