一郎とシルバーのオール怪獣大進撃   作:クォーターシェル

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1話 怪獣島へ

様々な怪獣や侵略者と戦い、勝利して来たある地球。その中でも殊更に外敵たちと戦ってきた国、日本。神奈川県川崎市からこの物語を始めよう。時間帯は午後、通学の帰りか二人の小学生が道を歩いていた。男の子と女の子が歩道橋を歩いている時に一台の車が音を出して曲がった。その様子を見ていた男の子は

 

「あっシルバーみたいだ」

 

と言う。

 

「シルバー?」

 

と女の子。男の子は

 

「シルバーってあんな感じで鳴くんだぜ。キキーッって」

 

と女の子に言った。

 

「嘘。会ってもないくせに」

 

と女の子はそっけなく言う。

 

「そりゃあ会ってないさ。でも、そうだもん」

 

と男の子は言うが女の子は呆れた顔で先に進む。男の子も

 

「ちぇっ」

 

と呟きその後を追う。線路沿いの道に差し掛かると、作業用の車両がゆっくり線路を進んできた。運転してきた男は、男の子に気づくと、

 

「おっ坊主!お父さんは今夜泊まりだからな!お母さんが帰るまで頼むよ!」

 

と呼びかけた。どうやら男は男の子の父親らしい。

 

「うん!いいよー!」

 

と笑顔で答える男の子。どうやらこういうことには慣れているらしい。そのまま父子は手を振って別れるのだった。父が去った後、男の子はつまらなそうに線路わきの方を見やるが、その時男の子はきらりと光るものを見つけた。それを拾いに行く男の子を見た女の子は

 

「何それ」

 

と言う。男の子は

 

「真空管だよ」

 

と拾った真空管をポケットに入れる。女の子は

 

「汚いわ」

 

と顔をしかめた。その頃男の子の父、「三木健吉」は同僚と共に休憩していた。同僚は

 

「しかしお前の子供…一郎だっけ?はどっか悪いのか?」

 

と話した。健吉は

 

「ええ?そうか?」

 

と答える。同僚は

 

「ああ、元気ねえぞ」

 

と言う。健吉は

 

「ふっまさか。ただなあ、ちょっと気が弱くて困ってるんだ」

 

と言った。

 

「ふーん」

 

と同僚。

 

「引っ込み思案というのかな。誰かが側に付いてればいいんだが、女房も働きに出てるんでね」

 

「鍵っ子って訳か」

 

「その内お金を貯めてもっと住みやすい場所に引っ越そうと思ってるんだがいつになるやら」

 

「海辺は止めておいた方がいいと思うぜ。この間も寄港した学園艦が大ダコに沈められかけたってある」

 

と同僚は健吉に読んでいた新聞を見せる。そこには今言った学園艦が大ダコに襲撃された事件の他、中国の企業シャオ産業による新型イェーガーの開発、アフリカの小国に怪獣オリジナルギャオスが出現したなどの記事があった。

 

「まあ海自や海保が頑張っているし、そういう事件は偶々だろう」

 

と言いながらも内心は内陸の所が良いだろうかと考え始める健吉。同僚はまた新聞を見ながら

 

「五千万円強奪の自動車が見つかるか。へっ自動車だけ見つけたってしょうがねえや今頃別の自動車で高跳びしてら」

 

と言った。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

一郎と女の子、「サチ子」は帰りの途中、廃墟の近くを通りがかった。一郎は

 

「さっちゃん。ちょっとあの中入ってみようか」

 

と廃墟を指さす。サチ子は

 

「だめよ網が張ってあるじゃないの」

 

と言う。一郎は

 

「入れるところがあるんだ」

 

と言うが、サチ子は

 

「でも叱られるわよ」

 

と難色を示す。

 

「誰もいないんだよ。皆入って遊んでるんだ」

 

と言う一郎だが

 

「お母さんがまってるんだからダメ」

 

とサチ子。

 

「ちぇっ」

 

