それぞれの投げたボールがリングに落ち、中のポケモンが出現する。
「ガアァァァ!!」
僕の投げたダークボールから出たガブリアスが咆哮して構えを取る。ハウはピカチュウ、グラジオはヌルを繰り出した。そして、ロイヤルマスクの出したポケモンは
「ジャラァァ!!」
体中が鱗に覆われた二足歩行のポケモン。僕がそのポケモンを見ると一部の鱗は金色をしており、見た目が美しく感じる。
「見たことがないな」
僕はロトム図鑑を呼ぼうとするがその前に
『さあ、全員のポケモンが出揃いました。特にロイヤルマスクのポケモンは数々の伝説を作り上げ、当人の無敗記録更新を常に支え続けるエース、ジャラランガだ!!!!』
解説者は興奮しているのか、言葉に力が籠って紹介してくれた。会場はより一層の歓声と興奮に包まれる。ポケモン達もそれに答えるように咆哮する。
「ガブリアス、君はこういうバトルは好きだろ。思う存分、力の限りを尽くして戦って大丈夫だ」
僕の言葉にガブリアスは爪を正面に向けてジャラランガを威嚇するように構える。ジャラランガもそれを見て腕をガブリアスの方へ向けて構える。
「その固そうな鱗・・・見た目ははがねタイプかな」
僕は初めて見るジャラランガを観察する。その全身を覆う固そうな鱗からはがねタイプと予想した。
(ハウのピカチュウはでんきタイプ・・・、でんき技はガブリアスには効かない。ヌルはタイプが分からないが、使ってきた技や見た目からノーマルタイプだろう)
僕はハウやグラジオが出したポケモンを見てそう判断する。ハウもグラジオもロイヤルマスクとジャラランガを見ている。
「ピカチュウ、10まんボルト」
ハウが早速ピカチュウに指示を出す。ピカチュウが頬っぺたにある赤い斑点からバチバチと電気を出すとジャラランガに向かって放った。ジャラランガはそれを受けるが、全くビクともせずそれを払いのける。
「ヌル、ブレイククロー」
今度はグラジオがヌルに指示を出す。ヌルは僕のガブリアスに向かって走ってくると鋭い爪で切り裂きにかかる。
「ドラゴンクローで受け止めろ」
ガブリアスが姿勢を低くして両腕の被膜を伸ばし、ヌルの爪を受け止める。
「おいおい、組み付いてて大丈夫なのか!?。スケイルノイズ」
ロイヤルマスクがそう言うと、ジャラランガの鱗の一部が振動を始める。その音を衝撃波の様に拡散させ、ピカチュウと組み付いているヌルとガブリアスがその衝撃波に捕まって吹き飛ばされる。
「大丈夫か、ガブリアス?」
ネットに体を押し付けて倒れたガブリアスは立ち上がり、頭を振った後に今度はジャラランガの方を向いて威嚇する。
「邪魔されて気が立つのはわかるが、これはそういう勝負だ」
僕が宥めるようにガブリアスに言うと、ガブリアスは理解したのか通常の構えに戻る。
「ガブリアス、アイアンテール」
ガブリアスの尻尾が鋼鉄の様に硬質化し、それを思いっきり振ってジャラランガに当てようとする。
「まもる」
ロイヤルマスクが透かさず指示をしてアイアンテールを防いだかと思うと、ジャラランガは姿勢を低くする。
「そのままスカイアッパー」
ロイヤルマスクが拳を振り上げる動作をして指示を出す。ジャラランガも姿勢を低くしたまま拳を振り上げてガブリアスの顎に一撃を入れ、そのままジャンプして空中に打ち上げた。
「ヌル、トライアタック」
ヌルのトサカから三色の光が放たれ、落下してきたガブリアスを貫いた。
「卑怯何て言うなよ。チャンスを生かして追加ダメージを与える。これはそう言うバトルだ」
グラジオが僕の方を向いて言う。僕は帽子を被り直し
「言わないよ。これはバトルロイヤル、味方なんていない。共闘することはあってもね」
僕が言ったと同時にピカチュウのでんこうせっかがヌルを襲った。
「何!?」
「決まった!!」
グラジオが驚いた表情を浮かべ、ハウの明るい声が聞こえる。
「助かったよ、ハウ」
「へーきへーき。俺もちょっとは見せ場を作らないと」
ヌルとピカチュウはフィールド全体を使ったバトルを繰り広げている。だが、どちらも決定打を作れていない状態だった。
「アイアンテール」
「シザークロス」
片方が攻撃すれば防御をする。そんなバトルが繰り広げる傍で、ガブリアスとジャラランガは睨み合う。
「向こうは向こうでやりあってるな。レーヴ君、こっちはこっちでやろうか」
ロイヤルマスクが笑みを浮かべて言う。
「必然的にそうなりますね」
ガブリアスもジャラランガも一歩も引かずに攻めの姿勢を取る。
(しかし分からない。見た目からドラゴンとはがねタイプかと思ったが、使ってきたのは見た事もないスケイルノイズは別としてまもるはノーマル、スカイアッパーはかくとうの技)
僕は今までジャラランガが使用した技を思い出す。
(今まで、ドラゴンとかくとうを併せ持つポケモンは居なかったが、ここアローラにはいるということか)
