シニア級〇年目のライスと朴念仁系お兄さまと時々同期や後輩の話 作:ブルーペッパー
タイトルにありませんが前編と後編、二回に分けて投稿します。
二話前、36話にて参考サイトを記載し忘れておりました。すでにあとがきに追記ずみですが、こちらでも一応記載しておきます。
参考:ドーヴィル競馬場
https://www.jra.go.jp/keiba/overseas/country/france/deauville.html
ティアラ路線最後の一戦、秋華賞が終わり世間の注目が天皇賞(秋)へと集まるころ、トレセン学園である噂が流れだした。
───ライスシャワーがヤバい
初めて聞いたものは具体性のなさに失笑するが、実際にライスシャワーを見かけた後には同じようなことを口にした。
───ライスシャワーがヤバい
「あの、ライスさん……今日も朝練ですか?」
噂の発端の一人であるゼンノロブロイは、部屋を出ていくライスシャワーに声をかけた。
外はまだ日が顔を見せ始めたばかりで、秋の朝はまだ暗い。
ライスシャワーがそんな時間に朝練に出る日々が続いていた。
「ごめん、起こしちゃった?」
「そういうわけでは……その、レースが近いのは分かりますがあまり無理は……」
「大丈夫だよ。トレーナーさんも一緒だし、前も似たようなことあったから」
ゼンノロブロイは今年からトレセン学園に入学し、退寮したウマ娘と入れ替わる形でライスシャワーのルームメイトとなった。
GⅠウマ娘と同室ということもあり入寮当初は緊張していたが、お互い読書好きというのも功を奏したのだろう。高等部と中等部、シニア級と新入生という差はあれど二人はすぐに打ち解けた。
同好の士として、偉大な先輩として、ゼンノロブロイはライスシャワーを尊敬していた。
だからこそ、日に日にライスシャワーの身が削れていくのを見ているゼンノロブロイからしたら気が気でなかった。
「心配させちゃってごめんね。……でも、次の秋天だけは譲れないんだ」
それは天皇賞の春秋制覇がかかっているからか。悲願の中距離GⅠ勝利がかかっているからか。宝塚記念で完敗したサイレンススズカが出るからか。
それともその全てか。
ゼンノロブロイにはまだ、レースにそこまで強い想いを抱くライスシャワーの意志をくみ取れない。
しかし、引き留めてはいけないことだけは理解できた。
「どうか、お気をつけて」
部屋を出ていく小さな背中に、ただ祈りを捧げるだけだった。
ライスシャワーの身を按ずる声は、チーム・マルカブの中からも上がっていた。
とはいえ、天皇賞(秋)が昨年のリベンジでもあるのでグラスワンダーやエルコンドルパサーは心配しつつも何も言わなかった。
アグネスデジタルは自分が意見するなんて恐れ多いと、細心の注意を向けながらも黙っていた。
声を上げたのは、メイショウドトウだった。
「ラ、ラ、ラ、ライス先輩……! そそその~少し休んだ方が良いんじゃないでしょうか!?」
日に日にやせ細っていく体躯。彼女だけに課せられる過酷なトレーニング。
身の安全を第一とするトレーナーのこれまでの方針から逸脱した内容に、メイショウドトウは困惑していた。
「レースも大事ですけど、お身体だって……あああごごごごめんなさい! 私なんかが生意気なことを~~!」
「あ……ううん生意気なんて思ってないけど……心配させちゃってごめんね」
でもね、とライスシャワーは続ける。
「次のレースは、今年の天皇賞(秋)には悔いを残したくないの。だからできることは全部やっておきたい」
「で、でもぉ……」
メイショウドトウの視線がライスシャワーの身体をなぞる。
過酷なトレーニングによって華奢な手足がさらに細く、固くなっていた。
心配そうな声を漏らすメイショウドトウの頭を、背伸びしたライスシャワーの手が撫でる。
「今は分からないかもしれない。でもきっと、ドトウさんにもそういう日が来る。絶対に、なんとしてでも勝ちたい、負けられない。そんなレースが来る」
「そ、そうでしょうか……」
「うん。だから今は見ていてほしいな。そんな時が来たら、きっと今日のライスの姿が役に立つから。
……大丈夫、ケガなんてするつもりないから」
