シニア級〇年目のライスと朴念仁系お兄さまと時々同期や後輩の話   作:ブルーペッパー

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 お久しぶりです。
 今更ですがウマ娘二周年おめでとうございます。
 ツインターボやミスターシービーの実装も嬉しいですが、新ウマ娘たちの発表も盛り上がりましたね。
 本当に、許可をくださった馬主の皆さまには感謝しかないですね。

 さて、今日から一日一話、計三話投稿させていただきます。
 展開が遅くて申し訳ないです。


50話 黄金たちと進む路

 二月も後半に差し掛かると、トレセン学園は外部の出入りが多くなる。

 来る三月より始まるトゥインクルシリーズの春シーズン、そして春のGⅠ戦線に向けたメディアへの情報発信のためだ。

 有力どころが記者会見を開いたり、個人で取材に応じたりと対応は様々だ。

 そのため連日各種メディアがトレセン学園を訪れる。

 肩からカバン、首からはカメラ、手にはメモ帳とペンを持って学園の敷地を歩き回る男もその一人であった。

 若く、記者となってまだ日が浅い彼に編集部から言いつけられたのは会見を開かないウマ娘を対象とした取材だった。

 公に発信されない特ダネを探す機会を与えられた、と言えば聞こえはいいが実際に成果が上がることはまずない。いるかも知らない魚目当てに釣糸を垂らすようなものだった。

 確実に成果となる会見には先輩やベテランが向かう中、あてもなく放り出される現状に社会の縮図を見た気がした。

 

「あれは……」

 

 ふと、ウマ娘を見かけた。緑のメンコにどこか気品ある立ち振舞。キングヘイローだ。ジャージ姿なので、トレーニングに向かう途中なのか。

 男の脳内でキングヘイローの情報が展開される。

 母が偉大なウマ娘であっただけに、クラシックでは娘である彼女にも相応しい戦績が期待されたが結果は無冠。それどころかクラシックは未勝利で終わっている。

 勝ちを欲するあまりダートにも出走したらしいが結果は惨敗。正直期待外れ、というのが業界メディアの感想だった。

 黄金世代の一人と言われるが、カメラが追いかけるのはクラシックを分け合った三強と、シニア級相手に勝ったエルコンドルパサーの計四人だ。

 

「行くか……」

 

 落ち目とはいえキングヘイローの記事に需要が無いわけではない。下卑た話だが、良家の出が辛酸を舐める様は一定の需要がある。キングヘイロー本人の高飛車な態度も相まって話題としては十分だ。

 トレーナーと一緒でないというのも都合がいい。黒い感情を胸に秘めながら、男は声をかけた。

 

「キングヘイローさん! 少しお時間よろしいでしょうか!?」

「あら? 貴方は……」

「月刊ターフの者です。突然ですみませんが取材よろしいでしょうか?」

「構わないけど、トレーニングがあるから手短に頼むわ」

「ありがとうございます! では、早速……シニア級に上がって最初の春シーズンとなりますが目標としてるレースはなんでしょうか?」

 

 男は質問も投げつつも、答えは凡そ察していた。

 大阪杯。クラシック級で三冠レースに挑んだウマ娘がシニア級に上がってまず目指すとなればここが鉄板だろう。

 天皇賞(春)もあり得るが、おそらくクラシック三冠を分け合った黄金世代の三強(GSS)や前年覇者のライスシャワー、復帰したメジロマックイーンが目指す。キングヘイローの戦績を考えると彼女たちと競うのは避けたいところだろう。

 故に大阪杯。すでにメモ帳にもそう書き出したところで、

 

「目標───というより次走は高松宮記念よ」

「そうですか高松……高松宮記念!?」

 

 記者としての仮面が崩れる。その様が余程滑稽だったのか、キングヘイローが小さく笑った。

 

