ただそこら辺はおまけというもの。メインは再会を果たしたマリューとキラが一線を越えるシーンとなっています。セックスです。とはいってもエロゲーのコンシュマー化した時みたいな暗転演出っぽいものですが。
これでもSEED基準なら18禁にはならないかと。だって原作本編でもキラとフレイが(ry
ぶっちゃけSEEDって原作でのやらかしが異常ですから、エロ方面の免罪符が非常に有効なんです(暴論)。
次回は宇宙へと戻ります。メンデル内部でキラとマリューがキラの秘密を知ることとなります。誰かを出し忘れている気がしますが、たぶん大丈夫だと思います。
「き、キラくん……?」
マリューにとって、そしてアークエンジェルの全てのクルーが驚きを隠せずにいた。戦場で命を落としたと思っていたキラが、艦の窮地に颯爽と現れたことを信じられずにいた。
『僕がザフト軍の包囲網を破ります!マリューさんたちはその間に離脱を!』
「え、ええ……!」
戦闘中であるが故に、最低限の通信のみを行ったキラ。彼はそのまま自らが搭乗する機体を駆り、大挙して押し寄せてくるザフト軍へと突撃する。
「そんな……単機でこの数を相手になんて……!」
脱出を再開するアークエンジェルと僚艦たち。その一方でキラが乗る機体はただの一機でザフト軍の大部隊と交戦を始める。
マリューはその無謀ともいえる行為を目の当たりにし、キラに下がるよう指示を出そうとする。しかし、彼が操縦するストライクと似た機体は、アークエンジェルをも上回るような大火力を展開し、包囲していた敵機を瞬く間に無力化していく。
「何なの……これ。」
戦争は変わった。そう言わんばかりの大立ち回りで敵機を破壊していくキラ。その光景に呆然とするマリュー。そして、彼の言葉通りアークエンジェルはザフト軍の包囲を突破し、戦闘空域から離脱するのであった。
◇
「アラスカ基地の消滅を確認しました。」
「………」
辛くも戦闘空域を離脱したアークエンジェル。しかし、その直後にアラスカ基地から高エネルギー反応が発生し、艦が守ろうとしていた基地は跡形もなく消滅をしていた。
「自爆した……ってことかしら?」
「まさか、自分たちをアラスカの守備に就かせたのは……」
アークエンジェルと共に脱出に成功した僚艦は、全てユーラシア連邦の所属艦であった。その一方で、大西洋連邦に所属をしていたのは、アークエンジェルをおいて他にはいないのであった。
「ユーラシアの部隊と我々を囮にして、急襲してきたザフトを……」
「本当……大した人権先進国だったわね。」
基地内で聞いた上官たちの言葉を思い出すマリュー。憤りを越え、呆れだけが残った彼女の中に、ようやく安堵の心が芽生えようとするのであった。
◇
「あの機体は?」
「ZGMF-X10Aフリーダム。ザフト軍が開発した核動力を搭載した最新鋭機です。」
「核動力!?」
再会を果たしたアークエンジェルのクルーとマリューたち。しかし、救援に駆け付けた彼が搭乗する機体が曰くつきのもであったために、俄かに騒然となる。
「どうしてキラくんが、あの機体に?」
「プラントでラクスが僕に託したんです。」
「ラクスさんって……あの、私たちがユニウスセブンで助けた?」
マリューの言葉にキラは頷き、彼はさらに言葉を続ける。
「正確には、彼女のファンを名乗る誰かが彼女へと機体を渡し、それが僕へと託されたんです。」
連合軍に所属していたマリューたちでは把握出来ない、プラントとザフトの内情。しかし、地球上がニュートロンジャマーによって核動力を使えない中で、核動力による圧倒的な性能を誇る機体に、確かな恐ろしさを感じるのであった。
「僕はあの機体で、連合のために戦うつもりはありません。そして、ザフトのために戦うつもりありません。」
「それじゃあ、キラくんはこれから一体どうするの?」
「僕は、僕の守りたいもののために戦います。アークエンジェルが……マリューさんたちが連合に戻るというのなら、僕はすぐにここを立ち去るつもりです。」
キラの言葉にマリューは複雑な心境となる。再会を喜ぶ間もなく自分たちのもとを離れるという以上に、彼が進んで戦おうとすることに戸惑いを感じていた。
