透目線
朝、俺は普段通り学校に来ていた。教室に入ると幼馴染の拓斗が近づいて来た。
拓斗『おはよー 透相変わらず気だるそうにしてんなぁ〜オメー』
透『うっせ ほっとけ 喧嘩ん時が一番生き生きすんだよ』
拓斗『オメーなぁ〜それもそれでどうかと思うぞ?』
透『分かってんよそんな 喧嘩だけで行く気もない。 流石にあの人に心配をかけたくはない。それに最近は喧嘩以外で楽しみ出来たからよ~。』
拓斗『!もしかして、中野さんか? オメー中野さんと話す時楽しそうに笑ってっからなぁ。』
透『ま、まぁな、三玖と話す会話が楽しくてまだあの子と話したいって、三玖が見せる表情や仕草をいつの間にか目で追っている自分が居る...........。気が付いたら、 俺の心は既に三玖 一色に染まってる.......。他の女子には何も感じねーのになぁ。』
透が自虐的に言ってた。確かに普段の彼はそこまで誰かに肩入れすることも、執着することもしない。何処かで一線を敷いて近づかないようにしていた。だが三玖だけが例外みたいだ。透自身、自分の感情に鈍い方ではない為、三玖を好きだと言う事を意外とすんなりと受け入れた。
拓斗『.......。やっぱり中野さんには感謝しないと、なまともに生きれて。』
と話していると透のスマホが鳴った。
♪~
透『ん?メールか』
どうやらメールが送られてきたようだ。そこにはなんと...........。
透『足立からだ、なになに『西方と加藤が他所の街から流れてきたゴロツキらにやられた!! 命に別状はないが、大怪我を負って病院に運ばれた!!』だと?』
拓斗『西方と加藤って?オメーの舎弟だよな?そんなに簡単にヤラレたりしないだろ? それなりに鍛えてるはずだろ?』
透『あ、あぁそんなヤワには鍛えてないぞ?......!!』
透も珍しく動揺していた。そしてメールを読んでいると、そこには
【近くにいた、ミキさんも喧嘩に巻き込まれれ怪我をした。病院に運ばれて、手当してもらってる。怪我自体は軽傷で軽い打撲と捻挫 擦り傷だと】
そこで透の雰囲気がガラリと変わった。彼から発せられる怒りに近くのクラスメイト達が青ざめた表情をしていた。
透『....。ミキさんに手を出したっていうのかっ!!! 殺す!!!!! 』
どうやら、ミキと言う人に何か思い入れがあるのだろう。
拓斗『…!どうする?組織を使うか?』
と拓斗が聞いてきた。彼らは何かしらの組織に所属しているようだ。
透『いや、組織を使うと喧嘩じゃ済まなくなる、それだけは避けたい。俺一人で行くよ まだ【白銀の死神】の方で行った方が後味が悪くない。』
『……分かったよ、好きにしろ。今から行くのか?』
『あぁ……。』
『先生には言っとくよ。』
『済まない。』
と透は教室を出て昇降口に向かって行った。
『……。(死ぬなよ透……。』)
透は廊下で三玖とすれ違い、一言二言話している間彼から発せられる威圧感、怒気は綺麗無くなり冷静な思考を取り戻していた。校門へ向かい一旦自宅に帰っていった。
三玖目線
透を見送った後、教室に向かっている最中に一花が聞いてきた。
『み、三玖大丈夫なの?あの人、あんなにに威圧感出して怒った感じでお姉さん怖くて怖くて、三玖が心配だよ。』
『……大丈夫だよ、一花。トールは確かに凄く怖いぐらい怒ってたけど、怒っている理由が【自分の仲間、大切な人を傷つけられた】って事で凄く腹が立ったって言ってたから。』
『そ、そっか。』
『うん。私も、一花や他の姉妹傷つけられたら凄く怒るもん。』
そんな時四葉が
『み、三玖が好きな人ってもしかしてさっきの死神さん!?』
『…え!///な、なんで?』
三玖が動揺すると
『だ、だって!!あんなに怒ってる人に近づいて行ったし、手を掴んだしそれに死神さんのこと名前で呼んでるもん!』
と四葉が興奮気味に両手をバタバタ振って詰め寄ってきた。
『『『…………………………。』』』
一花と四葉以外の三人は終始無言だった。
