緋弾のアリア -瑠璃神に愛されし武偵- Re:Make   作:あこ姫

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瑠樺 「瑠樺とー」
凛花 「凛花のー」
瑠凛 「「神トーーク!!」」
瑠樺 「やっと出番回ってきたな、私達」
凛花 「そうですね、姉様。 ですけど……」
瑠樺 「……?どうした、凛花」
凛花 「良いのですか、このネタ」
瑠樺 「知らん。 色々とやばい気はする」
凛花 「マジですか……大丈夫かなぁ?」
瑠樺 「凛花さ、心配しすぎ」
凛花 「姉様が無頓着過ぎなだけですっ!」
瑠樺 「ちょっと、聞き捨てならんぞ、凛花?」
凛花 「事実じゃないですか。 文句あるんですか?」
瑠樺 「良し、後で決着つけようや」
凛花 「良いですよ。受けて立ちますよ?」
瑠樺 「決まりだ……まずはタイトルコールだ」
凛花 「ですね。『第012弾』」
瑠樺 「『事件解決の最短最速は真似すんな。』」
瑠凛 「「どうぞー!!」」
瑠凛 「「さて、戦の始まりじゃぁ━━━━!!」」

次女と三女がお送りした剣呑なまえがき⑫ 完


第012弾 事件解決の最短最速は真似すんな。

 リアルでギャン泣きしたくなるくらいに慰めるのに精神疲労が半端なかった戦闘訓練の翌日の朝、私はキンジと何時もどおりに朝食を摂っていた。

 今日から昨日ギャン泣きした結衣が同居人として増えているけどね。どうでもいい余談だがアリアは不在だ。何処に行ったかは知らんけど。

 

 戦闘訓練終了後に結衣は私との同室を希望したが、私の部屋は無くキンジと同棲状態な現状である。

 

 納得の行かない結衣がゴネにゴネた結果、蘭豹がブチギレた為に投げやりで結衣もキンジの部屋に同棲する事となった。

 

 その事実を知ったキンジは結衣の完全な事後承諾状態な事も相まって深い絶望に染まりに染まるわ、染まる(笑)

 ドンマイだ、こうなっては天地が逆転しても覆らないからもう諦めろ(笑)

 

 

「そういえば、キンジって今日からバス通なんでしょ? 時間大丈夫なの?」

「え、まだ余裕あると思うんだが……」

 

 私が思い出したかの様に問うと、キンジは自身の腕時計を見て答える。

 

「え、何言ってるの? もう出ないとフツーに間に合わないと思うんだけど」

 

 私は自分の腕時計を見て発言する。電波時計だから時刻の狂いはない筈だ。

 

「な、凪優……い、今の時刻は……?」

 

 キンジが恐る恐る現在時刻を尋ねる。

 

「7時52分」

「んなっ、マジかよ!」

 

 私が答えるとキンジは慌てて飛び出していった。

 確か次のバスは58分だからギリ間に合うかどうかレベルだな。ワンチャン遅刻もありうるだろう。

 

 

「で、私達は何で行くの?」

 

 呑気に味噌汁を啜りながら結衣が質問する。

 

「そりゃ、雨だし車でしょ」

「免許持ってんの……?」

「当たり前でしょ」

 

 結衣の発言に呆れる私。

 持ってなかったら『車』っていう答え出ないんだけど。

 

 結衣さんが安定な O★BA★KA すぎて涙出てまうわ。そこは改善して欲しかったんだけど……無理だったか。来来世でも無理そうだ。勘だけど。

 

 

 

 

「ミナ、ケータイ鳴ってるよ」

「あ、ホントだ。えっと……アリア??」

 

 結衣の事で現実逃避していた私を現実に回帰させたのは結衣の指摘だった。

 私は何処で何か納得いかない感情を抑えつつ通話に出る。

 

「もしもし? アリア、どうしたの?」

『凪優、今どこ?』

「え、まだ(男子)寮だけど?」

『今すぐC装備で女子寮の屋上! いいわね?』

 

 切羽詰まっている様子のアリア。

『C装備』…………強襲科の生徒が所謂、『出入り』に使う装備だ。

 

 

「……事件か」

「ええ」

 

 私の言葉に肯定するアリア。

 

「わかった。今すぐ向かう」

 

