ドールズフロントライン ~16.6%のミチシルベ~ 作:弱音御前
どうも、弱音御前です。
ネゲヴちゃん率いるエーデル小隊のサイコロ任務、今回は第5話です。
前話で巻き起こした〝人形屋ウィリー事件〟に続き、今回はどんな事態が4人を襲うのでしょうか?
無駄に煽りを入れてみたところで、今週もどうぞごゆるりとお楽しみください~
第7の選択
1~3 基地直行便にて帰還
4 別支部〝アルファ小隊〟と夜戦任務 徒歩 2時間
5 別支部〝第89特戦隊〟の支援任務 夜戦ヘリ〝ガレリア〟 3時間
6 地区制圧任務 夜戦ヘリ〝HAKATA〟 12時間
・・・・・・と、改めて選択肢を眺めた私は、重大な事に気が付いた。
「ねえ、ウェンズデイ。この6枠なんだけど。ヘリで12時間って、こんなの間違いでしょう?」
私が指摘したことで、他の3人も表情が固まる。どうやら、帰れる目が3つもあるという嬉しさから、そこに目がいってなかったのは同じのようだ。
『間違いではありません。ヘリによる空路12時間の移動です』
「ちょ、ちょ~~っと待って。空路12時間とか、私達をどこに連れて行く気?」
旅客機だったら、地球の反対側まで行けちゃうくらいの時間である。
そんな冗談を平然とのたまうのとは、このAIついにイカれたらしい。
『北部戦線は直線距離ではこの半分以下の時間なのですが、途中、鉄血の制空権を迂回する必要があるため、航続距離が伸びています』
北部戦線。ここから山峰を幾つか超えた先にある、年中雪と氷に覆われた地域である。寒くなってきた時期なので、一応、寒冷装備は持ってきているが・・・そんな所に私達が長時間かけて行く
意味あるのだろうか?
「ってか、本当にそんな超々距離の便があるの? HAKATAなんていう名前、聞いたことないんだけど」
「いやいやいや、ちょっと待って。そのヘリってもしかして・・・」
そこへ、MDRが割り込んでくる。
「〝キング・オブ・夜戦ヘリ〟の異名を持つ、あのHAKATA!? グリフィン7大ミステリーの
スレッドで一時期話題になってた、幻の乗り合い便じゃん!」
「曰く、行先は戦場ではなく、本当の天国か地獄。行き場を失った人形のメンタルを冥府へと送る特別便なのだとか」
「乗った人形は、無駄に長い搭乗時間でメンタルをやられてみんな再起不能になる。だから、この便に関しての真偽は定かにならないとか。私もそんな噂だけは聞いたことある」
おや? どうやら、このミステリーを知らないのは私だけのようだ。この、噂好きミーハー
共め。
「じゃあ、そんな幻のヘリに乗ってみたい? 6の目だす?」
「「「イヤです」」」
3人綺麗に揃った答えを聞いて私は満足する。
当然だ。一日の半分をあんな狭苦しいヘリの中で過ごせだなんて、正気の沙汰じゃない。寝ていれば着くからいいじゃん、という意見もあるだろうが、私はヘリの中では熟睡できない性質なので、とにかく辛いのだ。
なんとしてでも、6だけは回避しなければいけない。
フリなんかではなく、ぜったい絶っっ対に出してはいけないのだ!
「では、誰が振りますか?」
「順番的には・・・・・・はい、隊長」
公平を期すために、振る順番はローテーションで決めていた。その順番でいけば、今回は私のターンだ。
MDRからサイコロを受け取り、静かに握る。
落ち着いて考えてみよう。
まず、基地に帰れる目は3つもある。確率でいえば50%。コインを投げて裏か表かという簡単なお話だ。
仮にそれを外したとしても、せいぜい3時間ぽっちの移動で夜戦か支援任務。
みんなもう慣れっこのお仕事だ。文句は言われまい。
幻のヘリなんて、出る確率は16.6%。この土壇場で、そんな薄い目をひくなんていう
ドラマティックな事があるだろうか?
これは小説や絵本の世界のお話ではない。紛れもない現実で起こっている事なのだ!