まぁ五月は絶賛気絶中です。いい加減起きないかなぁ~。
みんなと別れて教室に入ると拓斗が話しかけてきた。
『あ、おはよう中野さん もしかして透に会った?』
『……大和君、おはよう。うん、さっきトールに会ったよ。凄く怒ってたね。姉妹達も怖がってたよ?』
透を通していくらか話していたため、人見知りしないで話せた三玖でした。
『やっぱりか、けどアイツ途中から雰囲気が落ち着いたみたいだが、中野さん何かアイツにした?』
『!……う、ううん特に。少しお話しただけ。』
『!……。そっか、アイツはやっぱり中野さんの声が一番届くみたいだね。』
『え!?//そ、そうかな?トールは……。』
『うん、アイツの反応見ていると分かるよ』
『そっか//嬉しい。』
と話していた。
透目線
俺は一旦帰宅して、愛車に跨り隣町にある町外れの工場跡へ向かった。向かっている途中俺は拓斗にメールを送った。目的地に着くと愛車を止め周りを警戒しながら工場入口へ入っていった。中を進む間、誰にも会わずに奥までたどり着くと一つの扉があった。それを開けると広いホールみたいな空間がそこにはあった。そしてそこにはさっき仲間を襲った連中とガラの悪い不良達ざっと60人ぐらいがたむろしていた。そんな中、透が近づいていくと一人が透の存在に気が付き声を上げた。
『!!!!お、お前は!!は、白銀の死神!!!なんでこんなとこに!!」』
『……何って、てめぇらに貰った借りを返しに来たんだよぉ!!!全員皆殺しだ!!覚悟しろ!!!!』
『!!!く、くそぉ!いけ!!いけ!!相手は一人で丸腰だ!恐れるに足りねぇ!!いけ!!!』
指揮官みたいなヤツが言っていた。鉄パイプ、木刀、金属バット、角材、やら武器になるもの何でもござれっと言った感じで手に持ち、60人ぐらいが透に向かってきた。
彼は持ち前のフットワークで避け的確に無駄なくカウンターで相手を沈めていった。
シュウ! シュウ! ヒラリハラリ ドグゥ!ベギィ!
ドグゥ!ベギィ!バギィ! ドグゥ!!ドグゥ!!!ベギィ!!!
『グオォ! ギャァ! ウワァ!! ウ!』
『フン! ハア! トリャ!!ドリャ!! ハ!! どうした?どうした?その程度で喧嘩売ってきたのか!笑わせんな!!もっと楽しませろよ!!!』
ジャブ!!!ジャブ!!フック!!フック!!ストレート右左!!アッパー!!膝蹴り!!回し蹴り!
と透は多彩な戦闘スタイルで相手を圧倒していった。そして60人いた敵も10人まで減っていきそして最後の一人を沈めた。
『ハ!話にもなんねぇな、雑魚は!…と拓斗にメールするかさっき送った通りによろしくと 送信』
そうして、彼は周りを見渡し動いている者がいないことを確認すると、愛車へと戻り、そのまま学校まで走らせて行った。
彼が学校に着いたのが昼休みの半ば頃で教室に戻ると、教室に居るクラスメイトは一斉に振り向いた。
そんな中、拓斗を見付けて
『任務完了』
と言い食堂へ向かっていった。
食堂に行くと、三玖を含めむ中野家五つ子達がテーブル席で食べている姿を発見した
近づいていくと、一花がふと顔を上げた。
『ね、ねえ、三玖。今朝の人じゃない?』
一花の声で全員が振り向くと、三玖が持っていたスプーンを落とし、瞳に涙を浮かべ両手で口を隠し
『……う、そ……。』
とつぶやき透のもとに駆け寄り、そのまま彼に抱き着くのだった。
『!//み、三玖!ど、どしたの?//』
流石の透も予想外で頬を赤くして聞いてきた。三玖は彼に抱き着いたまま。
『……心配だった。無事で良かった…。』
と呟き
『!ごめんね、心配させて……。俺は大丈夫だから、安心して。俺は、ここに居るから。けど、ありがとう。俺なんかを心配してくれて。……まだ居ても良いんだって思えたから、凄くうれしいよ。ありがとう、心配してくれて……。』
透は申し訳ない顔をしながら、彼女の頭を左手で優しく撫で、右手で彼女の腰をゆっくり引き寄せた。
……………めっちゃ!いちゃついてんなぁ……。いいなー透、爆発しないかな~?
