ポケモンLEGENDS IF〜もしショウが悪堕ちしていたら〜   作:ポポタン

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感想欄が鋭すぎるんよ…。


あく兄妹へのプレゼント

 ジムチャレンジは順調に日程を消化していった。メジャーリーグのジムリーダーはジム巡りの期間ジムチャレンジにかかりきりになる。これはショウも変わりなく、全てのジムを期間内に巡りきれないにとしても各ジムに最後まで挑戦するチャレンジャーもいた。

 最終的なジムバッジの獲得数がその後の人生を左右すると言われ、最後の日まで死に物狂いでジムリーダーに挑戦してくる者もいる。ジムチャレンジに年齢制限などなく、推薦状さえあれば何回でもチャレンジに参加できるので就活のために最後まで頑張るチャレンジャーは多い。

 

 ショウからすればこの制限しきった手持ちを倒せない人にどんな優遇があるのだろうと真剣に悩んでしまう。

 そもそもこの四番目のジムに辿り着いている時点でチャレンジャーの半数よりは上位だということをショウは気付いていない。

 しかも今年はショウの効果で参加人数も多く、トレーナーの質も良くなっていた。それでもショウは四番目のジム相応のレベルのロトムしか使っていないので疑問は深まるばかり。

 

 ジムミッションをクリアできるものの、ショウには勝てない。そんな五十回ほどショウに挑んできた男性を返り討ちにしてジム巡りの期間は終了。これからセミファイナルトーナメントを進める間にマイナーリーグの順位戦が始まる。

 その間にメジャージムリーダーは休養しつつ、ファイナルトーナメントに向けての調整をする。ショウは調整なんて必要としないのでスパイクタウンに遊びに行った。

 ネズとダイマックスを使わない者同士で今年のチャレンジャーについて語り合うつもりだった。

 

「ネズさん、お疲れ様でした。良いチャレンジャーはいましたか?」

 

「ええ。特別な子が二人。そう言えばあなたもわかるんじゃないですか?」

 

「サイトウちゃんとオニオン君ですね?」

 

「ええ。良い感じに駆け抜けて行きましたよ。少女はそのタイプ相性で疾風の如く奏で舞い。少年は繊細な心音を頼りに意外な唄を歌い。少年少女の誓いはあの山の頂に持ち越されたと」

 

 ネズの語りに、ショウは納得しつつもわからないことがあった。

 二人の誓い。サイトウもオニオンもラテラルタウン出身だとは知っていたが、まさか面識があるとは思わなかった。

 

「へえ。同じ街出身の、才能も似通った少年少女ですか。この世界はそういう関係性が好きですね」

 

「切磋琢磨するライバルがいると強くなれるということでしょう。今回の二人はそこまで強い結びつきではなかったようですが」

 

「それでも、世界はそういう法則性で回っていく。ネズさん歌詞にしてみます?モデルケースは多いみたいですから、きっと共感されますよ?」

 

「共感される歌詞を書いてるわけじゃねえんですよ」

 

 ショウが皮肉を言う。

 ショウも元々はそういう関係性を構築したのだが、そのことをこの世界で知っている人間はいない。

 

「しかし、オニオンの最後のポケモン。あなたが与えたと聞きますよ?後で調べたんですが、あんな形状のポケモンじゃなかった。それに多分あのポケモン、ゴーストタイプの複合タイプですよね?」

 

「ああ、あの子を使ったんですか。へー、この短期間でそこまで育てたと。やっぱり彼は才能がありますね」

 

「メジャーリーグの面目のために、過度な肩入れは遠慮願いたいんですが?」

 

「ジムチャレンジを盛り上げるためですよ。それに強い子が増えてくれた方がわたしも楽しいですし」

 

「バトルジャンキーですねえ。俺は違うんでその気持ちはわかりませんが」

 

 オニオンの状況を聞いて楽しく笑うショウ。ゴースト複合タイプになったということは最終進化まで育てたということ。その成長速度に満足した。

 オニオンがそこまで育てたということはサイトウもそれと同じくらいまで育てているだろうと推測できる。実際今年のジムチャレンジ最初の踏破者はサイトウだった。二番目がオニオン。

 

 ショウはあえてチャレンジャーのその後の試合を見なかった。ジムトレーナーやリーグ委員が全ての試合を撮影していてそれを公式ポケチューブにアップしているが、ショウはその動画も見なかった。