そう自分に言い聞かせると、少しだけ気分が落ち着いてくれた。
「サイコロを握るは、エーデル小隊隊長にして、我らがグリフィン基地の副官。是が非でも出したいのは基地に帰れる1~3の目だ。4と5でも、まあまあ許されるところではあるが、キング・
オブ・夜戦ヘリだけは避けたいところ。幻のヘリを見てみたいという興味はちょっとあるが、それでも、12時間に及ぶヘリの旅は勘弁だ。今だけでいい、サイコロの神よ我々に力を貸してくれ!」
うざったいMDRの実況はシャットアウト。胸の前で両手を組み祈るK5と95式の想いを
受け、私はダイスを頭上に向けて放り投げた。
重力に引かれ、ダイスが地面へと落下していく。
細かい砂利の敷かれた地面なので、接地したダイスは撥ねない。コロコロと地上を転がっていく。
(いけっ! いけっ! 頼むっ!)
私だけではなく、きっと、3人の心境も同じ。今まさに、テキトーに集めた私達、エーデル小隊の気持ちが一つになった瞬間に違いなかった。
ダイスがその勢いを緩める。運命の瞬間はもう間近。
あまりの緊張感故か、まるで、時間が伸びたかのように景色がゆっくりと流れて見える。
戦場でだって、こんな感覚に陥ったことはないぞ?
まっすぐに転がるダイスが、1、3、6,4の順に目を天に向ける。
ルーレットでも見ているかのような気分である。
(4136、4、1、3、6・・・4・・・1・・・3・・・!)
3の目が天を仰ぎ、通り過ぎようと傾いたまま、勢いを止める。
この傾き具合を見れば分かる! 3から6には転がらない! 出る目は3だ!
(ふははははは、貰った! 私の勝ちだぁぁああぁぁぁ!)
勝ちを確信する私。
拳を握って勝鬨を挙げようとした・・・その刹那だった。
急にサイコロが転がる勢いを取り戻したのだ。
(な! なんだってぇえぇえぇえぇぇぇえ!!?)
緊張感で研ぎ澄まされた私の超視力が、その原因を捉えていた。
地面の砂利だ。サイコロが止まった位置は特に細かい砂砂利であったため、地面に設置していたサイコロの角が途端に沈み込み、回転方向へとバランスを崩したのだ。
かくして、3の目から一転。サイコロは無情にも6の目を向けたまま、その動きを止めたのである。
しばしの静寂が周囲を支配する。みんなの顔は見れない。見なくたって、どんな顔をしているのかは容易に察しが付く。
「た、隊長~・・・」
「・・・やっちゃったね」
「はい、さっさと荷物を持って、次いくよ~」
あまりの申し訳なさに、私は身を縮こまらせながら、3人の後ろにとぼとぼとついていくのであった。
3日目 2:00 北部戦線制圧区
幻だなんだと言われていたヘリだが、それは結局、運行する数が少なく、乗る機会が滅多にないから伝説扱いされていただけで、乗ってみれば普通のヘリだった。
・・・そう。本当に何の変哲もない、一つの面白みも無いヘリだったのだ。
そんなヘリに、キッチリ12時間も乗っていなければならないという苦痛は想像を絶する。
他の3人はスヤスヤと眠りこけていたから良いのかもしれないが、私は寝づらいシートの上で1、2時間おきに目が覚めてはまた眠りの繰り返しで、少しも休めた気にならなかった。
それに追い打ちをかけるように、やっと目的地についてみれば、そこは数メートル先の様子も
見えない猛吹雪だ。
そんな中、ほんの一個小隊程度の鉄血兵を片付けて、この戦線は簡単に制圧できてしまった。
本当に、私たちがわざわざ12時間もかけてやってきた意味があるのだろうか?
