シニア級〇年目のライスと朴念仁系お兄さまと時々同期や後輩の話 作:ブルーペッパー
いただいている感想も碌に返せていませんが、全て目を通し活力としております。
今日から三日間、一話ずつ投稿させていただきます。
トゥインクルシリーズ秋シーズンの期待を語るスレPart.□□
126:名無しのレースファン ID:VPrj4kTAQ
【悲報】ミホノブルボン海外移籍
127:名無しのレースファン ID:Bxlh/YhZ6
マ?
128:名無しのレースファン ID:f6cr/6BZz
ソース見せろや
129:名無しのレースファン ID:RlYTjb3nk
ほらよ↓
http://www.ura.……………….com
132:名無しのレースファン ID:Na7wFj0pX
マジやん
134:名無しのレースファン ID:+BOzsQrCo
タイキシャトルの帯同ってあるからタイキのレース終わったら帰ってくるんじゃないの?
136:名無しのレースファン ID:6mHZhzsP/
よく読め
元々どっちも海外行く予定だったのを時期近いだから一緒に行くってことや
138:名無しのレースファン ID:Rbod8M2aC
海外行く→タイキシャトル、シーキングザパール、ミホノブルボン
レース終わったら帰ってくる→タイキシャトル、シーキングザパール
そのまま海外に残る→ミホノブルボン
でおk?
141:名無しのレースファン ID:6PS0aIjo9
>>138 おk
144:名無しのレースファン ID:ZV+2oaubC
日本でブルボン見れなくなるって寂しいな
147:名無しのレースファン ID:p+DzUTNJk
っていうかなんで海外? 凱旋門とか狙う気か?
150:名無しのレースファン ID:t6WEG8zv1
サイレンススズカに勝ち目無いから海外に逃げたんだろ
勝負から逃げるダービーウマ娘の恥さらしが
151:名無しのレースファン ID:zemzMhgoP
海外に逃げるとかいうパワーワード
153:名無しのレースファン ID:QNx1ZTl5h
アンチかオメーって思ったがツン成分の濃いファンにも見えるな
157:名無しのレースファン ID:wG9NSPRUg
ブルボンが弱いとか終わったとか一切思ってないが時代が悪い感はある
実際去年の毎日王冠から勝ってないし
159:名無しのレースファン ID:ZrT85Ybcw
各距離にスペシャリストがいるというか一強体制の時代ではあるな
163:名無しのレースファン ID:gwFiFaeXh
短距離サクラバクシンオー
マイルタイキシャトル
中距離サイレンススズカ
長距離ライスシャワー
まあこいつらに勝つか海外行けって言われたらワンチャン狙って海外もありかもしれん
167:名無しのレースファン ID:4+AXsR6k2
そのバクシンオーは最近ずっと中距離に挑戦中、タイキは海外だから秋の短距離GⅠは他のウマ娘にとってチャンスだな
170:名無しのレースファン ID:w0diHOxf4
>>167 タイキの海外レース8月だから秋は帰ってきてるぞ
スプリンターズSに出るかは知らんが
172:名無しのレースファン ID:zItsO3aeJ
8月に海外でレースして帰って来て、9月末のGⅠはキツくない?
マイルCSは出るだろうけど
173:名無しのレースファン ID:aCQIsOr4h
>>163 中~長距離は秋にはメジロマックイーンが加わるという地獄
177:名無しのレースファン ID:HBKlk72Ue
そんなことより海外レースってどこで見れるの?