初の組み合わせを持っている可能性がある目の前のポケモンを見て僕はどう攻略しようか迷う。
「ガブリアス、まだ持ちそうか?」
僕の言葉にガブリアスは両腕を上げて答える。
「流石、レーヴ君のエースポケモンだ」
「・・・ん?何故ガブリアスがエースポケモンだと御存知で?」
ロイヤルマスクの発言に違和感を覚えた僕が質問すると、ロイヤルマスクは慌てた様子で
「いや、その。なーに、こういうバトルに出すのは大抵一番強いポケモンだと相場は決まっているからね」
答えた。
「まあ、間違ってないですけど。ガブリアス、組み付け!!」
ガブリアスがジャラランガに突進する。
「受け止めろ、ジャラランガ」
ガブリアスの両腕をジャラランガの手が捉え、お互い組み付く。
「力で負けるなよ、ガブリアス」
ガブリアスが僕の言葉に答える様に、一歩一歩ジャラランガを押していく。ジャラランガが足を擦りながら後退する。
「ジャラランガ、後転して組み伏せろ」
ジャラランガがガブリアスの押す力を利用して共に後ろに転がり、ガブリアスの背中を地面に押し付けて停止する。ガブリアスが抵抗するが、両腕をがっしりと固定されていて動けない。
「ラスターカノン、発射準備」
ジャラランガが口を開け、そこに光が集まり始める。ガブリアスがより一層抵抗を強めるが、一向に逃れられない。
「ガブリアス、アイアンテールだ」
僕の指示にガブリアスは透かさず硬質化させた尻尾をジャラランガの背中に当てる。ジャラランガが前のめりに倒れたお陰で間一髪ラスターカノンを回避でき、固定からも脱出できた。
「ガブリアス、まだいけるか?」
ガブリアスは咆哮で答えるが、疲労も見える。
(流石に限界か)
疲労を見せるガブリアスに対し、ジャラランガはまだ余裕そうだった。ゆっくりと間合いを図るように移動している。
「ガブリアス、これできめるぞ。りゅうせいぐん」
ガブリアスはオレンジ色の光球を上に向かって放つと、光球が別れてジャラランガに向かって降り注ぐ。
「ほう、ドラゴン技最強を誇るりゅうせいぐんか。受けて立とうじゃないか」
ロイヤルマスクはそう言うと拳を握って低い姿勢になる。その動きをジャラランガも同様に行う。
「スカイアッパー!!」
ロイヤルマスクが拳を振り上げて叫ぶと同時に、ジャラランガはその場でジャンプして拳を振り上げて降り注ぐりゅうせいぐんにむかっていく。
「冗談・・・・でしょ?」
ジャラランガの拳に当たったりゅうせいぐんは次々と砕け散ってしまう。着地したジャラランガにダメージを与えられた様子はない。会場は盛り上がりを見せる様に声援をあげる。
「これは驚いた」
僕も、そしてガブリアスも驚いた表情でジャラランガを見る。
「スケイルノイズ」
鱗の振動によって発生する衝撃波がガブリアスを、そしてピカチュウとヌルを巻き込んだ。
『勝負あり!!ジャラランガのスケイルノイズに他のポケモンはノックダウン!!。試合を制したのは、無敗を誇るロイヤルマスクとジャラランガだ!!』
会場は一際大きな歓声が渦巻く。僕は倒れているガブリアスをボールに戻すと、拍手を送る。
『お試しの試合とはいえ、勝者はやっぱりこの人。ロイヤルマスクだ!!』
「以上がここ、ロイヤルドームで行われるバトルロイヤルの試合形式だ。実際のバトルロイヤルは三匹を持ち寄ってバトルになるんだが」
僕とハウはぐったりしてロイヤルマスクの話を聞いている。グラジオは何度か出場経験があるようで慣れているみたいだった。
「強いトレーナーが大勢参加しているので、今後もぜひ挑戦してみてくれ」
ロイヤルマスクがそう言うと、グラジオはさっさとドームを後にするように立ち去っていく。
「そうそう、レーヴ君。君は島巡りに挑戦しているそうだね。なら、ヴェラ火山公園にいるキャプテンの元に向かうと良い。きっと、ここに負けない熱い試合ができるぞ」
そう言ってロイヤルマスクもドームから去って行く。僕とハウは背中合わせにその場に座り込んだ。
「俺、グラジオを抑えるだけで手一杯だった」
「けど、グラジオを引き付けてくれてありがとう。お陰でロイヤルマスクと正面から戦えたからね。結果的に負けてしまったが、良いバトルだった」
「そう言えば、何か忘れてるような」
ドームを出た僕とハウ。ドーム出口で僕は腕を組んで考え込んだ。
『酷いロト。マラサダをご馳走してくれるって言ったのに、起こしもしないで食べて、オマケにバトルをしたロト!!』
ロトム図鑑が金具を外して僕の目の前に来て言う。
「そういえば、やけに静かだと思ったら休眠モードだったの?」
『そうロト。いざって時に動けないと困るロト。・・・・それはそうと、マラサダをご馳走するロト』
ロトム図鑑に連れられて再びマラサダショップに行き、マラサダを買わされる。ハウの方は・・・・・店員がドン引きする位大量に買っていた。