と一郎は自分だけでも網の破れたところから入ろうとする。それを見たサチ子は

 

「よしなさいよ」

 

と言うがその時隠れていた数人の少年が姿を現す。

 

「一郎ちゃんガバラよ!」

 

「あっ!」

 

少年たちはニヤニヤと一郎を見る。

 

「一郎ちゃん、早く出てきなさいよ」

 

とサチ子が言うがその時サチ子の母親が通りかかる。

 

「あっサチ子そこでなにしてるの?」

 

「あっ、お母さん!」

 

「こんな所で遊んじゃ駄目よ一郎ちゃんも早くお帰りなさい」

 

とサチ子の母は言う。

 

「お母さんも心配してるわよ」

 

「じゃあさようなら!」

 

とサチ子を連れてサチ子の母は行ってしまった。

 

「おい一郎その真空管ここで拾ったんだろ?」

 

と言いながらガバラと呼ばれた少年は仲間たちと一郎を囲む。一郎は

 

「違うよ…あっちで拾ったんだよ……」

 

と言う。ガバラは

 

「嘘つけ!」

 

と言い。一郎は

 

「本当だよ!」

 

と言う。ガバラの仲間は

 

「いいからだせよ!」

 

とすごむ。一郎は

 

「でも僕……」

 

とうつむく。ガバラは

 

「だせよ!」

 

と手を出す。一郎は悔しそうな顔をして真空管をガバラに差し出した。

 

「「やったぜベイビー!!」」

 

とガバラ達ははやし立てる。

 

「でも、本当にあっちで拾ったんだよ…!」

 

と一郎は食い下がろうとするが、ガバラは

 

「欲しかったら、あのオートバイのクラクションを鳴らしてこいよ!」

 

と看板のペンキを塗っている人の傍のオートバイを指さす。一郎は

 

「あの人驚くよ……」

 

と言うが、ガバラの仲間は

 

「だから面白いんだよ、やれよ!」

 

と言う。ガバラは

 

「これ要らないのかよ?」

 

とさっき一郎から取った真空管を上げて言う。一郎は

 

「僕、いいよ!!」

 

と言ってその場を後にした。ガバラ達は一郎を

 

「弱虫小虫やーいやーい」

 

とはやし立てるのだった。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

自分の住むマンションに帰ってきた一郎はマンションの1室のドアを叩く。部屋の中に居た住人「南信平」は

 

「一公か。鍵はいつものとこだよ」

 

と答えた。

 

「うん」

 

と一郎は隠してある鍵を受け取った。この南という男は両親が不在の間の一郎の面倒をみており、鍵も預かっているのだ。南は古い型のコンピューターに見える機械をいじっていた。一郎は

 

「それなあに?」

 

と聞くと南は

 

「新しい玩具さ。ちびっ子コンピューターっていうんだ」

 

と答えた。

 

「ちびっ子コンピューター?」

 

「そっ」

 

「そのコンピューターなんでもやってくれる?学校の宿題とか」

 

と一郎は尋ねた。

 

「贅沢いうなよ、でも見てろよ…」

 

と南はコンピューターのキーボードを操作する。するとモニターに月面にある国連の基地の映像が映し出された。

 

「どうだい?」

 

と南。

 

「月面旅行もいいけど、もっと行ってみたい所があるんだ」

 

と一郎。南は

 

「どこだいそれは?」

 

と尋ねる。

 

「怪獣島!」

 

と一郎は答えた。

 

「怪獣島……アドノア島のことかい?」

 

「うん、ゴジラやラドンやアンギラスがいるんだよ!ガバラなんかより強い奴ばっかしだよ」

 

アドノア島とはベーリング海に浮かぶ島だが、現在は成長したゴジラジュニアの縄張りとなっており他にも複数の怪獣が生息する場所である。一郎は怪獣や機械が好きで、空で今まで出現した怪獣の名前を言えるほどである。他にも日本の超兵器やイェーガーの事を調べて夏休みの自由研究にした。

