俺は遠くから尊いを眺めていたいんだよ!組み込むんじゃねぇ!~ゴッドイーター世界に転生したからゴッドイーターになって遠くから極東支部尊いしたかったのにみんな率先して関わってきて困る~   作:三流二式

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遅れて申し訳ないです。相も変わらず滅茶苦茶です。ごめんなさい。


希望(中編)

『制圧対象は、極東支部支部長、ヨハネス・フォン・シックザール。正面の構造物はアラガミに極めて近しいオラクル兵器と断定しました。最後まで全力でサポートします! ……ご武運を!』

 

 

 ヒバリからの通信で目の前の『女神』の情報を得た彼らは、『男神』と合流しようとする『女神』の進路を妨害するように立ち回り、この場に留めるべく攻撃を開始した。

 

 

「ハアッ!」

 

 

 アリサの横薙ぎの斬撃を滑るように回避し、反撃の殴打を繰り出す『女神』に、コウタとサクヤがすかさず銃撃を撃ち込んで攻撃の妨害をする。

 

 

『0001101001110』

 

 

『男神』と引き離されて不調でも起こしたのか、『女神』の口からはノイズじみた雑音しか聞こえなかった。

 しかし、それでもどこか煩わし気な目で2人を見やると、無造作に右腕を振った。

 

 

 遠距離武器を相手に当然空振りに終わると思われたが、次の瞬間腕が蛇腹剣じみてセグメント分解され、何倍にも伸びた腕がまるで鞭のように振るわれてコウタとサクヤに襲い掛かった。

 

 

「くっ!?」

「うおおっっ!?」

 

 

 サクヤは咄嗟に跳ねる事で、コウタは神機でガードする事でかろうじて傷を負わずに済んだものの、あまりの衝撃に後方に大きく跳ね飛ばされてしまった。

 

 

「コウタ!? くそが!」

 

 

 呼びかけに手を振って応じたコウタに安堵しつつも、仲間を傷つけられて即座に激昂したソーマは伸び切って隙を晒した『女神』に向かって渾身の振り下ろしを繰り出した。

 

 

『0001110101011!?』

 

 

 これをまともに食らった女神はバウンドし、床をゴロゴロと転がった。

 が、すぐさま立ち上がり、『女神』は機械的に眼前の敵へと向けて砲弾めいた勢いで突っ込んでいった。

 

 

 女神の胴体にはうっすらと切り傷が浮かんでいた。ソーマ渾身の一撃をまともに食らってその程度の傷しか与えられない事実に、彼らは驚愕を禁じ得なかった。

 

 

 しかしそれでもやらなければならない。

 

 

 幸いにして、『死神』の時の様に傷一つ付けられないわけではない事が分かったので、あの時に比べればずいぶんマシである。

 

 

 何より。

 

 

「戦えている……!」

 

 

 そうだ。彼らは事実この恐るべきアラガミを前に戦えているのだ。

 

 

 それは彼らが今まで数多の戦闘を通じて築き上げた努力が、敗北の挫折が、鍛錬の成果がここで発揮されていたのだ。どれもが無駄では無かった。あらゆる経験の全ての蓄積の果てに、彼らはこうしてこの大舞台で戦えている。

 

 

「「こいつは私(俺)たちが倒す!」」

 

 

 サクヤが、アリサが、コウタが、ソウマが、吠える様に言うと、全員が一斉に『女神』に向かって攻撃を始めた。

 

 

『01101s0101ー110マ00101011』

 

 

『女神』は相変わらず不明瞭なノイズを垂れ流しながら、『人』を滅ぼすために、迎え撃った。

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 第一部隊と『女神』の戦いを、遠くから眺めている存在があった。

 

 

 カカシは目を細めながら彼らの戦いぶりを、その魂の輝きを、飽きる事無く見つめていた。

 

 

『それを吸い終わったら、始めようか』

 

 

『男神』に言われ、カカシは視線を『男神』へと向け、ふと口元を緩めながら咥えていたタバコを指で挟み、紫煙を吐き出した。

 

 

『私は君が、こちら側に来ると思っていた』

 

 

 カカシからの疑問の視線に、『男神』は確信の籠った返答を返した。

 

 

『君は私と同じように、人類に絶望している。違うか?』

 

 

 質問に答えず、カカシは曖昧に微笑んだ。いつものように。

 

 

『ッ! 答えろ大狼! 何故だ……なぜ!? 君は「ヨハネスさん」ッ!?』

 

 

 被せられた声は『男神』に比べれれば殆ど囁きにも近しかったそれは、しかし、嫌に良く聞こえた。

 