◆
夏季合宿中だが、毎日トレーニングするというわけではない。
休息は心の栄養。時にはじっくり体を休めたり、趣味や遊行に使う日もある。
トレセン学園がキャンプやイベントを企画しており、それに参加するウマ娘もいる。
それはマルカブの休息日前夜、チームのみんなで遊びに行くのでトレーナーもどうかと誘った時のことだった。
「ごめん、明日は人と会う約束があるんだ」
「そっか……」
トレーナーの仕事はウマ娘の指導だけに留まらない。
実績を積んだウマ娘はメディアへの露出も自然と多くなり、トレーナーがマネジメントのようなことをする場合もある。
「もしかしてお仕事?」
「まあそんなものかな。みんなで楽しんでおいで」
寂しそうに耳を垂らすライスシャワーたちへ申し訳なさそうに謝りながら、トレーナーは自室へと戻っていった。
「人と会う……なんでしょう、取材の打ち合わせとかデスかね?」
「かもしれませんね。先日もリギルの方に取材陣がいました」
明日は皆でショッピングの予定だったが先約があるのなら仕方ない。気を取り直して回る店を確認する。
「……恋人さんとのデートとかでしょうかぁ?」
メイショウドトウによって爆弾が投下された。
いや、空気が凍ったので炸裂したのは気化冷凍爆弾か。
ライスシャワー、グラスワンダー、エルコンドルパサーの手が止まり、やがて三人が互いに顔を見合わせる。
「………………どう思いますか?」
「聞いたことはない、かな」
「でもトレーナー業ってモテるって聞いたことありマス……!」
「え……いやいやいや! もしかして先輩方本気にしてるんですか!?」
不穏な雰囲気を察したアグネスデジタルが、まさかまさかと手を横に振る。
「あのトレーナーさんに恋人とか……そもそもトレーナーさんそういうの疎いじゃないですか!
聞きましたよ、グラス先輩たち去年のクリスマスにネクタイとカフスボタン贈ったけど何も気づかなかったらしいじゃないですか。アレですよね、ネクタイとカフスボタンの意味って確か――」
「「デジタルちょっと黙って」」
「アッハイ」
お口チャックのアグネスデジタル。そしてマルカブのメンバーの視線がライスシャワーに集まった。
結局のところ、疑問を晴らすにはトレーナーに訊ねるかそれとも……。
聞いた結果が先ほどの回答なのだから、やることは一つだ。
あとは実行に移すかどうか。決断はリーダーに委ねられた。
「デジタルさん、ドトウさん。ゴメン、ショッピングはまた今度ね」
「見たまえシャカール君。年相応の青春が私たちの前で繰り広げられているよ」
「くだらなくてツッコむ気も起きねえよ」
◆
翌朝、いつもと同じスーツ姿でトレーナーは旅館を出た。
その後をこっそりと追う二つの影があった。ライスシャワーとエルコンドルパサーだ。
昨夜の壮絶な
トレーナーがバスに乗るが、一緒に乗るとバレるのでバス停へ先回りを図る。こういう時、ウマ娘の脚力は便利だった。
バスは市街に向かっていく。
そして、
「あ、降りてきたデス!」
あるバス停で降りてくるトレーナーの姿を見たウマ娘二人は引き続き後を追う。
そしてついに、トレーナーが喫茶店に入るのを確認した。
「……人に会うってのは本当みたいだね」
「デスね……」
店の窓にはレースのカーテンが敷かれ、外から中を窺うことはできない。
これ以上トレーナーの動向を知るには彼女たちも入店するしかない。
「おや? ライス先輩、あそこにいるの……」
エルコンドルパサーが指さす先、自分たちと同じように店の様子を窺う者たちがいた。
片やライスシャワーたちよりも大人びた落ち着いた服装、長い鹿毛。
片やパステルカラーの随分と身軽な恰好と、一つに結んだ同じく長い鹿毛色の髪。二人とも掛けた眼鏡は変装のつもりかもしれないが、その特徴的な三日月型の流星は隠しようがない。
「生徒会長さん……?」
「テイオーさん……?」
「あれ?」
「む? 君たちは……」
七冠の皇帝シンボリルドルフ、そして彼女を慕うスピカのトウカイテイオー。
どういう因果か、彼女たちもまたストーキング中だった。
簡潔に言えば、シンボリルドルフのトレーナーもまた休日に誰かと会う予定があったらしい。
