以前から暖めていたものです、よろしければ
Aiのぺりすとでやりながらちょっとやってみました
とある町の郊外、アポロという少女が団長のチロル座というサーカスの公演公演が行われていた。
ライオン、虎、ゾウなど猛獣、動物をメインとしたサーカスだった。
「さあ、チロル座でございます。観客の皆様、このサーカスには猛獣が数多くいます。牙を剥く獣はお好きですか?皆様にはその勇ましさを楽しんでいただけたら幸いです!」
司会の女性がそう言うと、ステージに檻が運ばれてくる。その中にはライオンや虎など、様々な種類の動物がいた。そして、その檻の前に一人の少女が現れる。
「皆様!本日はようこそおいでくださいました!これから始まるショーは、私たちチロル座が一から作り上げた特別公演です!どうか最後までごゆるりと楽しんでいってください」
少女がそう挨拶すると、客席からは歓声が上がる。それを確認した女性は、少女に向かって合図を出した。
「では、まずはこの子たちに芸を披露してもらいましょう!皆さん、拍手でお迎えください!」
女性の言葉と共に、檻の中の動物たちは一斉に動き出した。そして、最初に飛び出したのはトラだった。
「ガオーッ!!」
トラは大きく吠えると、勢いよくジャンプして少女に飛びかかった。しかし、はそれを軽々と避けて見せた。
「おおっ!!素晴らしい身のこなしだ!」
「あんな小さな体でよく避けられるなぁ……」
客席にいる人々は口々に感想を言い合う。その様子を見た女性は、次の指示を出す。
「さすがはチロル座自慢の猛獣ですね。次は、猛々しきライオン!」
女性の掛け声と共に、今度は巨大なライオンが登場する。そして、ライオンは少女に向けて大きな爪を振り下ろした。だが、少女はそれすらも簡単に避けてしまう。
「すげぇ……あのライオンを避けるなんて……」
「どうなってんだよ……あの子供は人間なのか!?」
客席の人々は、少女の動きを見て驚きの声を上げる。
「皆様いかがですか?ロボットではありません、正真正銘本物の猛獣です!」
司会の女性の言葉を聞いた観客は、と興奮した様子で叫ぶ。それを見た女性はさらに声を大きくする。
「さあさあ、もっと盛り上げていきますよ!次は、かっこいい象さんの登場です!」
女性の掛け声と同時に現れたのは大きな象だった。そして、その象は大きな鼻を使って器用に少女を持ち上げた。
「うわぁ〜!!可愛い象だね〜」
「女の子を軽々持ち上げちゃった!」
少女を持ち上げる象の姿を目にし、客人たちは感嘆の声をあげる。
その場の熱狂はすごいもの、そして最後のおおとりを出そうとした。
「さあさあ皆さんお待ちかね...このサーカスチロル座の目玉、猛々しき獅子、或いは破壊する牙を持った獰猛な狼、電脳獣グレイガ!
