大天使の戦女神   作:Scorcher

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最終決戦後半です。フリーダムVSプロヴィデンス、そしてアークエンジェルのローエングリンが再び放たれます。まぁクサナギのほうが強いんですけどね。

ぶっちゃけCEの世界は、イズモ級で構成された艦隊を配備すれば、宇宙空間の戦闘で負ける要素は皆無な気がしたりも。特に陽電子リフレクターが存在しない、CE71の場合は尚更。

そんなことを考えながら本作の着地点へと到達しました。次回は戦後。キラの周辺以外の情勢を書いた後、キラマリュというカップリングの一つの答えをお見せできればと思います。


Phase13-2

「メインスラスター被弾!航行不能!」

「動けなくともまだ使える武装はあるだろう!退艦するのは残弾を全て使い切ってからだ!」

「しかし、これではただの的がに……ぐあぁっ!?」

 

警報音が鳴り響き、被弾と爆発の衝撃が絶え間なく襲うドミニオンの艦橋。艦長のナタルは戦友であるマリューに未来を託し、自らの身命を賭してザフトの新型機を食い止めようとしていた。

 

「フォビドゥンとレイダーは!?」

「ダメです!カラミティも敵モビルスーツ部隊と交戦中!」

「くっ……もはやここまでか……!」

 

艦の方向転換すらもままならず、戦闘能力を完全に喪失しようとするドミニオン。ナタルは乗員に退艦命令を出そうする。しかし

 

「敵モビルスーツ急速接近!」

「なっ……!?」

 

それすらも許されぬ速度で、艦隊に甚大な被害もたらした新型機は肉迫する。背中に無数の遠隔兵器を搭載し、機体の意匠は連合のG兵器に酷似した、ツインアイとV字型アンテナが特徴のモビルスーツ。核動力を搭載し、高い制圧火力と機動力を両立させた一機のモビルスーツに、ドミニオンもまた餌食になろうとしていた。

 

「前方より友軍機接近!フリーダムです!」

「フリーダム……キラ・ヤマトか……!?」

 

その迫りくる機体に向け放たれる無数のミサイルとビーム砲。ドミニオンから距離を置いた敵機と艦の間に割って入ったのは、火力支援ユニット、ミーティアを搭載したフリーダムであった。

 

『あの敵は僕に任せて!ナタルさんたちは退艦を!』

「あ、ああ……了解した。総員退艦!残存部隊はアークエンジェルに合流するように伝達!」

 

マリューと同じく袂を分かったコーディネイターの少年、キラ・ヤマト。その彼が今、かつて戦火を交えたナタルや彼女の部下を助けるべく駆け付けたのであった。

 

 

「ナタルさん……!くぅっ……!」

 

沈みゆくドミニオンを目にして、苦々しい表情を浮かべるキラ。しかし、彼女たちの身を案じる前に、彼もまた眼前の敵機に集中をすることとなる。

 

ミーティアのブースターを全開とし、ザフトの新型機、フリーダムとジャスティスの兄弟機であるプロヴィデンスに向かい攻撃を開始する。

 

「っ……!?」

 

だが、その接近を阻むようにプロヴィデンスが放った遠隔兵器、ドラグーンが多方向からビームを放ち、フリーダムの行く手を遮ってしまう。

 

「これは……フラガ少佐の機体に使われていた……!」

 

キラは敵機の兵装に既視感を覚える。かつて共に戦地へと赴いたパイロット、ムゥ・ラ・フラガの登場するメビウス・ゼロと同様の武器であると見抜き警戒する。

 

「くぅっ……この大きさじゃ……!」

 

多方向から間断なく放たれるビーム。ミーティアと接続したフリーダムでは圧倒的に不利であり、キラは分離する機会を窺う。

 

多数の敵機を制圧するミサイルを放つものの、その全てはドラグーンのビームにより撃墜され、攻撃は無駄に終わる。

 

「うっぐぅぅっ……!」

 

それどころかドラグーンによる攻撃はミーティアの巨体に命中し、フリーダムにとっては死荷重となり始める。

 

「クソっ……!こうなったら……」

 

ブースターを噴射し、一時的にプロヴィデンスとの距離を置くキラ。そして転進した後、先程と同じように敵機に向かって迫ろうとする。

 

「同じ手だと思うなぁっ!」

 

光学ロックをしないまま、ミーティアに搭載されたミサイルの全弾を射出する。目標の一点を狙わず、面に向かって攻撃するようなミサイルの嵐に、プロヴィデンスは射出したドラグーンを急ぎ戻そうとする。

 

ミサイルの発射と同時にミーティアから分離するフリーダム。そして、ミーティア本体をプロヴィデンス本体に対し、大質量の兵器としてぶつけようとするのであった。

 

無軌道に飛翔したミサイルにより複数のドラグーンが堕とされ、プロヴィデンスは残るドラクーンでキラが放ったミーティアに向け射出する。それがキラの狙いであった。

 

「そこだっ!」

 