 私が返事を返すと直後に通話は切れた。

 

「どうしたん? ミナ」

 

 ようやく朝食を食べ終えた結衣が先程の通話内容を尋ねた。

 

「事件だってよ。ヒメ、()()使えるよね?」

「え、大丈夫だよ。粒子そんなに飛んでないし」

 

 私が使っても良いけど、何となく頼んだ方がいい気がした。カンだけどな。

 

「じゃあ、ちょいとお願い」

「あいあいさー。…………で、何処なの? 場所は」

 

 結衣が肯定した後に行き先を聞かれたので、

 

「ちょい待……えっとね、第一女子寮の屋上」

 

 片手間で武偵ネットにアクセスし事件(ホシ)を特定して推測だが合流地点を割り出す。

 伊達に情報科(インフォルマ)所属でありませんことよ。

 

「りょーかい。行くよ、凪優」

「あいよ。いつでもどうぞ、結衣」

 

 私の頼みを了承した結衣は真面目モードになり()()を発動させた。行き先は無論、第一女子寮屋上である。

 

「その前にさ、どうするのよ? 凪優」

「何がよ、結衣」

 

 出鼻を挫くような結衣の指摘に怪訝な表情を浮かべる私。

 

「アレだよ、アレ。どうすんの、花梨ちゃん」

 

 結衣の指差した方向に存在しているのは絶賛爆睡中な花梨。

 

「放置したいけど……後が面倒だよね、絶対」

 

 クソデカ溜息な私である。面倒くさいのは事実だし。

 かと言って、起こすのは絶対時間ロス確定だ。

 どうしたものか。

 

「私が残るよ。花梨ちゃん、拗ねたら面倒臭いし対処する人が居なきゃね?」

 

 花梨の御世話役に立候補したのは翠だった。

 

「え、良いの? 私としては、すっっごく有難いんだけどさ」

「はい。別に構いませんよ? それに、あられもない花梨ちゃんを独占して堪能できるし……

 

 翠がなんかトリップしてるのは多分気のせいだと信じたい。私に害は──普通にあるわ。主に花梨経由で。

 どうするかなぁ……本気でさ、断るべきか否かだよな。

 

「凪優、もう翠に任せれば良いんじゃない?」

「え、大丈夫なの……?」

 

 色々と煩悩が漏れ出てる気がするのは紛れもない現実だろうしなぁ……。

 

「まぁ……うん。凪優の懸念も解るよ、ものすっごい解る。でも断ったら余計面倒になるから……さ?」

 

 結衣の表情は何かを達観した遠い目。

 

「お、おぉ……」

 

 結衣の反応に私は唯唯頷くしか選択肢は無かった。

 

 故に花梨は生贄(sacrifice)となって貰おうか。拒否権は許さんけどな。

 と、言う訳で花梨を翠に任せ、私と結衣はアリアの下へ急ぐのだった。

 

 

 

 

「お待たせ、アリア」

 

 結衣の()()で私達が女子寮の屋上に到着すると既にアリアと狙撃科(スナイプ)の麒麟児の異名を持つレキがそこにいた。

 レキはアリアが呼び出したのだろう。バックアップは必要だからな。

 

「早っ! どうやって来たのよ。確かにあたしは『今すぐ』とは言ったけど…………」

 

 あまりの私達の到着の早さに驚愕するアリアは結衣の()()──瞬間移動(イマジナリー・ジャンプ)自体、初見なのだろう。それは無理も……ないわね。

 瞬間移動を使用する超偵は世界に私と結衣を含めても両手で数える程しか存在しないのは単純な理由なのだ。

 

 燃費がクソ悪い。1日1回しか使えないので好き好んで使う奴も居ない。

 

『それ意外何があるというのだ?』レベルの単純さである。

 

 色金の神と法結びしても使用限度が1日1回なのに何故か複数回連発出来る例外も居るけどさ。

 まぁ、それ私と結衣の事なんだけどね。完全に花梨──瑠璃神がチートな証だよね。うん。

 

 

「え、私の能力で」

 

 結衣は隠す事もなくアッサリ答えた。

 

「そ、そう…………。まぁいいわ」

 

 アリアはそれ以上の言及はしなかったのはアリアの勘が何かを告げたのだろう。

 