シンボリルドルフの休日に押しかけたトウカイテイオーがひどく興味を持ち、ライスシャワーたち同様こっそりと後をつけて来たらしい。
そしてシンボリルドルフのトレーナーは目の前の喫茶店へ入っていったらしい。
十中八九、会う相手というのは互いのトレーナーであるということは察せられた。
「ライス先輩、どうするデス? トレーナーさんが誰と会うかはもう分かりましたがまだ続けるデス?」
「うーん、どうしよっか……」
心配は杞憂に終わった。
これ以上はトレーナーとしての仕事か、彼らのプライベートの話になる。
どちらにしろ果たして盗み聞きしてよいものか。すでに天秤は撤退へと傾いていた。
「えー本当に二人が会うのか分からないじゃんか! もしかしたら二人とも別々の人と会うのかも!」
「テイオー、あまり下衆の勘繰りをするものではない。彼らにもプライベートはあるし、線引きはするべきだ」
シンボリルドルフも退く気のようだが、一人トウカイテイオーが粘っていた。
他の三人と違い、直接自分の担当トレーナーが関わっていないからだろうが、彼女生来の性格もあるのだろう。
「じゃあじゃあ! 折角会ったんだからお茶しようよここで!」
トウカイテイオーが指さしたのは当然今さっきトレーナーたちが入っていった喫茶店だ。
やれやれと頭を振るシンボリルドルフと、甘いなーと苦笑いするマルカブの二人。
しかし一方で、トウカイテイオーは知っている。三人とも真面目というか、万が一の場合でトレーナーと不仲になるのが嫌なだけで本心は聞いてみたいのだと。
そして、今更あのトレーナーたちが盗み聞き程度で担当を嫌うはずがないということも。
◆
「いらっしゃいま───せ……」
客の来店を知らせるベルが鳴ったのを聞いて、振り返った店員は一瞬固まった。
マスクにグラサン。どう見ても顔を見られたくないという意志を見せた四人組がいたからだ。
「オリジナルブレンドを四つ。……席はこちらで選んでも?」
「え、ええ構いません。空いている席へどうぞ。オリジナルブレンド四つですね。ミルクと砂糖は席に備え付けてありますのでご自由に」
「ありがとう」
異様な出立ちを前に平静を保てたのは接客業としてのプライドのおかげかもしれない。
マニュアル通りの受け答えを済ませると謎の四人組はテーブル席へ向かう。
背を向けられた時に揺れる尾と耳に気づいた。
ウマ娘。もしやレースで有名な娘だろうか。
時期的に近くの海に多くのウマ娘が合宿に来ていることを思い出した。
ここまで察せられれば、詮索は無用だろう。
レースとライブで華やかな姿を見せるウマ娘の一グループが、こっそりと休日を満喫している。そう結論づけ、店員は伝票を厨房へと運んでいった。
無事、正体を隠して店内に入り込んだウマ娘一行は、ちょうど自分たちからはトレーナーを視認できて、向こうからは絶妙に見えにくい席を確保した。
トウカイテイオーとシンボリルドルフ、ライスシャワーとエルコンドルパサーが互いに向かい合う形で座る。
耳を揺らし、目標の会話を拾おうと意識を集中させていく。
◆
「すまないね。遠い店を指定してしまって」
「いえ、お願いしたのはこちらの方ですから」
私の対面に座る男性が、注文したコーヒーに砂糖を入れていく。
湯気立つコーヒーをかき混ぜる仕草すら絵になる人だ。
「初めて来た時からここのコーヒーの味が気に入ってしまってね。合宿中はよく来るんだ」
カップを傾け一口飲んでみる。
……なるほど、普段私が飲むものとは雲泥の差だ。
酸味だ味わいだのはよく分からないが、市販のインスタントとは一線を画すものであることくらいは分かった。
「相談、というのはレースのことで良いのかな?」
「はい。丘辺さんに海外遠征の話を聞かせて欲しいんです」
丘辺トレーナー。若くしてあのシンボリルドルフを担当し、無敗の三冠と未だ続くものがいないGⅠ七冠を達成した名トレーナーだ。
シンボリルドルフとの関係はまさに皇帝とその杖といった様子で、常に傍らで彼女を補佐している姿がある。
しかしトレーナーを辞めた訳ではなく、チームは作らずともウマ娘を何名か担当している。さらに海外にも目を向けており、精力的に現地に飛んで海外のノウハウをトレセン学園へ持ち帰ってきている。
