ポケモンLEGENDS IF〜もしショウが悪堕ちしていたら〜   作:ポポタン

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ショウちゃんがマリィに優しくないんじゃなくて、既にミジュマルをあげてるから内弟子以外への対応としては普通なんです。
ホップとユウリにもあげるポケモンは一匹だけで、二匹もあげてるクララとビートが特殊なだけです。


※ビートにあげるポケモン、ガラルファイヤーから変更しました。ファイヤーのタイプ間違ってたので…。


弟子の旅立ち

 ビート君との勝負はあっけなかった。わたしがそもそも制限した手持ちで、その上こちらの手持ちや癖を全て知っているビート君だ。ロトム達じゃ勝てるわけがない。

 ビート君は不満そうだったけど、ジムチャレンジではこれが限度だ。とにかく勝者に報酬をあげなくちゃいけない。一番弟子だし大盤振る舞いだ。技マシンと一緒にモンスターボールを二種類置く。

 

「これが……」

 

「こっちがワシボンね。エスパー・ひこうタイプだしビート君にはピッタリだと思う」

 

「進化後はそうなるのですか?確かノーマル・ひこうだったと記憶していますが」

 

「不思議だねえ。でも違う地方だとタイプや姿が変わるなんて良くあることだよ」

 

 アローラとかそれが顕著だ。ナッシーとかダグトリオとか笑っちゃったし。原種を知ってるからこそその変化に驚いた。

 ヒスイなんて厳しい土地だったからそんな変化も顕著だっただけだと思う。もしくはヒスイこそが原種だったか。その辺りの研究は博士とかに任せる。わたしにはどうでもいい。

 

「で、こっちは……ッ⁉︎」

 

「あ、やっと驚いてくれた。伝説とも呼ばれるポケモンの一匹、ラティオスだよ」

 

「これが伝説の……!タイプはドラゴン・エスパーですか?」

 

「そう。ドラゴンポケモンはポケモンの中でもほとんどが頂点に位置するし、その上伝説のポケモンだから。上を知るならこの上ないポケモンでしょう?」

 

 そんな建前を言うけど。

 本音はブラックナイトの性質をローズ委員長が解析したからだ。最初は捻りもなくガラルのポケモンであるエスパータイプのフリーザーでもあげようかなって思ってたけど、ビート君が本当にこのガラルを救う人間になるならこの暇な時間にやってもらいたいことがある。

 ドラゴンタイプのポケモンに慣れておかないといけない。どうせチャレンジはぶっちぎるんだから、育成期間に当てて欲しいと思っただけだ。

 

 だから慣れているエスパータイプが複合のラティオスをあげた。ラティアスまであげたら贔屓が凄いことになると思うし、それはやめた。ワシボンを辞めても良かったけど、ヒスイのポケモンもあげたかったからこれで良いと思う。

 幻の島に住むというからどんな幻を見せてくれるんだろうって意気揚々と向かったら、ただ霧とかの関係で発見しづらいだけの島だった。それでもポケモン図鑑に載っていない伝説のポケモンだからラティオス・ラティアスどっちも捕まえちゃったけど。

 

 今では誰かが捕まえたようでポケモン全国図鑑には登録されている。けどその人とわたしを除いたら図鑑登録はされていない。

 伝説のポケモンだから得意タイプが違うクララさんでも知っていたけど。やっぱり伝説のポケモンって知名度が違うなあ。

 

「……僕は最高の姉さんを持ちました。ファイナルトーナメントでは貴方を倒します」

 

「うん。待ってるよ。その時は()()()戦ってあげる」

 

「ええ。ではこのままスパイクタウンに向かいます」

 

 ビート君はわたし達への挨拶もそこそこにすぐ向かった。このままキバナさんの記録も抜いちゃってほしい。ネズさんとの相性が悪かったとしてもフェアリータイプ複合の子も多いから大丈夫だろう。そんな短時間でラティオスを躾けられるとは思ってないし。

 今日はビート君しか来ないだろうからとリーグスタッフにビート君の突破を報告してから他のチャレンジャーの状況を確認した。

 