ライスシャワーの覚悟は本物で、メイショウドトウはそれ以上彼女を止めることは無くなった。
そんな過酷な日々を繰り返すライスシャワーを心配する声がある一方、それを課すトレーナーを諫めたり非難する声もあった。
しかしそんなことを言うのは新人やあまりマルカブのことを知らない若手トレーナーだった。
彼らのことをよく知る中堅やベテラン、トップトレーナーたちはライスシャワーの姿を見て揃って言った。
久しぶりにアレが姿を現したのだ、と。
そして、天皇賞(秋)が来た。
◆
東京レース場、チーム・スピカ控室。
「お待たせしました……あら、まだやってらしたの?」
メジロ家を象徴するライトグリーンのインナーに黒の上着という勝負服に着替えたメジロマックイーンは、控室に戻るなり呆れた声を出した。
目の前では、片膝をついてサイレンススズカの脚の調子を入念にチェックするトレーナーの姿があった。
他のスピカメンバーも呆れたり、生暖かい視線を送っていた。
「ほらマックイーン戻ってきたよ、いい加減スズカの脚触るの止めなよー!」
「いや、でもだな……」
「デモもツモもねーよいい加減腹くくれ! タキオンの言葉をいつまでも引きずりやがって、マルカブのあんちゃんじゃあるまいし」
「そのお兄さんは今年の宝塚記念で克服したっぽいのに、心配症がうちのトレーナーに
「しょうがねーなまた感染し返せば治っかな?」
「お前らな、そうは言うが万一ケガしたら大変なんだぞ!?」
「身をもって知
「あ、はい」
観念したのか、トレーナーの手がサイレンススズカから離れた。代わりに顔を上げ、彼女と目を合わせる。
「念のため確認するが、本当に違和感はないんだな?」
「ありません」
「あとで実は……なんて言われたら泣くからな? 年甲斐もなく!」
「大丈夫です。信じてください」
「……ああ、信じよう。信じてるからな……」
立ち上がるトレーナー。
頑張ってこい、と声をかけようとするが、寸でのところで別の言葉が浮かんだ。
「一番に、俺たちのところへ帰ってこい」
「……はい!」
「あらトレーナーさん。私には何も言ってくださいませんの?」
「ウワーッえこひいきだ!」
「今言おうと思ってたんだよ!
……マックイーン、久しぶりのGⅠだがお前の力は十分に通用する。頑張ってこい!」
「はい、行ってきますわ!」
「スズカさんもマックイーンさんも、どっちも頑張ってください!!」
「スピカ初の秋の楯、期待してるよ!」
「ええ、期待に応えて見せますわ!」
「スズカー! 今回で三つ目なんだから気をつけろよな!」
「……? よく分からないけど、行ってくるわね」
チームからの声援を受けて、二人は控室を出た。
地下バ道を並んで歩く。
ちらほらと、他の出走ウマ娘たちの姿も見えた。
いずれも過去にサイレンススズカが破ってきた者たちだ。油断はしないが、無理に気負う必要も感じなかった。
ただ一人、メジロマックイーンを除いては。
「そういえば、マックイーンと同じレースを走るのは初めてね」
「言われてみればそうですわね。普段併走などをしているので忘れがちですが……」
メジロマックイーンがニヤリと笑う。
「今日は真剣勝負ということでよろしいのですよね?」
「ええ、もちろん」
メジロマックイーンが天皇賞にかける想いは知っている。
彼女が春の楯を取ったことはあっても、未だ秋の楯をメジロへ持ち帰っていないことも。
だからって負けられない。
皆が、トレーナーが、自分にかける期待を知っているから。
「お互い良いレースに────」
瞬間、ゾッとする悪寒が背筋を撫でた。
弾かれるように後ろを見た。背後からの気配に反応したのはメジロマックイーンも同じだった。
いや、地下バ道にいるすべてのウマ娘が、まるで餓えた魔物に目を点けられたかのように体が凍り付いていた。
いる。
ターフとは逆方向、薄暗い地下バ道の奥から静かにソレはやってきた。
小柄で細い身体を包む漆黒の勝負服。片眼を隠す黒髪と青いバラを飾った帽子。
何度もレースで競ったウマ娘だ。宝塚記念でサイレンススズカが打ち破ったウマ娘だ。
────本当に、同じウマ娘か?
