転生したら、魔王様の部下の部下になりました   作:白紅葉 九

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第十二話 強力な魔法の代償は大きい

 私はノーマルモンスターを率いて勇者と戦い、結局撃退することは叶わず撤退しました。

 その過程で勇者の片腕をもぎ取るという戦果は挙げましたが、結果だけ見れば敗北したにすぎません。

 

 クビにはなりたくないので、どうにか交渉できないものかと考え魔王軍に帰ってきて、真っ先にアリア様から言われました。魔王様が呼んでいる、と。

 もしかして、私今日が命日かもしれません。お父さん、お母さん、親孝行のできない不出来な娘で申し訳ありませんでした……。

 

 

 

 

 

 そうして、斬首刑に処される囚人の気分で魔王様の元へ言った私は、開口一番に魔王様からこう言われました。

 

「妖魔ソフィア、よくやったのじゃ」

 

宇宙猫状態とは、これのことを言うのでしょう。怒られる覚悟はしてきましたが、褒められるとは一切思っていませんでした。

 いや、本当に、他の誰かと間違えていませんか?

 

「理解できないといった顔をしておるのう」

 

「も、申し訳ありません。

 事態が飲み込めず……私は作戦失敗の上、敵前逃亡をし、クビにされておかしくないと思っていますが……」

 

失敗すればクビというくらい、魔王様にとっては重要な任務だったはずです。

 

「はははっ、アリアの首輪にも足枷にもなるおぬしをそう簡単に魔王軍から逃すわけなかろうが。

 クビはおぬしの力を見極めるための冗談じゃ」

 

冗談だったんですか!?

 

「私の課した試練に対して、おぬしは勇者の片腕を捥ぎ取るという成果を上げた。

 いま勇者は片腕を再生されるため行軍を停止させている。

 充分な成果じゃ」

 

つ、つまり私はクビを免れたのですか……!?

 よかったです……。まだアリア様の下で働くことができます。

 

「ゆえに、お咎めなしじゃ。

 しばらく出張もないから、“その姿”を早くに直すんだな」

 

……魔王様にはさすがにバレますか。

 

 私は今、【特殊魔力生命体(バン・ウィッチ)】という魔力量を一時的に増幅させる魔法を使った代償で見た目が変わっています。

 それを誤魔化すために別の魔法で見た目を変えていましたが、魔王様には一瞬でバレてしまったようです。

 

「畏まりました」

 

「よし、もう下がってよいぞ」

 

「失礼します」

 

魔王様のメイドのミア様が扉を開けてくれます。

 クビにされなかったことに安堵しながら魔王室を出ました。

 

「ソフィア~!!

 あのお子ちゃま……じゃなくて魔王様に何もされてないかしら~!?」

 

「おい! まだ扉が開いているから聞こえているのじゃ!!」

 

「あら、うるさい上司がいるわね~。

 さっさと部屋に戻りましょう~」

 

アリア様!? 魔王様にそんな口を利いて大丈夫なのですか!?

 

 そう困惑していると扉が自動で閉まりました。

 誰かが動かした様子もなかったですし、おそらくアリア様の魔術でしょう。……この人、いったいいくつの魔術を持っているのでしょうか。

 

 そういえば、アリア様は最近上京したとは聞きましたが、それまでどこで何をやっていたのか知りません。

 アリア様のことはそれなりに知っていたと思っていたのですが、案外まだまだ知らないことがありそうです。

 

「ソフィア、ところで~」

 

「あら、アリアとソフィアではありませんか」

 

声のした方向を見れば、そこにはオリビア様がいました。

 以前にも増して健康そうな顔色です。

 

「魔王様の部屋?

 ……ソフィア、また何かやったの?」

 

「以前の任務で勇者と会敵しまして、その時勇者の腕を捥ぎ取ったことを褒められました」

 

「あぁ、あれはソフィアの成果だったのね。

 無事でよかったわ」

 

ええ、本当に無事で(首にならなくて)よかったです。

 というか、またってなんですか、またって。そんなに私、年中問題行動を起こしているように見えますか?

 

「……勇者ってそんなにすごいの~?」

 

「えっ……アリア、あなた勇者の強さを知らないの?」

 

「ずっと勇者とは敵対したことなかったもの~」

 

魔族にも勇者と敵対していないものはいます。

 代表的なものだとエルフやドワーフなどです。分類的には魔族ですが、勇者や人間とは敵対していません。

 といっても、仲良くしているわけでもなく、あくまでお互い不可侵といった感じですが。

 

「ずっと気になっていたけど、あなた何者なのよ」

 

「私? う~ん、何って言われても~……あっ、そうだ~!

 人間からは自然の守護者とか、精霊王って呼ばれてたわよ~」

 

「「精霊王!!?」」

 

私とオリビア様の声がハモります。

 精霊王といえば、自然の全てを司るとも言われた人物です。感覚としては神話や物語のなかの存在に近いです。

 まさか、アリア様がそんなすごい存在だったとは……。

 

「規格外だと思っていたけど、そりゃあ私なんて足元にも及ばないわけね……。

 本来なら敬うべきかもしれないけれど、あくまで今は対等な四天王として向き合いますわ」

 

「あら~、嬉しいわね~」

 

そうですね、オリビア様の仰る通りです。

 アリア様がすごい存在なのがわかっても、私にとって大切な上司である事実が変わることはありません。

 なので、対応を変える必要はないでしょう。

 

「……ところで、ソフィア。

 何を隠しているの?」

 

あー……この感じは、お二人には既にバレていましたか。

 上手く隠せているとは思うのですが、流石に四天王様相手では歯が立たないようです。

 

「……幻影術ね。

 それも、私でも簡単には見破れない高度なもの」

 

高度というより、単純に二つの魔法を使っているだけです。

 

 【存在しない盗撮魔(ノット・ゼアー)】は、自身の存在を完全に消します。

 その上から【どうしても見たい映画があるんだ!(レジェンド・シネマ)】という幻影を見せる魔法を使っています。

 

 しかし、見破られたなら仕方ありません。

 ……この姿は、あまり見られたくありませんでしたが。

 

「「……えっ?」」

 

魔法を解除した瞬間、二人からそんな声がこぼれました。

 

 しかし、それも仕方ないでしょう。

 なぜなら、今の私は――

 

 

 

「幼女がいるぅぅぅうううう!!!!!!!!!」

 

 

 

魔法の代償で一時的に幼女になっているのです。

 

 

 

 ――えっ、いや、今の誰!!?

 

「この幼女貰います!!!!」

 

誰かに抱え込まれて、一瞬で視界が移り変わります。

 

 先ほどまで廊下にいたはずなのに、今はどこかの部屋にいるようです。

 おそらく転移魔術でしょう。

 

「ノルマ達成ぃぃいい!!!!!

 今日は帰れる!!!!!!」

 

……えっ、もしかして私、誘拐されました?




Q.投稿が遅くなった理由は何ですか?
A.リアルが多忙で身体的・精神的・時間的余裕がありませんでした! これからもゆっくり更新にはなりますが、よろしくお願いします!

Q.結局、魔術と魔法の違いって何なんですか?
A.魔術は覚えれば誰でも使えるもの、魔法はその人にか使えないものです。簡単に言えば、魔術は技術で、魔法は能力みたいなものです。
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