 マリィちゃんは相性の悪いサイトウちゃんを突破していて今はオニオン君に挑戦しているようだ。相性が悪くてもゴリ押しでどうにかなっちゃうくらいマリィちゃんも強いからなあ。

 で、注目の二人のホップ君とユウリちゃんはなんとカブさんに勝っていた。早い。マリィちゃんに続いての突破でその成長速度は驚異としか言えない。わたしやジュンの時もジムリーダーの皆さんは同じ想いをしたんだろうか。

 

 それとエール団のことも話題になっている。マリィちゃんの追っかけ集団だけど、彼らくらい突破できないとジムチャレンジを勝ち抜くなんて無理だし、報告を見ている限り自転車屋さん以外の行動はそこまで問題行為じゃないっぽい。

 よっぽどならリーグスタッフが対処するだろうし、わたしが手を加える理由もない。ネズさんに報告したってネズさんはこれからビート君と戦わないといけないからジムチャレンジの用意で手が離せなくなる。

 

 それとマリィちゃんがぶっちぎりの速度すぎて開会式以降目立った妨害がターフタウン近辺だけなんだから、そんなに目くじらを立てることでもない気がする。

 見方によってはバトル経験の少ないチャレンジャーにバトルの経験をさせてあげているとも言える。時にはダブルバトルを挑む時もあるらしいけど、それだって最後のバッジの時は役立つし、トレーナーで居続けるなら積んでおきたい経験だ。

 

 それに勝てばちゃんとお金をくれるから軍資金になる。他のトレーナー達も応援の意味でバトルをチャレンジャーにふっかけることがあるんだからその辺りは言ったって無駄。エール団なら過剰戦力で叩き潰すなんて真似もしないからその辺りは信頼できる。

 チャレンジャー応援という慈善事業になっているんだからリーグスタッフが注意をするはずもない。度が過ぎていれば口を挟むだろうけど、今の所そんな問題にもなってないから大丈夫だろう。

 

 マリィちゃんが来るまで暇だなあ。五から六までの道のりはナックルシティに戻って来ないといけないから結構時間がかかるし、まだ余裕はありそうだ。アーマーガアタクシーがあっても「テレポート」みたいにすぐ来られるわけでもなし。

 暇だからSNSでも見ようかな。ビート君が話題になってるんだろうけど。

 今年も盛り上がってるなあ。最後のお祭りにするためにも、最後の娯楽だと思ってこの過程を楽しもう。

 

 

 ホップとユウリは三番目のジムであるエンジンシティでカブ、ルリナ、ヤローに見送られてからワイルドエリアを抜けてナックルシティに辿り着いていた。ナックルシティ近郊よりもポケモンの強さが段違いで、鍛えたポケモン達でもかなりの苦戦を強いられた。

 二人してヘトヘトになりながらナックルシティに着くと、すぐにスボミーホテルに泊まった。チャレンジャーは無償で泊まれるために二人とも迷わずホテルに直行。それだけワイルドエリアの縦断は疲れが溜まった。

 

 ここにあるジムは八番目なのでこの街で足止めになることはない。二人ともしっかり休んでから四番目のジムがあるラテラルタウンを目指すことにした。

 早速フロントでチェックインをしようとしたら、そのフロントで話している男女がいた。背丈からして同い年くらいの男女なのだが、金髪の少女の方は何故かイーブイのお面を被っていた。

 

「なんだ?変なヤツ……」

 

 ホップはそう呟く。別にお祭りがあったわけでもなく、同い年くらいの子がホテルに着いてもお面を被っている理由がわからなかったのだ。

 男女はカップルだろうか。チャレンジャーでホップとユウリの前を行くのはビートとマリィだけ。なのでジムチャレンジを見るために観光に来た人だろうと思った。

 

「師匠、本当にこんな豪華な場所に泊まっていいんですか?」

 

「大丈夫大丈夫。わたし、お金ならいっぱいあるから」

 

「師匠?」

 

 男の子がお面の女の子をそう呼んだことでユウリは首を傾げた。

 顔は見えないが、身長や体型、それに声からしてもお面の女の子はユウリとさほど年齢が変わらないように見えた。そんな少女が同年代の男の子に師匠と呼ばれる。

 そのチグハグさがわからなかった。

 