尤もな疑問を抱きつつも、私たちは野営の為、制圧区の端に佇む廃屋へと赴いていた。
グリフィンの制圧区とはいえ、今しがた私達が制圧したばかりなのだ。キャンプ施設などがあるはずもない。
「みんな、お疲れ様。ちゃんと雪を払ってから寝具の準備をするように」
かつてはコミュニティホールとして使われていたらしい、コンクリート張りの施設に逃げ込んできた私達。断熱効果なんて微塵もないその装いのおかげで、屋内とはいえ溜息が出るくらいに寒いが、外と比べれば可愛いものである。
「ふ~ん? 外観の割には、屋内は小綺麗なんだね。ちょっとは落ち着いて眠れそう」
「今日は色々あったからねぇ。動画の取れ高も十分だし、満足満足」
エントランスからホールに入り、一同、荷物を降ろす。
ホールは100人規模のミーティングルームに匹敵するくらいの広さで、家具類は置き去られたデスクやイスがちらほらと見られるだけ。ガランとした雰囲気だ。
MDRの言葉ではないが、今日は本当に私達を飽きさせない濃い一日だった。
今回は私のリハビリを兼ねている、という事だったのも忘れるくらいの過酷さだ。
「ネゲヴ、明日・・・というか今日は何時に出発なのですか?」
「ん~・・・目が覚めたら出発でいいんじゃない?」
『8:00に行先の選択を行いますので、遅れぬようお願いします』
「・・・だってさ」
相変わらずの敏腕ぶりをみせるウェンズデイに水を差されてしまう。
もう、これ以上の厄介事は勘弁である。さっさと寝て、次の任務に備えるのが賢い選択だ。
「8:00に出発だから、早く休みなさいね」
「りょ~か~い」
「おやすみなさい、隊長」
部屋の端っこを陣取っているMDRとK5からの返答を耳に、自分の寝袋に潜り込む。
ヘリの中で十分に眠れなかった私だ。ここについてからの悪環境も手伝い、それはもう眠りに
落ちるのも速攻。
私の意識は、暗がりの中へすんなりと落ちて・・・
・・・
・・・・・・
「隊長、起きて。・・・ねえ、起きてってば」
そうして、せっかく眠りについた私の意識をMDRの声がサルベージする。
感覚で分かる。私が寝入ってからまだ数十分くらいしか経っていない。
「んもぉ~・・・何よぉ? 早く寝ろって言ったじゃない」
剝がされた寝袋の裾を掴み、引き戻そうと試みるが、それを別の誰かに阻止される。
目を開けてみれば、私の周りには95式とK5も寄ってきていた。
それも、しっかり武装して戦闘態勢である。
「敵? こんな時間にご苦労な事ね」
その様子を見て、寝ぼけ眼だった私の気持ちがスイッチする。
こういうメリハリがあってこそのスペシャリストなのである。
「まだわかんない。ただ、エントランスの方から物音がしてさ。K5は話し声も聞こえるって言ってる」
小声で状況を説明してくれるのを聞きながら、自分の銃を引き寄せる。
「各員戦闘態勢。陣形を維持しつつ、エントランスの様子を探る」
「連戦は予定してなかったから、弾薬の残りが少ない。普通に戦っちゃっていいの?」
その事を言われて思い出し、小さく舌打ちする。
基本的に、弾薬と配給の補充は戦闘任務に就く前、輸送ヘリにて行う。ここに来るに乗ってきた幻の輸送ヘリでも、その例に漏れず私たちは補給を行った。
しかし、航続距離が長い為、燃料以外の積載物を極力削る必要があったようで、搭載される補給物資の量が十分ではなかった。
結果、私たちは全開まで物資の補給を行えなかったのだ。
大した戦闘にはならないだろうから、とタカをくくっていたのだが・・・つくづくツイていない任務である。
「・・・・・・2人・・・3人くらいかしら。多勢じゃなさそうだから、上手くやれば間に合うか」
「え? いきなり床に寝転がって何やってるのかと思ったら、足音を聞いてたの?」
「凄いスキルですね。さすがは副官です」
電子機器が発達した今となっては、こんな古いやり方は流行らないだろう。私も、万が一の
備え、ということで指揮官から教わっていた程度の方法である。
この建物は石造りなので、音は非常に捉えやすい。どうしようか迷っているのか、エントランス内をうろうろと歩き周っているという事まで伺い知ることが出来る。