「私たちは……もう戻ることは出来ないわ。脱走艦である以上、戻ってしまえば厳しい処分を受けることになるのだから。」
少なくとも、大西洋連邦に属するマリューたちが元鞘へと収まることなど有り得ない話であった。彼女たちが選べる道は、そう多くは残されていなかった。
「それを聞いて、少し安心しました。僕もアークエンジェルを見捨てることなんて出来ませんでしたから。」
「キラくん……」
マリューの言葉に安堵の表情を浮かべるキラ。託された意思の重さに険しさを滲ませていた彼が、ようやくかつての表情を取り戻す。
「おかえりなさい、キラくん。」
そして、マリューは艦長として、一人の人間としてキラを温かく迎える。彼女の言葉にキラは小さく頷き、再びマリューたちと行動を共にする決心するのであった。
◇
マリューを中心に協議した結果。アークエンジェルは再びオーブへと向かうこととなる。また、ユーラシア連邦所属であった僚艦の乗員は帰還、あるいはアークエンジェルへと移乗し、不必要と判断した艦船はオーブへの手土産として随伴することとなった。
「中立だからといって、連合の艦船を本当に受け容れてくれるでしょうかね。」
「まぁ、そうね……海に浮かぶ鉄くずだって言い張れば、国際法上も問題はないんじゃないかしら?」
「いや、どう見ても鉄くずには見えませんよね。被弾箇所が多いですけど、どの船も航行出来ちゃいますからね。」
世界情勢の変化に伴い、オーブは脱走艦全ての寄港を容易に許可する。そして、アークエンジェルを修繕し、その他僚艦の速やかな解体処分を約束するのであった。
◇
寄港した後、久方ぶりに艦長室で2人きりとなるキラとマリュー。彼女はキラの身に何があったのかを気にかけていた。
「目の前でトールがアスランに殺された時、初めて思ったんです。アスランが……敵が憎い、殺してやりたいと。」
それがかつての友人であったとしても。仲間を撃たれた憎しみに囚われ、キラはアスランと本気の殺し合いをしてしまったと話す。
「でも、それでも本当は撃ちたいと思わなかった。そうでしょ?」
マリューの言葉に小さく頷くキラ。例え憎しみに駆られようとも、本来の彼が戦いを望むことはなかった。それでも友人と憎み合った末に殺し合ったことに激しい後悔を抱いている。それを彼女は理解していた。
「でも……それじゃあどうして再び戦場に?私たちを助けるために?」
「僕はもう……誰も失いたくないから。誰も撃ちたくないけど、失いたくもないから……!」
キラ自身、それが矛盾、あるいは傲慢といえる考えであることを実感していた。それはフリーダムに搭乗する彼の戦い方を見れば、一目瞭然であった。
「だから私たちを助けてくれた時も、あんな急所を外すような戦い方をしていたのね。」
「撃ちたくても、撃つことが出来ないんです。誰かが死ぬのが嫌だから……ただ僕は、誰も殺したくないだけで……」
既にキラは戦うことが出来ない状態であった。自らが相手を撃ち、それによって死に追いやること。敵を殺すという行為を本能的に拒絶したまま戦場に戻っていた。
戦場において、そのような甘い考えを抱いていれば自らが死ぬこととなる。しかし、キラのパイロットとしての実力とフリーダムの性能が、それを可能としてしまっていた。
「やっぱり、あなたはもう戦いに関わるべきではないわ。例えあの機体をラクスさんが託されていたとしても、もう二度と戦場には行かないで。」
「それは……!無理ですよ。僕にはまだ出来ることがあって、戦うことで守れるものがある、守らないといけないものがある。だから……」
それでも戦場に立つと言うキラ。戦いの場において、敵を討ち果たすことが出来ないという重篤な状態である彼に対し、マリューは言葉よりも先に身体が動く。
「えっ……ちょっ……マリューさん、うわっ!?」
キラが驚きの声を上げた時、すでに彼の身体はベッドへと押し倒されていた。そしてマリューはキラを抱き締めたまま、振り絞るように声を上げて言葉を紡ぐ。
