ポケモンLEGENDS IF〜もしショウが悪堕ちしていたら〜   作:ポポタン

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期待の二人

 結局。ビート君はキバナさんの記録をぶっちぎって一ヶ月ちょっとでジムチャレンジ制覇。掲示板はわたしの頃よりも盛り上がっている。キバナ・ショウの再来と大盛り上がり。

 続くマリィちゃんも二ヶ月という圧倒的な速度で終わらせた。わたしを余裕で超えていったからポンポンと抜けていくのかなと思ったらまさかまさかのネズさんのスパイクタウンで足踏み。

 

 あくタイプミラーで大苦戦をして、というかネズさんが本気の本気でマリィちゃんと戦って中々勝たせなかった。ジムを継がせるために詰め込めることは詰め込もうと考えているんだろう。

 これでマリィちゃんがジムリーダーになったらもうジムチャレンジには参加できない。最初で最後のジムチャレンジだからこそ、突破できない人の心を知ってもらうためにあえて本気を出したネズさん。

 

 ただ単に愛の鞭だ。ビート君には速度的に追いつけないこともあって徹底的にやったんだろう。そのせいでキバナさんは余裕でぶっ飛ばされていた。

 一位のビート君はローズ委員長の推薦だったから。マリィちゃんはネズさんの推薦かつ妹ということで話題性は抜群。盛り上がるのはお祭りみたいで面白い。お祭りなんて行ったことないから想像でしかないけど。

 

 そんな民衆のお祭りとは別に、わたしのフェスティバルが始まろうとしていた。

 六番目のジムにやってきた天才少女。調べた結果ポケモンバトルを始めたばかりの、チャンピオンに推薦されただけの少女。

 ビート君とマリィちゃんが話題になりすぎているだけで、二ヶ月で六番目のジムに来られるのは才能に溢れてるんだけど、今の話題はトップ二人のことばかりで追随する稀代の天才についてはそこまで個人名がネットに出てこない。

 

 最初の方はダンデさんが推薦したということですっごい名前も上がってたけど、今では下火。追っかけてる人はとことん追いかけてるけど。

 今、ジムミッションは完璧にクリアした。ガラル地方以外のポケモン知識はなかったけどバトルでジムトレーナーをコテンパンにしてたからバトルの才能もあり。可愛らしいし強いから人気になるのもわかる。

 

 わたしがそうやって人気を獲得したわけだし。

 彼女の何がすごいって、判断が早い。指示を出すのもポケモンの交代もわざの指示もとにかく早い。相手の動きをつぶさに見切って指示を声高に轟かす。

 その指示にポケモン達は背中を押されたかのように加速する。彼女の下で戦うからこそ強くなれるというような信頼感がある。絆、というやつだ。

 

 これがバトル歴二ヶ月足らずの少女だと誰が信じられるか。わたしは信じられる。

 だって彼女は、わたしの大好きなジュンや、わたしが一番嫌いなわたしソックリで。

 

 

 ああ、愛おしくて憎らしい。

 

 

 スタジアムに移動してもらって、二人で入場する。今年三番目のジム戦だ。

 勝負を始める前に、ちょっと聞きたいことがある。なんだか顔が赤いけど体調が悪いようには見えない。興奮しているのだろう。顔が赤い理由も気になるっちゃなるけど、それは聞かなくていいか。

 

「ユウリちゃん。びっくりするほど速くて驚いちゃいました。ポケモンバトルを始めたばかりの子とは思えません」

「ちゃん付け……!ありがとうございます!」

 

「???嫌じゃなかったならいいですけど……。ホップ君は一緒じゃないんですか?三番目のジムまで一緒だったからてっきりずっと一緒なのかと……」

 

 わたしもそこまで二人のことを追ってたわけじゃないから全部のことは知らない。直感でリーグ委員を動かすわけにはいかないから、誰とどうしていたかなんて逐一把握していないわけで。

