ある日突然ゴムのように   作:Dの一族

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潜水終了

 俺は煮瀬(にせ) 夜尾(よるお)、スイスイの実の能力者。

 そして『世界海軍』日本支部に所属する中佐だ。

 能力を手にして海軍に誘われ、貧乏な家を養うために海軍へと加入した。

 

 厳しくも大変だったが、それでも毎日頑張ってきて、そして高校一年生を迎える時、中佐への昇進とともにある指令が下された。

 それがとある高校への潜入、主な命令はヒエヒエの実の行方の調査だった。

 この指令は直接上から下された最重要命令で、なによりも遂行することが最優先だった。

 そして一年、一年の調査の末ついに見つけた、留学生であるクリア・ザルフェンが既に食しており、部下の一人が能力を行使している姿を発見したと言うのだ。

 

 今日、笑貌の作戦で支部から大佐を呼び寄せ、そのままザルフェンさんを連れて行く、予定だった。

 だが何処で作戦がトチ狂ったか笑貌の元に猿田が現れた

 ワンピース本編に於ける主人公、ルフィの食った悪魔の実を食って。

 まぁ報告では最終的に笑貌を倒したのはザルフェンさんらしいが。

 

(まぁ、笑貌が死んでないのは手加減された、ってとこか……体育館凍ってたらしいが)

 

 ヒエヒエの実の恐ろしさを実感しつつ、猿田と萩原大佐のいる教室から離れたことを周囲を見て確認する。

 半分潜水しながら音も立てずに移動ってのかなかなかキツかったが、後は引き渡すだけで作戦は終了。

 俺と笑貌はこれで昇進となる、長い潜入調査もようやく終わりだ。

 

「取り敢えず、ここら辺で……」

 

 一人呟いて懐からちょっと大きめの手錠を取り出す。

 機会が取り付けられており、変な音がしているが別に爆発するわけではない。

 これは海軍が生み出した海楼石の代わりになるもの、らしい。

 つけられると悪魔の実の波長が乱れるとかなんとかで能力が使えなくなるとか。

 

「海軍の技術には感服するばかりだな……っと、これでいいんだよな?」

 

 ザルフェンさんに錠をつけたことを確認し、引き渡し場所に急ごうと彼女を背負い直した時、懐に入れていたスマホが鳴り出す。

 海軍支給の連絡用スマホだ、全く使っていなかったため結構綺麗なのがなんとも言えない。

 俺は少し急ぎ目に歩きながら電話に出る。

 

「はい、日本支部所属の中佐、瀬煮ですが」

『……お久しぶりですわ、瀬煮くん』

「ッッ!! き、木戸手中将!?」

 

 木戸手 螺道(らみ)、世界海軍()()()()の中将だ。

 その声を聞いただけで俺の背筋が一気に張り、緊張で汗が頬を伝う。

 彼女は一見するとただの少女に過ぎない、見た目からして中学生ぐらい……と言うより実際そのぐらいの年齢と聞いている。

 だがその実力は半端ではない、一度見たことがあるだけだが、能力者の軍勢たち相手に軽く手を動かしただけで薙ぎ払っていたのだから。

 

『そんなに緊張する必要はないですわ。作戦の進捗をお聞きしたかったんですの』

「し、進捗ですか。そう、ですね……順調、と言えますか。今は」

『それなら良かったですわ。(わたくし)自ら迎えに行ってもよろしかったのですけど、急用で行けなくなりましたの』

「急用、ですか?」

『ええ……そうですわね。()()()()()()()()()()()()、と言えばわかりますわよね?』

「オペオペの実ッ……!」

 

 ゴムゴムの実と並んで海軍が必死に探していた悪魔の実の一つ。

 原作ではトラファルガー・ローが食べて猛威を振るっている悪魔の実だ。

 能力はただ一つ、部屋を展開して手術を行うこと。

 だがそれこそがこの悪魔の実の恐ろしいところであり真髄でもある。

 

「それは実そのものですか。それとも……」

『もう既に食べられていますわ。しかも、医学生に』

「それは……なるほど。中将の力が必要ですね」

 

 オペオペのの実はとてつもなく強力な実だが、その力を使うには医術を学んでいる必要がある。

 だから医学生が食べたというのは、まさに恐ろしいことなのだ。

 どれだけ医術を学んでいるかによって、その実力は変わってくるだろう。

 

「中将。俺のいうことじゃないのはわかってるんですか、あまり近づき過ぎないように。奴の能力は……」

『ご安心なさい、ROOM(ルーム)を展開される前に決着はつけますわ。それにもしもの時は沙渦月(さかづき)大将が……ともかく、貴方は引き続き作戦を。私はそろそろ行きますわ』

「了解しました。どうか、お気をつけて」

 

 そう言ってスマホを切って懐に入れる、なんか最後不穏な言葉が聞こえたな。

 沙渦月大将がどうだとか……もしもの時は大将が出てくるのか。

 日本なくならないといいが……まぁ、そん時はどっかの県が壊滅するだろう。

 

「はぁ……とにかく行くか」

 

 先を急ごうと少し速度を上げようとした、その時あることに気づいて冷や汗が垂れる。

 廊下一帯が何故か、()()包まれているのだ。

 すぐ目の前が見えなくなるくらい濃い煙、少し何か変な匂いも混じっている。

 

「この、匂い……タバコ? 何故タバコの匂いが……」

「よォ。手錠なんて(そんな大層な)ものつけてどこ行く気だ?」

 

 匂いに気づいた瞬間、突然()()()()話しかけられた。

 振り返った瞬間にはもう遅く、拳と化した煙が目前に飛んできていたのだった。

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