 アリアよ、その判断は正しいぞ。

 結衣に言及してたら事件が一向に解決できずに任務失敗で終わるだろう。

 てか、実際に昔そんな事あったし。

 

「で、どんな事件?」

「バスジャックよ」

 

 私が事件の内容を尋ねるとアリアから『バスジャック』と回答が帰ってきた。

 

「バスジャックか……。って事はまた武偵殺し絡みなのね」

「そうよ」

 

 私の質問に肯定するアリア。

 そうか……『武偵殺し』ねぇ……また動き出しやがったのか。

 

 私の個人的な犯人の目星は大方付いているのだが、狙いが解らん。

 去年の冬のシージャックはカナ姉……金一さんだったんだけど、その弟のキンジ……という線は考えにくい。

 

 だとすれば……アリアか……? 

 アリアとなれば狙いにする理由が何処かしらあるはずだが、推測しようにも情報が足りない。

 

 確証を得るのに……そのウラが取れれば問題はない。

 そのウラを取るのにもってこいの術式があるのだけど、その術式を対象者に仕込むのにすっごい致命的な欠点がある。

 リスクも承知でどうにかして仕込まねばな……。

 

 私がそう考えているとバスジャック制圧の人員が増えた。

 

 その人物とは…………なんと、キンジだった。

 どうやらあの後ダッシュでバス停に向かったものの、タッチの差で間に合わなかったらしく遅刻上等で徒歩で向かおうとした時にアリアから連絡が入ったらしい。

 

 連絡を受けて急いで来たものの、メンバーの中では到着が遅かったので、キンジはアリアに怒られていた。

 

 キンジ……哀れな男。

 それを結衣は不機嫌そうに見ていた。

 

 まさか……ねぇ? 

 結衣がキンジに恋慕を抱いていることは……多分ないだろう。うん。

 

 ……………………。

 

 

 いやいやいやいや、あったわ。

 マジこれ、結衣の奴アリアに嫉妬してんじゃねぇかよ。

 恋慕抱いてんじゃねぇか。

 

 ……あ、どうしよう。新たに問題発生してんじゃねぇか。

 あの武装巫女……白雪の事だ。

 

 彼女のことだ。絶対に殴りこみされる……。

 

 そうなったらそうなっただ。

 寮の敷金の問題になる前に凍らせておくか? マジで。

 

「凪優……? 状況説明(ブリーフィング)するわよ」

「あっ……ゴメン。始めて」

「解ったわ。先ず、今から解決するのはバスジャックよ」

「──バス?」

「乗っ取られたのは武偵高の通学バスよ。凪優達のマンションの前に7時58分に停留したハズのヤツ」

 

 キンジはそれを聞いて驚愕の表情。

 

 それは無理もない。何せ、自分が乗るはずだったバスが乗っ取られたんだから。

 そして、そのバスに武偵高の生徒がすし詰めに乗っている事も。

 

 幸か不幸か……。

 そのバスに武藤も乗ってるんだよねぇ……。見知った気配を感じたので、試しに気配察知してみたらドンピシャでビックリなんだが。

 

「──犯人は、車内に居るのか」

「それはわk「居ないわね。バスに爆弾仕掛けられてるわね」……凪優?」

 

 キンジの問いにアリアが答えようとするのに被せる様に断言する私。

 

「凪優、アンタ解るの?」

「見えないけど、大体は見知った気配数名と見知らぬ不穏な物が床下にあるって事は感じる。だけど見知らぬ人の気配は感じないわね」

「ミナ……凪優が言うんだったら間違いないね」

 

 アリアの懸念に対して私が返答すると結衣が肯定した。

 

「姫神……だっけか。どうしてそんなことが言えるんだ?」

「『結衣』でいいよ。キンジ。凪優の気配察知は人外の域に達していて大体的中してるから」

 

 キンジは半信半疑だったようだが、結衣の発言で一応納得はしたらしい。

 

「成程ねぇ……やるじゃない、凪優。……で凪優はどう思ってるわけ?」

「ま……この手口は以前のチャリジャックと同一犯でしょうね。アリアもそう思ってるんでしょ?」

「ええ。ヤツ──武偵殺しは毎回、乗り物に『減速すると爆発する爆弾』を仕掛けて自由を奪って、遠隔操作でコントロールするの。でも、その操作に使う電波があるの。それが―」

