転生したら、魔王様の部下の部下になりました   作:白紅葉 九

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第十一話 勇者パーティーとの邂逅

 オリビア様との問題を解決した私は……端的に言って暇になりました。

 いや、オリビア様たちが抱え込んでいた仕事が全四天王に行きわたるように魔王様が調整したので、仕事自体は増えたのですが問題なく定時には終わる程度の量です。

 

 これも、アリア様が“魔王軍の仕事が上手く回る”ように魔法を使ってくれたおかげなのでしょう。我が主ながら、その力が末恐ろしいです。

 そんな魔法なら一瞬で世界征服できそうな気もしますが、この世界には更にヤバい魔王様や勇者が存在します。

 といっても、まだ今の勇者は発展途上らしく、そこまでの力はないそうですが。

 

「そういえば~、ソフィアに頼みたい仕事があるのだけれど~」

 

アリア様はそう言って一束の資料を渡してきました。

 それにはとある人族の街について、事細かく書かれていました。

 

 ……何だか嫌な予感がするのは気のせいだと思いたいです。

 

「ノーマルモンスターたちを率いて~、この街を半壊にしてきて欲しいの~」

 

思っていたよりも軽い任務でした。これくらいであれば、悪魔だった時に何十回もやったことがあります。

 今の時代は割と人族との衝突が少ないですが、昔は毎日のように小競り合いをしていた時がありました。

 私もノーマルモンスターとしていくつの戦場を駆け抜けたかわかりません。

 

 平和な世界で暮らしていた記憶を持つ私は、最初のころは人を殺すのに抵抗がありました。

 しかし、戦場では()らなければ()られるだけです。

 数千人を殺した頃には殺人への抵抗意識もなくなっていました。

 

「承りました。

 期限はいつまででしょうか?」

 

「一週間くらい?

 長くても二週間までがいいわ~」

 

「……それほど時間の掛かる仕事でしょうか?」

 

「あくまで噂なんだけどね~、その町の近くに勇者がいるかもしれないらしいのよ~。

 だから慎重にね~」

 

嫌な予感が的中してしまいました。

 

 勇者。それは魔王様と対なる存在であり、聖剣に選ばれた存在です。

 つまりは、物凄い強い剣を人間で唯一使える存在という感じです。

 成長すれば魔王様さえ殺す可能性を秘めているので、一介の妖魔である自分では決して油断することなどできません。

 

 どうにかしてこの仕事を回避する方法はないでしょうか。

 

「ちなみに~、魔王様直々の命令だから、失敗したらクビらしいわ~」

 

「誠心誠意働かせていただきます!!」

 

失敗したらクビですか……。

 

 ……あの、本当に首だけになるとかじゃないですよね?

 魔王軍から追放されるっていうだけですよね?

 

 でも、妖魔ってそれなりに高い地位なわけですし、国家機密もそれなりに知っちゃっていますし……あれ?

 

 もしかして、クビ=首?

 

 これは絶対に失敗できません!!!

 

「もしクビになったとしても~、大事に守ってあげるから安心していいのよ~」

 

アリア様!!!!

 

 

 

 

 

 そうして何やかんやあり、ノーマルモンスターを使って街を攻めました。

 そうしたら当然のように勇者が出てきました。泣いていいですか?

 

 命令は街の半壊です。ですが、現在の相手の損害は兵士のみ。

 しかも、当然のように勇者はノーマルモンスターを一撃で倒していきます。号泣していいですか?

 

 

 

 このままではヤバいです! クビになります! もしくは首になります!!

 どうすればクビを回避できるでしょうか。それに、どうすれば魔王軍に貢献できるでしょうか。

 勇者は強いです。でも、私だってこれでも妖魔です。魔王様の部下の部下なのですから。

 ……あれ、こう聞くとそんなにすごく感じませんね。

 

 ま、まぁ、いいです。とにかく、私がいまやるべき最善のことは――

 

「私たちも、ただで死ぬつもりはありません。

 【反撃の狼煙・真(ツーサイドゲーム・ストロンゲスト)】」

 

 ――勇者へ一矢報いること。

 それくらいしかできない一介の妖魔ですから。

 

「なっ!? 急に敵が強くなった!?」

 

「くっ、ノラ! このままじゃ押されちゃう!」

 

この技は味方を強化する魔法です。この魔法で勇者を追い詰めます。……なんだか本当に悪役ムーブをしていますが、魔王軍側からすれば勇者の方が悪なので問題ないでしょう。

 

「そして……【なんで勇者パーティーは勇者だけ男でそれ以外女なんだよこのハーレム野郎ビーム(ジェラシー・ビーム)】*1!」

 

これは決して私の私怨とかではなく、本当にそういう魔法が本にあったのです。

 名前は置いといて、こういう攻撃対象が狭められるような魔法は総じて威力が強いのです。

 

 ……って、あれ?

