ゼルダの伝説 ~六人目の英傑~   作:クラウディ

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衝動的に書いたから質に関しては気にするな!





とある自称一般兵の独白 姫の悩み

 ハイラル王国は遙か昔の神話の時代から幾度となく魔王ガノンの厄災に見舞われ、その度に退魔の剣を持つ騎士と、聖なる力を持つ姫がガノンを封印するという繰り返しの歴史を辿ってきた。

 

 1万年前、高度な技術文明を確立していたハイラル王国は、その技術をもってガノン封印の一助とすべく4体の巨大兵器「神獣」と自律無人兵器「ガーディアン」たちを製造し、退魔の剣を持つ勇者と姫の聖なる力でガノンを封印した。

 

 

 そして100年前、先の封印が伝説となりつつある頃、ハイラル王家に仕える占い師がガノンの復活を予言し、ハイラルの民は古代に作られた神獣とガーディアンを発掘・研究・運用し、王国の守りにあたらせた。

 

 しかし、ガノンはハイラル城の地下に復活し、頼みの綱であった4体の神獣とほとんどのガーディアンの制御を乗っ取って支配下に置き、ハイラル王や神獣の操縦者をはじめとした多くのハイリア人が犠牲となってハイラル王国は滅亡した。

 

 生き残ったゼルダ姫は致命傷を負った騎士リンクを治癒するため彼を始まりの台地の回生の祠へ収容すると、自らの封印の力で厄災ガノンを抑えることを決意した。

 

 

 やがて、「大厄災」と呼ばれる災害から100年の時が流れ、目覚めを促す謎の声に呼応してリンクは長い眠りから目覚めるも、一切の記憶を失っていた。

 

 ハイラルの大地へ踏み出したリンクは、フードを被った老人と出会う。

 

 謎の声と老人の導きにより、リンクは厄災ガノン討伐とゼルダ救出のため冒険へと旅立つのであった。

 

 

 ……とまぁ、これがざっくりとした「ゼルダの伝説 ブレス・オブ・ザ・ワイルド」のあらすじだ。

 

 なんで、こんなことを突然話しているのかについて「訳が分からない」といいたい者もいるだろう。

 実は私も自分で何を書いているのかよく分かっていない。

 そもそもこの文章を読んでいるあなただって意味不明だと思うはずだ。

 だが安心してほしい。

 俺自身、まったく理解できていないからだ。

 つまりこれは日記のようなものだと思ってくれればいい。

 私は今、ゲームの中の世界にいるのだ。

 そんな、どこぞの掲示板で書こうものなら「嘘乙」「はい解散」「妄想乙」と鼻で笑われるような話をこれから書き連ねていくつもりである。

 なお、これを読むにあたり注意していただきたいのは、俺の頭がおかしいわけではないということだ。

 断じて違う。

 俺も最初は何か悪い夢でも見ているんじゃないかと思ったのだが、残念ながらどうやら現実らしい。

 俺は実際にこのゲームの世界に存在しているし、そこで生活を営んでいる。

 まず最初に言っておくが、俺は別にこのゲームをやりこんでいて、ゲーム内のキャラクターになりきっているとかそういうことはない。

 ごく普通の一般人だ。

 少なくとも、今のところはそう思っている。

 

 んで、転生したからには、どこかの家に生まれているはずなんだけれど……。

 ゲームの世界に転生したとはいえ、転生してしまったら現実。

 ゲームのような都合の良い展開などないわけで……まあ当然のことではあるんだけれども。

 だから俺はとりあえず、自分の置かれた状況を把握するため、いろいろ調べることにした。

 

 結果、俺が生まれた家は……。

 

「ガホッ!?」

 

 そこで意識が現実に引き戻される。

 口の中に溜まっていた水を吐き出すように咳き込み、激しくむせる。

 息を整えつつ目を開けると、視界に入ってきたのは見慣れた空だった。

 

「……ここは……」

「おい、大丈夫かクロウ? かなりいいのが入っちまったんだが……」

「あ、あぁ大丈夫だ。少し、ふらつきがあるが……」

「ったく、無理するなって言ったろ。お前に倒れられると困るんだよ。それにしても我ながら今のは強烈だったな」

「ああ、まさかあんなに吹き飛ばされるとは思ってなかったよ」

「全くだぜ。お前の体が軽いんじゃねぇの?」

「それなら、お前の飯から肉貰うからな」

 

 軽口をたたき合いながら、手を引いてもらい立ち上がる。

 そして改めて周りを見渡せば、そこは周りに甲冑を着込んだ兵士達のいる訓練場だった。

 

「んー、やっぱり現実だよなぁ」

 

 思わず呟いた言葉を聞いて、横にいた兵士が反応した。

 

「当たり前だろ。何を寝ぼけたこと言ってやがるんだ?」

「いや、分かってんだけどさ。なんか実感湧かないっていうかさ」

「まぁた夢の話かよ。そんなんじゃ、ボコブリンにすらやられるぜ?」

「そうだな……」

 

