ある日突然ゴムのように   作:Dの一族

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英語の部分はDeeple翻訳を使っているので多分ガバガバです。


サラサラの実『モデル:アホロートル』

「マジで! なんなんアイツぅッ!?」

「クラスメイト、デスよ。まぁ、あんな姿になってしまった以上、ワカラナイと思いマスけど……」

 

 必死に走って逃げ出して、腕に抱えたザルフェンさんから衝撃的な発言が出る。

 あのクソデカウーパールーパーがクラスメイトだと。

 だが今は、その発言が本当だと理解できてしまう。

 だって自分もゴム人間になってしまったのだから。

 

「……なるほど。動物(ゾオン)系……! じゃあアレはパンクハザードの毒野郎(スマイリー)と同じ能力か!!」

 

 アニメしか見てはいないものの、悪魔の実などは気になるものが多く、ネタバレがない程度に調べている。

 だから悪魔の実の名前、どんな能力かは大方把握している。

 

「それってワンピースの、デスよね? 確か……サラサラの実で……モデルが、アホロートル……あっ」

 

 どうやら気づいたようだ。

 彼女もまた、アニメや漫画が好きな一人だからこそだろう。

 

「そ、そんなこと、あるわけないデス! 悪魔の実が現実になんて……」

「これ見てもか?」

 

 そう言って俺は、抱えていない方の手で頰を大きく伸ばす。

 明らか様に普通はそこまで伸びないだろ、って言えるほど大きく伸ばす。

 一瞬、彼女は目を丸くしていたが、なにが起きているか気づくと叫び声を上げた。

 

「きゃぁああああああああッ!!!? か、皮、皮がっ! ヒトの皮がっ!? It can't be, this is impossible (ありえない、こんなこと)!!」

 

 何か英語で大混乱しているが、英語の成績が五段階中の二の俺では、何を言っているのかわからない。

 ギリギリ英語だとわかる程度だ。

 

(と言うかザルフェンさんって英語圏の人だったのか……)

 

「おぉい、逃げるなーっ!」

 

 まるで叫び声につられるように、後ろの方でやつの声が響く。

 軽く振り向いてみると、元クラスメイトのバケモノは建物を破壊しながらこっちに来ていた。

 戦ったら勝てるだろうか。

 

 いや、まず戦うということ自体が無理だろう。

 なんせゴムゴムの実を食べたばかり、未だ使い方がしっかりわかっていない。

 

(そもそもルフィって、どうやってゴムの体を操ってたんだ……?)

 

 そこが分からなければ何もできない。

 試しに走りながら軽く腕を伸ばそうとするも、思うような伸び方はしてくれない。

 伸ばした方の壁に張り付いたり、例え帰ってきても自分の顔面にヒットするだけで後ろにはいかない。

 

(やるだけやってみるか。でも守りながらは戦えない。なら……)

 

 この近辺で広くて隠れやすい場所、それを探す必要がある。

 だがそんなものあっただろうか。

 

「広くて、隠れやすい場所……!」

「……体育館はどうデスか?」

「体育館! それだ!」

 

 体育館のステージ裏の倉庫はかなり狭い、隠れるには最適な場所だ。

 わかりやすい場所ではあるものの、連れて行こうとするならば人形態になる必要がある。

 そうなれば超人(パラミシア)系の俺の方が有利、だといいな。

 

(ゴムの体で、逆に不利にならなきゃいいけど……)

 

 そんなことを考えつつ、俺はザルフェンさんを抱えたまま体育館へと向かった。

 

 

 

 学校の敷地はかなり広くそもそも土地自体に高低差が多い。

 つまり走ることしばらく、色んな道を通って逃げ回っていた。

 が、奇跡的に奴を撒くことに成功し、なんとか体育館に着いた。

 

(あいつが(のろ)くて助かった……)

 

 俺は抱えている彼女を隣に下ろすと、彼女は隣に立って体育館を見渡す。

 今日は部活もない、時間的に多少暗くなっていたが、隠れるにはまだ十分だった。

 

「じゃあ、ザルフェンさんはステージ裏の倉庫に」

「……猿田さんは、どうするのデスか?」

「ずっと逃げるわけにはいかないだろ。まぁ、ゴム人間になったんだ。なんとかしてみせるさ」

 

 そう言って軽く腕を回すと、ちょっと飛んでいって跳ねたりした。

 彼女の視線は一瞬腕の方へ行きつつも、改めて俺のことを見つめる。

 

「で、デモ。私のためにそんなコト、してもらうなんて……」

「それだけが目的じゃないよ。目的はあいつから話を聞くこと。何処で悪魔の実を手に入れたのかってね」

 

(もっと個人的な用件でいうと、まぁ、そっち系だ。なんかここで救ったらいい雰囲気になりそうじゃん)

 

 下心丸出しだが気にしない、気にしちゃダメなのだ。

 

「……この揺れは!」

 

 ドスンドスン、と地響きが体育館全体を揺らす、彼女は不安そうにまた体育館全体を見渡した。

 音は明らか様に入口の方から、俺はザルフェンさんに隠れるよう伝えて、走っていったのを見ると体育館の中心に立つ。

 

「ぬぅん……おいおい、猿田ぁ。クリアちゃんはどうしたんだよ」

「おいおい。お前みたいな怪物に教えるわけないだろ?」

 

 相変わらずゆったり喋る奴だなと思いつつも、俺はある策を考える。

 まぁ策というほどのものでもないが、上手く『ゴムゴムの(ピストル)』を放つ方法だ。

 即ち、遠くにあるステージの段差の部分を、腕を伸ばして掴む。

 

(上手く掴めるか、いやそもそも上手く飛んで行くか……)

 

 そして奴が来たところで手をグーで握って解き放つ。

 あとは俺自身で微調整して飛ばすのみ。

 当たるかどうかはもはや賭け、つまりほぼ運任せなのだ。

 この一回で運良くコツを掴めればいいのだが。

 

「ふぅん。じゃあその頭、食べてやるよ!」

 

 ドスドス音を立てながら、奴はこっちに近づいてくる。

 俺は大きく腕を振って後ろに伸ばす、まるでルフィのように。

 伸びた腕を見た奴は驚愕で足を止めて声を荒げる。

 

「なっ──!! まさか猿田! お前もッ!!」

 

 そしてステージの段差を掴もうとして──手がスカる。

 チラッと後ろを見てみれば全く届いておらず、伸びた腕が元に戻ろうとしていることに気づいた。

 

 咄嗟に避けようとするが、当然腕は俺にくっついているため意味はなし。

 腕は見事に顔面にぶつかって、俺は倒れる羽目になった。

 

「……なるほど。使いこなせてないみたいだな」

「冷静に判断されると、きちいな」

 

 別に痛くなかった顔を上げて体を起こす。

 

「ふん! 物理攻撃は効かないようだが、そんなもの関係ない! 俺の邪魔をするなぁっ!!!」

 

 そう言って走り出したやつに、俺は一先ず耐えるために腕を構えたのだった。


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