普段の彼女を知るものなら、一人の例外もなくそう思っただろう。
愛らしい顔だったはずが、頬はこけ、目元は窪んでまるで幽鬼のよう。
しかしドレスの裾から伸びる脚は力強い筋肉に覆われ、余分な脂肪の一切を取り除いていた。
一見すればアンバランス、されど計算し尽くされた姿だと分かった。
今日、2,000mを誰よりも速く駆けるためだけの脚、一ミリグラムでも軽くするために血の一滴でも絞ってきた体躯。
そしてその瞳には紫電のような鋭い光を宿していた。
一体どんなトレーニングを積んできたというのだろうか。3,200mを走り切るステイヤーの身体を、2,000m用の兵器へと作り替えるなど常軌を逸しているとしか思えない。
「そう……そういうことですのね」
いち早く凍結から復活したメジロマックイーンが呟いた。
「このレースを、天皇賞(秋)を、貴方たちは本気で勝ちに来たということですのね」
肌を刺す寒気を、彼女だけは一度経験していた。
かつての天皇賞(春)で感じていた。
ようやく、サイレンススズカは先ほどのゴールドシップの言葉を理解した。
「そう……そうね。私、三つ目だったわね」
大阪杯、宝塚記念、そして天皇賞(秋)。
三つ目だ。勝てば中距離GⅠ三連勝。三冠というくくりではないが成し遂げれば確かに偉業だろう。
だから
ミホノブルボンのクラシック三冠を阻んだように、
メジロマックイーンの天皇賞(春)三連覇を阻んだように、
マチカネタンホイザの秋シニア三冠を阻んだように、
サイレンススズカの中距離GⅠ三連勝を阻むために、
絶対を超えるために、
◆
「あ」
「……どうも」
客席でスピカの面々と出会ってしまった。
互いのチームのエースがぶつかる天皇賞(秋)、かつアグネスタキオンの件もあって私たちの間に緊張感が生まれる。
「もーなに立ち去ろうとしてんのさ! 一緒に応援すればいいじゃん!」
逃げようとしたところをトウカイテイオーに腕を掴まれた。
仕方なくスピカトレーナーの隣に立つ。
こうして顔を合わせるのは例のアグネスタキオンの一件以来だった。
グラスとエルは同期のスペシャルウィークと談笑している。デジタルとドトウは少し腰が引けているがトウカイテイオーとゴールドシップが積極的に話しかけてくれていた。
どうやら、この場で溝を感じているのは私たちトレーナーだけらしい。
一旦、先日の件は忘れることにしよう。
「先日は言い忘れましたが、メジロマックイーンの復帰と勝利おめでとうございます」
「ありがとよ。できれば本人にも言ってやってくれ。マックイーンもあんたのこと気にしてるみたいだから」
「あまり彼女と親しくしてるとライスが膨れるんですよね……」
「尻に敷かれてるなぁ……ま、俺もあんま人のこと言えないが」
お互い、担当のウマ娘と二人三脚でやってきた身だ。
一度向き合えば意気投合は簡単だった。
パドックが始まる。
出走ウマ娘たちが勝負服を着た姿で現れる度、客席から声援や拍手が飛ぶ。
その大きさや数はやはり人気に比例する。
サイレンススズカが現れたときはまるでもう優勝が決まったかのような勢いだった。
そしてライスが現れたとき、その様相に一瞬空気が凍った。
慣れた反応だ。ライスも特に戸惑ったりはしない。
しかし、
「せーの……!」
『ライスせんぱーい、頑張ってーー!!』
グラスたちの声援が響いた。
ライスが笑いながら手を振って応えると、他の観客からも同様に応援の声や拍手が飛んだ。
「……おい、なんだあれは」
ライスが引っ込むと同時に、スピカのトレーナーが言った。
「ライスですよ。うちのエースです」