 そう、今俺と話している兵士の名前はジョン。

 THE一般兵というべきやつで、その実力は平々凡々。

 しかし、その軽い性格で友人は多い。

 すぐ調子に乗るが、決して悪い奴ではない。

 そんな彼が言う通り、ここはもうゲームじゃない。

 俺はちゃんと生きているし、夢を見ているわけでもない。

 なぜこんなことになったのか、それは分からない。

 ただ分かることは一つだけある。

 この世界は、「ゼルダの伝説 ブレス・オブ・ザ・ワイルド」。

 その世界だということだ。

 そして……。

 

「グアッ!?」

「そこまで! 勝者、リンク!」

「フゥ……」

 

 再度訓練に戻ろうとしたところで、訓練場に響いた声に足を止める。

 声の主はリンク。

 リンクとは、「ゼルダの伝説シリーズ」の主人公の名前でもある。

 そして、視線の先にいる一人の兵士を倒し、残心している金髪の美少年。

 俺の記憶が間違っていなければ、あれはリンクで間違いないだろう。

 つまり俺は、主人公の同僚になってしまったということだ。

 なんとも奇妙な話である。

 

「お疲れさん。相変わらず強いな」

「…………」

 

 俺が称賛の言葉と共に手渡した手ぬぐいを軽くうなずきながら受け取るリンク。

 彼は寡黙な性格で、ほとんど喋らない。

 そのため、何を考えているのか分かりづらい部分があるのだが……。

 

(なんとなくだが、喜んでる感じがする……)

 

 多分、気のせいだと思うけど。

 

「よし、次は誰だ?」

「はい!」「はい!」

「よし、ならば両者とも構え!」

 

 リンクが勝ったことで、やる気が出たのか名乗りを上げる者が現れる。

 そして、先ほどのリンク達のように向かい合う両者。

 しかし、今度は俺も見物させてもらおうと思ったのだが……。

 

「あ、あの……」

「ん?」

 

 声をかけられて振り返れば、そこには一人の少女の姿があった。

 綺麗な金髪を持ち、鼻筋の通った美少女。

 なんでこのようなところにいるのか分からない彼女の名は……ゼルダ姫。

 ハイラル王……「ローム・ボスフォレームス・ハイラル」の娘。

 つまり王族だ。

 そんな彼女が何故こんなむさくるしい男たちが集まるところに……?

 

「ゼ、ゼルダ様!?」

「ゼルダ様……。何故このようなところに?」

「御父様から言われました。戦いというものの空気に慣れてこいと……」

「あぁ、なるほど……」

 

 ジョンが盛大に驚いているのを尻目に、ゼルダ様からここにいる訳を聞く。

 どうやら、国王陛下が娘に社会見学でもさせようって魂胆らしい。

 まぁ確かに、王女である彼女にとっては良い機会かもしれないが、それにしても……。

 

「あの……あなたの戦いを見せてはくれないでしょうか?」

「えっ? 俺の戦いですか……? そりゃまた何故でしょうか……?」

「私、あなたのことを知っているんです。いつも、訓練場で戦っているのを見ていまして……」

「あぁ、そういうことですか……。別に構いませんよ」

「ありがとうございます」

 

 丁寧なお辞儀をするゼルダ様に微笑み返し、ちょうど組み手が終わった兵士と入れ替わりに構える。

 対する相手はジョンだ。

 

「よっしゃ、ジョン、俺が勝ったら今日の飯一つ寄越せよ」

「俺が勝ったら、お前の飯全部な」

「始め!!」

「フンッ!」

 

 開始の合図と同時に振り下ろした剣が、ジョンの兜に当たる。

 そのまま鍔迫り合いになるかと思ったが、ジョンはあっさりと力を抜いて後退する。

 流石は王国直属の兵士。実力は問題ないようだ。

 しかし、後退したからといって反撃の間合いから抜けれてはいない。

 

「オラァッ!!」

「ぬおっ!」

 

 俺は両手で構えて剣を振り上げ、力任せに弾き飛ばそうとする。

 だが、ジョンは片手に持っていた盾を滑り込ませることで何とか受け止めた。

 そして、弾かれた勢いのまま、左足を軸に回転斬りを繰り出してきた。

 

「フッ!」

「くぅ……」

 

 鋭い斬撃をなんとか避ける。

 しかし、避けたところで追撃は止まらず、何度も連続で繰り出される攻撃。

 そのどれもが重く、いつもの軽い性格からは想像できないほど。

 俺は防戦一方となり、徐々に押され始める。

 このままでは負けてしまう……。

 そう思った瞬間、俺の中で何かが切れた。

 

「……シッ!」

「なっ!?」

 

 小さく息を吐きながら、相手の刃を下から切り上げ弾き飛ばす。

 そして、跳躍と共に前転するように回転を入れて思いっきり叩きつけた。

 

「うおぁあああっ!?」

 