「……し、失礼しました。ですがその、高松宮記念は短距離GⅠですが……本当に? 大阪杯ではなく?」

「ええ。本当よ。昔は中距離だったらしいけれど、今は短距離レースというのも知ったうえで出走するわ」

「お、お言葉ですがどうして高松宮記念に? クラシック三冠レース全てに出走を果たしたあなたが目指すのならば大阪杯、中距離(クラシックディスタンス)のGⅠ、それが王道ではないのですか!?」

 

 当初の狙いも忘れて男は重ねて問う。仮にもウマ娘レースを扱う雑誌の記者だ。業界内におけるレースの格付け、勝利の価値も把握している。

 キングヘイローの選択はそこから逸脱したものだった。

 

「王道……そうね、それが王道だわ。三冠レースに出たウマ娘が次に狙うなら大阪杯か春の天皇賞。クラシックで一番成績が良かったのが皐月賞なのを考えると、私に合うのは2,000mの大阪杯。それが普通の考えね」

 

 でも、と少女が顔を上げる。

 

「私が行くのは私の道。誰かが決めた王道ではなく、私が自分で決めた道を往きます。それが、私が目指す一流です!」

 

 そう言ってキングヘイローは去って行った。

 残された男の中は最初こそ混乱していたが、やがて冷静になって彼女の真意を考え出す。

 

(高松宮記念、スプリントのGⅠ……最初は何を考えているんだと思ったが、狙い目なのか?)

 

 マイル以下の短距離路線は昨年のシーキングザパールとタイキシャトルの活躍で注目が集まっている。一方で、最終優秀短距離ウマ娘に選出されたサクラバクシンオーが中距離専念を表明し、短距離路線からの離脱を宣言したばかり。

 さらにそのサクラバクシンオーと激闘を繰り広げたニシノフラワー、ヤマニンゼファーは揃って今年からドリームトロフィーリーグへ移籍。シーキングザパールとタイキシャトルは昨年に引き続き海外転戦を目標としている。

 スプリントの絶対王者が玉座を下り、追随していた猛者たちも舞台を変えた。トゥインクルシリーズの短距離路線は王座不在の新時代、群雄割拠の戦国時代へと突入したのだ。そこに割って入ることと、黄金世代やその上に強豪たちと戦うこと。果たしてどちらが有利か。

 

(答えは分からない。けど、キングヘイローは空の玉座を狙うことを選んだんだ)

 

 最早キングヘイローからネタを貰うことなど頭から消えていた。

 男の脳裏には、少女の言葉が消えることなく繰り返されていた。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 スピカのチームルーム。ここでも、一人のウマ娘の今後が告げられていた。

 

「え……ええ~~っ!? スズカさんが海外へ!?」

 

 スペシャルウィークの絶叫が響き渡る。他のメンバーも驚きで目を丸くしていた。

 ただ一人、サイレンススズカは事前に聞いていたのか落ち着いていた。

 

「ト、トトトトレーナーさん! いったいどういうことですか!?」

「落ち着けスぺ。今説明するから。

 ……スズカが海外、アメリカへ行くのは以前からあった案だ。秋天があんなことになってずっと後回しになっていたけどな」

「そうなのスズカ?」

「ええ。去年の宝塚記念を勝った頃からかしら。私自身、自分の走りを形に出来てきて、もっと色んな舞台で走りたいって思うようになったの」

「それは良いことだと思うけど……急すぎない? 日本で復帰レースしないでアメリカ行っちゃうってことでしょ?」

「そうですわね。スズカさんの復帰を待ち望むファンも多いですし、金鯱賞や大阪杯の連覇を目指してからでも良いのでは?」

「それも考えた。でも、スズカの脚のことを考えたら少しでも早い方が良い」

 

 脚? とウマ娘たちの視線がスズカの脚へと向かう。トレーナーの方を向き直って、トウカイテイオーが問う。

 

「治った……んだよね?」

「治った。後遺症もなくな。でも同じことが起きないとは限らない。……そして、次も無事とは限らない」

 

