大天使の戦女神   作:Scorcher

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エピローグ前半です。キラが出てきません。大戦を生き残ったナタルさんと三馬鹿、そしてノイマンのノロケがメインです。キラマリュではなかったのですが、なんとなく書きたかったので書きました。

後半はオーブに亡命した女性技術士官と元代表の密談。CEの世界を平和することは不可能でしょう。現実世界並みに無理ゲーかと。

後半はほとんどキラマリュ。そしてキラが戦いの中で最後に聞いたことを振り返ります。ついでに複数のゲストキャラも。オリキャラではないと思います、たぶん。


Final Phase-1

ジャスティスの自爆によりジェネシスは崩壊。パイロットのアスランは無事に脱出し、マリューたちによるジェネシス破壊作戦は完了した。

 

その後、地球連合艦隊の月基地から増援が到着。ジェネシス発射を主導していたパトリック・ザラ議長は拘束され、反ザラ派、及び旧クライン派によって大西洋連邦との停戦、および講和協議が始まるのであった。

 

 

 

 

終戦から数か月後。ジェネシスの破壊に関与した地球軍艦隊の軍人は、戦後の混乱に乗じて行方を晦ましていた。

 

ドミニオンの元艦長、ナタル・バジルールはオーブ国内の港で、3人の若者たちに身分証明書を手渡す。

 

「ん?なんだこれ?」

「お前たちの新たな個人データだ。連合内ではパーソナルデータが存在していなかったから、新たにオーブで作ったものだ。」

 

ドミニオン艦載機のパイロットであった3人の若者。彼らは停戦後、アークエンジェルへと帰還し、退艦して生き残っていたオーブに身を寄せていた。

 

「俺たちってパーツ扱いだったのか?」

「なんか酷くないですか、それ。」

「あの薬、もう飲まなくていいの?」

 

軍内では生体CPUとして認識されていた3人。しかしナタルは一人の人間として、彼らを人として見ており、戦争を生き残ることが出来た若者たちとして扱おうとしていた。

 

「他の連中がどう考えていたかはもう分からん。ほとんどいなくなってしまったからな。お前たち自身に関しても、オーブ国内の手術でどうにか普通の人間に戻っている状態だ。」

 

ナタルや彼らを含め、生き残ったドミニオンの乗員はオーブへと亡命していた。一方で連合軍内では乗艦の轟沈による実質的な戦死となっているのであった。

 

「それからこれを。アズラエル理事から頂いたロドニア研究所の所在地だ。サブナック少尉、君に預けておく。」

「ロドニアって……どうしてこんなものを俺たちに?」

「まだ見知った顔も残っているだろう。そこで何が行われているのかは分からん。そして、お前たちがそこで何をするかも私は関知しない。」

 

3人に対して勝手にするべき言わんばかりな態度のナタル。しかしそれは、彼らに自由を与えたことへの裏返しでもあった。

 

「そういえばあの理事のオジサン、どうしたんですか?」

「アズラエル理事は……生きてはいるさ。だが、お前たちと会うことはないだろう。」

「ウソくせ。あんたが殺したとか?」

「なっ……こ、殺してなどはいない!一発殴りはしたが死なせてはいないぞ!」

 

ナタルに対して疑いの目を向ける3人。しかし、彼女に対しての信頼が揺らぐことはなく、彼らはそれ以上、アズラエルの安否を気にすることはなかった。

 

「他に何か必要なものはあるか?」

「小説。」

「ゲーム機。」

「MDプレイヤー。」

「ぐぅっ……!」

 

彼らの私物はドミニオンと共に宇宙の塵となっていた。そしてそれらの補填をナタルに要求しているのであった。

 

「あんたが艦を沈められっから、俺の本もなくなったし。」

「弁償してくださいよね、艦長さん。」

「もっと新しいやつが欲しい。」

「お、お前たちは……!」

 

軍人ではないために、年相応かそれ以上に礼を失した態度の3人。そんな彼らに呆れと怒りを覚えつつも、人間らしさを取り戻しつつあったことに彼女は安堵もするのであった。

 

「バジルール中尉。」

「ん?ああ、ノイマン少尉……って、私は昇進して大尉……じゃなかった。私たちはもう軍人ではないだろうが。」

「あっ!すいません……以前の癖で……つい。」

 

ナタルたちのもとへと近寄ってきた一人の男。アークエンジェルのクルーであったアーノルド・ノイマンは、彼女の姿を見かけて話しかけてくる。

 

「その3人は?」

「ドミニオンの艦載機に搭乗していたパイロットだ。パイロットとしては存在していなかったがな。」

「ああ……彼らがあの新型の。キラくんとそれほど変わらない年頃みたいですね。」

「キラ・ヤマト……か。」

 

