俺は遠くから尊いを眺めていたいんだよ!組み込むんじゃねぇ!~ゴッドイーター世界に転生したからゴッドイーターになって遠くから極東支部尊いしたかったのにみんな率先して関わってきて困る~   作:三流二式

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見切り発進です。
これを機にゴッドイーターの二次創作が増えるといいな。ついでに3の捕食アクションがリザレクション基準になるといいなぁ!!!!!!


『ゴッドイーター編』
プロローグ 


 突然だけど、皆は入り込んでみたいゲームや漫画とかはあるかな? 

 

 

 そういう人は、例えばドラクエとかファイナルファンタジーとかに入り込んで、原作知識生かして早い段階で凄い魔法を習得したりして皆をあっと言わせたり、事前に事件の発端の黒幕をぶっ飛ばして物語をそもそもスタートさせないとか。

 

 

 そういうことをしてみたいとか考えたことは、一度くらいはあるのだろうか? 

 

 

 俺はもちろんあるぜ! 

 モンハンの世界に入り込んでスリンガー溜め3ムロフシ叩き込みまくって周囲にハンマーのすばらしさを説いたり、坂でのハンマーの強さを教えてぇ! とか安易に妄想してはウへヘへと一人にやついていたりしていた。

 

 

 勿論それはしょせんゲームに沿った世界そのままであることが前提の妄想な訳だから、じゃあその世界にマジで飛ばされたら、俺はきっとライトボウガンを担いで遠くから通常速射を顔面にぺちぺち当てるマンになっている事だろう。そもそも俺は人にものを教えられるような人間じゃないし。

 

 

 前置きが長くなってしまったが、結局俺が何を言いたいのかというと。

 

 

 

 

 

 

 

 転生してしまったのだ。しかも俺がプレイしていたゲームの世界に。

 

 

 俺が転生する前にプレイしていたゲームの名は『ゴッドイーター』。それも無印だ。

 無印だぞ無印。バーストや2のように調整された奴じゃなくて、アラガミが捕食の際の移動で阿呆みたいに体力の減るあの悪名高き無印だ。

 

 

 何でそんな古臭いゲームをやっていたのかというと、部屋の中を整理していたら発掘されたPSPがぽろっと出てきたからだ。

 

 

 もう長いこと遊んでいなかったから、久々に見たPSPが何だか新鮮に思えた。カセットを覗いてみるとゴッドイーターのディスクが入っていて、しかも電池も十分残ってたから、整理の事もほっぽり出してプレイしていたのだ。

 

 

 久々にプレイした無印ゴッドイーターは相変わらず阿呆みたいに難易度が高かった。アイテール(スカートはいた宙に浮かぶおっさん。キモイ)2体の任務は分断しようにも視野の広さのせいですぐに乱戦に持ち込まれ延々床ペロされる羽目になり、ハガンコンゴウ(電気びりびり猿、大型アラガミとの戦闘の際に乱入してくるんじゃねぇ!)4体の任務は当時と同じようにクリアできなかった。これがバーストや2とかならクリアできたのだけどね。

 

 

 夢中になってやっていると、気が付けば空は紅色。俺は慌ててPSPの電源を消し、充電器につないで部屋の整理を再開した。

 しかしその最中も、俺は目の前の事に集中しないでかつて夢中になってゴッドイーターをプレイしていた時の事を懐かしく思い出していた。

 

 

 当時の俺はモンハンばかりやっていたハンターだったけど、友達に勧められて何となくプレイしてみたのがこのゲームとの出会い。

 そして移動の速さ、遠近ともに対応できる神機、クリーチャーのデザインはたちまち俺をゴッドイーターの世界の虜にした。

 

 

 以来俺はゴッドイーターのゲームは無印から3までずっと追いかけてきた。何度も何度も周回した。(3以外は)

 

 

 好きなゲームは何ですか? と聞かれたら、俺は迷わずゴッドイーターと答えるだろう。(3以外は)

 

 

 好きなゲームだよ、ほんと。(3以外は)

 でもこの世界に入りたいかと聞かれたら、俺は確実にNOと言う。

 

 

 だってこの世界、基本詰んでるんだもん。

 そもそもアラガミ(オラクル細胞)が出現したのは地球が危機を感じ、自らを再生させようとした、いわば地球の新陳代謝? あるいは自浄作用? みたいなもんである。

 その際に地球上にいたあらゆる生命が絶滅してしまうが、自分の体の中に棲む寄生虫やらの心配などする奴がいないのは当然のことで、それを何度も妨害するせいでどんどん状況が悪化していくのがゴッドイーターという物語の流れなのだ。

 

 

 地獄である。糞である。

 物語としては好きだが(レイジバーストでロミオが復活するのと3以外)、現実として生きたいとは到底思えない世界なのだ。

 

 

 なのに転生してしまった。ご丁寧に子供の姿である。この世界で子供の姿で転生とか、神様は俺に死ねってか? ふざけてるぜ。

 

 

 え? そもそも何で転生した世界がゴッドイーターの世界だってわかったのかって? 