「もういいの……あなたはもう十分に戦ったわ。私たちを守ってくれた。もう戦わなくて……傷つかなくていいのよ……!」
「マリューさん……僕は……」
キラと見つめ合う格好となるマリュー。その目からは大粒の涙が流れ、頬を伝い、彼の顔へと零れ落ちるのであった。
「でもキラくんが……あなたが戦うのなら、私も一緒に戦うから。キラくんだけが傷つくのはもう……私だって……!」
軍人としてマリューは、初めて人前で涙を流していた。それと同時に、自らもキラと共に戦い、苦しみを分かち合うと誓う。
叶うのであれば、彼女はキラと共に戦いから離れることを望んでいた。しかし、彼を一人の男として見ている彼女には、キラの決意を妨げることが出来ないのであった。
「お願いキラくん。私を……慰めて。」
「えっ……な、慰める?」
「身体がずっと熱いの。アラスカで戦っていた時から、ずっと昂っていて……全然収まらないの。」
戦いの興奮によって帯びた軍人としての熱気、キラと生きて再会することが出来た人としての温もり。そして、キラを一人の男として捉えて生まれた女としての火照り。
彼の身体を抱き締めることで、自ら身体が帯びる熱さを伝えようする。
「もっと私を感じて。私も、キラくんの想いを感じたいの。」
「ぼ、僕は……!」
マリューを拒むことなく、肉感に溢れる彼女の身体に包み込まれるキラ。そして、互いの想いを確かめ合うように、2人は静かに唇を重ねるのであった。
「んっ……ちゅっ……んちゅ……」
「んんっ……はぁっ……!あ、あの……僕、こういうこと……」
「大丈夫、心配しないで。私に全部任せていいから……ね。」
涙の跡が残りつつも、慈愛に満ちた母性に溢れる表情を浮かべるマリュー。そのまま彼女は丁寧な手付きでキラが着ている制服を脱がしていく。
「艦の中でこんなことをしちゃうなんて、やっぱり私、艦長失格ね。」
「そんなことないですよ。マリューさんはもう……立派な艦長ですから。」
「ふふっ……ありがとう。でも、今だけは……艦長でもなんでもないわ。」
キラの制服を脱がし、マリューは自らの軍服へと手をかける。そして彼女は、想い人の前で艦長ではなく軍人でもない、全てを脱ぎ捨てた一人の女となる。
「ま、マリューさんっ……!あうぅっ……!」
「そんなに緊張しなくていいのよ。ほら……全部私に任せて。」
「そんな……あっ……!」
キラとマリューは一糸纏わぬ姿のまま、ベッドの上で身体を重ね合わせる。出会ってから戦いに明け暮れていた2人はしばしの間、戦いを忘れて互いを求め合うのであった。
◇
背を向けたまま一枚のシーツに包まり、事後の心地よい余韻に浸るキラとマリュー。
「キラくん、凄かったわ。」
「マリューさんこそ、あんなに激しくて……」
全てを曝け出した行為を終え、恥じらいを見せたまま言葉を交わす2人。どちらかといえば、その最中はマリューが積極的であったものの、現在では彼女の方が羞恥に襲われているようであった。
「あの、僕……どこか変だったりしました?」
「えっ……!?そ、それはどういう意味で……」
キラの言葉に過剰な反応を示すマリュー。それを意に介そうとはせずキラは事後特有の平静を維持したまま言葉を続ける。
「いえ、その……こういうことは初めてで……マリューさんとは違うから……」
「違うって……あっ……!?」
マリューはまたしても忘れていた。彼が年下の異性というだけではなく、本来は関係を持つことはおろか、接触の機会すらも稀であったコーディネイターであるということを。
ここまでのことをしていながら、遺伝子操作の有無を気にする必要があるのか。彼女はそう思いながらも、キラの言葉に答えていく。
「私も経験が多いわけじゃないから何とも言えないけど、別に変わったことなんてないと思うのだけど……」
「でも、僕のこと……凄かったって……」
「あ、あれはその……別にコーディネイターだから凄いなんて意味ではなくて……!」
自らの最中を振り返り、さらなる羞恥に頬を染めるマリュー。決してキラがコーディネイターだからでない、彼に対する想いの強さが自身を狂わせていた。そう本音を吐露することも出来るわけがなかった。