 わたしだってずっとジュンと一緒に旅をしていたわけじゃないから、違う道を行くこともあるだろうとわかってるけど、二人は開会式に辿り着くところから、エンジンシティに戻ってくるところまで一緒だった。三番目のジムを突破してカブさん達に送り出されているんだから間違いない。

 

 今回の運命の二人はずっと一緒なのかと思ってたから、一人でこのキルクスタウンにやってきたのは正直驚いた。

 二人の行動でこれからのガラルが変わるかもしれない。だから知っておきたかった。

 昔、ロケット団なる悪の組織があった。けど二回も年若き少年一人に壊滅させられた。ポケモンに関する世界最大企業であるシルフカンパニーがロケット団に占拠されたのは世界的に大ニュースだった。

 

 同じようにアクア団・マグマ団なる組織もホウエン地方で暴れて天変地異が起きたというのもちょっと前の話だ。それも年若い男女が解決に導いた。

 わたしの知らないジュンの話を信じるなら、ジュンとヒカリも『ギンガ団』を滅ぼしている。悪の組織というものはうら若き少年少女に滅ぼされる宿命にあるのかもしれない。

 

 わたしやローズ委員長がやろうとしていることも、ガラルへの一次災害が起こることを考えると悪と捉われるかもしれない。そうしたらわたし達を成敗するのはユウリちゃんとホップ君かもしれない。

 この世界は少年少女が善行を成すというのが大変好みらしい。いや、アルセウスが好きなんだろう。そういう風に世界を作ったのかもしれない。

 

 ガラルでの行動も悪と認識されるなら本格的にこの世界は滅びるべきだと思う。ポケモンの力を借りて世界を良くしようとする大人の考えも否定されたら、あくまで共存の道であったとしてもポケモンの力を利用することが大罪だというのなら。

 なんて歪な箱庭なんだろうか。

 わたしがそんなことを考えていると、ユウリちゃんは首を傾げながら答えてくれる。

 

「ホップとはナックルシティで別れてから一緒に行動はしていません。会えばバトルとかもしましたけど……」

 

「あらそうでしたか。幼馴染と聞いていたのでジムチャレンジを一緒に回っているのかと思っていまして。勘違いしていました」

 

「途中まではそうだったので……。ナックルシティである男の子に負けて、修行するって言ってあちこちに行ってポケモンを育てているみたいです」

 

「ある男の子?」

 

 まるで同年代みたいな口ぶりだ。有望な同年代の男の子なんてオニオン君かビート君しかいない。チャレンジャーにジムリーダーがバトルを申し込めないからビート君一択なはずだけど、違うって脳が訴えかけてくる。

 

「それってビート君ですか?」

 

「いえ、彼じゃなくて。マサルって名前の男の子です。ガラルに観光に来ている二人組の一人で」

 

 国外の人なのか。じゃあ知らないわけだ。在野にこの二人に勝てる同い年の子供がいるなんて考えたくもない。

 ガラルの関係者じゃないなら計画にも支障は出ないだろう。

 けれど不安事項も出てきた。このバトルが終わったらローズ委員長にユウリちゃんとホップ君のこと監視させよう。

 

 ブラックナイトを任せるのはビート君でもダンデさんでもいい。けど不安に思っているのは剣と盾の英雄。ガラル国内にはあまり残っていない伝説だけど、国外にはたくさん資料があった。

 その二匹のポケモンがブラックナイトを止めるために出張ってくるかもしれない。その行動を決定付けるのはユウリちゃんとホップ君の二人か、その片方か。

 

 ゴールドという少年はホウオウとルギアを従え、エンテイ・スイクン・ライコウとも絆を深めて第二次ロケット団を壊滅させた。

 ルビーという少年はカイオーガを、サファイアという少女はグラードンを捕まえて天変地異を治めた。

 別の時空のわたしもディアルガを捕まえたらしいし、伝説のポケモンは少年少女に力を貸すようだ。

 