 

「不発……?

 どうしてでしょうか」

 

勇者パーティーは、勇者のみが男で、他は四人が女性、そして従魔のスライムが一匹です。

 この魔法に従魔は関係しないので、問題なく発動できるはずですが……。

 ……これはあまり使いたくなかったのですが、勇者との戦いに出し惜しみはしていられませんね。

 

「【特殊魔力生命体(バン・ウィッチ)】」

 

これは、自身の持つ魔力量を増幅する魔法です。

 これで、今日だけならいつもより魔法を使うことができます。ただ、後日反動が来るので、あまり使いたくはない魔法です。

 

「【真実を告げる鏡(アグリィ・ビューティー)】」

 

これは、いわゆる鑑定魔法です。五人分なので、魔力が結構削られます。

 これで、先ほど魔法が不発した理由がわかればいいのですが……。

 

≪勇者  ノラ   人間     女 光属性≫

≪魔女  エミリア 人間     女 全属性≫

≪従魔師 ナタリー 人間     女 生属性≫

≪剣士  カレン  ダークエルフ 女 剣属性≫

≪神官  イルゼ  エルフ    女 神属性≫

 

 女ぁ!? えっ、この勇者女なんですか!?

 つまり、男装しているということですか!!?

 

 こ、これは驚きました。そりゃあ魔法が不発するわけです。

 

 

 

 

 

 その後、勇者パーティーと応戦しましたが、結局街を攻撃することは叶わず撤退することになりました。

 しかし、一応勇者の片腕をもぎ取ってやったので、成果は上げているはずです。これで何とかクビを免れないか交渉することにしましょう。

 

「魔族共が逃げていくぜ!」

 

「いやスラリン、君も魔族だよね」

 

そういえば、勇者パーティーにいるスライム、なぜか言葉を話すんですよね。そんなスライム聞いたことなかったので驚きました。

 そういえば、スライムのことは鑑定していませんでしたね。

 

「【真実を告げる鏡(アグリィ・ビューティー)】」

 

《深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いているのだ》

 

 えっ? み、見間違いでしょうか?

 魔力もまだ余っていますし、もう一度だけ見てみましょう。【真実を告げる鏡(アグリィ・ビューティー)】。

 

《警告。ソレ以上、“私”ニ干渉スレバ消去スル》

 

 見なかったことにしましょう!!!!!

*1
長すぎてルビがつきませんでした




誤字修正
 志戸子自体は増えたのですが
→仕事自体は増えたのですが

カゼスさん、誤字指摘ありがとうございました!

訂正報告
全話を通して、魔物を魔族に変更しました。また、一話の最初を読みやすく修正し、矛盾した設定を訂正しました。



Q.このスライム何者ですか?
A.今話の主人公に対する特大死亡フラグです。(こいついつも死にそうになってるな)
  もし警告を無視して三度目の鑑定を行っていたら、この世から存在を消されて元から居なかったことにされていたでしょう。そういう因果律の外にいる存在です。いったい何故そんな存在が勇者パーティーにいるのでしょうか?(すっとぼけ)

Q.感想が届きましたよ!
A.すごく嬉しかったです!! 全部に目を通しています! 本当にありがとうございます!! また、評価もたくさんの方がしてくれて、本当に嬉しかったです!

Q.今話が出来上がったのはいつですか?
A.投稿の5分前ですが何か? 本当にお待たせして申し訳ありません!(土下座)



改めて、評価をしてくださった

コンニャク犬さん   (°д°)さん
ふにさん   レイスドールさん
みたらすさん   あんこっ子さん
風四郎さん   綿の鍋さん
初&見さん   yukizake727さん
とっちんぼーやさん   黒威道化師さん
ケーキリゾットさん   hitamiさん
黒雪09さん   ウニの塩漬けさん
ミンネさん   綿飴さん
禍人さん   ayuzakaさん
綾坂 螢人さん   マグサさん
なるほどわからんさん   漣十七夜さん

本当にありがとうございます!!!!
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