その名を聞いたナタルの顔が僅かに曇りを見せる。そんな彼女に向けて、3人は彼女とノイマンの関係を問い質す。

 

「その人、あんたの何なの?」

「もしかして、恋人とか?」

「似合ってんじゃん。」

「えぇっ!自分とバジルール中尉が!?」

「なっ……お、お前たちは何を言って……!」

 

困惑するノイマンと、顔を赤面させるナタル。厳格な軍人であったはずの彼女は、軍を離れた者たちに囃し立てられ、年相応な女らしさを露わとしてしまう。

 

「ノイマン少尉、この後……空いているか?」

「えっ……?あっ……は、はいっ!中尉のためであれば、いくらでも!」

 

軍人としての関係しか築けずにいた2人。階級でしか呼び合うことのなかった男女が、それ以外の呼び方をするには、しばしの時間を要するのであった。

 

 

 

 

連合、プラント間による大戦はオーブに多くのものを失わせ、そしてもたらしてもいた。

 

「では、あのアークエンジェルとあの機体は我々に譲っていただける、そういうことですな。」

「はい。少なくとも今の私たちにとっては無用なものですから。」

 

地球連合軍の元軍人、女性技術士官と話をするのは、オーブ連合首長国の元代表であるウズミ・ナラ・アスハ。彼は彼女に対してさらに問う。

 

「あなたはともかく、彼や彼女の了承したのですかな。」

「もちろんです。2人の許可を得た上で、あの機体はオーブに渡すこととしています。」

「なるほど。それなら安心出来ますな。彼らの意思に反して、我らがあのようなものを手にするのには抵抗ありましたからね。」

 

大戦終盤の戦闘において、核動力搭載のザフト製モビルスーツ3機が実戦へと投入された。そのうち2機は損失した一方、残る1機はアークエンジェルと共にオーブへと入港していたのであった。

 

「つかぬことをお伺いしますが、アスハ元代表はあの機体……Nジャマーキャンセラーをどうするおつもりでしょうか。」

 

些か不安な表情となりつつ、女性士官は元代表に問う。それに対してウズミは険しい表情のまま口を開く。

 

「当面の間は、我々の下で秘匿させていただくことにします。大西洋連邦の権力失墜した現状において、我々が独立を回復することは容易ですからな。あれほどの力なくとも。」

 

地球連合、特に大西洋連邦はジェネシスによる攻撃で軍勢の多く喪失し、さらにはウィリアム・サザーランド以下、ブルーコスモスに与する人員の多くが死亡していた。それによりオーブは図らずも、大西洋連邦の支配から脱すことが叶うのであった。

 

「とはいえ、核の力は多くの人々にとって生きる術となる。今後の地球連合、大西洋連邦の姿勢次第では、Nジャマーキャンセラーの技術を公開することもやぶさかではないでしょう。」

「オーブの判断は、連合とプラントの関係に掛かっている。そういうことでしょうか。」

 

女性士官の言葉にウズミは深く頷き、顔を綻ばせる。そして彼女に対して感謝とねぎらいの言葉を述べる。

 

「我らがあなた方に託し、守り通してくれた意思。決して疎かには出来ようはずがない。何よりも娘を……カガリに世界を見せてくれたあなた方に、我々は報いなければならない。」

「いえ……そんな、カガリさんはよくやってくれました。アスランくんを助けたもの彼女でしたし、助けられたのは私たちのほうですから。」

 

謙遜する彼女にウズミは一国の元代表、そして一人の父親として頭を下げて謝意を示すのであった。

 

「それで、あなた方は今後、オーブ国内でどのように生活を?何か出来ることがあれば、融通は効かせますので。」

「ありがとうございます。ただ、今はもう少し……彼との時間を大切にしたいとも思っています。」

「……そうでしたな。我が娘と同い年にしては、彼が背負う業はあまりにも重すぎる。」

 

彼女が口にした『彼』という言葉に、ウズミは複雑な面持ちとなって言葉を口にする。彼女が共に過ごそうとする一人の少年に対し、彼もまた罪に意識を抱いているのであった。

 

「彼が進むべき次第で、私の進むべき方向も決まります。今はまだ、傍にいてあげたいんです。」

「わかりました。あなたに任せておけば、私としても安心が出来る。彼のことを頼みましたぞ、ラミアス元艦長。」

 

ウズミの言葉に女性士官は一礼をすると、踵を返して部屋を後にする。その一人の少年と未来を共にすることを決めた彼女の目に、一切の迷いはないのであった。

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