今もっとも成果を出しているのがリギルの東条トレーナーなら、丘部トレーナーは私では右も左も分からぬ未踏の原生林を切り開いてきた人と言えるだろう。
「海外……エルコンドルパサーのためかな?」
「ご存知でしたか」
「元気よく世界進出って言ってるのを見かけるからね。そういう意味ではNHKマイルは見事だった。一方でダービーは惜しかったね」
「本当に……私の力不足です」
「あまり卑下するものじゃない。あれはスペシャルウィークの仕上がりが良すぎた」
コーヒーを一口飲んだ丘辺トレーナーが続ける。
「聞きたいのは遠征のノウハウかな?」
「それもあります」
自分も含めて三代続くチーム・マルカブだが海外遠征の経験はない。
渡航費用や活動拠点は学園が都合してくれるだろう。しかし万全の環境にはほど遠い。
慣れない環境、土地、風習、食事。それらは確実にストレスとなってウマ娘たちのパフォーマンスを低下させる。
彼女たちの能力を如何に維持し、かつ遠征先のレース環境に適応させるか。遠征した時にトレーナーに求められる能力はそれだろう。
だが、どうしてもトレーナーの能力だけではどうにもならない点がある。
「シンボリ家に支援いただくよう進言……いえ、紹介してもらえませんか?」
丘辺トレーナーのコーヒーを飲む手が止まる。
穏やかだった顔つきが真剣なものに変わった。
「……そうか、君が僕に声をかけた理由はそれか」
「それもある、です。丘辺さんの経験をお聞きしたいのも本音です」
遠征する以上、こちらはアウェイとなる。
向かった先にいるのが全員敵、とまでは言わないが味方が少ないのも事実。
必要なのは、遠征先における心許せる絶対の味方。
URAがミホノブルボンを欧州に送り出したのは、組織を上げてそういう地盤を築くためだ。
リギルは長い歴史と確かな実績からなるコネクションが海の向こうまで届く。
しかしマルカブにはそこまでの歴史と実績はない。ミホノブルボンの献身が実を結ぶのを待っているだけではいけない。だから頼る。長くレース業界に根を張る伝統ある家の力を。
「シンボリ家は以前から海外遠征に積極的でした」
「……確かに、ルドルフやシリウスの遠征にはあちらの家にも随分と協力してもらった」
胸を張れる結果ではなかったけどね、と苦笑する丘辺トレーナー。
だがこの人が海外遠征を図り実行した先駆者であることは間違いないし、その背景にシンボリ家の支援が少なからずあったことも確かだ。
「変わったね……いや、本気になったということか」
「……? 他の方にも言われましたが、そんなに普段手を抜いているように見えますか?」
「いやそういう意味じゃないよ。最近の君は勝つことよりも他に重視している点があった。ウマ娘が無事に帰ってこれるよう尽力していた。
ああいや、そこの変化を非難するつもりはない。勝ちを求めるのはレースに携わる者として当然だ。
そうだね……本気に、というよりも、戻ってきたという方が伝わりやすいかな? あのメジロマックイーンに勝つために足掻いていた時のように」
今度は私の表情が変わる番だっただろう。
丘辺トレーナーがいうのは、メジロマックイーンに天皇賞(春)でライスが勝った時のことだ。
確かに、あの時の私たちは必死だった。
ミホノブルボンのクラシック三冠を阻み、世間からヒールと揶揄される中でライスの実力を証明するために当時の現役最強と呼ばれたメジロマックイーンに挑んだのだ。
「……分かった。シンボリのヒトにそれとなく伝えてみよう。来年海外で活躍しそうな見所あるウマ娘がいると」
「ありがとうございます!」
「ただし」
人差し指を立て、丘辺トレーナーが続ける。
「あくまで伝えるだけ。僕にできるのはそこまでだ。
僕もシンボリ家からの覚えは良いけれど、意見を押し通せる権限があるわけじゃない。結局外様は外様だ。
一方で、シンボリ家の考えはシンプルだ。血筋も人種も関係ない。ただ実力さえあればいい」
そういう意味では、日本ダービーは本当に惜しかった。世代のトップという名声は確実にエルの評価に繋がっただろう。
「おそらく、というか確実に見られるのは……」