「そういう意味じゃない……! あれは、マックイーンに勝った春天の時以上じゃないか!」
「良かった。貴方がそう言うのなら、勝ち目があるということですね」
結局、サイレンススズカに勝てる画期的な策など思いつかなかった。
やることはシンプル。やはりサイレンススズカにトップスピードとパワーで打ち勝つだけだ。
そのためにライスの身体を東京レース場2,000m専用ともいえる状態まで鍛え上げたのだ。
今までの自分のトレーナーとしての経験と、夏合宿でアグネスタキオンとエアシャカールから学んだ理論を取り入れた。
代償として消耗が激しい。結果がどうなろうとライスは今年の残りいっぱい休養だろう。有馬記念への出走取り止めにしてしまうことだけは申し訳なかった。
「本気ってことか……」
「いつでも私たちは本気ですよ。……あえて違いを言うのなら、今日こそサイレンススズカに勝ちに来た。それだけです」
パドックも終わり、ウマ娘たちが出走準備に入る。
◆
「ライスさん」
「……マックイーンさん」
ゲートへと順番に入る待ち時間、メジロマックイーンはライスシャワーに話しかけた。
幽鬼のような雰囲気と、修羅の如き闘志を両立させたライスシャワーの反応は意外にも平時と変わらぬものだった。
「再び本気の貴女と走れること、恐ろしい反面嬉しいとも感じています」
「ありがとうマックイーンさん。そう言ってくれて、ライスも嬉しいよ」
本音だった。
エアグルーヴすら警戒して近づいてこない自分に、普段と同じように接してくれるメジロマックイーンは救いであり、憧れだ。
だからこそ負けられない存在でもある。
「ねえマックイーンさん」
「なんでしょう?」
「マックイーンさんには、レース以上に大切なものってある?」
「ありますわ」
迷うことのない即答だった。
「同士たるメジロ家のみなさん、チームメイト、友人たち、家族。皆の絆が今の私を作り、今こうしてターフの上に立たせてくれた掛け替えのない存在です。
しかしレースはレース。一度走り出した以上は私情は抑え勝利を目指すべきとは思います」
「そっか……そうだよね。マックイーンさんならそう言うと思った。……やっぱりマックイーンさんは格好いいね」
だから、とライスシャワーの目がゲートへ向く。
「先に謝っておきます。ごめんなさい、ライスは今日酷いことをするかもしれない」
「それはいったいどういう───」
言い切る前に、ライスシャワーはゲートへと入っていった。そも聞かれても答えるつもりは無かったのだろう。
答えはレースの中で。それが彼女の回答だと受け取った。
「ライスさん、自覚がありませんのね……貴女が誰かを害するなどありえませんのに」
強いて言うなら、その酷いことの被害者はライスシャワー自身だろう。
あの鍛え上げた身体を見れば分かる。結果はどうあれ、レース後の彼女は暫く走れないだろう。
残りのシーズンを投げ棄てる覚悟を持って、彼女はこの秋の大一番にやって来たのだ。
ならば、
「見届けましょう、貴方の覚悟の行く末を。ライバルとして、友として、貴女の走りに夢を見た一人のファンとして」
けれど、生半可な走りを見せようものなら容赦無く抜き去ってしまおう。
闘志を滾らせながら、メジロマックイーンもゲートへと向かった。
◆
『ウマ娘たちが求める一帖の楯。夏を超え、鍛えた脚を武器に往く栄光への道。
トゥインクルシリーズ秋の大一番、天皇賞(秋)。今年も天候にも恵まれ、良バ場の発表です』
『今年もまた選りすぐりの俊英たちがこの秋の舞台に集いましたね。特に注目されるのはやはりサイレンススズカ。堂々の一番人気です』