 全員の脳裏に、天皇賞(秋)の悲劇が蘇る。あの時は最悪の事態にこそならなかったが、それは奇跡のようなものだ。

 トレーナーの言う通り、次も大丈夫だと楽観視などできない。

 

「スズカのケガの原因をずっと考えていた。直前まで脚に異常は無かったし、スズカにも自覚症状はなかった。でも、実際にケガをした」

 

 ウマ娘の脚は消耗品、などと呼ばれるほどに脆い。人間と変わらぬ体躯で自動車と同程度の速度で走れるのだから、彼女たちの脚にかかる負荷が大きい。

 だからこそトレーナーたちはトレーニング時点から彼女たちの脚について常に細心の注意を払っているのだ。

 

「おそらくだが、スズカは他のウマ娘と比べても速すぎるんだ。だからスズカ自身の脚や体がその負荷に耐えられなかった。軽自動車にF1カーのエンジンを積んでいるようなもの、なのかもしれない」

「それがスズカさんのアメリカ行きに関係あるんですか?」

「ある。アメリカは……欧州もなんだが、日本よりもウマ娘レースが進んでいる。トレーニング論も、治療技術もな」

「治療のためにアメリカに行くの?」

「正確に言うと体質改善、だな スズカの脚は治ったが体が頑丈になったわけじゃない。スズカの将来のためにもアメリカで身体を作ってもらいたいんだ。

 幸い、リギルのタイキシャトルも今年はアメリカ遠征を考えているらしい。おハナさんに色々と紹介してもらうつもりだ」

「そう言われたら……」

「納得するしかありませんわね……」

 

 トウカイテイオーとメジロマックイーンが顔を見合わせて言った。

 どちらもケガや病気で悩まされた身だ。そしてトレーナーがそんな二人のために苦心したのも知っている以上、反対は出来なかった。

 しかし、

 

「理屈は分かったけどよー」

 

 ゴールドシップがここで初めて声を上げた。

 

「スズカの扱いはどうなるんだよ?」

「扱い?」

「アメリカに行ってよー、身体も鍛えて、向こうのレースに出る。まあいいさ、スズカが望んだことでスズカのためっていうのなら。……でも、そのスズカは一体どこのサイレンススズカだ?」

 

 ゴールドシップの瞳は、普段からは考えられないほど真剣だった。

 

「スピカか? それともアメリカ版リギルか? もしくは、ただのサイレンススズカか?」

「それは……」

「トレーナーよぉ、オメーもしかして───」

「スピカのままよ」

 

 答えたのはサイレンススズカだった。

 

「ゴールドシップ。あの秋天で、あなたの声は聞こえていたわ。あなただけじゃない。トレーナーさん、スぺちゃん、テイオー、マックイーン。ファンや友達の声が私を救い出してくれた。

 だから私はどこに居ても、どこを走っていても、チーム・スピカのサイレンススズカよ。

 ……そうですよね?」

「───ああ。ああ、そうさ!」

 

 サイレンススズカの瞳が今度はトレーナーの方を見た瞬間、弾けるように彼は立ち上がった。

 

「スズカはずっとスピカさ! 今更どこにもやるもんか! アメリカだってずっといるわけじゃない。絶対に、必ずまた日本で走るさ!」

「ええ。そうですよ」

「……ん。そんなら、私はいいや。でも───」

 

 立ち上がるゴールドシップ。迷いない足取りでトレーナーに近づき、肩を組む。

 そして、

 

「そういう大事な話を決まってから話すんじゃねええええええ!!!」

「ぎゃあああああ!!」

 

 トウカイテイオーは語る。

 それは教本に乗せたくなるほどの、見事なキャメルクラッチだったそうな。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 続々と有力なチームや個人トレーナーと契約したウマ娘たちのローテーションが発表されていく。

 私たちチーム・マルカブの場合、昨年活躍したチームとして注目されているし、デジタルとドトウがクラシック級に上がったので記者会見を開く予定だ。

 その準備に追われていたのだが、突然理事長より呼び出しがかかった。

 