食べられないようにね、お客さん?」
そういいつつ、カーテンが外される。
そこにいたのは……ライオンの鬣をもった狼のような怪物であった。
大きさは人間の倍以上ある。その姿を目にした客人は一瞬唖然としたが、すぐに歓声をあげた。
「すごい迫力だ!!」
「あれが噂のグレイガって奴か……」
「あんな化け物に立ち向かうのか……大丈夫かなぁ」
不安そうな表情をする人々だったが、咆哮をあげる
「ガウ!!」
「きゃああ!」
「うわぁー」
しかし、それを気にせず猛々しい吠え声をあげながら走り回るグレイガ。
そして、人々の悲鳴が上がる中、火の輪が客席の真上に現れる。
「ファイヤーリングよ、華麗に見せなさい!」
観客席ギリギリまで突っ込んでくるグレイガ、
「あっ!危ない!!」
誰かがそう叫んだ瞬間、炎の中へと飛び込み、空中で回転して見せると……なんとそのまま着地し、再び走り出したのだ。
「すげぇ……」
「あれどうやってるんだろ……」
そんなことを言い出す子供たちもいるほどだ。
威風堂々たる獅子、まさに形容するにふさわしい怪物だ。
しかし...そんなサーカス団だか彼女らには別のかおがあった。
その晩の事である。
「団長、今夜もやるんですか?」
「寝静まった夜に、暴れる猛獣のショー...お客さんの悲鳴が喝采何て言いものでしょ」
「そう言っても聞かないんでしょ」
「まあねぇ~」
「サーカスマンがいれば調教はもっとすんなりいったでしょうけどね?」
「あのアイリスって子、マインドコントロールして連れてくるなんて思い付いたわね」
「電脳獣を制御出来るのはもうあの子だけなのよ」
「おかげでうちのサーカスは、ウハウハだけどね」
「グレイガも生き物よ、運動させないといけないし?悲鳴の喝采がまたたまらないのよ」
団員の一人が呆れ気味に言うが、団長のアポロ、いやチロルは悪びれもなく笑う。
彼女は、かつて世界を恐怖に陥れた犯罪組織ワールドスリーの幹部だった少女だ。だが、グレイガを盗みとり今では、サーカスをやりながら見物代がわりにきまぐれに町を蹂躙する悪党だ。
「じゃあ、私は行ってくるから後は任せたわよ」
「はい、団長」
そしてチロルは部下たちに後を任せるとテントから出ていく。
「さぁーてと……」
夜空を見上げれば満月が浮かぶ中、チロルがグレイガの入った檻の鍵を開け命令する。
「さあ、電脳獣グレイガ!このサーカスの花形よ、このまち全体が会場よ、思うままに蹂躙しなさい!」
檻を出たグレイガは、町へと向かう。
『グオオオォッ!』
グレイガが吠えると同時に檻の中から飛び出していく。
その大きさから歩くだけで地響きが起こり、建物が崩壊するほどの力を持っていた。
だが、そんなことお構いなしにグレイガは街へと足を踏み入れる。
「きゃあああっ!?」
「なっ……なんだあれは……?」
「おい!こっちに来るぞ!!」
逃げ惑う人々を目にしたグレイガの口から炎か吐かれた。
人々はなすすべもなく倒れていき、その光景を見た人々が悲鳴を上げる。
「ひぃいいいっ!!た、助けてくれぇええっ!!」
「やめて、来ないで……きゃあああっ!!」
次々に襲っていくグレイガに人々は成す術なく殺されていった。
「きゃあああっ!?」
「うわっ!?なんだこいつら!?」
突然の出来事に逃げ惑う人々、だが逃げ場などない。
「くそっ、どこへ行ったんだ!?」
「ここじゃないのか?」
人々が騒ぎ出した頃、グレイガが道路で止まる。
『グオォォォッ!!』
そして次の瞬間、凄まじい雷撃を鬣からを放つ。その一撃によって建物は吹き飛び、人々は血を流し倒れていく。
「ひゃあああっ!!」
「ぎゃああっ!?」「ぐあああっ!?」
次々と命を失っていく人々をみて、チロルは満足げに笑う。
「あはははっ!!いいわぁ~、最高のショーね!」
そして彼女の笑い声と共に町のあちこちで爆発が起き、やがて町は火の海に包まれていった
そして、町のあちこちにある広場や公園などでグレイガはその力を存分に振るった。
「ぐぎゃああああああ!!!」
逃げ惑う人々、おもちゃのように蹴散らされ踏み潰されていく建物たち、それはまさに地獄絵図であった。
車を踏み潰しては、ガラスを突き破る、そして、瓦礫を投げつけて人を吹き飛ばす。
グレイガの通った後には、無残な姿となった死体しか残っていない。
「……ふぅん、やっぱり大したことないわねぇ」
そう言ってチロルはグレイガを見る。
グレイガは満足すると、再び檻へ戻っていく。
そして、次の夜も同じことを繰り返すのであった……。
「さあ、チロル座でございます。観客の皆様、このサーカスには猛獣が数多くいます。牙を剥く獣はお好きですか?皆様にはその勇ましさを楽しんでいただけたら幸いです!」