いつの間にかTSしてポケモンの世界に! 作:白髪幼女はいいぞぉ
僕はいつも想像していた。
このゲームやキャラクターであるポケモンが現実の世界に居たらどれだけ素晴らしいか。
多くの素敵なポケモンとパートナーとして信頼し合い絆を深めて冒険へ旅立つ―――そんな想像を膨らませていた。
あと、マリィ×ユウリ(※1)はいいぞぉ。
(※1=ユウリはポケモン剣盾の主人公♀で、マリィはライバルキャラ♀の1人であり、その二次創作百合カップリング)
そして目が覚めた。
「ああああああセーブわしゅれた!」
夜遅くまでポケモンの孵化厳選作業を行っていたらいつの間にか寝ていた。
大切なデータが消えてないか不安で飛び起きたら、見えるのは知らない部屋。
「ここ……どこ?」
聞ける声が甲高くまるで自分の声じゃないみたいで、そう、例えるなら幼女の様な声。
当たりを見渡すと直ぐ近くの壁に鏡があり、こちらを覗き込む白髪幼女が映り込んで―――
「ぼっ僕……?」
ペタペタッと頬を触る。
すると鏡の白髪幼女の同じように頬を触り、手にはぷっくりモチモチの感触が返ってくる。
この幼女が僕なのか!?
そう認識した瞬間、脳裏にこの幼女の姿で過ごした日々が走馬灯のごとく駆け巡った。どうやら幼女として転生をしたみたいだ―――それもポケモンがいる世界に。
現状を理解できずに呆然としていると、僕の
安心させるために、今までの幼女らしい言動で無事をアピールしてみたが、どことなく違和感があるみたいだ。
自分としても、流石にいい大人が幼女のマネは痛いよな……って思うけど、とりあえず誤魔化せたので良しとしよう。
この幼女、名前はサリナ。
そしてママ……お母さんよいうよりママと呼ばないと違和感ある。どうにも自分の中でしっくりこない。
少し過ごしてみて分かったのが、言動はこれは幼女の体に引きずられているみたいだ。だから、この様な行動をしてしまうのも仕方がない。
「ママ、ポケモン欲しいよ。僕のポケモンポケモンポケモンポケモンポケモン!」
この体も一人称が僕なので、違和感はなかったりする。
「もう、サリィったら。起きたらソレばかりね」
仕方のない子ねと言うような表情をするママ。
だって一歩外に出れば、そこには夢憧れていたポケモンが、僕のパートナーになるポケモンが待っているのだから!
「フィーアだっているのに、それじゃダメなの?」
「フィーーー!」
足元から聞こえるニンフィアの鳴き声。下を向けばスリスリと頭を僕の体に擦り付けてくる。
この子はフィーア。ママの手持ちポケモンのニンフィア♀で、家族同然に暮らしている1匹だ。
「フィーアは家族だけど、ママのポケモンでしょ。僕もフィーアみたいなパートナーが欲しいの!」
手入れをされてサラサラなフィーアの毛並みをモフモフしながら反論する。
「フィー♪」
「今では私より仲良さそうなのに我儘な子ねぇ……しょうがない、ちょっとパパと相談してみるわ」
「やったーーー!ママ大好きーーーー!」
「フィーーー!」
嬉しさのあまり、衝動的にママの足抱き着くとフィーアもマネしてママの足へ体を擦り付ける。
「まったくもう……誰に似たのかしらねぇ♪ほら、朝ごはん食べちゃいなさい」
「はーーーい!」
「フィ!」
今まで娘のサリィは自分のポケモンを欲しいと言ったことが無かった。
まだ7歳なのだから当たり前かもしれないけど、フィーアの存在が大きいのかもしれない。
フィーアは私がポケモントレーナーとして冒険していた時の相棒の1匹で、苦楽を共にして強い絆を紡いできたはずなのに、今では私よりもサリィの方が好きみたいでよく一緒に居る。ちょっと焼けちゃうわね。
サリィはポケモンに好かれやすい体質なのか、私のポケモンたちもサリィの事が大好きで、外で遊んでいればウチの近くに遊びにくる野生のポケモンも混じって遊んでいたりする。
そんな娘が
パパと相談した結果をサリィに伝える。
「サリィ、どうしても自分のポケモンが欲しいのならポケモントレーナーの資格を取らなきゃダメなの」
「資格……?」
妖精の様に可愛らしい顔を傾けるサリィ。
「そうよ。資格はポケモンの事をちゃんと理解して、扱うことが許されていることを証明するものなの。ママも持っていて、それがないとポケモンを持つことが出来ないの」
