ある日突然ゴムのように 作:Dの一族
──学校、凍りついた体育館
「報告します!! ゴムゴムの実の所有者。
「ほォ……猿田、ねェ……」
ゴム野郎との戦闘を終え、今俺は海軍に指示を出しながら、部下の報告書であるゴム野郎の情報を見ていた。
部下のシスターは指示を出して別の仕事に行かせているため、今はいない。
ただ奴は代わりを置いていった。
正直、いらないと思う。
「ジャルさんっ! シルト、ただ今参りましたっ!!」
「お、おう。シルト、来たか……」
ちょっとテンション高めの少女が、盾を背負って姿を現わす。
このテンションの高さは少し苦手だが、部下である以上適当に扱うことはできない。
直属の部下ともなれば尚更だ。
「何見てるんですか?」
「ちとな。敵のことを調べておこうと思ってな……おいィ! 笑貌はどうなったァ!?」
「はっ! 今取り出している最中です! 思ったより氷は固く、時間はもう少しかかるものかと!」
「……わかった。そのまま作業続けてろ。瀬煮と萩原が起きたら、俺に連絡よこすように言え。俺ァ猿田んとこ行ってくる」
「了解しました!!」
報告書を近くにいた海軍に押し付け、シルトについてくるようにいって体育館を出る。
体育館を出たところには他の海軍がおり、俺の顔を見るなりこっちに走ってきた。
「報告です! 猿田 類。出現しました!」
「おう、どこにいやがんだァ?」
「少女とともに学校中を走り回っているようで、どうやら他の能力者を探してる模様!」
「ご苦労なこったァ。しかし少女たァ……」
「ここに来るまでに報告は聞いていますが、敵は非能力者を入れて五人で、そのうち四人は捕まってるんですよね?」
「あァ。だから、新しい仲間だろうよォ。能力の予想はついてるがな」
海軍に包囲網の範囲を狭めるように指示すると、シルトともに学校の中に入る。
上の方が騒がしく、どうやら上の階で暴れているようだった。
学校は爆発で半壊しているため、下に降りてくるまでそう時間はかからないだろう。
学校の一階部分にいる海軍に、外に出ていつでも突撃できるよう準備するように通達すると、階段の前に立ち構える。
「どうしたんですか?」
「シルト、テメェ、今大丈夫だなァ?」
「大丈夫って、まぁ、いつでも準備はできてますけど」
そう言って背負っていた盾を手に持つ。
銀色の光沢で輝いており、少しばかり眩しさを感じる。
だがこの輝きはただの輝きではなく、この盾の硬度そのものを表していると言えた。
それに加えて、彼女の持つ力……
二人程度ならば彼女だけで十分だろう。
「じゃあ確保は、まァ……テメェに一任する。俺の名の下で海軍使ってくれても構わねェ。ゴムゴムの実、そしてドルドルの実の能力者を確保しろ」
「了解ですっ!! ジャルさんはどちらに?」
「今から能力者の搬送だァ。それが終わったら……あー、色々やらねェとなァ……オペオペ、ハナハナ、スナスナ、バリバリ……後は海外の方に四皇の能力者……はァ」
「や、山積みですね……」
「そうだよ、だから後は任せたぜェ」
「はいっ!!」
シルトは海軍どの敬礼のポーズを取るとともに元気よく答えた。
大丈夫そうだろう、と思ってその場を離れようとした。
その時、真上の方で轟音が響き渡る。
何かにめり込んで破壊したような音だ。
気になって天井を見上げた瞬間、二度目の轟音が響き渡った。
「『ゴムゴムのォ──ッ!!』」
それと同時にどこからか響いてくる声。
小さくか細くはあるが、
「おおおおおおおおおッッ!!!!」
「この、声はァ……あー……?」
聞き覚えのある声を聞き、シルトともに天井を見つめていると、突然天井にヒビが入る。
「『斧』ォォォォオオッ!!!!」
声が聞こえた瞬間にはもう既に、俺の顔面に足がめり込んでいた。
それと同時に響き渡るシルトの驚愕の声。
「じゃ、ジャルさんんんんッ!!!? えええええええッッ!!?」
鉄塊を使い遅れたのが響いたのか、少しだけ痛い。
その上、頭に直撃したせいか、軽い脳震盪を起こしてしまいフラフラしてしまう。
「いてて……まさか地面が割れるとは……」
と言いながらフラフラする奴がもう一人。
声でわかる、猿田だ。
あの野郎が斧で地面を叩き割って、俺の顔面を蹴ったらしい。
奴の方は軽かったのか、すぐに姿勢を立て直すと、俺のことを見て叫んだ。
「げェッ!? 伊野、伊野!! こいつ固めろ!! 急げッ!!」
「名前呼ばないで、よっ!!」
俺の足元から何か、白く硬いものが這い上がる。
体が固まり始めたことを感じ、咄嗟に俺はシルトを指差した。
「シルトォ! いいか、任務を遂行しやがれェッ!! 俺は自力でこの蝋燭から出る! だから、後は任せたぞォッ!!」
それだけ伝えると俺の体は完全に、蝋燭の中に閉じ込められてしまったのだった。