ポケットモンスター レーヴの物語   作:景雲

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第1話 アローラ地方へ

少年はポケモンが好きだった。

 

この世界に生きる不思議な生物。ポケットモンスター、縮めてポケモン。

 

物心ついたときから家の近くに住み着くポケモン達と遊び、食事をし、一緒に寝ていた。時には外で一夜を明かし、翌日に母親に怒られても懲りずに繰り返したりした。

 

それぐらい、ポケモンが好きだった。今日も家の近くの森をポケモン達と探検していた。そんな時、一人の人間と出会った。

 

 

「ポケモンが好きなのか?」

 

見知らぬ人間だった。褐色肌の上に白い上着を着用し、グレーの短パンを履いている。

 

「おっと、失礼。僕はククイ。カントー地方のジム巡りをしている最中でね。クチバジムを目指している最中なんだ」

 

「僕はレーヴといいます」

 

ククイと名乗った人物は握手を求めていたのでそれに応えつつ少年も名乗る。

 

「あと、先ほどのポケモンが好きなのか?の質問ですが、答えは大好きです」

 

それを聞いたククイは腰に手を当てて

 

「ハッハッハ。大好きか。そうかそうか。だったら、大きくなったら旅をすると良い。色んな地方で色んなポケモンに出会えるぞ。そうすれば、もっとポケモンの事が好きになる」

 

笑いながらそう言った。少年・レーヴは顎に手を当てて考えるポーズをする。

 

「旅・・・ですか。まだ僕はポケモンを捕まえられる年齢では無いですが、捕まえられるようになったら旅をしたいですね」

 

「捕まえてない・・・。じゃあ、このポケモン達はご両親の?」

 

ククイはレーヴの周りのポケモン達を見渡しながら言う。

 

「この子たちは家の近所に住んでいるポケモン達です。よく一緒にこうして遊んだりしています」

 

周りを囲うポケモン達もそれに応えるよう鳴き声を挙げる。ククイはそれに頷いて見せる。

 

「なるほど。大分懐いている様に見える。君の事もとても信頼しているようだ」

 

「それよりもククイさん、旅について僕の家で詳しく教えてくれませんか?」

 

「え?別にそれは構わないけど」

 

「じゃあ、お願いします」

 

そう言うなり、レーヴはククイの腕を引っ張って家の方に向かって走り出す。

 

「おいおい、そんなに急がなくても」

 

そんな二人の後ろをポケモン達がついてきた。

 

 

家に着くなり、母親にククイの事を話す。最初、母親は驚いていたが、直ぐに分かってくれてお茶を出すと自分の部屋に戻っていった。

 

その後、ククイはレーヴに旅の事を話す。自分がアローラ地方という遠い地方出身で、そこでは島めぐりという伝統がある事。ククイはそれを制覇し最後の大大試練を終えた事。だが、自分はそこで頂点を決めるリーグを開催したいと思い、島巡りに似た文化を持つカントー地方を旅してジム巡りをしているのだという事。

 

レーヴはククイの話に目を輝かせて聞いた。ククイはその後、クチバジム挑戦までの間、レーヴに付き合っては一緒に遊んだ。クチバジムのジムリーダー・マチスは船乗りとしての仕事をしているのでジムを空けていることがある。なので、挑戦できるまでククイはクチバシティに滞在している。

 

ククイと一緒という事で、家に帰らなくても怒られないのは良かった。一日中ポケモン達と駆け回り、疲れて一緒に寝る。そんな生活をしていた。

 

 

 

遂にククイはジムリーダー・マチスに挑戦し、見事勝利してジムバッジを手に入れたので次の街を目指す事になった。僕は見送りに街外れまで一緒に歩いて行く。

 

「そんな顔するなって。僕の地方にはマナーロっていう古い言葉があってな。意味は『貴方と私は共に生きていきます』って言葉だ。離れていても人と人は繋がってるんだよ」

 

歩きながらククイは言う。僕が別れを悲しんでるのを察したのだろう。

 

「マナーロ・・・良い言葉です」

 