「『それが今回キャッチしたのとキンジのチャリジャックと同一だった』って訳ね」

「そうよ」

 

 アリアと私はお互いの情報を共有し、武偵殺しの手口などを紐解いていた。

 その間、結衣とキンジは放置なわけだが……結衣、そこでアホ面晒してんじゃねぇよ。

 思考の渦から復活したキンジが私とアリアの会話の間に割って入る。

 

「おい、待て。アリア、凪優。あの時の犯人……『武偵殺し』は逮捕されたハズだぞ」

「それは真犯人じゃないわ。キンジ」

「アリア……? 何を言って……」

「あんな狡猾な手を使う奴がアッサリ捕まる訳が無い。あの時捕まったのは替え玉よ」

「『替え玉』って……凪優まで何を言ってるんだよ。どういう事だ」

「キンジ……それは後にして。どうやら御迎えが来たみたいだから」

「結衣……? 『御迎え』って何だよ」

「コレだよ」

 

 キンジの言及を止めた結衣が背後を向くと、タイミングよく青色の回転灯を付けた車輌科(ロジ)のシングルローター・ヘリが女子寮の屋上に降下してきていた。

 私達は直様にヘリに乗り込む。キンジも納得いかない表情だったが、その後を追うようにヘリに乗り込んだ。

 ヘリは私たちが乗り込んだのを確認した後、女子寮の屋上から飛び立った。

 

 ヘリでの移動中に今回の事件の状況整理を行う。

 

 インカムに入ってくる通信科(コネクト)からの話によると、武偵高のバスの車種はいすゞ・エルガミオ。

 武藤達を7時58分に第三男子寮前で乗せた後どこの停留場前にも停まらず暴走を始め、その後車内に居合わせた生徒達からバスジャックされたとの緊急連絡が入った。

 定員オーバーの60人を乗せたバスは学園島を一週した後に青海南橋を渡り、台場に入ったらしい。

 警視庁と東京武偵局は動いてるものの、到着には時間がかかるらしい。

 どうやら私達が一番乗りのようだ。

 

「ねぇ、美咲。バスの中にいる武藤に通信できるかしら?」

『えっ……はい。可能です」

「ちょっと繋げてくれるかしら?」

『了解です』

 

 私は状況説明をしてくれた通信科の生徒……中空知美咲にバスジャックされた車内に居る友人の武藤剛気に通信を繋ぐように依頼する。

 私の依頼に美咲は応じ、剛気と通信が繋がる。

 

「剛気……ちょっと良いかしら?」

『その声……まさか凪優か!?』

「ええ。その通りよ。アンタ、バスの中に居るんでしょ? 生徒達に指示をお願い」

『指示って……何をだよ』

「簡単な事よ。人が4人活動できるスペースを空けるだけよ」

『窓側とか指定は無いよな?』

「ええ。何処でも良いわ」

『解った。今すぐ対処するぜ』

「頼むわ」

 

 私は剛気との通信を終了するとアリアとキンジ、結衣、レキに指示を行う。

 

「アリア、キンジ。高所からのダイブは問題ないわよね?」

「それは……問題ないけど、何をする気なの、凪優」

「俺も問題ないが……何をする気なんだ。凪優」

「何って……最速でバスの中に突入するのよ。……結衣」

「りょーかい。私は準備できてるよ」

「レキ、貴女はヘリに残ってバックアップをお願い」

「解りました」

 

 アリアとキンジが疑問を口にし、結衣とレキは私の指示に了承した。

 アリアとキンジには悪いが、説明している時間はない。

 

「凪優……私がキンジを連れて行けば良いの?」

「ええ。私がアリアを連れて行くから。結衣……バスの座標リンク大丈夫よね?」

「うん。問題ないよ、凪優。行こっか」

「ええ。そうね」

 

 私はアリアを、結衣はキンジをお姫様抱っこで抱えて、開け放たれたヘリのドアの前に立つ。

 

「ちょっと、何をする気なの、二人共!?」

「そうだ。一体何をする気なんだよ!?」

 

 アリアとキンジはワケが解らず、騒いでいた。

 

「悪いけど、説明している時間は無いから実行させて貰うわ」

「あと、二人共あんまり喋らないでね。舌噛むし。それに手を離すと死んじゃうから」

「「えっ……」」

「行くよ。結衣」

「OK。凪優」

 