『気が早いかもしれませんが、もしも今日勝てばシニア級GⅠ三連勝でタマモクロスに並び、重賞七連勝となってオグリキャップを超える記録となりますからね。歴史的瞬間を期待するファンも多いでしょう』
『ええ、しかし何が起こるか分からないがレースというものです。人気が高いということは周りからも警戒されるということですからね。昨年と違い、彼女へのマークは厳しくなるでしょう』
『そう言った意味では、メジロマックイーンも期待されていますね』
『休養していたから当然なんですが、彼女はまだサイレンススズカに負けていませんからね。……いや、対戦経験のあるウマ娘たちもやられっぱなしとはまいりません。各自で対サイレンススズカの作戦はもってきているでしょう。
……そういう意味では、パドックで見せたライスシャワーの仕上がりは凄まじいものでした』
『前走が宝塚記念ですが、その時に比べて随分と搾ってきた印象でしたね』
『一見危うさすら感じてしまいますが、かなりの仕上がりです。いやーかつてメジロマックイーンに勝った天皇賞(春)を思い出してしまいます!』
『今日はそのメジロマックイーンも復帰二戦目からのGⅠ挑戦! 彼女のファンも、この出走には大喜びでしょうね』
『ええ! 秋の楯はメジロマックイーンにとって悲願ですからね。しかしその栄光を求めるのは他のウマ娘たちも同じです。初のGⅠ戴冠を狙う者、中距離GⅠ制覇を望む者、各々抱く想いは違えども強さは同じでしょう!』
ファンファーレが鳴り響く。
ゲートの中に立つ十二のウマ娘たちが、発走の時を今か今かと待っていた。
そして、時は来た。
『天皇賞(秋)、今スタートしました!
十二人のウマ娘の中から真っ先に飛び出したのはやはりこのウマ娘、サイレンススズカ! 今日も変わらず大逃げだ! 後続との差を三バ身、四バ身と広げて───いや、食らいついて行くウマ娘がいる! ライスシャワーだ! 漆黒の髪をなびかせ、ライスシャワーがサイレンススズカの三バ身後ろでついていく! ライスシャワー、今日の標的はやはりサイレンススズカか! 射程圏内に収めたままついていく!
さらに四バ身後ろにいるメジロマックイーン、エアグルーヴ、サクラバクシンオーの順、中団グループを引っ張るのはメジロドーベル、最後方にはメジロブライトが控えている!』
二番手以降とそれほど差が広がらないことに、サイレンススズカは特に驚きはしなかった。
宝塚記念でもミホノブルボンが実践した策だ。
しかし、背後から感じるプレッシャーは過去一番。先頭は自分のはずなのに、黒い影が視界にちらつく。
(これが、ライスシャワーの本気……!)
メジロマックイーンを打ち破った漆黒のステイヤー。その脅威を、今はサイレンススズカが感じる番だった。
1,000mの標識を超え、サイレンススズカはさらに加速する。しかしライスシャワーも離されまいと追ってくる。
電光掲示板に表示された五十七秒四の数字に、一体このままゴールすればどんなタイムが表示されるのかとレース場は沸き立った。
(分かる。今日の私は絶好調……!ライスさんのマークは厳しいけれど、このまま押し切る……!)
そして、
サイレンススズカが第三コーナー、大ケヤキへと差し掛かる。
最終コーナーへ向けて
左脚で力強く、芝を蹴った
その瞬間、
『サイレンススズカがコーナーを回って……え? あれ? 様子が……』
『ああ……そんな……サイレンススズカに……サイレンススズカに故障発生!』
ライスシャワーは見た。
後編は同日16時頃投稿します。