「へぇーママも持ってるんだね!すごーーーい!」
「でもね、資格はいつでも取れるけど、あってもポケモントレーナーとして旅に出ていいのは10歳になってからよ。分かったかしら?」
「うん、わかった!」
元気よく返事をするサリィにホッコリして顔が緩みそうになるけど、我慢してキリッとさせる。
「なので、サリィがポケモントレーナーの資格を取れたらポケモンをあげます」
「やったーーー!」
「フィッフィーーー!」
この子、本当に分かっているのかしら。
嬉しそうに飛び跳ねるサリィとフィーアを見て苦笑してしまう。
子供でも取れるけど、直ぐに取れるものではない。ましてや5歳になったばかりの子に取れるかどうか。最年少でも8歳ぐらいだっと記憶している。
「じゃあママ。資格取るためのお勉強教えて!」
「フフッ、仕方ないわね」
簡単には取れないだろうから、気長に付き合ってあげようと考えていた私は、良い意味で期待を裏切られた。
1カ月後、サリィが満面の笑みを浮かべて見せて来た、ポケモントレーナーの資格によって。
ママから提示されたポケモントレーナーの資格取得を無事に終えた。
内容はポケモンに対する常識が全般で、復習の気分で受けることが出来た。
それでも少し時間が掛かったが、ようやく自分のポケモンが手に入ると思うと嬉しくて
その翌日。
僕の初手持ちポケモンとなる子がやって来る日で、既に目の前にはピンク色と白のモンスターボールが置かれており、ポケギアでパパとお話の真最中だ。
『サリィ、まさかこんなにも早く資格を取れるとは思ってなかったよ。流石パパとママの娘だ』
「うん!」
ポケモン研究員として働いているパパは家に居ることが少なく、こうしてポケギアでお話しすることがほとんど。
前に久しぶりに帰ってきたパパが分からず『おじさん、だーれ?』と言われたパパが泣き崩れたのは、この小さい体に刻み込まれた懐かしい思い出だ。
『かわいいかわいいサリィにピッタリのポケモンを選んだつもりだから、大切に育てて欲しい』
「分かったっ!」
もうワクワクし過ぎて、ピンクのボール―――ラブラブボールとポケギアを視線が行ったり来たりしている。
流石に待たせ過ぎたと思ったのか、苦笑しながらパパがボールから出してごらんと許可をくれたのでボールを手に持つ。
触れた瞬間、少し揺れた気がしたけど気のせいかな?
「出ておいて!」
そう言ってボールを軽く投げると、小さい影が飛び出して僕へ向かってきた。
「サリィ!?」
お母さんの悲鳴が聞こえたが、僕は驚きつつも、漠然とこの子は大丈夫だと思い、少し大きいぬいぐるみ程のソレを受け止めた。
「コーーーン♪」
可愛らしい鳴き声で僕の頬を舐めてくる、白い毛並みのポケモン。
こっ、これはもしや―――
「アローラロコン……!?」
『おっ、サリィ良く知っていたね。そうだよ、その子はアローラロコンだ』
アローラロコン。
名前にアローラという地名が付く子ぎつねポケモン。このガラル地方では珍しいポケモンだ。
頭を擦り付けてくるこの子を撫でながらパパに問いかける。
「アローラじゃないのに、どうして?」
『たまたま知り合いの方が卵を持っていてね。研究しようと思って引き取ったんだ。でも、偶然最近孵化したからサリィにあげようと思ってね。喜んでくれたかい?』
「うんッッッ!ありがとうパパ、大好きッ!」
デレデレした顔のパパと別れを告げ、アローラロコンに向き合う。
クリッとした瞳がまっすく僕を見つめ返す。
「コーーーン」
まるで訴えかけるように一声鳴く。
「ニックネームがほしいの?」
そう問いかけてみる。
すると―――
「コンッ♪」
と短く返事の様に鳴く。
どうやら正解のようだ。
「んんん~~~~~」
初めての自分のポケモン。変な名前は付けられない。
あれ、この子の性別はどっちだろう?
「ねえ、女の子?」
「コンッ!」
「それじゃあ………コーラル!」
「コーーーーーンッ!」
「よろしくねコーラル」
「コンッ♪」
「フィーーー!」
新しく家族になったアローラロコンのコーラルと、足元で構ってほしそうに鳴くフィーアを両手で抱きしめて、クタクタになるまでじゃれ合い尽くしたのであった。
続くかは不明。