転生したら、魔王様の部下の部下になりました   作:白紅葉 九

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第十四話 殺さないでください

「えっ、誰? 殺していい?」

 

ということで、出会って二秒で殺されかけているソフィアです。

 

 お父さん、お母さん、親孝行できなくてごめんなさい……。

 

 って、そんなことを言っている場合じゃないんですよ!

 

「女児を集めているからと、私をここに連れてきたのはそちらではないですか」

 

「んー……?」

 

適当に扉を開けていたら、たまたま地下へ通ずる扉を見つけ、降りてきたら彼女と出会いました。

 その女性は訝し気な顔をした後、ごちゃごちゃしている机の上から眼鏡を取り目に当てました。

 目が悪いのでしょうか?

 

「……あっ、本当だ! 見た目は女児だね!

 紛らわしい魂をしていたから勘違いしちゃったよ!」

 

見た目は女児? それに、魂……?

 

 どういう意味なんでしょう。

 もしかして彼女は、普段から人を見た目ではなく魂で見ていると……?

 

「魂、ですか?」

 

「魂に興味があるの!?」

 

魂という単語が彼女の琴線に触れたのか、とても楽しそうに魂のことを話し始めました。

 実際、魂と言うのが何なのか疑問に思っていたので助かりますが。

 

「魂って言うのはね、肉体がグラスだとすると、中に入っているお酒のことだよ!」

 

「魂ってお酒なんですか!?」

 

魂ってお酒なんですか!?

 

 驚いて、思わず二回も言ってしまいました。

 千年近く生きてきましたが、生涯で一番驚いた瞬間が今かもしれません。

 

「うん、ずっとパチパチ泡立ってるからお酒。

 パチパチが減ってきたらそろそろ死ぬなーってわかるよ!」

 

なるほど……。つまり、炭酸が抜けてくると死ぬと……?

 

 イメージはわかりますが、理解するのは難しそうです。

 まぁ、魔法なんてみんなそういうものでしょう。

 アリア様の魔法も、未だに完全な理解はできていませんし。

 

 実際、私の魔法もこの世に存在しない魔術、つまりは小説や物語に登場する架空の魔術を使える能力ですが、他者からしたら理解の難しい魔法でしょう。

 どうやってこの世に存在しないことがわかるのかとか、それなら好き勝手自分の好きな魔術を生み出せるんじゃないかとか。

 

 私の感覚としては、上司に参考文献付きの企画書を送って許可されたら使えるみたいなイメージです。

 上司がこの世にその魔術や物語が存在するかの確認を取ります。参考文献付きなのは、私が勝手に創作した魔術は使えないからです。

 この世に存在せず、かつ何かしらの媒体には存在している魔術を使うのが、私の知属性という魔法です。

 便利そうに見えて意外と制約が厳しかったりします。

 

「君には……数千年もののワインと数十年ものもワインが見えるよ!

 なにそれ、憑依されてるの? 取り除いてあげよっか?」

 

「いえ、大丈夫です」

 

「あー、家伝とか秘伝とかあるもんね!

 うんうん、面白い!」

 

転生している魔族っていうのは意外といます。

 といっても、私みたいに異世界から来た訳ではなく、種族柄死んだら次の肉体に精神が移るっていう感じです。

 

 例えば、龍は死ぬ直前に卵を産んで、死んだらその卵に精神が宿ります。他にも、吸血鬼の中には血を与えた眷属に生まれ変わる者もいるそうです。

 私もそういう存在だと勘違いしてくれたのでしょう。

 というか、私の重大な秘密を出会って数十秒で握られかけたんですが……。

 

 彼女に対して、何者と問う必要はありません。

 青色の髪に黒色の瞳。私が最初に彼女を見たのはここではなく、以前魔王様が開いた幹部会議でした。

 

「──メラニー様、質問してもよろしいでしょうか?」

 

四天王の一人、死属性のメラニー様。

 噂によれば、普段から死体漁りと過激な実験を繰り返していると聞きます。

 以前までは魔王城の城下町にある研究所で研究者をやっていたそうですが、過激な実験により追放されたところを魔王様に拾われたそうです。

 

 そんな方が、いったい女児を集めて何をするつもりだったのでしょうか。

 ……この場合、本当にただのロリコンである可能性も考慮した方がいいのでしょうか?

 

「いいよ……って言いたいところだけど、今は忙しいから三つまでね!」

 

「では、女児を集めて何の実験をされているのですか?」

 

「極秘だから言えない。

 はい、次は?」

 

……答えも貰えず、質問券を一つ失ったのですが。

 でも、この理不尽さこそ四天王様です。社畜の特性を持つ私としては逆に安心感があります。

 

 さて、残り二つの質問はどうしましょうか。

 実験に関する質問がダメなのだとしたら、ここから出る方法でしょうか。

 

「では、どうしたらこの亜空間から出していただけるのでしょうか?」

 

「あっ、やっぱり亜空間だって気付かれてたんだ!

 まぁ、ヒントはたくさんあるし仕方ないか!」

 

私の質問に対して、メラニー様は悩んだ様子を見せます。

 

「うーん、そうだねー。

 魂は大人だけど、肉体が女児なら実験に使えるし……実験が終わったら出してあげるよ!」

 

「なるべく早く帰りたいのですが……」

 

おそらく、そろそろ定時を迎えるころだと思いますので。

 なんて、ラクさんの言葉を思い出して心の中でそんなことを呟きました。

 

 メラニー様は早く帰る方法の言葉に悩んだ様子を見せました。

 

 そして、ニィッと口角を上げて(わら)いました。

 

「──それなら、私を倒してみる?」

 

できるわけがないじゃないですか!!!

 「倒してみる?」と言われた瞬間、私の首が落ちる幻覚が見えましたよ!!!

 

 ギラギラと輝く目は完全に捕食者のそれです。

 到底、私に勝ち目などありません。

 それは明白ですし、戦っても無駄死にするだけです。

 

「……残念! また気が向いたら()り合おうね!

 それで、最後の質問はどうする?」

 

いま、明らかにやり合うが殺り合うでしたよね!? 完全に私のことを殺す気でしたよね!?

 今からでも逃げた方が……いや、そもそも亜空間から安全に出るためにここに来たんでした!

 八方塞がりってこのことを言うのでしょうか。まぁ、亜空間は四次元空間なので八方ではないのですが。

 

 さて……ラストの質問です。

 正直、ほとんど情報は0でしたが……最後の質問は、最初から決めていました。

 

「──あなたは、アリア様の敵ですか?」

 

私はじっとメラニー様を見つめました。




Q.この小説の内容を忘れました
A.転生してから約千年、魔王軍で四天王様の部下になりました。主人公は、世界全体で見れば強い方ですが、魔王様と比べればミジンコ程度の実力です。そんな主人公が、何やかんや魔王城で中間管理職として奮闘する物語です。(本作のあらすじより)



【作者から】
おひさ!(気さくな挨拶)
八か月と七日ぶりです、作者の白紅葉九です。
五年後に戻ってくる予定でしたが、我慢ならず続きを投稿してしまいました。
私は元気です。これもきっと、私を支えてくれている多くの方々のおかげでしょう。もしくは、ディ〇ニーに行ったからかもしれません。楽しかったです。

そして、今話の続きはありません……と言いたいところですが、一話だけ続きがあります。
三日後にそれを投稿して、また五年間の冬眠に入らせていただきます。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

追記:評価にもコメントが付けられることに初めて気が付きました。そのコメントや感想に目を通しては一人でニヤニヤしています。本当にありがとうございます。
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