ある日突然ゴムのように 作:Dの一族
「もう一回ッ!!」
「ふんっ! 放てるわけがないだろう。あのルフィですら長年の訓練でようやくモノにした技だぞ!」
「そりゃあん時は、子供だった、からなぁッ!!」
もう一度、腕を大きく後方へ伸ばす。
そしてさっきは失敗したが、ステージを再度掴もうとする。
今度は何かしら掴めた……が、どうにもおかしい。
(なんか、棒を……掴んだ?)
その棒らしきものはどうやら固定されていないようで、その棒らしきものを掴んで、反動のままに腕はこっちに戻ってきていることを感じる。
奴がこっちに来ていること一瞬確認したのち、俺はチラリと後ろを見た。
その瞬間、ステージの上にあったと思われる
「うわあああああああああああッッ!!!?」
(い、いや、これは使える。これは行けるッ!)
俺は叫び声を上げたまま少し前のめりになる。
ルフィがゴムゴムの
俺はそのまま奴に向けてマイクスタンドで殴りに行く。
だがコントロールが出来ておらず地面に向かって行って激突した。
「……ダメか!」
しかし威力は十分のようで、走ってきていた奴は足を止め、少し凹んだ地面を見て息を飲んでいた。
自分でも驚いてる、あんなに威力が出るのかと。
あんな威力で殴られてたら、そりゃ気絶するよな、と。
「……当たらなければ、どうということはないなぁっ!!」
奴はこちらを睨むと、ドスドスと音を立てながら近づいてくる。
一瞬、ステージの方を見て何か引っ張り出そうとしたが、奴は大きく体を捻らせると、その尾っぽで俺に一撃を与える。
勢いづいた尾っぽは俺の腹に直撃、そのまま壁際まで吹き飛ばされた。
「ぐっ……い、痛く、ないっ! ゴムだからかっ!」
俺はめり込んだ壁から這い出ると奴を見る。
奴は少しまわり込みながら、ステージを背にして走ってきている。
俺はどうすればいいか考えて周りを見た。
そこであるものが目について、これなら行けるかと、俺は窓に押し込められている手すりを掴んだ。
がっしり固定されている手すりは、ちょっとやそっとじゃ外れることはない。
(そうだよ。最初っからこうすりゃよかったんだ。勢いさえつければ、それでよかったんだ!)
そして手すりを掴んだまま走り出す。
向かってくる奴に向かって、一直線に。
その行動に奴は驚きつつも、もう一度俺に尻尾を叩きつけようとした。
そこで一気に踏み込むと俺はその名を叫ぶ。
「『ゴムゴムのォ──』」
奴の尻尾が目前へと迫る、その瞬間に俺は手すりから手を離し、ぎゅっと強く握りこんだ。
握り込んだ拳は勢いよく奴に向かって飛んで行く。
「『
ズドンッ! と言う大きな音ともに、尻尾を振るために向けた奴の横腹に一撃がめり込む。
俺よりもはるかに大きなその巨体は、呻き声とともにぐらりと揺れ、大きな振動を出しながら横に倒れた。
「お……おぉ!? 行けた!? 効いたのか!?」
上手く
だがそこであることに気づいて足を止める、奴の体が倒れる前よりも縮んでいるのだ。
流石に気絶するほどの威力ではないはず、だから人間に戻るとするならば──。
(自分の意思……!)
「っ……いってぇなぁッ……!! 普通、横腹殴らねないだろうがよぉ……!」
ぶつくさ言いながら体は完全に縮み、普通の人間形態に戻った奴がそこにいた。
そこで俺はようやく、そいつがクラスメイトだと言うことを理解する事ができた。
「……え。お前、
「ああ。そうだ、俺だよ。猿田」
笑貌
しかしクラスメイト、ってだけで一、二回程度しか話した事がない。
だからほんと知り合い程度のやつだ。
「なんでお前が……」
「それはこっちのセリフだよ。猿田、なんでお前が学校にいんだぁ? それにアレ。ゴムゴムの実だよなぁ?」
「えっと……そうだな。まず俺は先生を探して学校に来た。それとこれは確かに、ゴムゴムの実だ。で……なんでお前はザルフェンさん襲ってんだよ?」
んー、とやつは言いながら軽く首を触る。
そして少し考えたのち、踏み込んで俺を睨んだ。
「まぁ、ちょっとした指示が出てねぇ……だから、それを拒むってんなら……行くぞ、猿田ァッ!! 俺は『海軍』所属ッ! 位は中佐、笑貌 大輪ッ!!」
「は? 海軍!? 指示!? お前、何言って……!」
「クリアちゃんは連れて行かせてもらうぞッ!! ぬうぅぅうんッ!!」
思いっきり踏み込むとその体から尻尾が生えてくる。
ウーパールーパーの尻尾、顔にはヒゲのようなものが。
だが大きさは変わらない、それに体も人間形態のまま。
(これは
そう考えた瞬間だった、気づけばやつは眼前に迫り頭上からその尻尾を叩きつけようとしていた。
俺は咄嗟の行動が取れず、そのまま叩きつけられてしまう。
が、体はゴム、なんとか無傷で済んだ。
だが地面はそうはいかない、俺がさっき放ったものとは比べ物にならないくらい大きく凹んでいた。
「……マジかよ」
叩きつけられた体が戻った俺は足元を見てそう呟く。
数歩後ろに下がった笑貌は舌打ちとともに言った。
「やっぱゴム相手に打撃はダメか。武装色とか使えればよかったんだが……まぁいい」
そう言って構えた奴を見て、俺も不慣れながらも構えを取る。
どうにか勝機を見出すために、ひたすら思考を巡らせながら。