俺は遠くから尊いを眺めていたいんだよ!組み込むんじゃねぇ!~ゴッドイーター世界に転生したからゴッドイーターになって遠くから極東支部尊いしたかったのにみんな率先して関わってきて困る~ 作:三流二式
突如として現れたアラガミ『アルダ・ノーヴァ』の出現により、エイジス島は半壊し、時を同じくして、エイジス計画の中心人物であった、当時の極東支部支部長『ヨハネス・フォン・シックザール』はエイジス島の崩壊に巻きもまれる形で死亡した。
舵を取る人物が消えたことにより、計画は瓦解。板切れ一つ残ることなく船は沈むこととなった。
……それが、フェンリル本部が出した大衆向けの発表だった。結果的ではあるが、彼の行った『悪行』は、その志とともに闇に葬られることとなった。
彼の名誉は守られた。それがたとえ、上層部の保身ゆえの臭い物に蓋めいた行いの結果なのだとしても……俺はうれしかった。
取った手段は良くなかったのかもしれない。そのせいで起きた悲劇を許すつもりはない。それでも、彼の願いを、汚したくなかったから。
同じ志を持つものとしてのリスペクト。……彼を葬ったものとしての責任を、俺は請け負った。
それゆえに俺は、もう止まれない。あの人がそうだったように。全てを背負って進まなければならない。
悲しみも苦しみも、喰らい、糧とし、人類を救済せよ。
それが俺に課せられた、贖罪であり、唯一絶対の使命。
力を振るえ。命尽きるまで。筋肉の繊維から血の一滴まで、全てを分け与えろ。
その命をもって救済を成せ。そして完全に消えろ。
さあ始めよう。世界を救うための
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イエーイ! イエイ! イエイ!
なんだか数年の時を経たような長い時間が経ったような感じがしないでもないかもしれないけど、あの事件からなんと半年も経っちゃったんですよ貴方!
この半年でいろいろなことがありました。
あの大車とかいうあほを部下として
当然榊博士による『ノヴァの残滓』の対策本部の管理車検現場監督としてソーマ君も目を光らせてるわけなんだけど、俺たちが先んじて破壊ないし回収すれば、リザレクションのストーリーをすっ飛ばせるんじゃないかという試みだ。
あとあいつには指示出し以外にも孤児院の開設や資金集めとかさせてます。ヨハネスさんがお金を多少は恵んでくれたけど、あんなのじゃ雀の涙にしかなりませ~ん! とにかく金が要るんです、悪だくみには!
今もオウガテイルやその派生種であるバジュラテイルが贖罪の街に出てきたのでえっちら赴き、帰ってきたと思ったら今度は鎮魂の廃寺でザイゴート(堕天を含む)をやってくれっていうからそのまま直行し、さらに煉獄の地下街でシユウ神属の接触禁忌種『セクメト』が出たてんで基地に帰らずオラクル吹かして急行したんですぞ。
死ぬわ!
「キエェエエ!」
黒いボディの鳥人めいた猫っぽい頭を持つアラガミ『セクメト』が、金切り声を発しながら上段回し蹴りを繰り出してきたので、それを後方に跳んで回避しながら俺は胸中で絶叫した。
いやだっておかしくない? エイジス計画がおじゃんになる前と比べて格段にアラガミの襲撃頻度が落ち着いて、みんなどっかお気楽ムードに突入してるのに、なんで私あの時と同じくらい働いてるんですか? おかしいと思いませんか貴方?
え、お前裏でこそこそやってるんだから当然じゃんって? お、そうだな(適当)。
『カカシさん、セクメトより高エネルギー反応を検知! 避けてください!』
今日も今日とて付き合ってくれたヒバリさんの麗しのボイスが通信から聞こえた。
「あいあい」
「キエ―ッ!」
セクメトが手の火から発射してきた熱弾を、銃形態にした神機から発射した氷属性バレットで相殺消滅させ、そのさまを見て驚いたのか知らないけど硬直しているセクメトへ向けて捕食形態にした神機を向け、オラクルを噴射して突撃。
「キエッ!?」
天ノ咢で下半身をパックンチョ。そのままバキバキとかみ砕きに行くんだけど、さすがは接触禁忌種。通常のシユウ神属ならばこれで成す術もなくバキバキできるけど、こいつ一丁前に翼手を振り回して抵抗してきよった。
痛てて! 痛てて! 頭をバシバシたたくんじゃない! これ以上馬鹿になったらどうすんだ! 責任持てんのか!? 弁護士を呼ぶぞ!
