テント前に着いた僕は先に来ていた一回戦の相手『スカル団のしたっぱ』を見る。
「ちっ、
長ズボンにタンクトップを着て、マスクやドクロをあしらった帽子を被っており、両手をポケットに入れている。
「揃いましたな」
テントから行司姿のハラが出てくる。その手には木製の箱を持っている。
「この中に使用するポケモンの数を記載した紙が入っております。どちらが引かれますかな?」
ハラは木箱を前に差し出し、二人を見た。
「俺が引く」
スカル団のしたっぱが前に歩み出て言う。ハラは僕の方を見て
「宜しいですかな?レーヴ君」
問いかけた。僕は頷いて。
「構いません」
と答える。したっぱが木箱に手を入れ、取り出された紙を広げてハラに見せた。
「使用ポケモンは一体!!。両者、武舞台へ!!」
ハラの言葉に僕は武舞台へ上がる。反対側にはしたっぱが着く。
ハラが武舞台の審判位置に着く。手には軍配団扇を持っており、それを前に構える。
「では、両者見合うて」
僕は上着からスーパーボールを取り出す。したっぱもモンスターボールを取り出した。
「残った!!」
それを合図に僕はボールを投げる。したっぱも同時に投げた。
「頼むぞ、ラランテス」
「ララ」
ラランテスはボールから出るなり、鎌を広げて相手を威嚇するポーズをとる。
「やっちまえ、ヤトウモリ」
「ヤトゥ」
初めて見るポケモンだった。僕はチラッとロトム図鑑の方を見る。ロトム図鑑は『仕方ないロト』と言った感じで近づいて来て
『ヤトウモリ、どくトカゲポケモン。体液を燃やして毒ガスを発生させる。毒ガスには何パターンもあり、中には甘い香りを放つ毒ガスもある』
「てことは、どく・ほのおタイプ。初めての組み合わせだな」
ロトム図鑑の説明を聞き、タイプを推測する。ほのおがあるからラランテスには不利だった。
「ラランテス、はなふぶき」
ラランテスから花弁が舞い、それが高速で相手に向かっていく。ヤトウモリは避けようとしたが広く面に広がって行くはなふぶきを避けることができなかった。
「よくもやったな。ヤトウモリ、ひのこ」
ヤトウモリが口からひのこを放ち、ラランテスに命中させる。
「ラランテス、にほんばれ」
ラランテスが鎌の間で火球を作ると、それを上空に上げて弾けさせる。
「へっ、ほのおタイプの技の威力を上げてくれてサンキュー」
したっぱが挑発するように言う。事実それが弊害だが、ラランテスの本領が発揮されるのはにほんばれ下の戦い
「一気に決めるぞ、ラランテス。ソーラーブレード」
ラランテスが上に向かって鎌を構えた。
「チャンスだ、ヤトウモリ。はじけるほのお」
ヤトウモリが尻尾を薙ぎ払うように動かしたと思うと、そこから火球が放たれてラランテスの方に向かってくる。
「ソーラーブレードは溜がある。先にこっちの技が当たるぞ」
したっぱが勝利を確信したように言う。
「ソーラーブレードに溜があるのは事実。だけど勉強不足だね」
ラランテスは上に向けていた鎌を腰に移し、そこから居合切りのように鎌を動かして飛んできた火球を両断する。
「なに!?」
したっぱとヤトウモリが共に驚いた顔になる。ラランテスはそこに容赦なく突っ込み、ヤトウモリを攻撃する。
「クソ!」
ヤトウモリはその場に倒れ、目を回す。
「ヤトウモリ、戦闘不能。第一試合、レーヴ君の勝利」
ハラが軍配をこちらに向けて宣言する。
「ククク、にほんばれでの溜無しソーラーブレード。悪くない」
その時、武舞台に一人の男性が上がってくる。整えられていないボサボサの白髪にクマのある目、背中にドクロマークが描かれたパーカー付きの上下黒ジャージを着て、片方のレンズが半月型に変形したサングラスをかけている。
「グ、グズマさん」
したっぱが驚いたように背後に立ったグズマと呼ばれた男性を見る。その顔は明らかに怯えている。