 こんな前例がいくつもあって警戒するなという方が無理。

 今回は候補者が多いからその候補者達にわたしのポケモンをばら撒いたけど、ブラックナイトか剣と盾の英雄のどちらが牙を剥くかわからないからとにかく配っている。ブラックナイトは捕まえないといけないけど、数千年ぶりの目覚めに興奮して暴れるかもしれないからセーフティーを用意しているだけ。

 

 ダンデさんには配ってないな。チャンピオンに肩入れするジムリーダーっておかしいし。キバナさんにはヒスイのヌメルをあげた。今では立派なヌメルゴンになっている。

 ユウリちゃんとホップ君は他の人とは違う感覚があるから目をかけているけど、わたし達の本命はダンデさんとキバナさんだ。次にビート君が来て、ユウリちゃん達はその次。

 さあ、ガラルの英雄に相応しいのか。見させてもらおうか。

 

「質問に答えてくださってありがとうございます。じゃあ、始めましょうか」

 

「はい!」

 

「行ってカットロトム」

 

「インテレオン!任せたよ!」

 

 ええ?でんきジムでみず単タイプを先頭にしますか?

 いや、でもあのインテレオン。凄い鍛えられてる。本当にバトル歴二ヶ月の初心者のポケモンだろうか。その強さは既に本気のジムリーダーに匹敵している。

 まるでわたしがジムトレーナーに施したダイマックス巣穴周回でもしたかのように強力なポケモン。タイプ相性が勝っているからって、成長させていないロトム達じゃ太刀打ちできない……!

 悠長に戦っていたら負ける!

 

「リーフストーム!」

 

「避けてとんぼがえり!」

 

 とんぼがえり⁉︎むしタイプの技だけどくさタイプを持ってるカットロトムじゃ効果は抜群!カットロトムの草の嵐は細身ながらも高速で動くインテレオンに避けられる。そのまま速度を維持してとんぼがえりを放って、タイプ不一致のはずなのにロトムは一撃で倒されてひんしになる。

 それと同時にとんぼがえりの技特性でインテレオンはボールに戻っていった。

 

 うん。四匹で勝てるわけがないね。ユウリちゃんは六匹のフルメンバーだし、わたしが出そうとしているポケモンがわかってる。だからわたしが早業で次のポケモンを繰り出そうとしても彼女は相性の良いポケモンを既に握っていた。

 あれは確実にいわタイプのポケモン。じめんタイプも複合かもしれない。

 圧倒的に不利だとわかっていてもボールを握ってしまったんだから投げるしかない。

 

「お願い、ヒートロトム!」

 

「出番だよ、ドサイドン!」

 

 ああ、初手も読まれていたわけだ。そうじゃなかったら最初をドサイドンにすれば良いだけなんだから。

 残っている二匹はスピンロトムと通常ロトム。カットロトムがやられた時点でドサイドンを倒す未来が見えなかった。

 その予想通り、その後は全てドサイドンに蹂躙されて終わり。

 戦術からポケモンの予測、覚えさせている技構成まで文句なし。

 

 彼女はわたしに匹敵する天才だった。

 ユウリちゃんにはチュリネをあげた。その後はわたしのユニフォームのレプリカを着てチャレンジを続ける。握手とサインをせがまれたからそれも了承。勝者の特権だからね。

 この半月後、ホップ君も来た。ユウリちゃんほど圧倒的じゃなかったけど彼にもセンスがある。いつかは兄のダンデさんを倒せそうと感じられるほど。

 

 ホップ君にもビリリダマをプレゼント。彼はわたしのユニフォームを着てくれなかった。恥ずかしいから着なくて良いけどね。

 後は消化戦かな。他にも良い人がいれば良いけど。

 そんなわたしの願いも虚しく。今回のセミファイナル出場者は四人だけだった。

 

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