「アバーッ!?」
結局こんちきしょうは下半身が破壊されるその時まで俺の頭をバシバシと叩き続けた。おかげで視界は真っ赤っか。俺の頭はあっぱっぱ。心なしかくらくらするような気がする。血はもう止まっているので貧血の線はないだろうけど、なんでだろ?
『……アリサさんに今回のこと、言いつけますからね。あとソーマさんにも。コウタさんにも。あとリッカさんにもジーナさんにも、それから―――』
まずい。何だか知らないけどヒバリさんのへそを曲げるようなことしでかしてしまったらしい。一体今日の行動のどこに? まるで心当たりがないぞ!?
ていうか多いな言いつける相手! まだ羅列してるぞ! いったい何人に報告するつもりだヒバリさんは!?
『―――はあ、とにかく、速く帰投してください』
おかのした(思考放棄)。じゃあ飛んで―――。
『ダメです。ヘリを使ってください。彼らの仕事を奪わないでください。これは『命令』です』
「ア、ハイ」
結局、セクメトの残骸回収と現場の処理を終えた後、基地までヘリで運ばれた。煉獄の地下街から直接基地に向かうつもりだったんだけど、あの命令を無視できるほど、俺の肝は太くないぞおおおお!
帰投した俺はヘリから飛び出し、急いで神機保管庫へ向かいリッカさんと鉢合わないように急いだ。ガチャりと保管庫の扉を開き、頭だけを突っ込んで左右を見る。いない。よっしゃ!
俺は定位置に神機を置き、ほくほく顔でエントランスまで向かおうとしたその時。ノブに手を伸ばしたドアが先んじて開け放たれた。
「やあ」
とても笑顔のリッカさんがそこにいた。
「うん、『今日』も『傷一つ』無いみたいだねぇ」
「……」
後ろ手にドアを閉めたリッカさんは足元からつま先までじっくりと観察し、最後に俺の顔、というか頭を凝視してにこやかに言った。
おかしい、拭いたからもう血の痕跡はないはずだが。
「ヒバリさんから聞いたよ。また無茶したんだってね」
ひ、ヒバリさぁん! まさか本当に羅列した人全員に言いつけたんですか!? そんな! 酷い……。
「あのさぁ、言ってなかったっけ? 君の神機から異音がするからあんまり無茶はしないでってさ。聞いてなかったのかなぁ。この頭は?」
「ア、ハイ」
手に持ったレンチでゴンゴンと頭をたたきながら、リッカさんはじっとりとした目で俺を睨みつけた。
「うう……ごめんなさい、もうしません」
項垂れながら言葉少なに反省の意思を示す。
「その「もうしません」はこれで何度目だろうねぇ~? 私いい加減聞き飽きちゃったなぁ~」
「ア、ハイ、ごめんなさい」
項垂れながら言葉少なに反省の意思を示す。
「その「ごめんなさい」はこれで何度目だろうねぇ~? 私いい加減聞き飽きちゃったなぁ~」
な、なにい!? ちょっと聞き捨てなりませんよリッカさん! このやり取りは数えたってそんな多くはええとひいふうみい……たくさん!
