ポケットモンスター レーヴの物語   作:景雲

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第4話 ロトム図鑑

自宅に着いた僕の姿を見た母親は心配した様子だったが、「気にしないで」という僕の言葉を信用したのか、それ以上は何もしなかった。

 

夜になり、ククイ博士とその奥さんであるバーネット博士が訪れた。

 

 

「アローラ、レーヴ。ククイ君から話は聞いてるよ。私はバーネット。アーカラ島にある空間研究所の所長をしているわ」

 

僕の許に来たバーネット博士は自己紹介をしてくる。僕はお辞儀をした後に

 

「アローラ、バーネット博士。レーヴです」

 

自己紹介をした。

 

 

 

「え?この島の守り神にあったのか?」

 

バーベキューの中盤辺りで僕はククイ博士と少し離れた場所に移動して、別れた後の顛末を説明し、石をククイ博士に渡して見せた。勿論、リーリエから言われていたほしぐもの件は話さずにだ。

 

「守り神?」

 

「ああ、アローラ地方四島全てにそれぞれ守り神とされるポケモンがいるんだ。このメレメレ島の守り神はカプ・コケコというんだ」

 

僕はククイ博士の説明を受ける。

 

「そんな大層なポケモンが僕を助けてくれたんですね」

 

「滅多に人前には現れないが、気分屋なところもあるらしくいきなり人前に出てはバトルを挑んだり、イタズラをする事があるらしんだが。・・・・助けたって話は聞かないな」

 

ククイ博士は先ほど受け取った石を取り出して僕に見せてくる。

 

「案外、レーヴは気に入られたかもしれないぜ。この石を直接渡されたんだからな」

 

「その石は何なんですか?」

 

そう言うとククイ博士は白衣のポケットから腕輪のような物を取り出す。

 

「こいつはZリングと言ってな。トレーナーの思いをポケモンに重ねて互いの全力を解き放つことで炸裂する強力な技を引き出すための装置みたいなものだ。アローラ地方ではそれをZワザと呼んでいる。この石はそのZリングを作るための一番重要な物だ」

 

「そんな物をカプ・コケコは僕に」

 

 

「ククイ君、レーヴ君!。そろそろ締めに入るわよ」

 

そこにバーネット博士の声が聞こえた。どうやら、バーベキューは終盤に入ったらしい。見ると、リーリエは大分バーネット博士と打ち解けたのか、隣で食事をしていた。

 

「今行くよハニー」

 

ククイ博士はそう返事をし、僕に「戻ろうか」と言う。

 

「そうだレーヴ。明日付き合えよ」

 

「え?ククイ博士、僕はポケモンじゃないんですから、そんな頭突きを何発もできませんよ」

 

「そうだな。頭突きを何発もしたら頭痛くなるもんな・・・・違う!!ちょっと一緒に行って欲しい所があるんだ」

 

ポケモンの技を研究していると聞いていて、研究所で自分の体に向かって技を放っていたので心配になったが、どうやら違うらしい。

 

「何処へですか?」

 

「僕はポケモンスクールの非常勤講師もしているんだ。明日は授業だから、君にも来てもらいたい。君も、校長には渡す物があるんだろ?」

 

「はい、オーキド博士からタマゴを預かってますから」

 

 

その後、バーベキューの片づけを終えてククイ夫妻は自宅に戻る。リーリエはバーネット博士と打ち解けたのでそちらにお邪魔することになった。

 

 

 

翌日に僕はククイ博士の自宅を訪れる。扉を開けるとリーリエが出迎えてくれた。

 

「アローラ、レーヴさん。ククイ博士が下で待っていますよ」

 

「アローラ、リーリエ。分かったよ」

 

僕は中に入り、リーリエに案内されて地下へと降りる。地下には色々なトレーニング器具が置かれている。その奥にパソコンの置かれたテーブルがあり、そこにククイ博士がいた。

 

「来たかレーヴ。こっちに来てくれ」

 

僕を手招きするククイ博士の元に行くと、机の上に昨日届けた段ボール箱が置かれている。

 

「今日こいつを起動しようと思ってな」

 

そう言ってククイ博士は段ボールを開け、中から入っている機械のような物を取り出した。

 

「こいつはポケモン図鑑なんだが、今度のは凄いぞ。ちょっと持っていてくれ」

 

ククイ博士は僕に図鑑を手渡し、パソコンの操作を始める。暫く操作しているとコンセントがバチバチと青い光と音を発し始める。

 

