ポケットモンスター レーヴの物語   作:景雲

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第13話 目的

暫く僕とリーリエがベンチに腰掛けて待っていると大きな紙袋を持ったハウがやって来る。

 

「お待たせ」

 

気の抜けた顔で挨拶するハウ

 

「ハウさん、その量は」

 

リーリエはハウが持つマラサダの量に驚いた声を上げる。紙袋には入りきらないマラサダが顔を覗かせている位たくさん入っている。

 

「好きにも程があると思うよ、ハウ」

 

僕はその量に特に驚きもせず言う。

 

「ん?これは皆の分も入れてだよ。はい、レーヴとリーリエに」

 

そう言ってハウは僕とリーリエに取るよう、マラサダの入った紙袋を差し出した。

 

「え?あ、ありがとう」

 

「ありがとうございます。頂きます」

 

僕は意表を突かれたように貰い、リーリエも受け取る。ハウは視線をリーリエの足元に居るシロンに移し

 

「そこのロコンにも」

 

ハウがしゃがんでシロンの元にマラサダを差し出す。それを見てシロンは匂いを嗅ぐような仕草をし、恐る恐る一口食べると、気に入ったのか鳴き声を挙げて食べ始める。

 

「ありがとうございます、ハウさん。シロン、良かったですね」

 

リーリエの言葉にシロンが『コーン!』と応える。

 

「へ~、シロンって名付けたんだ」

 

「はい!。白いロコンなのでシロンです」

 

「良い名前だと思うよ」

 

ハウがそう言った後、僕の方を見てくる。

 

「レーヴもポケモンを出しなよ。その為の皆の分なんだから」

 

ハウはそう言って自分もポケモンを出す。

 

「ハウ、それはありがたいんだが、絶対にポケモン入れてもその量は多いぞ」

 

僕もポケモンを出しながら言う。

 

「へえ、ガブリアスやラランテス、クロバットは見たけど。残りはクレベースやラグラージ、もう一体は?」

 

僕が海面を指差すと、一匹のポケモンが顔を出す。

 

「ラ~!」

 

「へえ、ランターンかぁ。中々可愛いポケモンを持ってるじゃん」

 

僕もハウのポケモン達を見る。ピカチュウやチコリータは見ていたが、オンバットやイーブイと

 

「このポケモンは?」

 

僕は寝ているポケモンを持ち上げる。もふもふした肌触りで目と脚の周りは白でそれ以外は茶色。蝶ネクタイみたいな葉っぱを付けたポケモンだった。

 

「そいつはモクローだよ。俺がアローラに居た頃に一緒に遊んだりしたポケモン」

 

モクローと呼ばれたポケモンは目を覚ますと飛び立ち、今度は僕の頭の上で寝始める。

 

「レーヴの頭の上が気に入ったみたいだな」

 

そこで再び眠りにつこうとするので持ち上げて地面に下ろす。

 

「気に入ってくれるのは嬉しいが、それはハウにやってくれ」

 

ハウがポケモン達にマラサダを配っている。ポケモン達は食べているが、何匹かは表情がイマイチだった。

 

「そんな好きな味じゃなかったのか。ごめんなぁ」

 

ハウが謝るように配ったポケモン達に周る。どうやら、マラサダはポロックやポフィンと同じくポケモンにも好みがあるようだ。

 

「さて、レーヴ。ポケモン達もお腹一杯になったみたいだし、食後の運動を兼ねてポケモンバトルをしよう」

 

ハウがこちらに向き直って言う。

 

「いいよ。けど、ククイ博士の準備完了までだからそんなに長引かせるわけにもいかない。一対一にしよう」

 

「よし!。レーヴと初のバトルだ」

 

そう言ってハウは少し離れた所でこちらに相対する。

 

「俺はモクローで行くぞ!」

 

そう言うとモクローが目を覚まし、翼を広げて威嚇する様に鳴く。

 

「さっきの寝姿とはえらい違いですね」

 

僕は誰を使うか迷う。飛行能力を持っているのでクロバットで挑むことも考えたが

 

「ここは、ランターンで」

 

水上に顔を出しているランターンの方を向いて宣言する。

 

「ら~」

 

ランターンはそう鳴き声を出し、挑発するよう舌を出す。

 

『待つロト~』

 

っと、突然ロトム図鑑が僕の前に現れた。

 