 そんなものを見ずとも、セミファイナルやファイナルを見れば良い。そして信頼できる人から話を聞く方が楽しい。

 

「あのポケモン、どうしたんです?あのモンスターボールも調べたらビックリな物ですし。本人もあなたから貰ったとしか答えてくれませんでした」

 

「企業秘密です。調べた程度でわかることではありませんし。……ポケモンの生態なんて完全にわかりきっていませんから。でも、歴史なんて改竄されるものですよ。本当の歴史なんて、後世のわたし達はわかるはずがないんです」

 

「英雄の話もどこまで本当かわかりやしませんからね。ま、話すつもりがないならそれで良いですよ」

 

 答える気がないショウに、追及をしないこととするネズ。

 ショウがどこかの博士にでもあのポケモンを紹介すればそれだけで大金が手に入るだろう。ポケモン界への一石を投じる結果になるのだが、それをショウはすることがない。

 あの見た目は普通の最初のポケモンからあのような姿に進化するとわかっていたショウのことだ。何かしら秘密があるんだろうとネズは思っても少女の秘密を暴こうとはしない。

 まさか目の前の少女が時空旅行者(タイムトラベラー)であり、世界移動者(ワールドリーパー)だとは思いもしないだろう。

 

「話すつもりはないですけど、実はネズさんに聞きたいことがありまして。確か妹さんがいましたよね?」

 

「いますが、それが何か?」

 

「ネズさんと同じくあくタイプのエキスパート?」

 

「俺の妹なので。今もモルペコと一緒に遊んでいますよ」

 

「モルペコ……。うん、ちょうど良いですね。今日連れてきていて良かった」

 

 ネズから妹の話を聞いていて、その妹がビートと同い年だと聞いていた。つまりはビートがジムチャレンジに初挑戦する年にその少女もジムチャレンジに挑戦するということだ。

 ショウはビートを谷の上から落とすかのごとく、厳しく育てていた。それはジムチャレンジで圧勝しすぎて調子に乗らないように、そして試練は乗り越えた後の方が成長するという考えからだ。

 

 彼女はヒスイで邪神に出された試練のせいで成長したと思っている。記憶がないなりに物事を解決できたのは才能もあったが、試練によるポケモンへの経験値も大きかった。

 だからショウは、ビートやクララが苦労するようにジムリーダー候補、ライバル候補を間接的に育てる。

 それが最終的にダンデに迫る、勝てるトレーナーを産み出す。もしくはダンデが更に強くなる近道だと信じて。

 ショウは現代風のポーチから、赤とぼんぐりの色が半々になったモンスターボールを取り出す。そのボールの価値を知っていたネズが、いつもはあまり開いていない目を大きくさせた。

 

「これをマリィさんに。みずタイプのポケモンですよ」

 

「まだ持っていたのですか……。ルリナさんではなく妹に渡すということは、そういうことですよね?」

 

「はい。ネズさんも欲しいですか?この子、もう一匹いますよ?」

 

「ほう、それはそれは。妹と同じポケモンを育てるというのも一興ですね。ただではないのでしょう?」

 

「わたしの調整に付き合ってください。一対一。新しい手持ちポケモンを加えようと思ってるんですけど、この子達のレベルだとジムリーダーの誰かでもなければ勝負にならないので」

 

 ショウが出したのは通常のモンスターボール。ネズは彼女の使うボールは拘りがなく全員モンスターボールに入れているのでそれは気にしない。

 スパイクタウンのジムステージの状況を確認して、ネズは頷いた。

 

「良いでしょう。じゃあこちらへ。調整と言わず、最高のステージにしてあげますよ」

 

「じゃあわたしは踊りましょうか。これでもダンスは得意なんですよ?」

 

 スパイクタウンのジムトレーナー達や、件のマリィも見守る中、でんきとあくタイプのジムリーダーが対峙する。

 どちらもガラルのジムリーダーながらダイマックスを用いない者同士。純粋なポケモンバトルが始まろうとしていた。

 ネズがマイクスタンドを掴んでいつものようにメンバー紹介のようにボールを投げる。

 

「さあ、幕が上がるぜ!今日のステージはタチフサグマ、お前のものだ!」

 

「行って、ラプラス!」

 

