Crosses Have Not Banished Yet   作:zoe.

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さて、ついに終章です。
この物語にも幕を下ろす時期がやってきました。

ところで新OP、かっこいいんですが現パロなのか何なのかちょいちょいトンチキ感あるシーンが混ざってるのが初期のBLEACHのアニメ感あって良いですね。
個人的にはツインネックギターを鈍器みたいな持ち方で担ぎ始めた一護で耐えられませんでした。


終章: Right fathers in the right places
終章: Right fathers in the right places (1) ― Dig Through Time


戦士は戦いの他に拠って立ってはならない

その剣が曇るのは他のものが目に入るが故なのだ

 

戦士は戦いの他にこそ拠って立たねばならない

その心が獣に近づくのは戦いに身を置くが故なのだ

 


 

「志波隊長、少し良いだろうか」

大方の騒動も片付き、事後処理の進捗を共有する隊首会が散会となったところで朽木白哉が志波一心に声をかけた。

「一体何事です、朽木隊長?」

「少し教えて貰いたいことがあるのだ」

「朽木隊長の方が隊長歴長いんすから、俺が教えられることがあるとは思えないんすけど……。何なら俺の方が教えを請いたいレベルっすよ、こっちは数十年ぶりに帰ってきたところなんで」

かつて一心が十番隊の隊長に就任した時期は白哉が今の地位に就いた時期とさほど違わないが、その後一心が半世紀ほど護廷隊を離れていた関係で隊長としてのキャリアの長さには大分違いが出ている。久々に――それも自身にとって在籍歴のない隊の――隊長業に復帰したばかりの一心からしてみれば、長いこと安定して隊長の地位にいる白哉の話を参考にしたいというのは当然のことだろう。

「済まない、そういう話ではないのだ。……もっと個人的な話なのだよ」

 

「あーなるほど、ついに朽木隊長も子持ちっすか」

「まあ我が家の場合は養子だし、ルキアのお陰で橙璃はとうにちゃんと成長してはいるのだが……。だが、そもそも私にとって父という存在が息子とどう接すれば良いのか、自信がないのだ」

日頃自身の弱みなど一切人に見せない朽木白哉が珍しく内心を露わにしている姿を見て、一心はその心を慮る。若い時分にそこまでの交流があったわけではないが、貴族同士の交流を通じて病弱な父蒼純に代わり祖父銀嶺が白哉を育ててきたということくらいは見てきていた。確かに白哉にとって、「父」という存在が他の死神達とくらべて遠いところにあるのは事実なのかもしれない。

「現在の護廷隊の上層部はまだ若く、子を持つ者は決して多くない……というより恋次・ルキアくらいしかおらぬのだ。その点、(けい)はあの黒崎一護の父親で、しかも同じ貴族の出身故、こうした話で教えを請うにはこの上ない適任であろう」

「つったってウチはもう事実上貴族を追われた身だし、しかも分家ですぜ…?」

元より本家は半ば望んで流魂街に居を構える程の「外れ者」である志波家の者にとって、そもそも「貴族としての」意識などさほどありはしない。護廷隊の隊長として瀞霊廷で暮らしていた一心も結局のところ「隊長だから」そうした暮らしをしていただけで――極めて短期間ではあったが――「下積み」の時期は決して貴族らしい生活をしていたわけではなかった。

「……あんまこういう話をかしこまった喋り方でしたくないんで、率直に言わしてもらいますよ」

現世で暮らした年数の分もあり外見的にはもはや逆転しているが、それでも多少なり年上の白哉に対して多少の遠慮をしていた一心はそう前置きをする。

「いつものことだと思うんすけどね、あんた考え過ぎなんすよ」

そうして出てきた言葉はあまりに直球で、白哉という存在を一言で両断するものであった。

「息子なんて勝手に育つもんなんす。親父が横からどうこう言ったところで聞きゃしねえんすから。ただ、そいつが本当に壁にぶち当たったときにちゃんと背中ひっぱたいてやれるように見ていてやりゃいいんじゃないっすかね」

