転生したら、魔王様の部下の部下になりました   作:白紅葉 九

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第二話 妖魔としての初仕事

 新しい魔王様が即位されてから一週間が経ちました。

 前の仕事の引き継ぎを済ませて、本日からアリア様のもとでお仕事をさせていただくこととなりました。

 

 妖魔の仕事は、主に四天王様の補佐をしたり、妖魔の一つ下の階級である悪魔の面倒をみたりと言ったものです。

 これだけの説明だと簡単そうに見えるかもしれませんが、よく考えてみてください。

 

 国家の一番上である魔王様、その一つ下の四天王様に来る書類は基本的に国家機密レベルのものです。なので、取り扱いを一歩間違えるだけで首が飛ぶことになります。

 更に、部下である悪魔の仕事の忙しさは身に染みて知っていますが、妖魔はその複数人居る悪魔たち全員のやっていることや進捗を把握して、仕事を割り振ったり、ミスをしないようにサポートしたりする必要があります。

 

 悪魔の仕事ってまだ楽な方だったのだと、改めて実感しました。

 

 

 

 

 

 私がここまで忙しくしている理由は、もう一つあります。

 

 四天王様は基本的に四名ですが、妖魔は基本的に十六名います。

 というのも、妖魔は仕事上、四天王様の意志を下の者に伝える役割、つまり四天王様の侍従のようなことを行います。

 そのため、仕えている妖魔の数によって四天王様同士の優劣がつかないように、四天王様は基本的に四名の妖魔を使えさせます。

 しかし、現状において……アリア様に使えている妖魔は私のみです。なので、本来なら四人で行う仕事を私は一人で行っている状態にあります。

 

「その~、妖魔を四人選ぶ必要があるとは知らなくて~。

 負担を押し付けてしまってごめんなさいね~。

 でも、いまは信頼できる人がソフィア以外にはいないのよ~」

 

「大丈夫です、アリア様。

 今日悪魔の方を二名集めて頂いただけでも有難く思っています」

 

「ソフィア様、A群の書類終わりました!」

 

「こちらもE群の書類終わりました!」

 

「お疲れ様です、オーロラさん、リブさん。

 いったん休憩を挟んでから、こちらの書類をお願いします」

 

「「わかりました!」」

 

新しく悪魔になった二人は、そう返事をすると椅子の背にもたれかかり脱力しています。

 二人とももともと悪魔だったようですが、流石にこの激務は経験したことがないのか、相当疲れているように見えます。

 

 朱色の髪と瞳を持ち、背中に蝙蝠のように角ばった白い羽を持っている方がオーロラさんで、黄色の髪と瞳を持ち、瞳の奥に謎の紋様が刻まれている方がリブさんです。

 彼女たちは今日、アリア様が慌てて助っ人として探してきた魔物の方々で、妖魔になるには実力的に足りないため、悪魔として今後アリア様に使えることになった二人です。

 魔王軍は実力主義な社会でもあるので、ある程度武力的に強くないと高い地位につくことができないんですよね。私の場合はギリギリ合格っていう感じでした。

 

「そういえばソフィア~、どうやら一週間後に幹部会議があるようなのだけれど~」

 

幹部会議とは、魔王様と四天王様が一堂に会して、現在の魔王軍の状況だったり、今後の魔王軍の方針だったりを話し合う会議のことです。

 前に悪魔として働いていた時に、偶然一度だけ参加したことがあります。

 その時は、当時上司だった妖魔の方が妊娠しており、その出産予定日と幹部会議の日程が重なったため私も参加することになりました。そのため、事前にみっちりと会議中のマナーや作法、暗黙の了解といったものを教えられた上で参加しました。

 

「……アリア様は、幹部会議のマナーや作法などはご存じでしょうか?」

 

「知らないわぁ~」

 

予想通りの返答が返ってきて、思わずため息を漏らしそうになりますが、我慢します。

 一週間後、つまり七日間後ですね。頭をフル回転させ、計画を組みます。

 ……ギリギリですが、間に合いそうですね。

 

「アリア様、恐縮ですが、これから毎日一時間、幹部会議のマナーや作法を教えるための時間を職務中に作っていただくことは可能ですか?」

 

「えぇ! もちろんよ~!

 ソフィアは何でも知っていてすごいわね~」

 

「勿体なきお言葉です。

 それと、一週間後までに妖魔を最低でも一人は侍従させていただけると助かります」

 

「わかったわぁ~!」

 

本当にわかっていらっしゃるのか多少不安になりますが、ここはアリア様を信頼するほかありません。

 今はとりあえず……。

 

「「休憩終わりました」」

 

「オーロラさん、リブさん、一週間後に幹部会議がありますので、職務中にマナーや作法を教えるためのお時間をください」

 

「わかりました、幹部会議……え?」

 

「か、幹部会議ですかぁ!?」

 

「はい。では、こちらの書類をお願いします」

 

「「わ、わかりましたっ……!!」」

 

タイムリミットはあと一週間です。

 それまでに、最低限会議に出て恥ずかしくないくらいには仕上げないといけませんね……!

 

 

 

 

 

 しかし、その時の私は知りませんでした。

 想像していた以上に、アリア様がマナーや作法について詳しくなく、更には幹部会議に必須な魔王軍の歴史や政治用語さえも全く知らないということを……!




誤字修正
 使えている妖魔の数によって
→仕えている妖魔の数によって

ゼムさん、誤字指摘ありがとうございました!
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