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【世界ギルド】
〜巨大な城門〜
「うーむ、困った」
ラルバは物陰に隠れて行列を
「あれはパスポートか……?」
ラルバが独り言を
「まあこれだけデカい城門だ。中も相当なものだろう。怪しい人間は入れたくないはずだ」
後ろからバリアも顔を覗かせた。
「女の人がいっぱい」
不思議そうに行列を見つめるバリアにラデックが説明する。
「ん? ああ。盗賊の国でもそうだったんだが……といってもバリアにはわからないか。確かにやたらと女性が多いな」
門番、衛兵、商人、狩人、戦士、魔術師。積荷を運び出すのも検査をするのも皆女性で、男もいるが馬車の中で座っているのが数人見えただけである。
「どうしたものか……ラプー!オマエはパスポート持ってるのか?」
「んあ」
ラルバがラプーを呼ぶと、
「私もあるよ」
バリアも上着の内ポケットから同じ手帳を見せる。
「ほう……?」
ラデックがバリアから手帳を受け取る。
「……顔写真以外はほぼ無記入だな。年齢は17?」
「適当だと思う」
バリアが手帳の隅を指差す。そこには小さく“アイテム“とスタンプが押されていた。
「私は人間じゃなくて道具に換算されてたから」
「……なるほど」
ラルバがバリアの頭を
「ようし! じゃあバリアはラプーについていけ。ラプー! バリアを連れて中で待っていろ! ラデックは私と侵入だ」
ラプーが小さく
「どこからどうやって入るんだ?」
「ふっふっふ……」
ラルバがニヤリと笑って城壁に手をつく。すると城壁から泡が湧くように”氷塊が生え“地面に落下する。氷塊が湧き出た城壁にはポッカリと穴が開き、向こう側に倉庫のような部屋が覗いている。
「ラッキー! 無人だ!」
指をパチンと鳴らしながら穴を潜り侵入するラルバ。
「早くこい。お前も氷になりたいのか?」
氷塊を調べているラデックをラルバが引っ張る。
「ラルバ。これは”いつ“のだ?」
ラルバは問いに答えず、扉を破壊して奥へと進んでいく。
「……直しておくか」
ラデックは城壁の一部を”
〜賑やかな城下町〜
通行人は珍妙な2人組を見ては好奇の視線を向けて距離を取る。いつもは人混みで歩き辛い大通りも、2人には関係のないことだった。
「……みんなこっち見てる」
そう呟くバリアに目もくれず、早足でスタスタと歩くラプー。
「どこ行くの?」
「ラルバん探すだ」
「どうやって?」
「聞くだ」
一問一答に疲れたバリアは、辺りをキョロキョロと物珍しそうに見回しながらついて行く。
黙々と歩みを進めるラプーは、路地裏を通り裏口の鍵を開け、天井に張り巡らされたダクトを登り、格子窓を外して屋根を伝って
「んあ」
「おお?ラプー!」
ラプーが物陰からチラリと見えた見覚えのある赤い髪に近づくと、ラルバが驚いた顔でラプーに振り向く。
「はっはー! よし! 大通りへ案内しろ!」
「んあ」
ラプーは軽い返事で
「ラルバ、ラデックは?」
「ん? 遅いから置いて来た。なんとかなるだろう」
「そっか」
三人はラプーの開けたハッチから地下へ降りて行った。
〜簡素な取調室〜
「貴様!! あそこで何をしていた!!」
「壁の修理を」
衛兵に取り押さえられたラデックは小さな事務室で取調を受けていた。ラデックは女衛兵の剣幕に動じず淡々と返事をしている。
「あんなところに穴は開いていなかった! お前がやったんだろう!」
「やっていない」
「正直に言え! では
ラデックは少し考え、静かに視線を戻す。
「正直に言うと、侵入しようと思っていたのは確かだ」
「……何故侵入しようとしたんだ」
「身分を証明するものがない」
「だったら何故門番に聞かない?」
「……紙とペンを貸して欲しい」
女衛兵が引き出しからメモ用紙とペンを手渡す。
「……この紋章の意味を教えてほしい。そうしたら答える」
そう言ってラデックは”盗賊の国”の紋章を描いた。
「これは……! ”一匹狼の群れ”の紋章を何故お前が知っているんだ! 奴らの仲間なのか!?」
「ってことはこの国は盗賊達とは敵対しているんだな。よかった」
ラデックはほっと胸を
「俺はその国で
「な、なるほど……。それは災難だったな……」
鬼の
「だから侵入しようと思ったが、壁の穴を見つけたときに侵入よりも修復をしている方が心象がいいと思ったんだ」
「そ、そうか」
女衛兵は兜を外し、後頭部を
「一匹狼の群れの場所を教えてもらえるか?」
「ここから南西に馬で2,3日。大きな岩肌の
「わかった。中にいる奴隷の数と盗賊の数を教えてほしい。大体で構わない」
「奴隷は2〜300人。盗賊は100人程度、皆死んだ」
「え?」
メモを取る手を止め、ポカンと口を開ける。
「5日前に大柄な女が捕らえられて来たんだが、その女がめっぽう強くてな。出払っていた者以外みんな彼女に殺されてしまった」
「そ、その女は……?」
「我々には目もくれず立ち去っていった。どこにいるのか、どこの誰なのかさえもわからない」
衛兵が口元に手を当て、怪しむそぶりでラデックを見つめる。
「……しかし、君が未だ一匹狼の群れの仲間でない証明ができない。すまないが、暫くは拘留されるだろう」
「なら俺にマーカーでもつけておけばいい。呼ばれればすぐに出向くと約束をしよう」
「……は?ま、まあそれならいいが……人権侵害と言われても
「こっちも無理を承知で頼んでいるし、多少の不自由も覚悟している」
「う〜ん……まあそれなら……」
「あと出来ればアナタに換金に付き合ってほしい」
そう言ってラデックは腰につけた袋から宝を幾つか取り出す。
「恐らく盗品だろうから……売れるものとそうでないものがあるはずだ。
素人目にもわかる財宝の数々に衛兵は目を丸くした。
〜世界ギルド 総本部〜
「イっイチルギ様!イチルギ様!」
「はいはーい、何かしら?」
大慌てで飛んできた衛兵に、イチルギと呼ばれた女性は優しく返事をする。
「先日連絡が途絶えた魔工研究所から! 使奴の歴史に関する文章が多数発見されたとの報告があったのですが……!」
「ふぅん。それで?」
「も、申し訳ありません……。調査員が罠を起動してしまったようで……、全て焼き払われてしまいました……」
「あらあら、まあそれはそれで良かったわ。見つけても機密文書にする予定だったしぃ」
「……あの、イチルギ様」
「ん? なあに?」
「その……我々でも使奴については教えていただけないのでしょうか。……イチルギ様も使奴なんですよね?」
「知らないほうが身のためよ〜」
「……はい」