 

「ガバラ?そんな怪獣いたかな……」

 

と南は訝し気な表情をする。

 

「いじめっ子の三公だよ」

 

と一郎が答えると南は

 

「いじめっ子の仇名がガバラっていうのか」

 

と納得した。

 

「だいぶいじめられているな」

 

「今日だって僕の拾った真空管を取り上げたんだよ!」

 

と一郎。

 

「取り返せばいいじゃないか」

 

言う南に対して一郎は

 

「だって…僕ガバラより弱いんだもん」

 

と弱気になる。

 

「”当たって砕けろさらば道は開かれん”という言葉もある」

 

と言う南。

 

「でも開かれなかったら損しちゃうよ」

 

と一郎。一郎はちびっ子コンピューターに手を掛け、

 

「ねえおじさん。これに怪獣の声を入れると凄いよー!キキキーッ、グゴゴー、ゲゲゲ―、ウオー!じゃあさいならー」

 

と言って部屋を後にした。後に残された南

 

「なるほど。怪獣の鳴き声ねえ」

 

と言った。自分の部屋に戻った一郎は母親の書置きを呼んだあと、テレビを見た。テレビでは五千万円を強奪した犯人が今なお逃走中であるニュースが流れていた。一郎はつまらないのでテレビを消して押し入れから何かを出した。それは複数のジャンク部品を組み合わせた物だった。これは一郎が南の作る玩具を真似て自作したものだった。勿論なんら実用性のない、所謂ガラクタといった物だが、それについたコードを電源に接続して一郎はアンテナにあたる部品を伸ばす。

 

「コンピューター、コンピューター、僕を怪獣島に連れていけ」

 

「コンピューター、コンピューター、どうぞ」

 

「はい!はい!ジェット機ですか?羽田からジェット機ですね!」

 

そう言っているうちにいつの間にか一郎は飛行機の客席に座っていた。アナウンスが聞こえてくる。

 

『ご搭乗の皆さま。本日は~~をご利用いただきましてありがとうございます。怪獣島行き第一便、定時に羽田を離陸いたしました』

 

一郎は席を立つと、コックピットの方に向かった。ドアを開けると、そこは無人で操縦桿が勝手に動いている。

 

『怪獣島、怪獣島、こちら怪獣島第一号。ただいま着陸態勢に入ります』

 

そんなアナウンスがしたので一郎は窓の外を見ると一つの島が見えてきたどうやらあれが怪獣島らしい。すると今度は一郎はジャングルの中に立っていた。聞き覚えのあるような鳴き声が聞こえたのでそちらの方を見てみると、背びれを生やした黒いトカゲのような怪獣と複数の巨大なカマキリの怪獣が戦っていた。

 

「あっゴジラだ!カマキラス!」

 

と一郎は思わず叫んだ。そう、一郎の目の前に居たのは怪獣王とも呼ばれる今では完全にゴジラに成長したゴジラジュニアとその通り、巨大なカマキリであるカマキラスだった。カマキラスは鎌を振りかざしてゴジラジュニアに挑むがゴジラジュニアはその攻撃を難なく受け止め、カマキラスを投げ飛ばした。そのカマキラスとは別のカマキラスが飛び掛かってくるがそれをゴジラジュニアは放射熱線を浴びせて撃墜した。負けずと攻撃を仕掛けるカマキラス達だったが、ある者は肉弾戦の前にやられ、ある者は放射熱線を受けて消し炭になった。

 

「すげえな……」

 

そんなゴジラジュニアとカマキラスの戦いを目撃した一郎は呟いた。結局、ゴジラジュニアとカマキラスの群れの勝負はゴジラジュニアの圧勝に終わり、生き残ったカマキラスはすごすごと退散していった。それを見ていた一郎だったが、別の怪獣の鳴き声が聞こえたのでそっちに行ってみることにした。一郎が登りやすそうな木に登ってみると。怪獣達の姿が見えた。