 

 静かかつ穏やかに告げられた言葉は、理由は分らないが二の句が継げない程の迫力があった。『男神』は思わず黙り込む。

 

 

「あなたは凄い人だ」

 

 

 第一部隊と『女神』の魂を震わせるかのような戦いを見つめながら、カカシは口を開く。

 

 

「たった一人でここまで来た。ここまで来るのに、どれだけの苦しみを、どれだけの悲しみを、どれだけの失望を……どれだけの希望を抱いてきたのか。俺は頭が悪いから想像もつかないけど、きっと俺には想像もできない程の険しい道のりだったのでしょうね」

『……』

 

 

 吹き飛ばされたソーマを受け止めたアリサの隙をカバーするように射撃をするサクヤ。それを援護する形でコウタがスタングレネードを放り投げ、見事『女神』は行動不能に陥り、援護射撃により『女神』は堪らず後退した。

 

 

 援護射撃のおかげで体勢を復帰し、ソーマとアリサは再び裂帛の気合と共に流星めいて『女神』を穿たんと突貫した。

 

 

 素晴らしい戦いぶりであった。彼らの雄姿は、まさしく人類最後の砦というべきに相応しい。……自分と違って。

 

 

「彼らも、あなたと同じようにたくさんの苦しみや悲しみがあった。そしてそれを乗り越えて、今ここにいる」

『だから何だ? 私にも同じことをしろと? 馬鹿馬鹿しい!』

「ヨハネスさん」

 

 

 カカシは紫煙を吐いた。

 

 

『何だ?』

「あなたの質問に、まだ答えていませんでしたね。ほら、どうして俺があなたの計画に乗らなかったのかって」

『……』

 

 

『男神』は黙り込んだ。それが自分の話を聞くためだと知り、生真面目だなぁと内心思いながら、カカシは言った。

 

 

「あなたのアーク計画と同じように、俺にもちょっとした『計画』があるんです」

『なに!?』

 

 

 驚いたように声を上げる『男神』に構わず、カカシは続ける。

 

 

「あなたの様な綿密かつ周到な計画という訳ではありません。むしろ運任せの行き当たりばったりの計画とすら言えないようなお粗末なもの」

 

 

 でもね、と告げるカカシの顔は、酷くくたびれ、すり切れていた。

 

 

「でも、これが上手くいきさえすれば、今いる人類の大半を殺す事無く世界を救うことが出来る。人も地球も誰も傷つかずに済むんだ」

『馬鹿な! そんな方法がある訳が無い!』

 

 

『ヨハネス』は絶叫した。

 当然だろう。それは今まで何度も模索し、結論が出せずに捨て去らざるを得なかった机上の空論だった。

 

 

 それを、目の前のたかが仮初の名を持つ者が出来ると、しかも本人曰く場当たり的な計画とすらいえない物だというではないか。

 

 

 ふざけるなと言いたくなるのも無理はない。

 しかしカカシは知っているのだ。この世界の一つの結末を。その先に起こる悲劇を。

 

 

「今のところ計画は実に順調なんだ。まあ流れに身を任せているだけなんだけど。それに、今まではあまり派手な動きは出来なかったけど、()()()()()()()()()()()()()()()

『ッ!』

 

 

 その一言で、『ヨハネス』は全てを察した。

 

 

 カカシは肺に残った紫煙をすべて吐き出すと、煙草を踏み消し『男神』へと向き合った。

 

 

「これが俺があなたの計画に乗らない理由です。分かってくれましたか?」

『……あぁ、理解したよ』

 

 

 二者は無言で、しばしの間見つめ合った。

 

 

 どうしてこうなった? 

 

 

 二者は全く同じことを考えた。

 

 

 どうしてこうなった? 志は同じはずなのに、どうして争わねばならない? 

 

 

 何百、何千と問うてきた疑問に、今再び両者は襲われていた。

 

 

 しかし疑問は刹那。結論は瞬く間に弾き出された。

 

 

 もはや問答は埒も無し。とうに賽は投げられた。結局の所、アプローチの仕方が根本的にかみ合わなかったのだ。彼は全てを切り捨てた。彼は全てを切り捨てられなかった。要はそれだけだ。

 

 

「ヨハネスさん……」

 

 

 バキバキと軋み音が聞こえ、次の瞬間カカシの口元は『牙』に覆われた。

 

 

『カカシ君……』

 

 

『男神』は己の体に(オラクル)を巡らせた。己の血肉、己の細胞一片に至るまで、眼前の敵を完全に粉砕するために。

 

 

『「君(あなた)が邪魔だ(です)」』

 