「でも、ありがとうございます。僕、マリューさんが初めての人でよかったです。」
「うぅっ……!お、お礼なんて、別にいいのよ。」
キラの律儀な言葉に困惑するマリュー。彼を戦いへと駆り立てた対価が、男女の関係を持つことで支払えてしまった形となり、彼女は心身が満たされながらも複雑な心境となる。そして彼女は改めて彼と向き合い、互いに顔を見つめ合ったまま口を開く。
「でも、一つだけお願いしてもいいかしら。」
「はい。なんですか?」
「これから何があったとしても、絶対に私の前からいなくならないこと。」
「それって、一体どういう……」
「難しく考えなくていいわ。ただ、いつも無事で帰ってきてほしい……それだけのことだから。」
しかし戦場においては、それが何よりも難しいことであった。戦い場に出ることとなれば、キラもマリューもいつ命を落とすかは定かではない。だからこそ、彼女がキラにそう願うことは、彼に対する想いが溢れている証でもあった。
「……わかりました。マリューさんの言葉、絶対に忘れません。」
「ええ……ありがとう、キラくん。」
願いを聞き容れたくれたキラに感謝するマリュー。そして、事後と余韻に別れを告げ、想いを確かめ合うための口付けを交わす。
かつては軍人と民間、少し前までは上官と部下、そして決して崩すことは出来ないナチュラルとコーディネイターという関係。2人はその全てを越えて、互いに心を通わせるのであった。
◇
「代表の心中はお察しします。しかし、彼らと敵対する道を選ぶということは、この地球上に住む者全てを敵に回すのですぞ。」
「ぐぅぅぅ……そこまでして世界を2つに分けたいのか……連合も、ザフトも……!」
オーブ近海へと大挙して押し寄せてきた地球連合艦隊。最新鋭のモビルスーツを備えた艦隊を誇り、彼らはオーブに対して協力要請という名で政治、軍事双方の圧力を加えに来ていた。
オーブの実質的な代表であったウズミ・ナラ・アスハは要請を拒否。しかし、ウズミを除く国内の氏族名家はサハク家を中心として、連合への協力に前向きな姿勢となっていた。
「もし中立を堅持して連合と戦火を交えても、それによって利するのはザフトです。とりわけ、我が国の技術が無秩序に流れ出るようなことがあれば……」
「わかっておる。それ故に、あの艦とクサナギだけは……」
「ええ、わかっております。もし連合が手を出そうとすれば、その時はギナとミナに行動を起こしてもらいますので。」
サハク家主導による連合との同盟交渉が決まり、ウズミは政界から完全に引退。弟のホムラに大西洋連邦を始めとする連合各国との交渉を任せ、実権は他の氏族へと譲るのであった。
◇
「えっ?私たちを宇宙へ?」
「追い出すような形になって申し訳ない。しかし、連合の艦隊が間近に迫っている以上、この本土に脱走艦である君たちを置いておくわけにもいかないのだ。」
秘密裏に修繕を受けていたアークエンジェルのもとを訪れたウズミ。艦長であるマリューに己の不肖を詫びつつ、最大限の誠意を見せようとする。
「連合との同盟までにはしばしの猶予がある。その間に君たちとクサナギは宇宙へと向かい、この世界の行く末を見届けてもらいたい。」
オーブの理念を継承するものとして、あるいは真に戦うべきものを見極めるものとして。ウズミはマリューたちと自らの娘に、未来への『種』として宇宙へ向かうことを求めていた。
「わかりました。アスハ代表の意思、そしてオーブの理念、確かに受け取りました。」
「うむ、頼んだぞ。しかしラミアス艦長、以前にオーブへ訪れた時よりも良い目をしている。」
「そ、そうでしょうか……?」
連合の軍人であった頃のマリューと、軍を離れたマリュー。かつての現在の顔つきを見比べ、ウズミはその違いに喜びを示す。
「迷いが消え、真っ直ぐと未来を見据えている。今のあなたになら、アークエンジェルを任せても良いと心から思えるよ。」
自らが戦うことに対し、一切の迷いがなくなっていたマリュー。身命を賭して戦う覚悟と生き抜く意志を持った彼女は、多くのものを背負って宇宙へと戻るのであった。