「あぁ〜...体が痛え...。」
貴利矢は全身の痛みを感じながら起き上がる。辺りを見回すと見たことある景色が目に入る。
「ここは、博麗神社か?そうか...あの時俺は倒れて...。」
すると声が後ろから聞こえる。
「起きたか、九条貴利矢。」
聞き覚えのあるあの男の声が聞こえた。勢いよく後ろを振り向くと黎斗があぐらをかいて座っていた。
「お前...。」
「私もあの戦いの時に気絶してね。博麗神社に君と一緒に運ばれたのさ」
そうして黎斗は壊れたトーテマクロニクルガシャットを取り出す。
「君との戦いの時のせいでトーテマクロニクルガシャットが壊れてしまった。そのためゲームが強制終了した」
「それは一応クリア扱いになるのか...?」
「あぁ、クリアの特典である願いを叶えるという報酬は貰える。」
すると襖が開き霊夢が入ってきた。
「あら、2人とも起きてたのね。丁度良かったわ。」
霊夢は二人の元に食事を運んだ。
「はい、ご飯よ。しっかり食べるのよ。」
ご飯と味噌汁、そして焼き魚が皿の上に乗っていた。
「ありがとな霊夢ちゃん。」
「頂こう。」
2人は食事を始める。
「九条貴利矢、このゲームをクリアしたのは君だ。君の願いを何でも1つだけ叶えてやる。」
すると貴利矢はすぐに口を開きこう言う。
「そんなの決まってる。お前の手によって消滅した命を復活させろ。これが俺の願いだ。」
「ほぅ...?それが君の願いか。本当にそれでいいのか?」
黎斗はもう一度貴利矢にその願い事でいいのかを確認する。
「あぁ、俺の願いは命の復活。ただこれだけだ。」
「貴利矢...。」
霊夢は貴利矢の方を見る。そして黎斗は立ち上がり壊れたトーテマクロニクルガシャットを持つ。
「分かった。それが君の願いならその願い、叶えてやろう。」
立ち上がった黎斗は壊れたトーテマクロニクルガシャットをパソコンに接続する。
「おい、そのガシャット壊れてるんだろ?どうやって願いを叶えるんだ?」
パソコンに接続されたトーテマクロニクルガシャットを見て貴利矢はどうするのか聞く。
「何を言ってるんだ九条貴利矢。この私が壊れたガシャットを直すなど朝飯前に決まってるじゃないか」
(そう言えば永夢のゲーマドライバーを直したのコイツだったな。まぁ直せるのは当然か)
妙に納得した貴利矢は黎斗がパソコンのキーボードを叩く姿をじっと見る。
〜4時間後〜
「よし、直ったぞ」
完璧に元通りになったトーテマクロニクルガシャットを手に持ち黎斗は貴利矢に渡す。
「君の願いはあらかじめプログラムしておいた。後はこのガシャットを起動すればすぐに君の願いは叶えられる」
「そうか...。ありがとな」
そして貴利矢はジッとガシャットを見る。
「どうした?起動しないのか?」
すぐにガシャットを起動しない貴利矢を見て不自然に思う。
「なぁ、神。お前あの時の戦いで何で悲しい目をしていたんだ?」
「は...?」
唐突にあの時の戦いの事について聞かれた黎斗は呆けた声を出す。
「あの時の戦いで君が言ったじゃないか。私は母親を現代の医学で救えなかった事に失望して二度と起こさせない為に命をデータ化したと。」
「いや、お前はもう一つ隠し事をしている。当ててやろうか?お前は生きる意味を無くした。違うか?」
ハっとする黎斗。貴利矢の観察眼にはいつも驚かされていた。
「流石だな。よく分かったじゃないか。そう、私は生きる意味を失った。私が追い求めていたアルティメットフメツガシャットやライダークロニクルを超えたトーテマクロニクルを完成させた。この二つは間違いなく私の人生の中で最高傑作の代物だ。」
「......」
「だからこそ私は、これ以上この二つのガシャットを超えたガシャットを作ることができない。それならいっそ消滅した方がいいんじゃないかと思えてきた。」
そうして黎斗は貴利矢の顔を見る。
「私はもう生きる意味を失った。」
すると貴利矢はため息を吐き床に倒れる。
「全く...神の才能を持つ男がこんな事を言うなんて心底呆れたぜ。お前の才能はそんなものか?」
「何...?」
「いつもいつも自分を神だと言っておきながら生きる意味を無くすって本当に呆れるぜ。まぁ消滅するのは自分の勝手だがお前のゲームを待っている人間は沢山いるっていうのは忘れるなよ。」
黎斗は暫く黙った後口を開く。
「私は...生きていて良い存在なのか?」
「それは分からねぇな。ただ俺はお前が消えるとそれを悲しむ人間がいるって事を言っただけだ。別に消滅するなとは言ってない。」
「フッ、そうか...。なら...」
黎斗は立ち上がり腕を大きく広げる。
「この神である私の才能で刺激的なゲームを作ってやろう!」
いつもの調子に戻った黎斗を見て貴利矢はフッと笑う。
「それじゃあ、俺の願いを早速叶えるとするか!」
そう言い、貴利矢はガシャットを起動して願いを叶える。するとガシャットは光の粒子となり空へと飛んでいく。
「さぁ、君の願いが遂に叶えられるぞ。」
黎斗がそう言うと光の粒子は幻想郷全体を包み込むように広がっていく。そして光の粒子はゆっくり地面へと落下していき光の粒子はやがて人の形を形成する。
「おぉー!!復活したぞー!」
「やった!生き返った!」
幻想郷中からは生き返った人間の喜びの声が大きく聞こえた。中には嬉し涙を流す者もおり、感動の再会を果たす人間もいた。
「これでゲームクリアだな。」
「あぁ、クリアおめでとう。」
人々の喜びの声は一日中続いた。
......
数週間後、貴利矢と黎斗はすっかり元気になっていた。
「やっと体が全回復したぜ。」
「これで新たなゲームの開発ができる。」
体を伸ばして空を見上げる。
「おい神。分かってるとは思うがもう皆んなを危険に晒すようなゲームを作るのはやめろよ?」
「あぁ、分かってるさ。今度は正しい方で人の為に楽しいゲームを作っていくつもりさ。」
二人は固く手を取り合った。
どうも皆さんお久しぶりです。中々書く時間がありませんでしたが何とか投稿できました。次回でこのお話は最終回となります。短い話ですが最後まで付き合っていただけると嬉しいです。