「ジャパンカップ、ですね」
丘辺トレーナーが頷いた。
「クラシック級でのジャパンカップ制覇は、菊花賞からの連戦だったとはいえルドルフでもできなかった快挙だ。確約はできないけど、評価が大きく変わる」
エルの海外遠征のため、ジャパンカップを勝たないといけない理由が一つ増えた。
しかしこれは前進でもある。やはりこの人にお願いしてよかった。
「ありがとうございます。おかげでやる気が出ました」
「大したことはできていないよ。君たちの奮闘を期待している」
コーヒーをまた一口。
◆
「いや~思った以上に真面目な会話だったね」
「本当に盗み聞きしてよかったのかな?」
「気にしすぎだよ。バレる前に出てきたんだから大丈夫だって!」
トレーナーたちの話をこっそりと聞いていたライスシャワーたち四人はすでに店の外を出て帰路についていた。
ライスシャワーとトウカイテイオーが会話の内容について話す中、エルコンドルパサーは黙ったままだ。
「トレーナー君が言っていたことは誤りではない」
シンボリルドルフが口を開く。エルコンドルパサーの視線が向いた。
「実力ある者に力を貸す、そこに家柄も血統も関係ない。良くも悪くも実力が全ての家柄だ。海外に通用する実力があるかを示す場としてジャパンカップは相応しいだろう」
「会長さん……」
「できることならトレーナー君のように私も実家の方に進言したい。しかし私は立場上、君だけを贔屓するような真似はできない。……が、期待しているよエルコンドルパサー。
そして同時に奮起したまえ。ここだけの話だが、ジャパンカップにはエアグルーヴも出る」
「エアグルーヴ先輩が……」
世代としては二つ上のオークスウマ娘。
近頃GⅠ勝利こそないが順位は常に掲示板内と安定した成績であり、春はGⅡを二勝。未だ世代戦しか経験のないエルコンドルパサーにとって間違いなく格上の存在だ。
「中距離で彼女に負けるようでは……いやこの言い方は良くないな。彼女に並ぶ実力が無ければ海外GⅠなど夢のまた夢と言っておこう」
シンボリルドルフの言葉は決して誇張ではない。
GⅠ勝利が久しいとはいえ、そのエアグルーヴを破り勝利を上げたのはマチカネタンホイザにライスシャワー、サイレンススズカという世代を代表するウマ娘だ。
かの女帝に並び、そして超えずして最強の道などあり得ない。
クラシックとティアラという違いはあれどエアグルーヴもまた世代の頂点を獲った一人。
エルコンドルパサーの前に、高くも険しい壁が聳え立っていた。
◆
それは、言ってしまえば不幸の連鎖による悲劇だった。
一つ、ちょうど今グラスワンダーが動画配信者による茶道を見るのにハマっていたこと。
「あら……?」
一つ、彼女のスマホの充電器の差しが甘かったのか中で断線しているのか、充電がされずバッテリーが切れかかっていたこと。
一つ、あと五分ほどで件の配信者のライブ配信が始まるため少し気を急いでいたこと。
「デジタルさん、すいませんがタブレットで動画見てもいいですか? 私の充電が上手くできてなかったみたいで……」
「構いませんよ! 使い方わかります? ……ええ、そこが電源で、ロック解除が……はいできましたよどうぞ!」
「ありがとうございます」
「いえいえこれくらいいくらでも! ……あ、すいませんちょっとお花を積みに」
一つ、普段使っていない道具を手にするとやはりミスをするもの。グラスワンダーは赤いアイコンの動画アプリを開いたつもりだった。しかし何故か開かれたのは近くにあったフォルダだった。
中のファイルに表示されたサムネイルが、どこか自分に似ている気がした。
気がしたのだ。
だから単なる好奇心から、勝手に見て悪いかなとか思いながら。
開いてしまったのだ。
「デジたん帰還しました! あ、グラスさんどうです? 動画見れま……し……た……?」
「デジタルさん。お話があります」
数分後、帰ってきたライスシャワーたちが見たのは、般若のような表情のグラスワンダーと全力で土下座するアグネスデジタルの姿だった。
次回アンケ結果回。
圧倒的なグラスバレ票の数に驚きました。
まさかライスバレと比べてもダブルスコアとか。
人の心とかないんか?。