高機動を維持したままの精密射撃により、ミーティアを狙ったドラグーンを撃ち落としていくフリーダム。それでもなお、自機に向けて飛来し攻撃をしかける敵兵器を、彼は冷静に撃ち落していく。

 

「そんなものでっ!」

 

キラは無人兵器であるドラグーンを撃ち落とすことに躊躇いはなかった。遠隔操作、人間が搭乗していないものに対しては、一切の抵抗なく攻撃を仕掛けることが出来るのであった。

 

それでもなお、残る兵装をフリーダムへと向けて抵抗の意思を示すプロヴィデンス。しかし、火力の大半をドラグーンに依存していた機体の戦闘能力はキラとフリーダムの相手ではなく、ついに敵機の接近を許すのであった。

 

「っ……!」

 

フリーダムが放った蹴りによって体勢を崩すプロヴィデンス。なおも戦闘を継続する構えの機体は大型のビームサーベルを展開してフリーダムに斬りかかるものの、キラはそれを容易く捌き、逆に左右の手で展開したビームサーベルでプロヴィデンスの両腕を切り落とす。

 

「もうやめろ!これ以上の戦いは……!」

 

コックピット内で一人、プロヴィデンスのパイロットへ叫ぶキラ。その直後、その眼前の機体からフリーダムのコックピットに向けて通信が入る。

 

「えっ……!この機体から……?」

 

突然の出来事に困惑の色を浮かべるキラ。しかし、その背後からは残されていた一基のドラグーンが、フリーダムに銃口を向けているのであった。

 

 

 

 

ジェネシス周辺の宙域。アークエンジェルはザフト軍の防衛部隊と交戦していたエターナルと合流し、ジャスティスとストライクルージュが突入したジェネシス侵入口の前に陣取り、迎撃を続けていた。

 

「ジャスティスとの連絡は!?」

『まだです。後から突入したカガリさんからもまだ……』

 

ジェネシス内部からの連絡がないことをラクスから確認するマリュー。前方には少数ながらも、2隻の艦を排除しようとする迫るザフトの部隊が展開していた。

 

「このままじゃ……ジェネシスを破壊する前に本艦とエターナルが……!」

 

周辺宙域に漂う無数のモビルスーツや艦船の残骸。その多くはエターナルと共に先行していたフリーダムとジャスティスが破壊したものであった。

 

「左舷より敵部隊接近!数14。」

「エターナルに向けてもモビルスーツ複数機が……!」

「迎撃!バリアント、ゴットフリート照準!」

 

やむなく接近するザフト軍に応戦するアークエンジェル。目標はあくまでもジェネシスであり、ザフトの防衛部隊を撃破することはマリューにとって不本意であった。

 

しかし、エターナルの残弾数にも限りが見えてきており、敵側もそれを理解しているかのように攻め手を緩めようとはせずにいた。

 

「正面よりローラシア級4隻。」

「4隻!?」

「さらにその後方よりナスカ級2隻接近!艦長、このままでは包囲されます!」

「くぅぅぅっ……!」

 

ラクスの意思を尊重するのであれば、この戦いにおける犠牲は限りなく少ないものであることが理想であった。

 

しかし、眼前に迫るザフトの軍勢はパトリック・ザラのナチュラルに対する憎悪を代弁するように、ジェネシス破壊を目指すマリューたちを討とうとしていた。

 

ジェネシスを背後にしたアークエンジェルとエターナルを囲い始めるザフト艦隊。だがその矢先、無数の砲撃がザフト艦へと命中し、形成しつつあった包囲を崩していく。

 

「クサナギ……!?」

『ラミアス艦長、無事か!?』

「ええ……そちらは?」

『後方からの追手は、フリーダムと連合艦隊が抑えてくれた。あとはジェネシスを破壊するだけだ。』

 

多勢に無勢であった中、クサナギとアストレイ部隊が合流し窮地を脱するマリューたち。そして、再び合流を果たした3隻はこの戦いに決着をつけようとしていた。

 

「ラクスさん、私たちでザフト艦隊を撃破します。よろしいですね。」

『はい。私たちは、まだ倒れるわけにはいきません。この世界に未だ残る、憎しみの連鎖を断ち切るために。』

 

ラクスからの言質を得たマリュー。そして彼女はクサナギと艦首を並べると、乗員に号令を出す。

 

「ローエングリン、1番2番起動。目標、前方ザフト艦隊!」

 

彼女の声と共に露わとなる艦首の備わった二門の破城砲。それと同時にクサナギの搭載された四門の破城砲もまた、眼前に展開するザフト軍へと向けられるのであった。

 

「ローエングリン1番2番、充填完了。いつでも撃てます。」

 

火器管制官による発射準備完了の報告。それを聞いたマリューは、自らの意思によってその引き金を引くのであった。

 

「―――――!!!!!」

 

艦橋に響き渡るマリューの叫び。それと同時に、アークエンジェルとクサナギの破城砲六門から、禍々しい6本の光が放たれる。そしてそれらは、彼女たちを討つべく迫っていた者たち全てを、漆黒の宇宙へと葬り去るのであった。

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