『酷いロト、レーヴ。僕を置いて行くなんて』

 

ロトム図鑑は怒ったように僕に言う。

 

「ごめんごめん、ロトム。よく帰ってこれたね」

 

『街の人に聞きながら探したロト。苦労したロト』

 

 

 

「レーヴ、そろそろ攻撃していいか?」

 

ハウは気を使って待っていてくれたようだが、最終的にロトム図鑑と殴り合いを始めたので話しかけてくる。

 

「ごめんよ、ハウ。ロトム、今からバトルするからデータ収集で許してくれ」

 

ロトム図鑑も腕を組んで、『仕方ないロト』と言って僕の横に付く。

 

「それじゃあハウ、お詫びに先攻を譲るよ」

 

「それじゃあモクロー、はっぱカッター!」

 

モクローが飛び立つと、ランターンに向かって鋭い葉っぱを飛ばす。

 

「れいとうビームで撃ち落とせ」

 

ランターンが口から冷気を放ち、向かって来る葉っぱを凍らせてしまう。

 

「ランターン、水中に潜れ」

 

ランターンが頭を引っ込め、水中に潜る。それをモクローが探す様に上空を旋回し始めた。

 

「連続ではっぱカッター」

 

ハウの指示に従い、モクローが連続で水面にはっぱカッターを放つ。しかし、幾ら鋭いはっぱを高速で飛ばすとはいえ、水中では直ぐに減速して海面に浮かんできてしまう。

 

「ランターン、れいとうビーム」

 

ランターンがれいとうビームを放とうと浮上し始める。

 

「そこだモクロー、はっぱカッター!」

 

モクローはハウが指差した部分に正確にはっぱカッターを放つ。すると、その場所にランターンの顔が現れる。

 

「ら~!」

 

はっぱカッターが直撃し、ランターンが再び水中に逃げる。

 

「よし!」

 

「驚いた。正確に顔を出すところを狙うなんて」

 

ハウがガッツポーズを取り、僕は驚愕の表情でハウを見る。

 

「何故?」

 

僕は海面を見ると、先程連続で放たれたはっぱカッターの葉っぱが浮かんでいる。ただ、先程ランターンが顔を出した場所の周りには葉っぱが無かった(・・・・・・・・)

 

「そういう事か」

 

ランターンが海面に顔を出すために浮上するが、その浮上する際に水を押し上げてしまう。その力で水面が盛り上がってしまうのだ。目では判別できないが、ハウは葉っぱがその場所から移動する事で見分けたのだ。

 

「ランターン、なみのり」

 

波が発生し、海面に浮かぶ葉っぱを流してしまう。

 

「ああ!」

 

「ランターン、もう一度れいとうビーム」

 

ハウが残念そうな声を出し、僕はランターンに指示を飛ばす。

 

「モクロー、上昇しろ」

 

モクローが上昇を始めた所でランターンが顔を出し、冷気を放つ。

 

「モクロー、反転して急降下」

 

モクローの後ろを追う冷気を避け、反転させて急降下に移る。

 

「そのままつつく」

 

急降下で冷気を避けながらランターンに接近する。

 

「ランターン、あやしいひかり」

 

ランターンの提灯部分が青紫の光を放った。それを見たモクローはそのままの勢いで海面に突っ込んだ。

 

「モクロー!」

 

モクローが海面で藻掻くように暴れる。翼が水を吸って飛べなくなったのだ。

 

「ランターン、もういいからモクローを助けろ」

 

「ら~」

 

ランターンが一旦水中に潜り、モクローの真下から浮上して背中に載せる。モクローは安心したように座る。

 

 

「ありがとうランターン」

 

「よくやった、ランターン」

 

ハウが船着き場で背中に載るモクローを抱き上げ、僕はランターンに労いの言葉をかける。

 

「やっぱり、レーヴはじいちゃんに勝つだけはある。俺の策を直ぐに見抜くんだから」

 

「いや、ハウのバトルセンスは中々だと思うよ」

 

お互い褒め合っていると、他のポケモンを連れてリーリエが合流する。

 

「ポケモンさんを元気にしますね」

 

そう言ってリーリエは大きなスポーツバッグを開けると

 

「ピュイッ!」

 

いきなり中から『ほしぐも』が現れる。

 

「あ、いけません!。ほしぐもちゃん」

 

「ぴゅい?」

 

ほしぐもは無邪気な笑顔でリーリエを見る。

 