 アリアとキンジの返事を待たずに私と結衣はヘリから飛び降りた。

 勿論、パラシュートは……無い。

 あっても邪魔だからな。

 

 落下する途中で私と結衣は瞬間移動を発動させた。

 ヘリからでも出来なくもないが、屋外の方が座標がブレないのだ。

 私と結衣の姿が光に包まれて消えた。

 

 

 

「「はい。到着っと」」

 

 私と結衣はハイジャックされたバスの車内に転移し、予め剛気に指示しておいた空白のペースにアリアとキンジを降ろした。

 

「まさか……こんな突入方法とは思ってもなかった…………」

「流石のアタシでも同感だわ…………」

 

 キンジとアリアはまさかの常識を超えた突入方法にげんなりしていた。

 これが『普通の思考』というやつなのだろうか。

 

「え、だってこれが最短最速の突入方法じゃない」

 

 私はきょとんとした表情で言う。

 うんうん。と賛同するヒメ。

 

「「…………………………マジかよ」」

 

 キンジとアリアは限度を超えたセオリーの行方不明さにたった一言呟くのが精一杯だった。

 

「さて……と。始めるか」

 

 私はバスの適当な床に手を当て詳細状況の把握を開始する。

 

「な、何やってるの、凪優!?」

 

 アリアは私の行動に異を唱えたが、結衣がそれを制す。

 

「大丈夫。ミナは接触感応能力(サイコメトリー)使っているだけだから」

接触感応能力(サイコメトリー)?」

 

「そ、触れたものの情報を読み取ることができるの」

「まず、爆弾は車体の下にある。カジンスキーβ型のプラスチック爆弾で炸薬容積は3500c㎥ってところね」

 

 私がこのバスに仕掛けられた爆弾の情報を読み取る。

 オイオイ、まーじかよ。こんなの……バスどころか鉄道車両が吹っ飛ぶ威力じゃないの。

 

「ねぇ結衣、アタシを爆弾の近くに転移して」

 

 アリアが結衣に提案する。

 爆弾の解除を試みるつもりなのか……? 

 

「わかった。無茶しないでよ」

 

 結衣は了承し、アリアを爆弾の近く(バスの真下)に転移させる。

 その際、結衣の口から発せられる言葉として違和感があったのは多分私の気のせい。

 

 懸念が脳裏に過ぎった直後だった。

 

ドンッ! 

 

 私達の乗ったバスに衝撃が襲う。

 先程までバスの後ろを走っていたオープンカーに追突され、その衝撃に転んでしまう私達。

 

「アリア……!? 大丈夫!?」

『…………』

 

 応答が……無い。

 

 私は慌てて瞬間移動でアリアをバスの中に転移させる。

 アリアは先程の一件で額を切っていて、出血多量によって意識を失っていた。

 

 私は即座に能力を使ってアリアの治癒を行う。

 今の状態だと完璧に治癒するのは難しい。

 まぁ……痕は残るだろうが、大丈夫なはずだ。

 

 

 

「……っ!?」

 

ぞくり。

 

 アリアの治療中のその時、私は何か……嫌な予感がした。

 

「……? どうしたの、凪優」

 

 私の行動を不審に思った結衣が尋ねる。

 

「結衣……障壁を今すぐにこのバスの周囲に展開。そして……総員、伏せろぉ!!」

 

 私は怒鳴るように指示を飛ばす。

 

影布(ウンブラエ・)七重(セプテンクレクス・)対物(バリエース・)障壁(アンティコルポラーリス)!!!」

 

 私の指示で結衣が影で作られた障壁がバスの周囲に展開された直後、オープンカー……ルノー・スポール・スパイダーに装着されたUZIが火を吹いた。

 

 無数の銃弾は大半が障壁に防がれるも、障壁を逃れた銃弾によってバスの窓ガラスは粉砕された直後、バスが妙な揺れ方をする。

 運転席を見ると、運転手がハンドルにもたれかかるように倒れている。銃弾は運悪く、バスの運転手の肩に被弾していた。

 

 運転の為に身体を下げられなかったのか……。

 

 運転手のいないバスは左車線に大きくはみ出して避けた対向車がガードレールにぶつかって火花を散らし、それに輪をかけて減速を始めている。

 マズイぞ……これは……。

 

「有明コロシアムの 角を 右折 しやがれ デ、DEATH」

 

 更に輪をかけてさっきの衝撃で転んだ女子生徒の携帯からボカロの合成音声が聞こえる。

 語尾のイントネーションが『DEATH』に聞こえたのは当てつけか……? 