「へえーへえーへえーふぅーん……」
あほなことを考えていることなど彼女にはお見通しだったようで、レンチをしまったリッカさんは両手で俺の顔を挟み込み、俺の眼をのぞき込んだ。
……ワー奇麗ナ瞳ダナー。舞イ上ガッチャウナ―。
……。
……。
「ごめんね」
口先だけではない。いつだって俺は彼女に本気で謝っている。
俺はとても強いが、それは武術の達人的な意味ではなく生物としての強さだ。その関係上、武器の扱いは雑になりがちだ。
加えて、放浪時代の俺の戦闘スタイルはある武器をとっかえひっかえするのが基本だった。
使えるものは何でも使う。角材。鉄パイプ。初めて見る銃器。タイヤ。何もなければ、無意味に頑丈なこの体を。
神機は素晴らしい。遠近ともに対応可能なおかげで俺はいちいちそこら辺に落ちているものを使わなくて済むようになった。
しかしその代わりに今までのすべての役割が神機に降りかかることとなる。そのため、どうしても酷使せざるを得なくなってしまう。
それでもいつも完璧に整備してくれる彼女には頭が上がらない。感謝以外の念はない。楠リッカに、いつだって俺は感謝と尊敬を胸の内に抱いている。そういう意味では、彼女は俺なんかよりもよっぽど強い。
自分の体ならばよかった。いくらでも酷使できるし、どう使おうが誰にも何も言われない。少なくともここに来るまでは。
でも今の立場ではそうもいかない。これでもかなり気を付けて立ち回っているのだが、俺の周りにいる人たちにとっては、これでも心配らしい。
心配してくれる。心配をかけさせてしまっている。こんな俺を。何の意味もなく生まれた俺を。
なんて優しい人たちだろう。そんな人たちに気を使わせてしまうのは申し訳なくてたまらない。
でも、やめるつもりはない。そうすることしかできないから。それ以外に知らないから。
だから俺は心から謝るのだ。ごめんなさい。ごめんなさい。と。
「ずるいな、君は」
リッカさんが何か小さくつぶやくのが聞こえた。聞き取れなかったのでもう一度言ってくれるように頼もうとしたら、「―――あーもう! 分かったよ!」と項垂れる俺の頭をリッカさんががしっと掴み上げ、頭を横に振った。
「また調整しなきゃいけないから、速く出てってね!」
こちらに背を向けたリッカさんはビシッと出口を指さした。
「ア、ハイ。ヨロシクオネガイシマス」
「分かったから早く行って!」
「ヨロコンデ―!」
戦々恐々しながら、俺は言われるがままリッカさんを残して神機保管室から飛び出した。
そうして這う這うの体で穴倉のエントランスまで戻ると、アリサさん、ソーマ君、コウタ君、サクヤさんといった第一部隊がそろって笑顔で出迎えていた。
俺は慄いた。彼らは皆笑顔であった。笑顔である、はずなのに。冷汗が止まらない。背後から鬼めいたオーラが出んばかりの、凄まじい圧が肩を押さえつけ、逃走を許さない。
ていうか実際に物理的にコウタ君に肩を押さえつけられ、俺は強制的にエントランス上階の椅子に座らせられた。周りには第一部隊の面々が。その奥にはジーナさん、ブレンダンさん、よろず屋のおっちゃんに裕福な少女と仲睦まじく手をつないだエリックさんに……多いな!?
「私たちが言いたいこと、分かりますか?」
笑顔のアリサさんのお顔が目の前にある。
……ワー奇麗ナ顔ダナー。舞イ上ガッチャウナ―。
「大体あなたはいつもいつも―――」
アリサさんが口火を切り、お説教という名の処刑は始まった。全方位から放たれるお説教はどんなアラガミの攻撃よりもはるかに俺を打ちのめした。
気分はさながら石投げ刑に処された死刑囚の如し。俺はただハイ、というだけの機械に成り果てた。コンナノッテナイゼ。
『おバカさんへのお説教中すみません第一部隊の皆さん。緊急連絡です』
死んだ目でソーマ君のお説教を聞いてた時である。ヒバリさんの真剣な声が鼓膜を揺らした。
『嘆きの平原にて防衛班が未確認アラガミを確認。至急、第一部隊の出動をお願いします』
―――来たか。
ぼやけていた視界が戻る。俺は立ち上がり、ソーマ君の静止の声を背中に受けながら神機保管室へと足を進めた。