「博士、大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫だ。見てろ」

 

やがてコンセントから一匹のポケモンが現れる。

 

「ロト?ロト?」

 

そのポケモンは辺りをキョロキョロと見渡している。

 

「知っていると思うが、こいつはロトムって言うんだ。色んな家電に入り込んで生活のサポートをしてくれる時もあれば、イタズラする時もある。まあ、好奇心旺盛なポケモンだな」

 

ロトムはキョロキョロするのをやめ、ククイ博士のトレーニング器具を眺めたり、ロトムを不思議そうに見ていたリーリエの目の前にいきなり移動して彼女を驚かせたりしている。

 

「このアローラにもロトムは居るんですね」

 

「いや、このアローラには野生で生息していない。こいつはシンオウ地方から来たんだよ。電気の流れに乗って移動できるから、シンオウ地方からポケモン転送システムを経由してアローラに来て僕の家に呼んだんだよ」

 

「説明よりもククイ博士、そろそろ止めなくて大丈夫ですかね?」

 

ククイ博士が見るといつの間にかロトムが扇風機と融合してスピンロトムになっており、部屋にあるトレーニング器具などを倒したり観葉植物の葉などを飛ばしたりとしている。それをリーリエが必死に止めようとしているのだが、イタズラ好きのロトムがそんなことでは止められる筈がない

 

「のわー!?。レーヴ、止めるの手伝ってくれ!!」

 

三人がかりでようやくロトムを止めることができたが、部屋は台風が去った後みたいになっていた。

 

 

掃除を終え、リビングで休憩を取っている僕とリーリエの元にククイ博士がお茶を容れて持ってくる。

 

「手伝ってくれてサンキュー。さっきみたいにロトムは様々な家電に入り込めるんだが、カロスのある少年が他にもロトムが入れる物があるのではないかって考えたらしいんだ。そこでオーキド博士やシルフカンパニーが協力して作られたのがこの図鑑」

 

机の上に置いてある図鑑を示してククイ博士は言う。

 

「ロトム関連のシステムはその少年が。筐体をシルフカンパニー。図鑑の機能をオーキド博士が組み込んで作られたんだよ。それで、まだアローラ地方には図鑑が無かったから、ナリヤ博士経由で僕の所に話が来たって訳さ」

 

ククイ博士が図鑑を手に取ってロフトに居るロトムの方に向ける。

 

「さあロトム、ちょっとこれに入ってみてくれないか?」

 

ロトムが図鑑に興味を示したのか、ロフトから下に降りてくる。そして、図鑑の前で一度止まって周りを回りだす。

 

「ロトムさんは図鑑に興味を示してくれたのですね」

 

「ああ、もう少しだ」

 

ロトムが再度図鑑に近づき、中に入った。すると、図鑑はブルブルと震えだして手足が生える。

 

『ピ~ガガ、起動中・・・・起動中』

 

図鑑が喋りだし、電源が入ったのか画面が明るくなる。

 

『起動完了・・・・。アロ~ラロト。僕はロトム図鑑ロト。宜しくロト』

 

図鑑改め、ロトム図鑑は空中に浮かぶなり挨拶をする。

 

「レーヴ、君がこの島で最初の図鑑所有者だ。ロトムも、レーヴについて行ってくれ」

 

ククイ博士は僕の方を向いて言う。ロトム図鑑もこちらに飛んできて画面が僕の顔を映し出す。

 

『了解ロト。今使用者登録するロト』

 

ロトム図鑑がそう言うなり、カメラと思しき所の横のライトからフラッシュが焚かれる。予期せぬフラッシュに驚いて、画面では僕の驚いた顔が映し出される。

 

『使用者登録中。使用者登録中』

 

「待てロトム。撮り直してくれ」

 

僕が懇願するが、ロトム図鑑は無視するように登録作業を続ける。

 

『使用者レーヴ、顔写真と共に登録完了ロト。これから宜しくロト』

 

ロトム図鑑が握手を求める様に手を前に出す。

 

「・・・撮り直してくれるまで、握手はしない」

 

僕はそれを・・・きっと拗ねた顔で拒否したのだろう。リーリエはその二人のやり取りを見て笑っていた。

 

 

 

「これから向かうポケモンスクールは、ポケモンについて学ぶところだ。メレメレ島以外からも生徒が来ていて、そんな子たちには生活の為の寮が併設されている」

 