 

 私はキンジと男子生徒にバスの運転手を座席に寝かせるように指示する。

 

「結衣、能力で傷の治癒……できるよね?」

「う、うん……。出来るけど……」

「じゃあ、運転手さんの治癒頼むわ。あと、障壁の維持も」

「りょ……了解」

「剛気、運転変わって。アイツの指示通りの道で走るのと減速させないで。絶対」

「い、いいけどよ! オレ、こないだ改造車がバレて、あと1点しか違反できないんだぞ!」

「それ、自業自得でしょうが! んなこと言ってる場合じゃないでしょ」

「ぅぐっ」

 

 剛気は私の正論に押し黙った。

 

「それと、これ……装備しておいて」

 

 私は自分の装備していたC装備を脱いで剛気に投げ渡し、防弾制服姿になった。

 

「お、おい! 何で脱ぐんだよ!?」

「いいの、キンジ。こっちの方が動き易いし。キンジ、アリアと結衣のサポート宜しく」

「あ、ああ……」

 

 私は瞬間移動を使い、バスに追走しているルノーの運転席に転移した。

 

 ルノーの運転席に転移した私は先ず、遠隔操作の制御チップの位置を探り最近練習中の電気系統の能力で制御チップの上書きを行う。

 上書きが終了しルノーが私の制御下に置かれたので取り敢えず、通常の手動運転にセットして私はルノーを運転する。

 

 その時だ。ルノーの横に……無人ベスパがいた。

 通常では有り得ないほどのスピードなので改造モノだろうし、更に運転手が居ないので遠隔操作されているのだろう。

 

 私がベスパの存在を認識した刹那、ベスパにセットされたUZIが火を吹いた。

 

 私はルノーを運転し銃弾の雨を回避するが、このまま回避するだけじゃ埓があかない。

 

 なので、私はルノーを『自動操縦』に切り替える。

 何気にこのルノーに搭載されたAIチップは高性能な故に『最適なコース』で回避しつつ、走行できるっぽい。

 どうやら、ベスパに搭載された物よりも、こっちが高性能らしくカンペキにベスパから放たれる銃弾の雨を被弾ゼロで回避していた。

 

 私は運転席の上に立ち、6ウニカとトーラス ジャッジ M513 ジャッジマグナムをホルスターから取り出して、UZIとベスパの制御チップを狙って、発砲。

 

 迫り来る銃弾を銃弾撃ち(ビリヤード)で弾き、HITさせていく。

 HITしたベスパは制御権が消滅し、転倒して壁にぶつかって爆裂霧散。

 

 次々とベスパを爆裂させていく私。

 しかし、そうも順調にはいかなかった。

 

 なんと、第3波でガトリング砲付きのドローンが襲撃してきたではないか。

 ギリギリで回避するルノーだがしかし、隙がないのと……射程が……足りない。このままではジリ貧だ。どうすんだよ……。

 

 そう思った時だ。

 

『凪優、大丈夫なの!?』

 

 通信が入った相手は……アリアだ。

 

「アリア!? アンタの方こそ大丈夫なの!?」

『あたしは大丈夫よ。今から凪優の援護に入るわ!』

 

 アリアからの提案……これはまたとないタイミングだ。

 

「解った。じゃあ、今から私と交換でルノーに乗ってベスパを撃墜して頂戴」

『解ったわ…………って、運転しながら!? 火力負けするわよ!?』

 

 私の依頼に驚愕のアリア。

 

「運転は自動運転だし、問題ないわ」

『解ったわ。……で、凪優はどうするの?」

「私? 私は……バスの上に乗ってドローンの撃墜をするわ」

『ドローン!? 何でそんな物が!?』

「さぁ? 大方、私を始末するためでしょ?」

『そう……』

 

 なんか納得してるよね? アリアさん。

 その、『凪優(わたし)だから仕方ないよね』って言う反応止めてくれます? 