 お互いが投げたボールから、それぞれのポケモンが飛び出してくる。

 周りの人間はでんきジムのリーダーが出したポケモンがでんきの通りやすいみずタイプのラプラスを繰り出すとは思っておらず驚いていた。

 

 ジムリーダーとはそのタイプのスペシャリストだ。キバナのような例外もいるが、彼はドラゴンタイプを使うことでその育成の難しさから許されている部分がある。

 だがショウはでんきというそこまで育てるのが難しいタイプではない。とはいえ彼女の公式戦でのパーティーを見ればタイプ混合パーティーを組んできてもおかしくはなかった。

 ネズはその出されたポケモンの意味を知り、口角を上げる。

 

「キミのリスペクト魂、ハートに響いたぜ!その信念を突き通してみせな!」

 

「ええ。ラプラス、『れいとうビーム』!」

 

「タチフサグマ、『ブロッキング』!」

 

 そのバトルがどうなったか。それはファイナルトーナメントが終わった後にポケチューブにアップされる動画にて答えが出る。

 その後の結果に関わらず、ショウは二人に約束のみずポケモンを渡した。

 

「ショウさん、このポケモン大事にします!ありがと!」

 

「いえいえ。マリィちゃん。ジムチャレンジの時を楽しみにしてるよ。わたしとネズさんに勝ってセミファイナルに出場してね。この子はモルペコの苦手とするじめんタイプのポケモンに有利になるから、きっとあなたとモルペコの力になるよ」

 

 マリィは三年後、この約束を守ることとなる。片手にはみず・あくタイプになったもう一匹の相棒と一緒に。

 この年のセミファイナルを制したのはオニオンだった。サイトウとの決勝戦で紫色の炎を纏ったバクフーンを用いたオニオンがサイトウの二本足でしっかりと立ったジュナイパーを倒し、優勝していた。

 そしてファイナルトーナメント。

 

 ショウは準決勝でまたしてもダンデに負けてベスト四。というか、ダンデの不敗神話をショウが終わらせるわけにはいかなかったので勝ちを譲った形だ。

 この準決勝はピカチュウ、カビゴン、ブラッキー、ラプラス、フシギバナ、リザードンという手持ちで挑み、最後のリザードン対ピカチュウというエース対決はピカチュウの『ボルテッカー』が届かずに敗戦。

 

 この時はカビゴンの猛威が酷かったのでダンデは早々にダイマックスを切っていた。そのため通常の状態のリザードンとピカチュウというエース対決は去年同様に盛り上がった。

 本当はオニオンと全力で戦いたかったショウは組み合わせを恨むこととなる。

 決勝のチャンピオンVSチャレンジャーというのはそれこそダンデ以来のマッチングとなり、観戦チケットは完売して立ち見客まで現れていた。

 

 オニオンは残念ながらダンデのポケモンをあと二匹まで追い込んだものの敗北。それでも二年連続でチャレンジャーに追い詰められたことでダンデはさらなる修行に明け暮れることとなる。

 ショウは確認していなかったが、このファイナルトーナメントもジムリーダーの順位に関係する公式戦だったので気付いたら順位が七位から五位に上がっていた。そのため昇級戦に参加することはなかった。

 

 この年、オニオンとサイトウがゴーストとかくとうタイプそれぞれのマイナージムリーダーに就任し、そのまま二人とも快進撃を続けて二人とも昇級戦に挑むこととなる。

 そして、勢いそのままにオニオンはメジャーリーグジムリーダーのマクワを下し、昇級を果たす。このチャレンジャーからストレートでのメジャーリーグ入りをしたのはショウの再来と呼ばれガラルのジムチャレンジを更に盛り上げることとなった。

 

 サイトウは残念ながらルリナに負けて昇級できず。くさタイプで有利なジュナイパーがいたものの、タイプ相性だけでは覆せない経験値の差に洗い流されてしまった。もう一度基礎から鍛え直しているという。

 その後にあったメジャーリーグの順位戦でショウは好成績を残して順位を四位に上げた。キバナ、ネズ、カブに続く順位だったためにキルクスタウンのジムを任されることとなる。

 

 毎年の引越しにジムトレーナーとクララは悲鳴を上げることとなる。ビートは新しい修行場に行けるのだからと喜んでいた。子供は純粋でイイネ。

 ここから二年は逸材に出会えず、ショウは落胆することとなる。

 そして──ビートとマリィがジムチャレンジをする年になった。

 

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