 

「あっ!あそこに居るのはアンギラスで……あっちのはバラゴンだ!向こうのは、チタノザウルスかな?」

 

今度は羽音のようなものが聞こえてくる、上空を見ると。

 

「あっ!大コンドルだ!」

 

飛んできたのはその名の通り、巨大なコンドルの怪獣だ。木の上にいると餌になるかもしれないと思った一郎は木から降りた。大コンドルは一郎の頭上を飛んでいく。

 

「あっ、あれはシルバーだ!」

 

大コンドルはさっきカマキラスと戦っていたのとは別個体のゴジラに襲い掛かっていた。そのゴジラはゴジラジュニアより小柄で銀色の背びれを持つことからシルバーと呼ばれている。研究者の話によると1954年に日本を襲った初代ゴジラの子孫なのではないかと言われてもいる。大コンドルはシルバーの頭部に嘴や爪による攻撃をしていた。シルバーは大コンドルを叩きおとそうとするが大コンドルはそれを躱し、シルバーの手や尻尾をついばんだ。しかし、大コンドルが離れた隙を狙ってシルバーは放射熱線を大コンドルに発射した。果たして放射熱線は命中し、怪獣としての耐久力はかなり低い方である大コンドルはたまらず撃墜され海中に没した。

それを見ていた一郎だったが、

 

「あっ!カマキラスだ」

 

こちらに近づくカマキラスに気づき、慌ててその場を離れることになった。ジャングルの中をカマキラスに追われる一郎。しかし、その途中でぽっかり空いていた穴に落ちてしまった。

 

「あっ!あああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

一郎は水滴の垂れる穴の底に墜落する。

 

「痛ってぇ……」

 

と一郎はぶつけた個所をさする。落ちてきた穴の方を見るが、カマキラスは獲物を逃がしたと思ったのか、そのまま穴の上を通過していった。一郎は登ろうとするが、水滴で滑ることもあって中々登れない。そんな時穴の上から木の蔓が降りてきた。

 

「あれ?」

 

それに気づいた一郎は訝しがりながらもその蔓に捕まってみることにした。一郎が捕まると蔓は上へ登っていく。一郎は穴から脱出することができた。一体なんで蔓が降りてきたのだろうと、一郎は蔓の先をみると。

 

「あっシルバーだ!」

 

なんと、先ほどのシルバーが、今度は一郎と同じか少し大きいくらいのサイズになって。手招きをしていた。

 

「おいでよ、いじめたりなんかしないから」

 

とシルバーは言う。一郎は

 

「本当?」

 

と返す。

 

「人間みたいに嘘はつかないよ」

 

とシルバー。一郎はその言葉を信じてシルバーに近づいた。

 

「ありがとう。僕、助かっちゃった」

 

とお礼を言う。シルバーは

 

「どうしてこの島に来たの?」

 

と尋ねてくる。一郎は

 

「君たちに会いに来たんだ」

 

「ふーん、お父さんやお母さんは心配しない?」

 

「いつもいないんだ。学校から帰っても独りぼっちなんだ」

 

「へえ」

 

その時だ。全身がいぼが生えていて、緑色のヒキガエルを想起させる怪獣が姿を現す。シルバーが言った。

 

「ガバラだ!」

 

「ガバラ!?」

 




怪獣データ
大コンドル
体長:20メートル 翼長:40メートル 体重:600トン
別名:怪鳥
シンドバッドの冒険に登場するロック鳥の伝説の元となったとされる巨大な怪鳥。自分よりも小さな生物を餌としているものの、自分よりも巨大な相手にも襲い掛かる気性の荒さを持つ。しかし怪獣としてはこれといった特殊能力もなく。メーサー兵器などの超兵器はおろか、通常の航空戦力や対空兵器でも十分対処可能な程の強さ。

駄文閲覧ありがとうございました。ご感想・評価お待ちしております。
それとBlackRX様、三次創作の許可をくれて本当にありがとうございました。
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