 だって意識を失って目が覚めた瞬間、目の前でオウガテイル(現物)が大口開けて突っ込んできてたんだもん。

 

 

 びっくり何てもんじゃない。危うくリアルエリック(序盤でオウガテイルに食われて死ぬチャラいイケメン。通称上田)になるところだった。

 

 

 咄嗟の判断で身を投げ出せなかったらと思うとぞっとする。良く身が竦まず体が動いたもんだ。命の危機を味わったことが無いなりにナイス判断だと自分を褒めてやりたい。

 

 

 尤もその後がまた大変だった。

 ゲームではオウガテイルなんて雑魚そのもので、動きがすっとろいのを良い事にバースト維持のためにあえてそこらへんに放置してたような敵だった。

 でも現実ではそうはいかない。こんな雑魚でも文字通り人外の身体能力は、オラクル細胞を持たぬただの人間、加えて子供である俺にはディアウスピター(顔がおっさんの猫。リザレクションは許さんからな)並みの脅威に映った。

 

 

 偶々近くに人の死体があり、その懐に偶々スタングレネード(アラガミを怯ませられるくらい強力な閃光手榴弾)が無かったら、俺は今頃奴に食い荒らされ、薄汚い肉塊になり果てていたこと請け合いである。

 

 

 俺がいたのは通称贖罪の街(ゲームで一番初めに入る事になるステージ)と呼ばれている場所で、アラガミが現れた直後に多くの人が住んでいた街だ。今はアラガミの侵攻で誰も住んでおらず、いるのは俺と同じはぐれ者かアラガミくらいのものだ。

 このステージは好きだよ。程よい広さで遮蔽物も多くて分断も楽だし、フレーバーテキストもGOOD! 

 でも子供の姿で駆けずりたい場所じゃねぇなぁ! 

 

 

 オウガテイルを撒いた俺は必死になってマグネシウムとモーリュを求めて贖罪の街を駆けずり回った。

 この二つを組み合わせるとスタングレネードが出来上がる。戦闘の出来ない俺の生命線となる物なので、ぜひとも今の内に集めておきたかった。ゴッドイーターになった後も使うしね。備えあれば患いなし! 

 

 

 

 うち捨てられたこの街で素材を求めて地面をガサガサあさる姿は、はたから見たらそれはもう滑稽に映ったことだろう。

 しかし他人から見たら滑稽な姿でも、当人である俺にとってこれは命を繋ぐ尊い行為であり、燃える血潮のパトスなのである。

 

 

 うろうろするオウガテイルやドレッドパイク(二足歩行の緑色の虫みたいなやつ。雑魚そのものだが、3でなんか地中潜行なんか覚えやがった)、をやり過ごし、コクーンメイデン(キモイ繭みたいなやつ。遠距離からいきなり撃ってくるの止めろ!)に絶対感知されないように夜にこそこそ動き、何日もかけてついにスタングレネード30個分の材料が集まった。

 

 

「やったぁ!」

 

 

 両手放しで喜んだのも束の間。

 

 

「やば、俺スタグレの作り方知らねー!」

 

 

 俺は途方に暮れ、考え抜いた挙句、この街を離れて人のいるコミュニティーを探すことに決めた。

 ていうかそうしないと死ぬ! ゴッドイーターになってもいないのにくたばるなんざごめんである。死ぬにしたってせめて神機使いとして死なせてほしい。できれば主要人物の目の前で。

 

 

 ゴッドイーター世界に転生したのだから、やっぱりゴッドイーターになってみたいという願望があった。できれば主要人物とお近づきになりたい。あわよくば彼ら彼女らを見て遠くから尊いしてぇ! 

 

 

 だから俺は拠点を離れ、人を求めてさ迷い歩いた。

 その過程で今は2061年、原作開始からちょうど10年前だという情報を手に入れることが出来た。

 

 

 10年。さすがにそれだけの時間があれば、俺もこの地獄めいた世界に馴染むことが出来るだろう。

 先の展開を知っているだけに憂鬱な気分は晴れないが、逆にもう少しましに出来るんじゃないかという希望も胸にあると言えばあるのだ。

 

 

 先行きは不安。頼れるものは知識以外何もありはしないけれど、それでも生きていこうと俺は決意を新たに、今日もスタングレネードを投げてアラガミを怯ませつつ素材を回収するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




3は何とかならんのか

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