「緊急! 突然の呼び出しすまない! しかし君にとって決して悪い話ではないので気を楽にしてほしい!」

 

 重要! と書かれた扇子をもった小柄な女性。一見小学生かと思う見た目だが、歴としたトレセン学園の理事長、つまりは私たちトレーナーの上司だ。その隣にはいつも通り、秘書であるたづなさんがいた。

 部屋を見渡し、他に集まった面々を見て疑問を口にする。

 

「構いませんが、このメンバーは一体……?」

 

 欧州にいるはずの黒沼トレーナーがいた。学園かURAに近況報告にでも来たのだろうか。

 ハマルの奈瀬トレーナー、丘辺トレーナー、リギルの東条トレーナー、そしてエアグルーヴとソファーでふんぞり返るシリウスシンボリがいた。

 いまいち関係性が読めない組み合わせだった。

 私たちトレーナーへの連絡でウマ娘まで呼ぶことはまずない。

 担当ウマ娘関係だとするとエアグルーヴは生徒会の副会長だからおかしくないかもしれないが、その場合はトレーナーたちはなぜいるのか。それにシリウスシンボリは生徒会とは不俱戴天の仲のはずだ。

 考えていると理事長が再び扇子を振るう。

 

「解説! 今日ここに集まったのは、春から行う計画への協力者たちである!」

「協力者……ですか?」

「確認! マルカブのトレーナーよ、君は昨年よりエルコンドルパサーの海外遠征のために独自に動いているな?」

「…………はい」

 

 心臓が跳ねた。ちらり、と丘辺トレーナーの方を見ると苦笑いしていた。

 もしや、学園を通さずに遠征の支援を外部に頼み込んだことへの叱責だろうか。

 私の不安を先読みしたように、理事長が再度扇子を振る。

 

「杞憂! 君の行いを責めるつもりはない。学園やURAが海外遠征への支援が充実していないのは事実。外部を頼ることは決して間違いではない!」

「リギルやハマルも、昨年の欧州遠征には外部の支援者に協力してもらっていたわ」

 

 東条トレーナーの補足に、理事長も頷いた。

 

「理事長、そろそろ本題に入ってもよろしいですか?」

「うむ! よろしく頼む!」

 

 丘辺トレーナーが前に出る。ただそれだけなのに、緊張してしまう。彼がいるのは以前からお願いしていたシンボリ家からの支援要請に対する回答を告げるためだろう。

 結果はどうか。クラシックでのエルの活躍は言うまでもない。が、ダービー惜敗とサイレンススズカに完敗した事実は重く伸し掛かる。

 

「手っ取り早く結論から、というよりシンボリ家からの回答を伝えます。

 ……シンボリ家は今回のエルコンドルパサーの海外遠征に対して支援は行わないとのことです」

「───そう、ですか……」

 

 覚悟していたことではあった。が、やはりショックだ。思わず手を強く握ってしまう。

 海外遠征のノウハウがないマルカブにとって、エルの海外挑戦の成功には外からの支援は不可欠だ。私に伝手がない今、実力主義のシンボリ家ならと思ったが、現実は甘くは無かったか。

 支援がなくとも海外遠征はできるが、万全の条件とは言えなくなった。

 

「おっと、落ち込むのは早いよ」

「……え?」

 

 丘辺トレーナーの声に顔を上げる。いたずらに成功した子供のような、憎たらしい笑みを浮かべたまま丘辺トレーナーが続ける。

 

「シンボリの家が支援しないのは、タイミング良く……いや悪いのかな? とにかく、トレセン学園がやろうとしているプロジェクトを掴んだからだ」

「プロジェクト、ですか?」

「そう。このプロジェクトの対象に君たちが選ばれた。これにブッキングしてしまうからシンボリ家は支援をしないと決めたんだ。

 ……理事長、あとは───」

「肯定! 詳細はこちらから伝えよう! たづな!」

「はい理事長」

 