ククイ博士の車に乗って僕とリーリエとロトム図鑑は博士が非常勤を勤めるポケモンスクールに向かっていた。

 

「これが、ポケモンさんのタマゴですか」

 

後ろに乗るリーリエは同じく後ろに置かれたタマゴを見ながら言う。

 

「そうだよリーリエ。ただ、ポケモンがどうやってタマゴを生むかは未だに謎だけどね」

 

「ジョウト地方に居るウツギ博士が専門に研究しているんだが、人が見張っている時には何故かタマゴを生まないんだ」

 

僕とククイ博士が説明する。リーリエは顎に指を当てて考え込む仕草をし、

 

「きっと、オニドリルさんが運んでくるんですよ」

 

と答えた。その答えにククイ博士はハンドルに、僕はダッシュボードに頭をぶつけた。ロトム図鑑は電源が落ちたように床に倒れた。

 

 

 

ポケモンスクールに到着するなり、僕はククイ博士の案内でタマゴを持って校長室に向かう。リーリエは校庭で子供たちやポケモンと触れ合っている。ロトム図鑑はそのポケモン達の生態を記録するためにリーリエと共にいる。

 

「ここが校長室だ。ハイパーボイス並みの大きな声で挨拶して入ってくれ」

 

ククイ博士がそう言うと先にドアを開けて入っていく。僕もそれに続いてドアから一歩入り

 

「失礼します、レーヴと申します!。カントー・オオキド博士から荷物を渡すよう言われて来ました!!」

 

礼をして自己紹介をする。中には先ほど入ったククイ博士ともう一人・・・南国ゆえに日焼けしているが、それ以外はどう見てもオーキド博士にしか見えない人がいた。

 

「おー、待っとったゾロア」

 

そう言って日焼けしたオーキド博士はゾロアのみたいな目つきでこちらを見てくる。

 

「オーキド博士、アローラに来るんでしたら僕がタマゴを持っていかなくても良かったと思いますよ」

 

「いや、違うんだレーヴ。この人は・・・」

 

ククイ博士が何かを言おうとしているのを日焼けしたオーキド博士が止める。

 

「よいよい、ククイ君。学会でもよく、『ユキナリ博士、いつ日焼けなさったんですか?』と間違われる」

 

「レーヴ、この人はポケモンスクール校長で『リージョンフォーム』の研究者であるナリヤ博士だ。君の言うオーキド博士・・・ユキナリ博士とは別人だ」

 

「まあ、ワシもナリヤ・オーキドだから、オーキド博士と言うのは間違いではないんだが、それを言うとあっちの方が知名度があるからのう」

 

(オーキド博士、従弟と説明は受けたけどこんなに似てるなんて聞いてないですよ)

 

僕は心の中でオーキド博士に抗議する。

 

「それで、それが荷物のポケモンのタマゴじゃな?」

 

日焼けしたオーキド博士改め、ナリヤ博士が僕の持っているタマゴのケースを見ながら言う

 

「そうです」

 

僕はケースをナリヤ博士の前に置く。ナリヤ博士はそれを観察するように見て

 

「君はこれが何のタマゴか分かるかな?」

 

っと質問してくる。僕はヒントも何も無いので「分かりません」としか答えようがない。

 

「生まれてこなければハッキリしないが、これはアローラ地方でリージョンフォームが確認されている個体のタマゴじゃ。勿論、このタマゴはジョウトで発見されておる。どちらも、アローラのリージョンフォームではない個体じゃ」

 

「それを、アローラに?」

 

「ポケモンの姿が何に影響されるかの実験じゃ。今まで、同一地方内、同一個体での孵化しか確認されておらん。今回のは、このタマゴの個体はアローラではリージョンフォームが確認されておる。なら、所謂原種個体が定着していない地方で孵化したらどうなるか?・・・気にならんかね?」

 

「・・・すごく、気になります」

 

「ナリヤ博士、すみませんがそろそろ僕は授業に行きます」

 

今まで黙って聞いていたククイ博士は時間になったので授業に向かおうとする。

 

「おう、そうじゃククイ君。レーヴ君も今日の授業に参加させてはどうだろう?君の話じゃあ、中々のトレーナーと聞いておる」

 

ナリヤ博士が僕を見ながら言ってくる。

 

「後で参加させるつもりで連れてきました」

 

ククイ博士も同意する。僕に「断る」の選択肢はないらしい。

 




次回はようやくポケモンバトルです。

正直、バトルの描写どうしよう・・・
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