「師匠、いつまで本土に滞在するんですか?」

 

「うん?まあファイナルトーナメントまで見ていけばいいんじゃない?その間にマイナーリーグの試合もあるし、ポケモンバトルを知るにはいいんじゃない?マサルはバトル経験が少ないからねえ」

 

「えっと。それっていつまででしたっけ?」

 

「あと五ヶ月くらい?」

 

「え、長っ⁉︎そんなにこっちに居るんですか?」

 

「うん。今年のジムチャレンジは面白そうだから。それにキャンプもするから全部ホテルじゃないよ」

 

 行動の主導権を握っているのは少女の方らしい。そしてどうやらジムチャレンジ目当ての観光客のようだ。

 それにしては学校とかどうしているのだろうか。ジムチャレンジに参加、もしくはもう就職でもしていない限り同年代は学校に行かないといけないし、就職しているのなら仕事はどうしたとなる。

 なんともよくわからない二人のままだった。

 

「えー。ジムチャレンジって見る必要ありますか?だって師匠が気になってるのってショウさんっていうジムリーダーだけでしょう?」

 

「ふふ。そうでもないんだよ?チャレンジャーのビートくんは歴代最速タイムを叩き出してるみたいだし、その次のマリィちゃんも速いみたいだし──そこの二人も上位陣みたいだよ?」

 

「「え──?」」

 

 前の二人の会話を聞いていたら、お面の少女が振り返ってユウリ達を指差す。その仕草に釣られてマサルと呼ばれていた少年も振り返ってユウリ達を見る。

 いきなり話題を振られた二人は驚きの声を隠せなかった。

 

「あの二人が?この時期にナックルシティにいるのって凄いんですか?」

 

「凄いんじゃない?わたしの基準がビートくんとショウになってるから、ショウが遊んでた期間でここに来られたなら優秀なんだと思うよ?」

 

「ふうん?そうは見えないけどなあ。師匠より強いんですか?」

 

()()()。それに()()()()()()マサル君でも勝てるよ。あ、でもマサル君が興味あるのは珍しいポケモンを捕まえることだけか」

 

「そうですね。バトルはあんまり」

 

 そんな二人の会話にムカムカしたのか、ホップが突っ掛かる。ユウリも行動には移さなかったが、ホップと同じ気持ちだった。

 今年のジムチャレンジャーの中でも上位陣。しかもショウに期待された二人なのだから。

 

「おいおい、聞き捨てならないぞ!オレ達はもうジムバッジを三つ持ってるんだ!なのにそこまで言われる筋合いはないぞ!」

 

「あら、ごめんなさい。別にあなた達を下に見たつもりはなかったの。純然な事実を言ってるだけ」

 

「カッチーンときた!それが見下してるって言うんだぞ!こうなったらバトルだ!」

 

「嫌よ。あなた達のポケモン、回復してもらってるけど疲れているじゃない。体力と疲労度は別なの。今夜はゆっくりと休んで、明日になったらマサル君が勝負してあげる」

 

 モンスターボールからポケモンを出したわけではないのにポケモンの状態を把握されていてホップとユウリは息を飲んだ。

 エスパー、もしくはサイキッカーかと思って身構えると、イーブイのお面を被ったままの少女はクスクスと笑う。

 

「そんなおかしなことじゃないのよ?ナックルシティに来るにはワイルドエリアを抜けなくちゃいけないし、あなた達は疲労困憊の様子。でもトレーナーとしてポケモンはちゃんとポケモンセンターで休ませてきただろうから万全じゃないと思っただけ。どう?新米チャレンジャーさん?」

 

「……正解だぞ。でも、何でアンタは戦わないんだ?」

 

「実力差がありすぎるの。だってまだジムバッジ三つ目でしょう?わたし、他の地方でジムバッジ八個集めたから。ジムリーダーが本気で野良試合をするってことだけどいいの?」

 

 そう言われたらホップも引き下がるしかない。

 地方によってジムリーダーの実力も異なるが、ジムバッジ八個を集められる人間はその世代の超上澄み。トレーナーになったばかりのホップやユウリでは勝てるわけがない。

 となると、さっきまでの言葉は全部本当だったわけだ。

 