 

「あぁ……あとC装備は脱いだほうが良いわね」

『何でよ!?』

「だって……動きにくいじゃないアレ」

『まぁ……アドバイスとして受け取っておくわ』

「よし……10秒後に交換するわよ?」

『解ったわ。凪優、ベスパの狙いどころは?』

「取り付けのUZIと外付けのでかい制御チップ」

『ふぅん……了解よ』

 

 通信が切れると同時に私は瞬間移動を発動させ、アリアをルノーの運転席に自身をバスの屋根に転移させる。

 

 バスの屋根上で足元に能力を発動させることで、落下は防げるだろう。

 

氷槍(ヤクラーティオ・)弾雨(グランディニス)!!」

 

 私は能力によって周囲に展開させた大量の氷片の槍を一気に降らせて攻撃する。

 

 魔法の矢(サギタ・マギカ)よりも威力は強力なのでこちらを選択した。

 この技には上から下へしか降らして攻撃することしかできないという欠点が存在するが、今回は展開する始点をドローンの上に設定している。

 それと、自動追尾も可能なので回避される事なくドローンを粉砕する事が出来るのだ。

 

 私は迫り来るドローンの群れを片っ端から粒子へと変えていくと、バスはレインボーブリッジに差し掛かっていた。

 さて……そろそろ終幕の時間だ。

 

「レキ……聞こえる?」

『問題ありません』

「バスの下の爆弾の停止スイッチを捕捉できるかしら?」

『可能です』

「そう。だったら合図したらスイッチを狙撃して、爆弾を停止させて」

『解りました。凪優さん、カウントお願いします』

「了解……。fivecount。5、4、3、2、1…………0」

『──―私は一発の銃弾────』

 

 レキの声に続いて爆弾に狙撃されると的確に停止スイッチが作動し、爆弾が停止すると同時に私は爆弾を瞬間移動を使い海上に転移させる。

 

 

氷爆(ニウィス・カースス)!!」

 

 私は空気中に氷を瞬時に発生させ凍気と爆風で攻撃する技を使い爆弾を破壊し、海上で綺麗な? 花火が打ち上がった。

 

「よし、これで……」

『一件落着っ!』

 

 それを確認し、通信で歓喜する私と結衣。

 その後、バスは停止しバスジャックは無事解決となった。

 

 その後、事後処理が行わる流れとなり、結衣は一足先に武偵高へ戻った。

 ま……無理もない。運転手の治癒にかなりの能力を消費したから疲れたのだろう。

 

「な、何とかなったわね……。凪優と結衣がいて正解だったわ」

「あ、ああ……。そう……だな」

 

 アリアと今回、殆ど出番なしのキンジは二人安堵の表情で顔を見合わせていた。

 

「あ、そうだ……アイツにメール送っとこ」

 

 私はバイト先に頼まれていた事をある人物に頼むべく、メールを送ったのだった。

 

Side_Out……

 

 

 

Side_??? 

 

「な……何なんだよ!! これは────ーっっっっ!!」

 

 あたしは一人、思いっきり絶叫していた。

 バスジャックを解決されるのは想定内。寧ろ──予定通りといっても良いだろう。

 

 しかし、完全に想定外なことが起きた。

 キンジが…………遠山キンジがこのバスジャックで殆ど何もしていない。案山子か!? おんどれは。

 

 アリアと組ませてそこそこの活躍をさせるはずだったのに。それすら出来ていないのだ。

 これではパートナーどころではない。ってかそれ以前の問題。

 

 アリアが、悲劇のヒロイン。

 キンジが、主人公……。

 

 そうなるはずだったのに。

 このままではモブキャラ一直線ルート確定だ。

 

 そうであっては困る。

 なんとしてでもキンジには主人公になって貰わねば。

 こうなってしまってはあたしがその気にさせるしかあるまい。

 どんな手段を使ってでも……。

 

 とは……いえだ。

 それには障害がある。

 凪優…………水無瀬凪優の存在だ。

 彼奴の事を調べたものの、最低限のことしか出てこなかった。

 それに、情報も理路整然としていた。不自然なくらいに。

 詳しく調べようとも全然情報が出てこない。

 何なんだよ、彼奴は。

 それにあの異常な強さ……只者じゃない。

 あのレベルとならば……裏においても相当な実力者なはずだ。

 

 まさか……ね。

 