「そうだろ?。僕は好きな言葉さ。アローラを表してるって思えてな」

 

ククイは頭の後ろに手を組んで歩く。そろそろ別れる場所となる。

 

「そうだ。忘れるところだった。今日君にこれを渡そうと思って、さっきアローラから転送して貰ったんだった」

 

そう言ってククイは鞄から1つのスーパーボールを取り出し、それをレーヴに渡した。

 

「これ・・・って」

 

「アローラ地方に住むカリキリってポケモンなんだ。大事に育ててくれよ」

 

レーヴはスーパーボールを受け取る。スーパーボールの青い部分が若干透けて見えるので、それで姿を確認する。

 

「貰って良いの?」

 

「ああ。それじゃあ、僕は行くよ。アフイホウ」

 

アローラの言葉で『また会いましょう』と言って手を振りながら歩いて行く。

僕も手を振りながら

 

「ポケモン、ありがとうございます!!。大切に育てていきます。さようなら!!」

 

ククイが見えなくなるまで見送った。

 

 

 

 

―数年後―

 

レーヴは自宅に向かって歩いていた。10歳で正式にポケモンを捕まえられるようになってから旅を続けていた。

一つの地方を旅しては別の、また終えては別のと繰り返していた。

 

「カントー、ジョウト、ホウエン、シンオウ・・・・」

 

手帳にはこれまで旅を終えた地方が記されていた。そこにペンを取り出し

 

「カロスもこれで制覇した」

 

カロスと書き加えた。生まれ故郷であるカロスも制覇した。

 

「次はどうしようか」

 

しかし、家で少しゆっくりするのもありかもしれない。そう思っていたら自宅に到着する。

僕はドアを開けながら

 

「ただいまー」

 

と言う。しかし、中からは返事もなく静かなままだ。それどころか、家具もあまり残っていない。僕は荷物を置くため、残された少ない家具のテーブルに近づくとそこには置き手紙と思しき便箋が置かれていた。

 

『レーヴへ。ククイ君を覚えてますか?彼の住むアローラ地方に引っ越すことにしました。貴方も旅を終えて帰宅したらいらっしゃい。そうそう、ククイ君が連絡を欲しがってたので連絡するように』

 

そう書かれていて、最後の方に連絡先らしき番号が書かれている。自分の連絡先は・・・一切かかれていない。僕は溜め息をつくが、とりあえず連絡をしない訳にもいかないので壁に掛かっているテレビ電話の受話器を取り、便箋に書かれた番号を押す

 

 

『レーヴか・・久しぶりだな』

 

画面にはククイが映し出される。

 

『知ってると思うが君のお母さんは既にこっちに引っ越しているんだが、君もこっちに来てほしいんだ』

 

「手紙を見ましたよ。ただ、母の連絡先が書かれていないんで連絡できてませんが。準備が出来たら向かうつもりです」

 

レーヴは再び手紙を見ながらククイに言う。

 

『そうか。なら、楽しみに待ってるぞ。お母さんにはこっちから伝えとこう。そうそう、僕は今は博士号を取得しているんだ。ポケモンの技に関しての研究を専門にね』

 

「それはおめでとうございます、ククイさん。いえ、ククイ博士」

 

通りで白衣姿の訳だ。相変わらず、上半身裸だけど

 

『ありがとよ。それじゃあ、楽しみにしてるから早く来いよ。っと、大事な要件を忘れるところだった。カントー地方にいらっしゃるオーキド博士と君が面識があるとお母さんから聞いてな。大事な荷物を頼んでるんだが、そっちに連絡してタイミングが合えば持って来て欲しいんだ』

 

「分かりました。それでは、ククイ博士」

 

そう言うと電話を一旦切る。そして、オーキド博士の番号を押す

 

 

『おー、レーヴか少し待ってな』

 

オーキド博士が出るなり、画面から一旦博士の顔が外れる。どうやら車で移動しているようだった。

 