 

 対峙する二者の体から、この空間に満ちる異様な力すら吹き飛ばすほどのオラクルが放射された。

 

 

『「消えてくれないか(ませんか)?」』

 

 

 この話し合いは、要するにどちらの計画を進めるかどうかの交渉のような物であった。

 結果は決裂。そして話し合いで解決しないのであれば、後に残されたのは酷く原始的でシンプルな手段だった。

 

 

 即ち、敵対者を排除する事である。

 

 

 大狼は、『男神』は、同時に地を蹴り、ぶつかり合った。

 

 

 黒幕同士の戦いが始まった。

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

『ハアッ!』

 

 

『男神』の大ぶりのフックを大狼は上体を仰け反らせることでかわし、そのまま逸らした勢いでバク転をうち、着地の反動をバネに突貫。刀身が霞んで見える程の速度で神機を振り下ろした。

 

 

『見えるぞ!』

 

 

 もはや人間の限界を何段階も超えているであろう極めて恐るべき大狼の斬撃を『男神』は紙一重でかわし、お返しとばかりにストレートパンチを放った。

 

 

 大狼は盾を展開し、破城槌めいた一撃を受け止めた。

 更に大狼はインパクトの瞬間に盾を傾け、『男神』のストレートパンチを逸らした。

 

 

『んおっ!?』

 

 

 前につんのめる形で押し出された『男神』の体に、大狼は突きを放った。

 

 

『舐めるな!』

 

 

『男神』は宙に浮いている点を生かし、その場でコマめいて回転した。圧倒的パワーから繰り出される回転の勢いはすさまじく、大狼の突きは軽々と弾かれてしまった。

 

 

『食らえ!』

 

 

 回転の勢いを維持したまま『男神』は猛烈な勢いで大狼へと迫った。さながら意思を持つ桃色の竜巻だ。

 桃色の竜巻を相手に近接戦闘は不利と悟った大狼は神機を銃形態へと変え、ドローバックショットで後方へ下がりながら銃撃を開始。

 

 

 たちまち嵐の如き砲火に晒された桃色の竜巻はなおも回転の勢いを高め、砲火の嵐に真っ向から抗った。

 

 

 桃色の竜巻は砲火の嵐に押し流されて後退したが、更に回転の勢いを増すことで逆に押し返し、今度は大狼が後退する羽目になった。

 

 

 大狼は後退しながら死神の口から破滅の鉄火を放ち続けたが、背中にとんと衝撃を感じ、目を見開いて背後を見る。

 あまりにも夢中になりすぎて、いつの間にか壁の端まで後退していたようだ。

 

 

「チッ」

 

 

 無意識に出た舌打ち。瞬時の状況判断を下した大狼は砲撃を続けながら跳躍。さらに背後の壁を蹴ってもう一段。眼前にまで迫った桃色の竜巻を飛び越しにかかった。

 

 

『ハハ! 無駄だ!』

 

 

『男神』は回転の勢いのまま片手を伸ばし、丸太のような腕を叩きつけにいった。

 

 

「そうかな?」

『何ぃ!?』

 

 

『男神』は思わず唸った。何と大狼は足の裏からオラクルを放出する事で空中で2段ジャンプをやってのけたのだ。結果、叩き落すはずだった腕は空を切り、大狼は『男神』の背後へと着地した。

 

 

「ガアッ!」

『しま!?』

 

 

 大狼は無防備な隙を晒す『男神』へ横薙ぎの斬撃を放った。『男神』は咄嗟に反応した物の、神速の一撃ともいえる大狼の斬撃をかわし切ることは不可能であった。

 

 

 咄嗟に掲げられた腕のガードの下をすり抜けるように振るわれた呪われし刃は、『男神』の脇の下を切り裂いた。

 

 

 決して浅くない傷であった。血飛沫が舞い、鮮血が刃の軌跡に沿って宙に円弧を描いた。

 

 

『ぐおお!?』

 

 

 産まれて初めて味わう激痛に堪らず悲鳴を上げる『男神』に、大狼はほんの、ほんの0コンマ数秒のあいだ躊躇いを覚えた。

 が、それもすぐに消えた。代わりに湧き出たのが、嘲笑。

 

 

 何をいまさら。

 

 

 大狼は吐き捨てた。

 

 

 命乞いをする者を、戦意の無くなった相手を、俺は一体どれだけ殺してきた? それを思えば、今更それが一人増えたところで何を躊躇う事があるのか。

 

 

 大狼は『牙』の下で自嘲気味な笑みを浮かべ、ふと湧いた同情の心に蓋をして、容赦なく追撃を加えた。

 