「えっと、ごめんなさい。あなたの実力も知らないで……。ほら、ホップも」

 

「ごめんなさい。でもそんな言い方じゃオレ以外にもきっと誤解するぞ?」

 

「その時は実力で叩き潰せばいいから。軍資金稼ぎにもなりますし」

 

「アンタ、性格悪いぞ……」

 

「褒め言葉ありがとう」

 

 ホップはその返しにげんなりとして深く息を吐いた。

 ずっと黙っていたマサルに目線を向ける。

 

「もしかしてそっちのマサル?も凄い実力者とか?」

 

「僕は違うよ。ジムバッジは持ってない。捕獲が好きなだけでバトルは捕獲の時のオマケだよ。その証拠に師匠には一回も勝ってない」

 

「本当ですよ。だから明日ダブルバトルで確かめてみてください。マサル君はわたしとばかりバトルをしていたのでダブルバトルの経験がないんですよ」

 

「ダブルバトル、ですか?」

 

 突然の提案にユウリはおうむ返しをする。てっきり一対一をすると思ってたためにその提案はよくわからなかった。

 

「ほら。ポケモンの捕獲や保護の時に悪い人が現れて邪魔をしてくるかもしれないじゃないですか。そういう時のためにわたしが二匹のポケモンを使う擬似ダブルバトルじゃなくて二人の人間の指示するポケモンと戦わせておきたくて」

 

「ああ、そういう……」

 

「ということで明日の朝。ホテル前の広場で戦いましょう?」

 

 そういう話になった。

 ホップとユウリはチェックインを済ませてお風呂と食事を済ませたら倒れるように眠ってしまった。朝起きて朝食をホテルのレストランで戴いて。

 広場に行くと昨日の二人がいた。師匠と呼ばれていた少女は今日もイーブイのお面を被っている。

 

「そのお面、外さないの?」

 

「気に入ったから。お姉さんの顔、気になる?」

 

「そりゃあ、それだけ隠されたら気になるぞ」

 

「じゃあ二人がマサル君に勝てたら見せてあげるよ。ポケモンは二人とも六匹まで使っていいよ。マサル君も同じ条件で」

 

「数的にこっちが有利になっちゃうぞ?」

 

「それくらいがちょうど良いハンデかなって」

 

 そう言われたらホップとユウリは負けられなくなった。二人とも目標がある。チャンピオンである兄に勝つこと、本気のショウに勝つこと。

 その目標の前に、捕獲がメインの同い年の少年に負けるわけにはいかなかった。

 

「いくぞ、ユウリ!」

 

「合わせるよ、ホップ!」

 

「いけ、バイウールー!」

 

「行って、インテレオン!」

 

 ホップとユウリがモンスターボールを投げるのと同時にマサルもモンスターボールを二つ宙に放った。

 

「頼むよ。レジエレキ、レジドラゴ」

 

 現れたのは黄色い電気を纏った巨人と緑色に赤紫の手をした巨人。

 その威圧感に、普通のポケモンではありえない巨大さに。二人は慄いてしまった。

 

「「え……?」」

 

「惚けちゃダメですよ。あなた達が相対するのは、もっと理不尽な現実なんだから」

 

 少女の声は届いたものの。

 その二匹の伝説のポケモンに蹂躙されてしまった。

 負けたホップは修行のやり直しだー!と叫んでラテラルタウンに向かい、ユウリはちょっと観光をしてから次の街を目指すようだった。ポケモンの回復のためにポケモンセンターに行ったら知り合いの博士助手に会ったからだそうだ。

 

「良かったんですか?師匠」

 

「バッチリ。彼らのジムチャレンジを見届けたらヨロイの孤島に行こうか。そこにも本土やカンムリ雪原とは違うポケモンがたくさんいるし」

 

「はーい。どんなポケモンがいるんだろう、楽しみだなあ」

 

 マサルと少女も歩き出す。

 少女は本土にいる間、一度もお面を外さなかった。外したのはマサルと一緒の、誰にも見られない場所でだけ。

 

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