「ん~・・・敵じゃなくて、避難してきた一般民の可能性もあるわね。まず、覗いてみましょう。発砲は私の指示があるまで禁止」
了解、と返事を返した3人を引き連れ、ホールの扉まで移動する。
扉に体を寄せ、耳を澄ましてみるが声までは聞こえない。けれど、依然としてこの先に何者かがいるのは確かだ。
先方はK5。最小限に開いた扉の隙間をスルリと抜け、手近に転がっていたラックに身を潜める。
様子を確認したK5のGOサインを受け、MDR、95式、私の順番でエントランスに忍び込む。
95式とK5は同じラックの背後に。私はMDRとカウンターの中に身を潜め、一旦様子を伺う。
「コートを被ってるね。鉄血じゃあないのかも」
風の音が屋内にまで響いて聞こえるほどの猛吹雪だ。それを凌ぐためなのだろうコートを頭からすっぽりと被って、謎の3人組はエントランスの隅に屈みこんでいる。
2人は成人くらいの体躯で、1人は子供くらいの小ささだ。
付近の生活区から、なんらかの理由でここに逃げてきて家族。私は、まずそのようにアタリを
つけてみた。
「話しかけてみるわ。いちおう、すぐに援護できるようにしといて」
「隊長も無茶するねぇ。ホント、大丈夫?」
「大丈夫になるようにするの。アンタ達がね」
離れた位置の95式とK5にも、臨戦態勢で待機、というサインを送ると、私は小さく一呼吸。カウンターの陰からゆっくりと歩み出た。
「くつろいでいるところ、ゴメンなさいね」
私の声を聞き、3人が飛び上がって驚く。
怖がらせないよう、銃からは手を離し、敵意はないよ、という意味で両手を見せる。
「私はグリフィン所属の戦術人形よ。アナタ達は、この付近に住んでいる人? この吹雪でここに避難してきたのかしら?」
この人たちは何も荷物を持っていない。もし、食料や暖に困っているのなら、私達の分を分け
与えるのが、戦術人形としての務めである。
「グリフィンの人形・・・だと?」
背の高い2人の片割れが呟いた。
・・・なんだか、どこかで聞いたことのある気がする女性の声だ。
「まさか、こんな辺境で遭うとは思わなんだ」
もう一方の女性の声もやっぱり覚えがある。聞いていると、胸の辺りがザワザワとするのは何でだろう?
「はは、1人なのは都合がいいね。お前で憂さ晴らししてやる!」
小さい子が何とも物騒な事を言い放つと、3人がコートを脱ぎ捨てた。
そこに現れたのは、鉄血人形の姿。それも、エクスキューショナー、ハンター、デストロイヤーのハイエンドモデル3人組である。
「っ!!? このクズ鉄血人形が! よくも私を騙したわね!」
さっきまでの優しい態度から一変、指揮官には聞かせられない口汚さで銃を構える。
同時、射撃体勢で遮蔽物から姿を見せるエーデル小隊の面々。
我が部隊ながら、素晴らしい連携である。
「な、なんだよ、他に3人もいるじゃんか。私達を騙したな!?」
「騙してなんかないわよ。バカが勝手に勘違いしただけでしょ!」
4つの銃口を向ける私達に対し、鉄血3人は追い詰められた野犬のようにこちらを睨みつけるだけで、武器を構えもしない。
その様子に違和感を覚えて、よく観察してみたところで答えが分かった。
コイツ等は武器を持っていないのだ。
きっと、どこかの戦線で消耗しきって逃げてきたのだろう。エクスキューショナーは長剣、
ハンターは二丁拳銃、デストロイヤーはランチャー。あんなに目立つはずの装備品を3人とも所持していない。
「隊長、やっちゃっていいでしょ? 先手必勝って言うしさ」
「待ちなさい。コイツ等、丸腰だからそんなに焦らなくてもいいわよ」
「っ! なんでそれを知ってるんだよぉ?」
「馬鹿が・・・自分からそれを教えてどうする」
デストロイヤーが私の仮説を裏付けてしまったことに、ハンターが痛そうに頭を抱えている。
手のかかるヤツが部隊にいる辛さ、私も分かるぞ。
「そうと分かれば、無駄に弾を使うのももったいない気がしますね」
「え~? いつもみたいにハチの巣にしてやればいいじゃん。鉄血を潰す為なら、無駄弾も必要