 

『ぐうっ!?』

 

 

 返す刀で胸のコアを切り裂かれた『男神』は堪らず後退した。

 

 

 更に追撃を、と踏み込んだ大狼だが、その瞬間脳髄に電流めいて死のイメージが弾け、反射的に横に飛んだ。

 一瞬遅れて彼のいた地点に桃色の光球が着弾し、光の柱を発生させた。

 

 

 危ない所であった。あのまま切り掛かっていたら発射された光弾が直撃し、発生した光の柱に全身を焼かれていただろう。

 

 

『大狼オオオオオ!!!』

 

 

 想像を絶する痛みを憤怒によって押し流した『男神』は大狼の着地点を狙い、追撃の光弾を発射した。

 

 

 大狼は顔面を狙った光弾を首をかしげる事でかわし、その後に立て続けに発射された光弾を稲妻めいた横移動をすることで回避した。

 

 

 しかし、『男神』の執拗な射撃は時間が経つにつれ密度を増し、ついにかわし切れずに一条の光が大狼の脇腹の肉を吹き飛ばした。

 

 

「ぐっ!?」

 

 

 転倒こそ免れたものの、崩れた体幹を立て直すために強く踏み込まねばならず、その間に彼の体に何発もの光弾が着弾した。

 

 

 ボボボボボと断続的に光球は着弾し、肉片と血飛沫をまき散らし、大狼の姿は煙の向こう側へと姿を消した。

 

 

『ぐ……ク……ハ、ハハハハ! どうだ効いたか!?』

 

 

 煙の向こう側で大狼の傷の具合は定かでは無いが、しかし確かな手ごたえを感じた『男神』はあの『大狼』の喉元に自らの牙が届くことが分かった事に歓喜した。

 

 

『男神』の脳裏にはかつて混沌の翁を屠り去った『大狼』の姿が未だこびり付いており、あの時感じた恐怖をいつの日か払拭すると固く誓っていたのだ。

 

 

 しかしである。

 

 

『ハハハハハ……──―ッ!?』

 

 

 高笑いしていた『男神』だが、その時、煙の向こう側でゆらり、と蠢く気配を感じ笑みを止めた。

 

 

 彼は思い出すべきであった。大狼が真に恐ろしくなるのは、命にかかわる様な甚大なダメージを負った後である事に。

 

 

 直後、煙幕が爆散し、黒い閃光が弾けたかと思えば一直線に『男神』へ向けて引き絞られた矢のように突っ込んできた。

 

 

『く、やはり!?』

 

 

『男神』は螺旋を描く突きをかろうじて弾き、弾かれた反動を利用した回転切りにパンチを合わせて相殺。

 

 

 黒い影は黄金の軌跡を後に残し、尋常じゃない程加速した斬撃を無数に放った。

 

 

『うおおお!?』

 

 

 アラガミと一体化し、遥かに向上した動体視力をもってしても大狼の動きは黒い影にしか見えなかった。

 

 

 明らかに先ほどの攻防とはまるで別次元の動きに『男神』はまったく対応できなかった。

 

 

 しかしそれも仕方のないことだ。元々彼は戦闘とは無縁の人間であり、対する大狼は百戦錬磨の戦闘者である。

 経験が違う場数が違う。こと戦においては何もかもが目の前の相手とは隔絶していた。

 

 

 だがそんな彼にも大狼に劣らない、否、絶対に凌駕しているであろうことが一つある。

 

 

 それは執念。絶対に人類を救って見せるという、狂気にも近しい人類への執念である。

 

 

『舐! め! る! なぁアアアアアアアアアアアア!!!』

 

 

 全身を走る苦痛を、すべてを切り捨てた苦汁を、執念で塗りつぶし、『男神』は獣のように吠え無我夢中で拳を振るった。

 

 

 奇跡が起きた。

 何とがむしゃらに振るわれた拳の一つが、大狼のガードをすり抜けて腹部へと吸い込まれるように当たったのだ。

 

 

 

 大型の重機が壁にぶつかったかのごとき破砕音。当たるとは思っていなかった『男神』は束の間放心した。

 そしてその時はじめて煙から姿を現した後の大狼の姿を視界に収めた彼は絶句して再び硬直した。

 

 

 

 大狼の体は全身が血にまみれており、わき腹の肉は吹き飛ばされて未だ修復が済んでいないのか肉の断面が垣間見えた。

 殴られた衝撃で骨が圧し折れたらしく、更に体を突き破って何本か体外に露出していた。

 

 

 どう見ても即死、どう見ても戦える体ではない。それでも彼は生きていた。

 