まだ付き合ってないんだけどいい感じですなぁ。
『ちょ!!ちょっと!!!あんたら!!いつまで抱き合ってんのよ!!離れなさいよ!!!』
ピンクに近い赤く腰まで伸びた髪、その頭に二つ付いた黒いリボンの少女、が正気に戻り熱い抱擁する二人を引きはがそうとした。
『んだよ!邪魔すんなよ』
『二乃、空気読んで……。』
『!じゃ、邪魔ってなによ!てか三玖!空気読んでってどう言う事よ!!』
『そのままの意味』
『ムキィ!』
『てか、お前誰?』
透が言った。そう言えば三玖しか知らないんだっけ。
『!二乃よ、中野二乃。三玖の姉妹よ。』
『あぁーそう言えば言ってたっけ?』
『うん、そだよ』
三玖が答える
『……じゃ、私も自己紹介しよっかな♪私は中野 一花。この子達の長女やってま〜す』
アシンメトリーのピンクのショートヘアー、耳にはピアスを付けた少女が言った。
『!はい!はい!中野 四葉です!死神さん!』
オレンジに近い赤いショートヘアー、頭に緑色のリボンを付けた少女が言った。
『………中野 五月です。』
赤く癖のあるロングヘアーに、頭頂部にはアホ毛。こめかみには星形の髪飾りを二つ付けた少女が言った。
これが、五つ子達全員との出会いだ。
時間は進み放課後、透は職員室に居た。ぶっちゃけ呼び出しである。そりゃあまぁ学校来たは良いが、喧嘩が理由で一限目から四時限目までサボったんだから当然と言えば当然の報いである。反省文の提出とお説教を受けて、げんなりとした表情で教室へ戻って行った。
教室に戻ると、数人の生徒が残っておりその中で彼の事を一番気にしている彼女が、妹の四葉と一緒に机を並べて居た。近づいてみると、どうやら宿題をやっている様だ。
『あ!死神さん!!お帰りなさ~い』
四葉が気が付いて言った。
『アン!?死神言うな!透だ、村上透!………名前なんて言ったっけ?』
『ひ、酷いです!四葉です、村上さん!!』
と四葉が抗議した。まぁそれをスルーして彼女に話しかける。
『……ただいま、三玖…。』
さっきと打って変わって滅茶苦茶優しい口調で話しかけた。三玖とそれ以外の扱いの差が凄いな。天と地?それ以上ありそうな扱いの差だ。
『ん、おかえり、トール。』
嬉しそうに笑って言った。
透は彼女から少し視線を外し彼女が書いてあるノートに目を向けた。どうやら数学の様だとノートを見ていると何問か間違えている所を見付けた。
『三玖、ここの問題とこの問題、あとここの問題違うよ。』
『!そうなの?じゃ、じゃあこれも?』
と三玖が困った様に聞いてきた。
『ん?どれどれ、あぁ~これね引っ掛け問題だね。これは、こうしてあーしてこーしてこの公式をこーしてーあーしてやればできるよ。』
『!!!すごい! さっきまで出来なかったのに、いとも簡単できた。』
三玖は驚いた様に言った。
『……三玖って勉強嫌いだったりする?』
『嫌い、やっても分からないから嫌い。』
『三玖自身の飲み込みは早い方だから、ちゃんと教われば直ぐできるようになるよ。』
彼は、優しく励ますように言った。
『……ほんとう?』
と瞳を滲ませ上目遣いで聞いてきた。
『………。(かわいい////)本当、だから自信もって ね?』
『トールが、そこまで言うなら頑張る。』
両手を小さく、ぎゅっと握るポーズをする。うん、かわいい。
『村上さんって勉強出来るんですね!!!』
四葉が意外そうに聞いてきた。
『不良だから勉強出来ない、成績が悪いってのは決めつけだ。こんななりだけど、成績だけなら学年五位さ。酷くて十位だが』
『まぁ、だから何?って話だけど。四葉、その問題違うぞ?』
『え!!どこですか!!?』
『これと、それ、あれ、これと、殆ど九割ちげーぞ』
とジトーっと眼細めて言った。
