ある日突然ゴムのように 作:Dの一族
俺は必死に拳を繰り出す、ぬるぬるしている右手と伸ばした左腕で。
だがやはり奴は簡単に避けて行く。
本編のバギーよりもバラバラになれるのだから、当然と言えば当然なのだが。
(ああクソッ! 奴が固まってくれない限り攻撃ができねェ! なんならどんどん早くなって行きやがる……ッ!)
肉片から突き出たナイフが俺めがけて飛んでくる。
俺はそのナイフ相手に、身を屈めたり殴り落としたりと必死に対応し続けていた。
防戦一方、防ぐので精一杯で攻め入る隙もタイミングも見当たらない。
俺は今まで同じように腕を伸ばし、だが放つ技は『
「『ゴムゴムの
固まったところを見計らって、急接近しながら奴の目前で左手で
だが奴は煽るような笑みを浮かべ、体が避けて肉片が飛び出してくると、ぬるぬるの肉片にめり込んで横の壁に飛んで行った。
何度か反動を利用した
ゴムゴムの実の扱い方が漸くわかってきたと言うところか。
(今なら基本的な技はしっかり打ち込めるだろうが……)
そう考えて奴の近くで腕を振り続ける。
すると奴はナイフを構えて少し苛立った様子で俺に向けて声をかける。
「ったく……どうやったら捕まってくれるかな!!」
「俺は捕まらねェ!! いい加減終わりにしてェんだよッ!!」
「そりゃこっちのセリフだよ! ぬるぬるの両手でどうするって言うんだい!?」
「テメェを殴ることぐらい、ぬるぬるしたってできるッ!」
俺は声を荒げて近くにいることを利用して、右手を大きく引っ込める。
そして奴の顔面に振るって当たる寸前に解き放つ。
「『ゴムゴムの
勢いよく解き放たれる右手、だが奴に当たる寸前でまたもや肉片が邪魔をする。
そこに追撃と言わんばかりの足が飛んできて、俺に向かって数発蹴りが炸裂。
痛くはないが壁際まで飛ばされてしまった。
すぐさま体を起こすと、すかさずナイフが飛んできたのを見て、俺は壁に面したまま走る。
そして攻撃が止むと同時に足を止め、俺はすかさずその場で踏み込んで腕を伸ばす。
今度は反動を利用せず、そのまま真っ直ぐ前へと。
反動と筋肉がない分、威力は分かりきっているが、それでも今はこれしかない。
「『ゴムゴムの
飛んだ、今までにないくらい好調の一発。
だがそんな攻撃すらも無慈悲も体が裂かれても避けられる。
俺はすぐさま前、やつに向かって走り出す。
「食らえェッ!! 『ゴムゴムのォ──』」
次こそは、次こそはと俺は必死に腕を振るう。
両腕を全力で何度も何度も前に出し続ける。
その行動には流石のやつも驚いたのか、目を見開いて一気に離散しようとして、何かに驚き声を上げる。
「回避を……ッ!? か、体が動かないッ!? な、なぜ──!」
だがぬるぬるした両手は、その分散した肉片と固まっているやつを次から次へと捉えて行く。
無茶苦茶に振るっているはずの両手は次から次へと肉片を壁際に叩きつけて行く。
「『
奴が壁に叩きつけられ、そこから更に数十発の拳の弾丸をその身に受ける。
ふと奴から抵抗する力を感じなくなったのを最後に俺は拳を止めた。
「はぁ、はぁっ……え、勝った……?」
自分でも信じられずにぐったりと気絶した奴を見た。
壁は大きく凹み、今にも崩れそうなくらいひび割れが広がっている。
(ぬるぬるしているわりには意外と突き刺さるもんだな……しかしなんであいつ、避けなかったんだ……?)
奴の能力ならば今の攻撃、避けることは簡単なはず。
何故避けなかったのか考えて、そこでザルフェンさんのことを思い出す。
「やばいッ! ザルフェンさ、ん……ッ!?」
振り向いて走り出そうとした時、俺は周囲の異常に気づいた。
戦いに夢中で全く気づいていなかったのだが、廊下が謎の煙で充満している。
遠くの方はもはや見えないくらいに。
「な、なんだ!? この、煙は!?」
「この煙は俺のだよ、猿田」
その言葉が後ろから聞こえ、俺はすかさず腕を伸ばして飛ばす。
飛んで行った腕は奴の体を捉えた、が。
当たったはずの腕は奴の体を
「なっ……」
「安心しろよ猿田。俺は味方だ。お前さんのな」
「……まさか、その声は……先生?」
「おう! お前の担任の
そう言って煙の中から姿を現したのは、タバコを口に咥えている俺のクラスの担任の先生。
そして探していた酢靄先生だった。
実は執筆中に気づいたんですが。
ピストルは真っ直ぐ前に伸ばす、ブレットやライフルが反動利用する技だったんですね。