 ふと、そんな思考が頭をよぎる。

 あたしの所属する組織、『イ・ウー』

 そこには穏健派と過激派、第3勢力が有ったが、今は穏健派と過激派の2分割となっている。

 穏健派は『研鑽派(ダイオ)』、過激派は『主戦派(イグナティス)』と呼ばれる。

 

『主戦派《イグナティス》』の党首の名は綾野未海。

 そして、『研鑽派(ダイオ)』の党首の名は……水無瀬凪優。

 

 彼女は『氷天の魔女』の二つ名を持つ氷系の能力者だ。

 その実力は凄まじく、イ・ウー内でのNo.2の片割れと謂われている。

 

 最初はあたしは同姓同名の他人かと思っていた。

 だが、前回と今回の無双劇を見てそうは思えなくなっていた。

 

 まさか……同一人物なのか…………? 

 だとしたら、あたしはとんでもない人物を敵に回した事になる。

 

 

 確実に凪優は介入してくる。

 既にあたしの事も目星は付けているだろうし……確実にあたしと対峙する事になったら……間違い無く勝ち目は……無い。

 あぁ……もう。あの時、ジャンヌ達に啖呵切ったのは間違いだった。負ければ……嘲笑されるだろう。

 あのクソ爺共とか絶対そうだから、それだけは……真っ平御免だから……全力で抗ってやる。

 

 

 そう強く決意するあたしだった時だ。あたしのケータイにメールが着信される。

 

 相手は……付き合いの深い武偵高の友人だった。

 なんでも彼女のバイト先の人手が足りないらしく、ヘルプを頼みたいらしい。

 

 まぁ……気晴らしになるし、ちょうどいいだろう。

 このまま考えていても気が滅入るし。

 そう思ったあたしは友人に

 

「バイトのヘルプOK」

 

 と返信するのだった。

 

 

Side_Out……




葵  「さて、如何だったでしょうか」
理子 「今回も時間かかったね。あおちー」
葵  「そうね」
理子 「なんでこんなに時間かかったのさ」
葵  「モチベ湧かなかったのとリアルで仕事忙しすぎた」
優梨愛「でもそれだけじゃないんでしょう? 葵さん」
葵  「加筆修正多すぎて新作書いているようなモンだよ」
花梨 「そんなに多かったの!?」
葵  「そう。読み返すと不自然だらけでさ」
理子 「リメイクした後のリメイクなのに納得行かなかったんだね……」
葵  「うん。所々表現おかしい所もあったし」
花梨 「だから、修正に時間かかったんだ……」
優梨愛「それに地の文が少なすぎて追加したのも原因ですよね?」
葵  「そう。だから最新話書くのとそんなに変わんなかった」
理子 「それでも時間かかったよね?今回」
葵  「うん。アイデアは浮かんでこないわ、書く気は失せるわ・・・・」
花梨 「完全に悪循環陥ってんじゃん」
葵  「そうだよ。完全にそれ。だからマジで気が向いた時に少しずつ書いてた」
優梨愛「それでよく今日の投稿まで漕ぎ着けましたね」
葵  「それな。些細なきっかけでなんとかなるもんだね」
理子 「しっかし、更に文字数増えてない?」
葵  「増えてるよ。一番最初に書いた時の該当部分の5倍くらいはあるしね」
花梨 「凄い増加量だね。ホントに前話と分割してよかったよね」
葵  「それな。前回が6500だったし、1話にしたら16000文字超えだね」
優梨愛「もう長すぎて読む気失せるのでは……??」
葵  「だよね……。もう長く語ってるし、謝辞行っとく?」
理子 「あ、そだね」
葵  「えっと……この話を読んでくれて、更に評価してくれている読者様にも感謝感激雨霰です」
花梨 「皆のこの話を読んでの評価で葵は執筆頑張れるから、次回以降も読んでくれると嬉しいな!」
優梨愛「葵さんのモチベーションと集中力次第で次回の投稿時期が未定です」
理子 「だけど、次回もなるべく間隔が空かないように頑張るからよろしくなんだよ!」
葵  「と、言う訳で、これからもよろしくお願いします」
花梨 「それでは、また次回」
葵  「このあとがきの場所でお会いしましょう。それでは・・・・」
全員  「「「ばいばいっ!!!」」」

更に長くなっているであろう比較的短い方なあとがき⑫ 完
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