 

 大狼は神機を握っていない方の腕を突き出された『男神』の拳に乗せ、俯いていた顔を上げた。『男神』は思わず息を呑んだ。

 

 

 下顎を覆う『牙』は破壊されており、剥き出しとなった口元は大型の肉食獣めいて犬歯がむき出しとなり、見開かれた瞳は黄金の光で煌々と輝き、光の点にしか見えない瞳からは何者も真意を読み取る事は出来ないだろう。

 

 

 だが『男神』はそんな瞳が宿す思いを共有していた。

 

 

 それは人類を憂う心。同時に人類への失望と嘆きである。

 

 

 お互いの思いを再確認した両者だが、視線の交差は一瞬。言葉はとうに語りつくした。後は相争う以外に道は無く、それは二人が言葉を交わす事無くわかり切った物事の内の一つであった。

 

 

 示し合わせた訳でもなく、『男神』と大狼は再び切り結び合った。

 

 

『男神』のフックをかわし大狼は切り付ける。『男神』は後方へ滑るように動いて刃をかわし光弾をばら撒いた。

 

 

 大狼は頭部や重要な器官を狙ったもの以外一切頓着することなく構わず突進。

 

 

 肉を、血を景気よくばら撒きながらも大狼は『男神』へと迫り、『男神』は目前に迫った大狼へ迎撃のラリアットを繰り出すも大狼は易々と潜り抜け、全身のバネをきかせて跳ね起きながら昇り切りを繰り出した。

 

 

 

『ガアアアアアアアッ!?!!』

 

 

 絶叫が、鮮血と共に迸った。

 

 

『男神』は切り飛ばされた己の腕の付け根を押さえつけながら、宙をふらついた。

 

 

 ここを好機と見た大狼の瞳がギラリと光った。

 

 

 大狼は血と肉を練り固め、再び『牙』を口元に生成すると『男神』を袈裟懸けに切り裂いた。

 

 

『グハッ!?』

 

 

 更にもうひと振り。

 

 

『グウッ!?』

 

 

 更にもうひと振り。

 

 

『ぐ、オオオおオオオオオオオ!!!!!』

 

 

 ここで『男神』が意地を見せた。

 

 

 切り裂かれながらも男神は残った腕を振るい、大狼から神機を弾き飛ばした。

 

 

「ッ!」

 

 

 弾き飛ばされた神機を目で追う大狼へ、『男神』は渾身のストレートパンチを繰り出した。ありったけの力を籠めた一撃は凄まじいまでのオラクルが迸り、桃色の光が流星めいて大狼へと迫った。

 

 

 対する大狼は、何と逃げるどころかその場にどっしりと腰を据え、思い切り腕を引き絞った。

 

 

(何を!?)

 

 

 訝しむ『男神』だが、次の瞬間驚愕に目を見開くこととなった。

 大狼は『男神』と同じようにパンチを放ったのだ。それだけならば驚くに値しなかっただろう。武器を失った人間の咄嗟に放った儚い抵抗でしかないからだ。

 

 

 問題は振るわれた拳が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。黒と金の悍ましいオラクルを。

 

 

 黒と金の光と桃色の光が衝突する寸前、両者の主観時間が泥めいて鈍化し、世界のほぼ全てが静止した。

 

 

 暗黒の世界にあるのは金髪の男と、黒髪の男のみ。

 

 

 金髪の男は目を伏せた。黒髪の男は頷いた。

 

 

 瞬間、暗黒の世界は消え去り、泥めいた時間は流れ出した。

 

 

 黒と金の光と桃色の光が激突した。

 

 

 閃光が弾けて周囲を染め上げ、音が一瞬だけ消え去った。次の瞬間破滅的な炸裂音が迸り、『男神』は『女神』の方へと、大狼は第一部隊の方へと弾丸めいて弾かれた。

 

 

「うおおお!?」

 

 

 突如吹き飛んできた大狼に面食らいはしたものの、危うげなくコウタは大狼の体をキャッチした。すぐさま無事を確かめようとしたのだが、前方から聞こえた怨嗟の絶叫を聞き、反射的に前へと顔を向けた。

 

 

『まだだぁアアアアアアアアアア!!!!!』

 

 

 満身創痍の『男神』と『女神』は、それでもなお不退転の意思を持って立ち上がり、最後の攻勢へ打って出ようとした。

 

 

 戦いはついに最終局面へと移行したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




しぶちょー・カカシくん「「オラクルパンチ!」」


KRAAAASH!


「「ぐえー!」」


こんな感じです。調子に乗りました。ごめんなさい。
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