『あ、ははは…………。』
冷や汗を掻きながら苦笑いする。
『……やっぱり私、おバカですね。運動はできても勉強は全然ダメです。姉妹の足を引っ張て、新しい家庭教師が来たのにまともに勉強出来なくて……。』
『……四葉。』
三玖が心配そうに言った。
そんな中、無言だった透が四葉のノートを借り何かを書いていた。
『四葉、確かに今はバカだが、あくまで今はの話だ。これからどうなるかは、四葉次第だ。それに俺も【中三まで落ちこぼれ】だったから言いたいことは分かる。』
と、透は三玖に向ける表情程ではないが、優しく笑いその頭をポンポンと優しく撫でた。
いきなりされたので四葉が
『!!あ、わわわわ///////!!』
四葉が顔を赤くして慌てた。
『!?ムぅ~~~//(四葉だけズルい!私も撫でて!)』
三玖が眼を細めて頬っぺたをプク!っと膨らました。うん、かわいい。
透は彼女が何を求めているか直ぐにわかり、四葉以上にやさーしくやさーしく丁寧にその頭を撫でた。
撫でられた三玖は気持ちよさそうに目を細めていった。
『~~~♪』
ご満悦の様だ。しばらくして最終下校時間になったので三人は教室を後にした。
透は一旦二人と別れ駐車場に行き愛車を取りに行った。彼の愛車は【Kawasaki ニンジャ 400】【数年前にモデルチェンジした外見的に250ccと同じである】
透はニンジャを押して二人と合流して五つ子達の住むタワーマンション『PENONTAG』へと送っていった。
『トール、バイクの免許持ってたんだね』
『うん、16の時取ったよ。』
『かっこいいオレンジ色、乗ってみたい』
『ありがと。うん、一目惚れして買ったから気にいってる。運転はさすがにダメだけど、後ろならいつでも乗せられるよ』
『本当?やった。』
小さくガッツポーズをする。可愛いんですけど?困る
暫く歩くとPENONTAGに着いた。
『…………。(でけなぁー)』
と透はあんまし気にしてなさそうな感想です。
『村上さん!勉強教えてくれてありがとうございました!』
四葉が元気よく言いカードキーでエントランスを開け中へ入って行くのを三玖が止め
『四葉先行ってて。トールとお話してから行くから。』
『うん、分かった!村上さん!三玖を願いします!!』
『あぁ!また学校で!』
四葉が今度こそ中へと入った行った。
透と三玖は近くのベンチに腰掛て今日の事を話していた。
『トールがあんなに怒っているの初めてみた。』
『それは、ごめんね。怖い思いさせて。』
『うん、怖かった。……でももっとっ怖かったのは、トールが行ったきり帰って来ないじゃないのかって……。凄く怖かった。』
『…………。』
透は返す言葉はなく顔を背ける。
『ね、トールが喧嘩するのは誰かの為にやっているのは知ってるから喧嘩しちゃダメって言わないけど、無茶しないで……お願い。』
瞳を滲ませながら彼の眼を見る。
『ごめんね、心配させて。俺は大丈夫だから……無茶しないよ。』
『ほんと?』
『うん、本当。けど、今日みたいな事また起こるかもしれない。また、いなくなっちゃうかもしれない。不謹慎かもしれないけど、三玖、良かったら連絡先交換しよ。また心配さちゃうから。』
彼の手を取りぎゅっ!と握る
『……………。(トールの手。大きくて、硬くて、あたたかい。けど、傷ついた手、傷だらけで戦ってきた手。少しでも癒してあげたい。)』
『うん、いいよ。だけど、本当に心配したんだから。だから……責任、取ってよね』
と三玖が今日一番の笑顔を見せた。透は完全に落ちた。
『…………!(かわえええ!!)』
『うん、任せて。』
と携帯番号とアドレス、ラインを交換して三玖をエントランスまで送り、透は愛車に跨り帰って行った。