経費だって」
「私もMDRに賛成したいところだけど・・・物資の温存っていうのも尤もな案だよね」
牙を剝いてくる相手なら、問答無用で叩き潰してやればいい。しかし、目の前の相手にはその牙すらもない。放っておいたところで、私達が被るリスクはたかが知れているだろう。
それよりも、今後、何かがあった時の為に備えて物資を温存する、という考えの方が大事だと私は考える。
「今日は気分じゃないから見逃してやるわ。回れ右して、さっさと出て行きなさい」
銃口で入り口を差して言ってやる。
見逃してはやるけど、ここに居させてやるつもりはない。鉄血と同じ屋根の下で寝泊りだなんてゴメンである。
「ちぇっ、偉そうに言いやがって。・・・行こう、2人とも」
そう、素直に踵を返したのはデストロイヤー。
しかし、背後の2人は続こうとしない。
「・・・はは、なんだ? グリフィンの人形共は丸腰の相手をも撃てない腰抜け揃いとはな」
それどころか、乾いた笑いを零して私達を挑発してきやがったのだ。
「鉄血を討つのがお前たちの仕事だろう? それなら、遠慮なくやればいいじゃないか。躊躇う
必要なんか何もない」
「ちょちょ! エクスキューショナーもハンターもなに言ってんだよ! 退ける時には潔く退くのも大事だって!」
2人の意図が見えていないデストロイヤーは大慌で、見ていてちょっと面白い。
「生憎、無駄使いをするほど愚かな私達でありませんので。自壊したいのなら、こちらの目に付かない場所でどうぞ」
「なにも、弾を使うだけが討つ為の方法ではあるまい。己の身体を使って破壊するのなら、減るものも無いぞ?」
「そこまでにしておけ、エクスキューショナー。グリフィンの人形は銃器以外にはフォークと
スプーンくらいしか扱えないお嬢様方だ。素手では私達の足元にも呼ばないだろうよ」
はいはい、露骨な煽りご苦労様。
そうやって、私達をそっちの土俵に上げようとしているのが見え見えである。
とりあえず、もう一回だけ警告してやって、それでもまだふざけた事をぬかすならお望みどおり弾丸でバラバラにしてやろ・・・
「あら? 随分と大昔のお話をされるのですね? 鉄血は優れた情報網をお持ちだと思いましたが、どうやら、隔絶されたド田舎なのかしら」
とか思っている間に、鉄血にそう答えたのは95式。
「格闘戦なら願ってもない。いい気になってる鉄血に目にもの見せてやりたいって、以前から思ってたんだよね」
それにK5が続く。
明らかに、向こうの挑発に乗っかっちゃった様子である。
・・・まぁ、この2人なら、ああ言われたらこう返すのも当然か。
「ちょっと、アンタ達さぁ。むこうがけしかけてきてるの、分かって言ってる?」
「当然。何かあったら、弾丸を撃ち込んで思い知らせてやればいいんだから、少しくらい遊んでもいいでしょ? ヘリの中でたくさん寝たから、眠くなくてさ」
「ちゃんとわきまえて立ち回りますから、どうか、ここは私達に任せてもらえないでしょうか?」
頭に血が昇っている様子はない。ちゃんと算段があったうえで相手の挑発に乗ったというのなら、私が無理に止める理由もない。
「決まりだな。場所はいかように? 私はこの場でも一向に構わんが」
「なんなら、外でやりあったっていい。グリフィンのお嬢さんにそんな根性があればだけどな」
話の流れだと、2対2の混戦方になるのだろうか? このエントランスだと、4人が暴れまわるには狭すぎる気もするが。
「そんな事もあろうかと! 決戦のバトルフィールドを準備しといたよ!」
藪から棒に開かれる扉。そこから姿を現したのはMDRだ。
こんな面白そうな話が出ているのにやけに大人しいなと思えば、こっそりとホールに戻って何かしていたようだ。
キング・オブ・深夜バスのネタですね。
ヘリで12時間とか、マジでどこまで行かせるつもりなんだ? って、書いてる自分でも思っちゃいました。
でもまぁ、それで書き上げちゃったものは仕方ないですよね。
次週はグリフィンVS鉄血エリートのタッグマッチ回に乞うご期待!
以上、弱音御前でした~