 理事長が解禁!と書かれた扇子を振るうと、たづなさんが資料を配りだした。

 まだ理解が追いつかない中、説明が始まる。

 

「ご存じの通り海外遠征、特に欧州遠征のハードルは未だ高い状況にあります。費用面での都合もありますが、環境やバ場、現地でのバックアップ体制など課題は多くあります。ドバイや香港、中東と近場の遠征先は増えていますが、やはり日本として目指すべき目標は欧州のレースです。トレセン学園としてもURAとしても、この課題はクリアしなければなりません。

 幸いにも、日本ウマ娘の実力が世界に通用することは近年の国際競争の結果や、昨年のタイキシャトルさんとシーキングザパールさんの活躍で証明されました。そしてミホノブルボンさんが欧州へ向かったことで、より多くの情報が手に入りました」

 

 資料をめくっていく。

 昨年夏に渡欧したミホノブルボンが経験してきたレース環境、現地のトレーニング施設、欧州ウマ娘のレース感覚などがまとめられていた。黒沼さんが戻ってきたのはこのためか。

 

「これを持ってトレセン学園及びURAの理事会はプロジェクトの立ち上げを決定しました。ずばり、全面的な欧州遠征の支援です」

「は、都合のいいことだ……!」

 

 ソファに座ったままのシリウスシンボリが言った。かつて、体制が整わない状態で単身欧州へ挑んだ身としては思うところあるのかもしれない。

 一瞬の間が空きながらも、たづなさんが続ける。

 

「本来ならプロジェクトの試行は数年先になる見通しでした。やると決めたところで滞在先や体制など時間がかかりますから。

 ところが───」

 

 たづなさんの視線が、エアグルーヴへ一瞬向いた気がした。

 

「渡りに船と言いましょうか、欧州のとある方からこちらへ支援の申し出がありました。内容は滞在先の用意とトレーニング施設の優遇。言ってしまえば提携のような形になります」

「それは……凄いことですね」

「ええ。これによりプロジェクトは大幅に前倒しとなりました。そして、こちらからの人員の体制も概ね整い、試行へと動き出しました」

「結論! プロジェクトによる支援対象に、マルカブのエルコンドルパサーが選ばれた! 理由は無論、クラシック期における成績である!

 推挙! エルコンドルパサーには、学園が集めたメンバーとともに欧州遠征することを提案する!」

 

 理事長の声が響くたび、私の中で熱いものがこみあげてくる。

 エルの一年の奮闘は、予定とは違う形とはいえ、確かに結実の時を迎えたのだ。

 

「召集! メンバーにはミホノブルボンとともに渡欧し、日本と欧州の両方を知る黒沼トレーナー。海外経験が豊富なシリウスシンボリ、昨年海外実績を挙げたシーキングザパールを予定しており、両ウマ娘の担当トレーナーは了承済みである!」

 

 奈瀬トレーナーと丘辺トレーナーが頷いた。

 

「目標! 春に渡欧し現地の環境へ適応するととともに現地のレースにも出走。具体なローテーションは今後詰めるものとし、最終目標は秋───フランスで開催される世界最高峰の大レース、

 

 凱旋門賞!!

 

 日本ウマ娘レース界の悲願達成を目指す! 引き受けてくれるか!?」

 

「ぜひ、喜んでお受けします」

 

 迷うわけがない。私は即座に首肯していた。

 

 詳細は追って詰めるとして、早速エルにこのことを伝えてあげよう。

 たづなさんから残りの資料を受け取って理事長室を飛び出し、みんなが待つであろうチームルームへ急ぐ。

 そして学園側の意向を伝えるとエルの答えは

 

「イーヤーデースー!!」

「───え?」

「トレーナーさんもエルと一緒にフランスに行くんデスー!!」

 

 ええ……?

 

 

 





お兄さま「海外遠征出来るよ、やったねエル! 
     遠征には黒沼さんがついて行ってくれるからバッチリだ!!」
エル「──────」
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