 吹っ飛ばされるジョン。

 俺はすかさず彼の元へと駆け寄り、首筋に剣を突き付けた。

 

「勝負あり! 勝者、クロウ!!」

「っと、悪い。大丈夫かジョン?」

「ハァ、ハァ……。参ったぜ……。まさか、あんな無茶苦茶な斬り方をするなんてな」

「すまんな。ちょっとムキになったみたいだ」

 

 俺とジョンが笑い合っていると、ゼルダ様が拍手しながら近づいてきた。

 

「凄いです! とても強いのですね!」

「まぁ、それなりに鍛えていますからね。それより……」

「はい?」

「ゼルダ姫には少し刺激が強かったかもしれませんね。あまりこういう光景を見るものではありません」

「えぇ……。でも、厄災に向けて戦うためには必要なことでしょう?」

「それは……」

「それに、お父様からも言われているのです。これから先の戦いにおいて、あなた達のような力を持つ方々の助けが必要だと……」

「……」

(やっぱりそうだよな……。いくらなんでも、この世界はゲームとは違う……)

 

 リンク達の年齢を考えるなら、厄災ガノンと戦うまでに時間があるだろう。

 だが、相手の力は強大すぎる。

 ガーディアンは奪われ、神獣とそれを操る英傑たちも奴にはかなわない。

 一万年前なら話は別だったが、流石に時間が経ちすぎた。

 相手もやられっぱなしではいないはずだ。

 

(厄災ガノン……。お前が復活するのはもうすぐなのか……?)

「それでは、訓練も終わったことだし、隊長! 俺は上がらせてもらいます!」

「了解した! ジョンも上がっていいぞ!」

「うい~っす」

 

 悩みを抱えつつも、俺はいつも通り剣を振る。

 そうすることで少しでも気分転換になれば良いのだが……。

 そんなことを考えつつ、今日も日課の訓練を終えるのであった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「…………ふぅ」

 

 誰もいない部屋で、私はベッドの上で横になりながらため息をつく。

 最近、ため息が多くなってしまった。原因は分かっています。あの男のせい。

 

「クロウ・リード……」

 

 私の心を奪い取った男の名を呟く。

 最初はただの一兵士のつもりだったのに、いつの間にか好きになってしまった。

 だから、彼が訓練場に現れるとつい目で追ってしまう……。

 

 そんな彼と初めて出会ったのは、今から数年前のことだった。

 

 幼いながらも政治の場へと参加し、厄災への対策を考えていた頃。

 地方への見聞のため、視察のために訪れた土地にて魔物の群れに襲われていた。

 護衛の騎士たちは次々と倒れていき、私自身も死を覚悟していた。

 

『うぇああっ!!』

 

 その時だった。突如現れた男が、木こりの斧一本だけで魔物の群れを倒してしまった。

 それだけではない。

 彼はたった一人でその化け物を圧倒し、最後は首を斬り落として倒したのだ。

 それからのことはよく覚えていない。気が付いたら、目の前の男のことを見つめていた。

 そして、彼に声を掛けた。

 それが、全ての始まり……。

 王族と兵士の禁断の恋など夢物語だと思っていたが、まさか自分が経験することになろうとは……。

 

「だけど……」

 

 クロウ・リードは英雄と呼ばれている。

 彼にそんなことを言っても、「俺はそんな高等な身分じゃないですよ。そこらの一般兵が俺の身分です」と謙遜するでしょうけど……。

 彼の実力は本物だ。

 その証拠に、この国の兵士たちは彼の剣技を見て、憧れを抱いている者が多い。

 中には彼を師と呼び、弟子入りしようとする者も……。

 それこそ、あの子だって……。

 しかし、彼だけは違った。

 誰よりも強く、誰よりも謙虚。

 そして、時折何かに追い立てられるように焦っている。

 

「どうして……? 何故、そこまでして戦おうとするの?」

 

 厄災との戦いは命懸けのものとなるだろう。

 だからこそ、彼のような強い人が戦いに出なければいけないはずなのに……。

 

「……分からない」

 

 結局、何も分からなかった。

 彼のことも、自分の心のことも。そして何より……。

 

「……お父様」

 

 国王である父の気持ちも……。

 私は封印の巫女。

 そのための力を覚醒させなければいけないのに……。

 皆の力になりたいのに……。

 

「どうしたらいいんですか……」

 

 枕を抱きながら、また一つため息をつく。

 こんな時、お母様がいてくれたらと思わなくもない。

 

「お母様……」

 

 私はそっと目を閉じて眠りにつくことにした。

 そして、明日から頑張ろうと自分に言い聞かせる。

 

「お休みなさい……」

 

 こうして、長い一日が終わった。

 明日はきっと、いつも通りの日常が待っているはずだ。

 そう信じて疑わなかった……。

 

 

 

 

 

――物語は動き出し始める。

 

――一人の異物を混ぜ込み、新たな局面へと……。







いずれは、これより良いものを書きたい。


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