Crosses Have Not Banished Yet   作:zoe.

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千年血戦篇のPV、かっこいいですねぇ!!!
放映開始が待ちきれません。


序章: Left Fathers (7) ― The Return

しばらくの後。

黒崎一心の帰還が正式に報告され、臨時の隊首会が招集された。無論、本人も同席である。

「久しぶりだねぇ、一心君」

「ご無沙汰しております、えーっと…総隊長」

「一護君は元気かい?」

「ええ、おかげさまで」

「よく帰ってきたね、無事で何よりだよ」

「ご心配をおかけしました」

流石に相手が相手ということもあり、普段のいい加減な様子は鳴りを潜め、随分と落ち着いた対応をしている一心である。

「さて、この中には一心君をよく知らない人もいるだろうし、まずは改めて自己紹介してもらおうかな」

 

「はい。元十番隊隊長、志波一心です。諸事情で現世にしばらくいましたが、この度戻ってきました」

「あれ、志波姓に戻すのかい?」

「そのうち一護もこっちに来ますからね。黒崎が二人いたらややっこしくなっちまうでしょう」

「そりゃ違いないね」

 

「さて、一心君にも近々またどこかしらの隊務に戻ってもらうとは思うけど、今日は顔見せで終わりにしとこう」

「ちょっと待て。隊務を放棄して現世に何十年も出奔していた奴を、お咎めなしで戻すというのか?」

そう不快感を顕にする二番隊隊長、砕蜂。

「任務放棄も現世滞在超過もそれなりの重罪、そもそも現世への出撃自体正規の手続きを踏んでいなかったはずだろう」

「まぁ、固いこと言いなさんな」

飄々と流す春水。

「まあ無断で現世に行ったこと自体は褒められたことじゃないけど、結局状況が状況だったわけじゃない」

元々志波一心が現世に無断出撃したのは、藍染惣右介の手による虚に自隊の隊員が被害を受けていたからである。自らの部下を守るためという大義名分を否定するのは、春水の流儀ではない。

「その後の話も浦原君から聞いてるしね。一護君を育てた功績だけでも十分お釣りが来てるよ」

そう軽い言葉で返すが、その言外にはそれ以上の反論を許さないだけの凄みがあった。

 


 

隊首会の後、一心は一番隊隊首室を訪れていた。

「済まないねぇ、昔だったらここで飲みながら話せてたんだけど」

「やはり総隊長は大変ですか」

「まぁ、それなりにね」

すっかり素面での仕事が板についてきた春水は、そう言いながら煙管を一服する。

「で、一心君の今後の話なんだけど」

「はい」

「こっちに戻ってきたってことは、それなりの仕事はしてくれる、って考えていいのかな?」

「まあ、少なくとも一護がこっちに来るくらいまではしっかりやりますよ」

「そうだねぇ、一護君には悪いけどちょっと楽しみだよねぇ。奥さんも可愛いし、みんな早くこっちに来ないかな」

「父親の目の前で言うことですか、それ」

「ははっ、冗談だよ」

 

「さて本題だけど。一心君には三番隊に行ってもらおうかなと思うんだ」

「三番隊っていうと、鳳橋さんの?」

「そう、ローズ君がそろそろ引退したいって言っててね」

「なるほど」

「イヅル君とは面識あったっけ?」

「正直あんまりないですね。十番隊には来てなかったはずですし」

「まあ、いい子だよ。ちょっと複雑な事情もあるけどね」

 


 

ところ変わって技術開発局。

当の三番隊副隊長吉良イヅルは「定期検査」に来ていた。

滅却師との戦いの序盤で右半身を吹き飛ばされた彼は、その後涅マユリの手によって死者のまま十三隊に復帰している。その際、賊の手によって開けられた風穴は生命(?)維持のための機器を冷却するためという体でそのままになっており、彼が「死人」であることをなによりも雄弁に物語っている。何にせよ、彼はマユリの力によって動いているわけで、その検査・メンテナンスが定期的に必要な体となっていた。

 

「え、今何と……?」

「おかしいネ、聴覚回路の再検査が必要かネ?」

相変わらず頓狂な出で立ちの技術開発局長、十二番隊隊長涅マユリは挑発的にそう返す。

「君の体に空いたその不格好な大穴を塞ぐ目処が立ったと言っているんだヨ」

「いや、別に僕はこれが存外気に入って――」

「五月蝿いネ」

一喝。

「被検体如きに選択権があるなどと勘違いするんじゃァないヨ。そんなみっともない穴を空けたまま数十年もうろつかれたら私の沽券に関わると言っているんだヨ」

傍若無人である。

部下を爆弾にしていた頃よりは丸くなったと評価されがちだが、結局本質的には彼はやりたいことを曲げる男ではない。

「まァ隊務の都合もあるだろうからネ、近日中に日程を調整し給えヨ」

そう言うと、検査の残りを部下に任せマユリは部屋を後にした。

こうして三番隊副隊長吉良イヅルは――少なくとも見た目の上では――生前と変わらない姿を取り戻すこととなった。相変わらず彼自身の意思が全く尊重されないあたりは全くもって彼らしいところである。

 

――彼の上司が引退し、新たな隊長の奔放さでせっかく塞いだ臓物をまたすり減らす日々が始まることは、まだ彼の知るところではない。とことん上司というものに受難の相のある男、それが吉良イヅルである。

 




ということで、長々やってきた序章はここまでです。
次章から本格的に物語が動き始めますが、執筆ペースは多分そんなに変わりません。
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