消滅したルミ。ゲンムはただ黙ったままであった。
「よくも...!よくもルミおおぉぉぉおお!!!」
怒りが頂点に達し、リリはゲンムに向かって行く。
「これでもまだ分からないのか...。仕方ない。」
そうしてゲンムは軽く腕を振り上げ、太陽の収束光線を発動する。
リリは何とか剣で捌きながら攻撃を防ぐ。
「君の大事な人間は消滅した。つまりゲームオーバーだ。もう君がいくら足掻いた所で彼女が消滅した事に変わりは無い。」
次々と心にくる言葉を投げかける。リリも次第に自暴自棄になり、まるで闘牛の様に突っ込んでくる。
「リリ様!その様な奴に乗せられてはいけません!」
必死にリリを止めようとアルは走り出すが、ゲンムはメテオファイトナックルで隕石衝突と同威力の重インパクトパンチを放つ。あまりのパンチの重さにリリは声も出なかった。
「何故君はもう消滅した仲間の為に戦う?仮に君が勝った所で彼女は戻ってくる事など無い。それなのに何故戦う...?」
黎斗の質問にリリは答えようとするが、まだ痛みがある為喋れずにいた。
「まぁ良いだろう。そろそろケリをつけて終わらせよう。」
静かにゲーマドライバーのレバーを閉じてカミワザを発動する。
「待って黎斗!ソイツを殺しちゃダメよ!」
霊夢は黎斗に走ってカミワザを発動するのを防ぐ。
「邪魔をするなァァァ!!このクズを倒さないと異変は解決しないんだぞォォォ!!」
霊夢を振り解こうとするが、霊夢はゲンムの腕にガッチリしがみつく。
「ダメよ!ソイツには色々と聞きたい事があるんだから!」
その言葉を聞いてゲンムは振り解くのをやめる。
「良いだろう。ただし話を聞いたらコイツは消すからな。」
カミワザを発動するのを止めてゲンムは一歩後ろに下がる。そうして霊夢はリリに近づき、鋭い目つきで見下ろす。
「あんた、リリって言ったわね。何でこんな異変を起こしたの?」
するとリリはそっぽを向いて口を割らなかった。
「誰があんた達に言うもんですか!」
ゲンムはリリの首元を掴む。
「悪いが...私はあまり気が長くなくてね...。さっさと答えなければ君を消さなければならない。」
黎斗の低い声にリリは背筋がゾクッとする。
「分かったわ!全てを話す!」
首元を離し、リリは地面に尻もちをつく。
「フン。」
鼻を鳴らしながら不機嫌そうにリリを見る。
「私が異変を起こしたのは唯一つ。この幻想郷の手直しをするためよ。」
「手直しだと?」
黙ったまま頷き、更に説明を続ける。
「居場所が欲しかったの。自分の。」
「.......。」
ゲンムは何も喋らないで聞いていた。
「私はいつも孤独だった。両親から殴られたり蹴られたり、周りの人間も私に対して罵詈雑言を吐いた。時には石を投げられ、時には犯されたりもしたわ。私の周りには誰も助けてくれる人間なんていなかった...!」
段々と涙が出てきており、大粒の涙がポツポツと床に落ちる。
「そんな絶望の中で過ごしていた時、私はアルとルミに会ったの。彼女達はこんな私でも決して見捨てないで私に寄り添ってくれた大事な人間なの...!そして私は決めたの。私を孤独に追いやったこの世界を私の手で作り替えると。」
「それが...君が異変を起こした理由か。」
ゲンムはまるで他者を哀れむ様なトーンで言う。
「そうか、君が異変を起こした理由はよく分かった。」
しかし黎斗の哀れみのトーンはすぐに不気味なあのいつものトーンに戻る。
「だがさっき言った通り、話を聞いたら私は君を消す。私に歯向かった罰だ。それ相応の報いは受けてもらうぞ。」
「あ...ああ...!」
これから死ぬという恐怖にリリは声も出せなくなっていた。
「待って黎斗!流石にそこまでやる必要はないじゃない!もう異変の首謀者は倒したんだから異変は解決したわ!」
霊夢が必死に止めようとするが黎斗は聞く耳を持たず、自分の主張を押し通そうとする。
「黙れ!君が良くても私は良くない!このクズはゲームマスターである私に挑んできたのだから消滅するのが妥当だろう!」
そう言ってゲーマドライバーのレバーを閉じてカミワザを発動する。
「カミワザ!」
もう一度レバーを開いて必殺技を発動する。
「ゴッドマキシマムクリティカルブレッシング!」
高くジャンプし、キック力のスペックをイジった100万トンの飛び蹴りのライダーキックを叩き込む。
「やめなさい黎斗ぉぉぉおお!!」
霊夢は駆け寄って黎斗を止めようとするが時すでに遅し。強烈なライダーキックがリリに命中する。するとリリの体は徐々に崩壊し、やがて塵の様に消滅していった。
「リリ様......!?」
その様子を見ていたアルはあまりのショックで声が出せなくなっていた。
「わざわざ殺す必要なんてなかったのに...!!!」
霊夢は拳を強く握りしめる。手からは血が流血していた。
「どんな相手でも私は全力で叩き潰す。これが私なのだからな。」
「だからって命までとる必要は本当にあったの...!?」
ゲンムは無言のまま霊夢を見つめる。そうして顔を横に向け、今度はアルを見つめる。
「今度はお前だ...。」
ゆっくり、一歩ずつゲンムは近づいていった。