『今、クチバシティに向かっておる所じゃ。儂の教え子がクチバに研究所を開こうとしておっての。研究所に関して、儂の意見を聞きたいそうじゃし、儂もクチバから荷物を送る用もあるからそっちに向かっておっての。お前さんは今はカロス地方じゃろ?』

 

車を路肩に停車させるなり、顔を画面に合わせて話してくる。

 

「いえ、今はクチバの自宅にいます。それより博士、その荷物の送り先はアローラ地方のククイ博士ですか?」

 

『一つはそうじゃが、もう一つは儂の従弟でアローラ地方でポケモンスクールを経営する傍らリージョンフォーム研究をしておるナリヤ博士じゃよ』

 

「リージョンフォーム?」

 

聞きなれない言葉に僕は疑問を浮かべる。オーキド博士はそれを見て

 

『ポケモンが大きく形を変える事が進化というが、今学会で議論されておる中には各地方に適応した独自の姿をしたポケモンの事を真の進化と呼ぶに相応しい。っと数年前からされておる。その独自に適応した姿をリージョンフォームと言うのじゃ』

 

「なるほど」

 

オスメスの微妙な姿違いは前から確認されているし、色の違う個体も時々生まれる。地方の環境に適応するよう独自進化するポケモンがいてもおかしくない。まだポケモンに謎な部分は多く残っているが、それを一つ一つ解明されて行ってもいる訳か。

 

「それで、ククイ博士から可能なら荷物を預かって僕がアローラに持ってくるよう言われているのですが、そのナリヤ博士の荷物もよければ持っていきますが」

 

そう言うとオーキド博士は笑顔になる。

 

『いやー実はすごく助かるんじゃ。何せ、その荷物はタマゴじゃからのう。船便では時間がかかってしまって、移動途中に孵化してしまったらどうしようかと思っていた所じゃ。儂も多忙で長期間研究所を空けていられないからのう』

 

「では博士、お待ちしています」

 

『うむ、ではこれから先ず君の自宅に向かうとしよう』

 

電話を切り、オーキド博士が来るまでの間に出発の準備をする。っと言っても、殆どする事なんてない。殆ど母親が引っ越す際に持って行ってしまっている。

 

 

 

着替えをすませて家の前で待っているとオーキド博士の乗った車が到着する。

 

「港まで送っていこう」

 

オーキド博士にそう言われ、僕は博士の車に乗り込んだ。

 

クチバ港には各地を結ぶ船会社の定期船の他、個人所有のボート等も船着き場には係留されている。その中に僕のもあった。但し、僕のは他の地方に行くために速さを求めている。

 

その地面効果翼機乗り込んだ。

 

「じゃあ、頼んだぞ」

 

オーキド博士から荷物を受け取り、機内に積み込む。

 

「それじゃあ博士、行ってきます」

 

そう言ってハッチを閉じ、加速位置までゆっくりと水上を移動する。

 

 

(アローラ地方・・・・。こいつ関連もあっていつかは行くつもりだったが)

 

上着のポケットから数字の書かれた紫のボールを取り出す。

 

(必ずこいつを元に戻す方法を見つける。友としての約束を果たす)

 

再び元のポケットに戻し、機外を見る。機体を加速位置まで移動させたらスロットルを全開にして加速していく

 

(アローラ地方に向かって、出発)

 

全速力でアローラ地方に向かって移動を開始した。




ククイ博士の一人称、ゲームとポケスペでは「僕」だけどアニポケじゃあ「俺」でしたが、ここはゲームの方でいきます。

オーキド博士の車のイメージってポケモン研究のためのフィールドワークに対応してランクルやパジェロっといったクロカンだと思っていたけど、アニメ見てたらオープンカーだった。自分の知る限り、アニポケでオダマキ博士とククイ博士はオフロード車に乗ってたから、ポケモン研究の権威であるオーキド博士は二台持ちって事で。

表面効果機はイメージとしては旧ソビエトのVVA-14みたいな高度を取って通常の飛行機としても使用可能な機体

ポケモンの話なのに一話は主人公含め、ポケモンを実際に出さない。二話からはちゃんとポケモン出します。
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