「それに引き換え、お前は何をしている?。ヤトウモリが最後の抵抗でお前の指示無しでひっかくをしようとしていたのになぁ」
グズマはしたっぱを見下すような目で見る。
「こんなガキに負けた事にも怒れるが、もっと怒れるのは先に戦意を失ったお前だ」
突然グズマの背後に現れたポケモンの鉤爪にしたっぱが持ち上げられる。
「グ、グズマさん・・・。勘弁して・・・下さい」
したっぱが苦しそうに藻掻くが、そのポケモンは全く動じない。
「グズマ、ここでは他の人への迷惑行為は厳禁ですぞ」
ハラが止めに入ろうとするが
「こいつは俺の身内だ。指図は受けないぜ」
一蹴する。ハラが自分のポケモンを出そうとするので
「ラランテス、ソーラーブレード」
先に僕がラランテスに指示する。ラランテスは直ぐにエネルギーを溜め、したっぱを持ち上げているポケモン目掛けて攻撃にかかる
「・・・シェルブレード」
そのポケモンはもう片方の鉤爪でラランテスのソードブレードを受ける。
「おいおい、お前とのバトルは後だぜ。だが、今ここで破壊するのも悪くない」
「そこまでだ、グズマ」
ククイ博士も見たことがないポケモンを出してけん制している。ベージュ色の体毛を生やし、首元にたてがみがある四足歩行のポケモン。
「ちっ、ククイまで来るのか・・・・。もういい、グソクムシャ」
グズマはグソクムシャと呼んだポケモンを引っ込める。したっぱは思いっきり尻もちをついたように『ドスン』と音がして武舞台に落ちる。
「行くぞ」
したっぱに指示し、グズマは武舞台を降りていく。したっぱもそれに付き従うように降りて行った。
「何はともあれ、一回戦突破おめでとうレーヴ」
ククイは買ってきたマラサダと呼ばれるアローラの名物であるお菓子を渡される。
「マラサダ♡。やっぱアローラ帰ってきたらこれだよな」
僕とククイ博士の分を取り出すと、残りはハウがとても喜んで食べている。その笑顔を見るだけでこっちも幸せになる位の満面な笑顔。
「ところで博士、そのポケモンは?」
側に居る先ほどのポケモンを僕は見ながら聞く。
「ああ、こいつはルガルガンだ。僕のイワンコの進化形さ。こいつは『まひるのすがた』と言う姿でな。今まで『まひる』と『まよなか』のニ種類しか居ないと思われてたんだが、最近もうニ種類の進化が確認されてな」
「四系統の進化・・・。なかなか」
僕は感心する。そんなにも多岐にわたる進化を持っているポケモンはほぼいない。
「と言っても、その二種類のうちの一種類は一人のトレーナーの一匹しかまだ確認されていない進化条件が謎のポケモンなんだ」
「見てみたいですよ。その一匹しかいないルガルガン」
「まあ、そのうち会えるだろ」
ククイ博士はそう言ってマラサダを食べるのを再開する。僕も同じくマラサダを食べ始める。隣ではハウが変わらずにマラサダを頬張っていた。
『ニ回戦の対戦選手はテント前に集合してください』
マラサダを食べているとスピーカーから呼び出しがかかる。ハウが出場するから食べきれていない分を貰おうとハウの方を見ながら
「ハウ、マラサダの袋を」
「え?捨てといてくれるの?サンキュー」
まだ中身の入った袋を貰おうとしたら、
「それじゃあ行ってくるねえ」
ハウは無邪気な笑顔で手を振りながらテントの方へ駆けていく。僕はククイ博士と目を合わせた後にもう一度マラサダが入っていた袋を見る。
「ククイ博士、今度ハウにマラサダあげるときは小分けにしましょう」
「そうだなレーヴ」
二人は誓い合った。
ルガルガンの進化系統はゲームでは3種類ですが、本小説ではオリジナルのもう一種類あります。ククイ博士の言う通り小説には登場しますが、かなり後の方になります。
既に姿の名前も考えてあります。