頭の後ろで手を組みながら、一心は言葉を続ける。

「まあ、志波家(ウチ)朽木家(お宅)じゃあ事情が違うってのもわかりますけど。でも、ガキが親父をどう見てるかなんて現世(あっち)だろうが尸魂界(こっち)だろうが、そうそう変わるもんじゃねえと思いますよ」

 


 

「で、これがその虚白(こはく)(たが)かい」

「ええ。なんでこれが四楓院家じゃなくてここにあるのかわかりませんけど、恐らく彼らが目指していたものだと思いますよ」

「あー……これね、どうやら来歴が特殊みたいなんだよ。鬼道衆の方にあったのも半ば隠匿のため、ってとこみたいだし」

「なるほど……?それにしても、こんな骨董品に何の価値があるんですかね。もっと使い勝手の良い物が藍染の手で作られたって聞きましたよ?」

反膜の匪(カハ・ネガシオン)って言ったっけね。アレ、実はこれの情報を元に作られてるんだよ」

「この霊子兵装の特異性は、その来歴にこそあるのだヨ」

護廷十三隊総隊長・京楽春水と大鬼道長・鹿良澤三姫の会話に、同行していた十二番隊隊長涅マユリが割って入る。

「我々普通の死神や虚にとって、これは単に反膜(ネガシオン)黒腔(ガルガンタ)に干渉し、虚の転移を妨害する程度の代物でしかないネ。だが、特定の霊圧を持つ者が起動した場合には、単なる干渉では留まらない」

「…なるほどね」

京楽はマユリが敢えて言明しなかったところには触れず、話の続きを促す。当然ながら彼はこの霊子兵装の来歴についても熟知しており、その性質上わざわざ言葉に出さない方が良いという点については同じ意識であった。たとえ相手が大鬼道長の地位にあるとは言え、比較的若く尸魂界の歴史の深奥に触れた身ではない以上、ここでこれ以上深掘りするのは得策ではない、といったところだろう。

「資料によれば、そもそもこの霊子兵装の機構自体は今回の虚共の親玉が持っていた能力を参考に作られているようでネ。大方自分自身にとって天敵になるとでも思ったんだろうヨ」

マユリはそう言うと、もう用は済んだとばかりに鬼道衆詰所最深部の書庫を去っていった。

 

「どうだい、雛森くんはうまくやってるかい?」

マユリが去ったあと、京楽は自らが送り込んだ副官の様子を尋ねた。一定の合理性はあったとはいえ、今回の副鬼道長人事に関しては私情がなかったとも言い切れないこともあり、その判断が果たして正しかったのかどうかについては気になっていたのだ。

「桃ちゃんは本当に優秀ですよ。鬼道の才能も私にはないものを持ってるし、何よりしっかり者なんで」

「あー…なるほど。七緒ちゃん推薦したのはそういうことだったのかい」

「別に推薦ってほどのつもりじゃなかったんですけどね。ただ、私もこっちに引きこもって長いですしそちらの今の顔ぶれには詳しくなかったので、『鬼道の才があってしっかり者で私のフォローをしてくれる七緒ちゃんみたいな子』ってくらいの感じで伝えただけなんですよ。……まさかいつの間に京楽さんと()()()()になってるなんて思いませんでしたし」

「やだなぁ、別にそんなんじゃないのに」

「京楽さんがどうだったかは知りませんけど、七緒ちゃんは私がいた頃から大分並々ならぬ視線向けてたじゃないですか。割と隊内の女性陣で噂になってましたけど、気づいてなかったんですか?」

「いやー……参ったね、どうも」

八番隊は元々鬼道に長けた者が多いという特色の影響――に加えて前隊長の趣味嗜好の影響もあったかもしれないが――もあり、四番隊に次いで女性隊士は多い。いくら戦闘要員とはいえ女性の集まりともなればやはりそうした話題というのは話の種になりやすいもので、もちろん京楽自身どう見られているのかという点についてはある程度自覚はしていたのだが、改めてこうして元部下に直球で指摘されてしまうと大分きまりが悪いのは事実である。

「まあ、でも実際桃ちゃんで良かったところもありますよ。あの子結構熱いところありますし、お陰でうちの空気もいい方向に変わってきてるので」

「そうかい、そりゃよかったよ」

 

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