「おわ!、何だこれ?ポケモンなのか?」

 

ハウは驚いた声をあげる。そして、

 

「初めて見るポケモンだな」

 

『データには無いポケモンロト』

 

歩いて来たククイ博士とロトム図鑑も興味津々で見る。

 

「ほしぐもちゃん・・・」

 

この後、僕とリーリエが二人に事の顛末を話す。

 

 

 

「なるほど」

 

一通り話し、聞き終えたククイ博士は言う。

 

「つまり、リーリエは『ほしぐも』を故郷に帰したいと」

 

「はい・・・でも、何処が故郷なのか分からなくて」

 

弱気に言うリーリエだが、ハウは笑顔になって

 

「良かったじゃないかリーリエ。旅の目的が出来て」

 

「え?」

 

リーリエは驚いた顔でハウを見る。

 

「レーヴは島巡り。俺は強くなる。リーリエはほしぐもを故郷に帰す。三人の目的が出来たじゃん」

 

ハウは屈託のない笑顔で言った。

 

「きっかけはレーヴの島巡りだけど、皆それぞれ目的がある。最高の旅になるよ」

 

「そうだよ、リーリエ。この島巡りでほしぐもの故郷に関する情報を集めれば良いんだよ」

 

ハウや僕がリーリエに言う。

 

「そうだぞ、リーリエ。目的のある旅は充実した旅になる。皆目的は違ってもな」

 

ククイ博士も言う。

 

「皆さん・・・・」

 

「困ったら、周りを頼ればいい。皆大切な、旅の仲間だ」

 

ククイ博士はそう言い、手を出す。僕やハウもそれに合わせた。

 

「皆目的は別々だが、楽しい旅をスタートさせる仲間だ。この旅を、充実したものにしよう」

 

リーリエも手を合わせ、四人で宣言する。

 

『良いシーンロト。写真を撮るロト』

 

ロトム図鑑が周りを飛んで写真を撮っている。僕はそんなロトム図鑑を捕まえ

 

「ロトム、君も目的があるだろ。ポケモンのデータ収集と言う」

 

『そ、そうロト。僕にも目的があるロト』

 

「それじゃあ、皆で撮ろうか」

 

僕はカメラを取り出し、固定する。

 

「はい、もっとポケモン達も寄って寄って」

 

僕は手でポケモン達に指示をしながら丁度いい感じに収まるようカメラを調節する。

 

「よし、行くよ」

 

タイマーをセットし、僕は皆の中に入ってカメラに顔を向ける。その瞬間、シャッターが切れる音がした。

 

 

 

 

「釣り橋は壊れていた筈だぜ」

 

メレメレ島、戦の遺跡内部にてグラジオはグズマと対峙していた。

 

「空でも飛んできたのか?」

 

グズマは挑発する様にグラジオに向かって言う。

 

「関係ないことだ」

 

グラジオは素っ気ない態度で言う。すると、奥に居たスカル団のオヒアとレフアが来る。

 

「ボスに向かって、何て口の聞き方だ」

 

「私達に勝ったからって生意気言ってるんじゃないよ」

 

グズマの前に出て二人がグラジオを睨みながら言う。

 

「黙れオヒア、レフア」

 

グズマがそう言って二人の間を割って前に出る。

 

「ここに何しに来たかは知らねえが、俺はお前を探してたんだぜ」

 

「探してた?」

 

グラジオがグズマを睨む。

 

「そんな眼をするなよ。同じ奉納試合に出た者同士じゃねえか。・・・・正直な事を言うと、お前をスカル団(うち)の用心棒として雇いたい」

 

「何だと!?」

 

グズマの真意が分からず、グラジオは声を荒げて言う。

 

「ここに居るオヒアやレフア、あともう一人居るんだが、こいつ等以外はバトルの実力が低いだらしねえ奴等でな。ここいらで、ちょいと実力者を雇って組織を締めたいんだ」

 

「・・・良いだろう」

 

グズマの真意を聞き、グラジオは答える。

 

「お、やけに話が早いじゃないか」

 

「俺からも聞きたい事がある。その奉納試合で去り際に言った命令できる『あの人』とは誰だ?」

 

次にグラジオはグズマにそう質問をぶつける。しかし、帰ってきた答えは

 

「さてな、そんな事言ったか?忘れちまったよ」

 

惚けだった。

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