結び付ける鎖の恐怖~東方鎖藭録~   作:生おろしのレンコン

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一人目の被害者 七色の人形使い

人里は霊夢が来てもなお、騒がしいままだった。

それもそう、朝から言葉にするのもおぞましい姿をした人を見たからだ。

何故そうなったのかは、本人にしか分からない。

周りの人間は予想する事しか出来ない。過去を見れる者ならば分かるのだろうが、そんな都合の良い人間は居ない。

そう、人間でなければ、あるいは...

 

一方、その頃に霊夢は「永遠亭」へと足を運んでいた。

見るも無惨な姿の人を抱え、永遠亭の医者、「八意永琳」に見せていた。

永琳は霊夢の抱えているモノを見ると、驚きを隠せなかったようだが、医者としてパニックに陥る事は無かった。

事情を掻い摘んで永琳に話し、治せるのかどうかの話に移った。

 

「治せるのか..と言われると、分からない..が答えになるわ。体の傷ならすぐに治せるのだけど、鎖の対処が何一つ分からないの」

 

永琳は落ち着きながらも考え込む様に鎖を眺め、答えてくれる。だが、どんな答えが返ってこようとも霊夢のとる行動はただ一つ。

 

「治せるとしても、治せないとしても...こんな事する奴は退治してやらないとね。それが巫女としての使命だもの」

 

この幻想郷に仇なす者を退治する、それが博麗の巫女としての役割。

いつもは神社で何となく過ごし、ただの幼い巫女に見えるだろう。だが、幻想郷に住まう者ならば、憧れや希望の象徴、退治される側からは畏怖の象徴となる者が居るぐらいだ。

これ迄失敗と言う失敗は無く、基本は解決へと導いており、人々の信頼は厚いものだ。

永琳も心の中で、霊夢ならば...と思うだろう。

ただ..霊夢は何か不吉な予感がして堪らなかった。巫女の感と言うべきか、それが警鐘を鳴らす様な気がしているが...

 

「...巫女の私が怯えてどうするのよ...。自信を持って..胸を張らないとね」

 

独り言を呟き、永遠亭から出ていくのだった。

 

 

 

場所は変わり「魔法の森」

ここは絶えず霧のような物が発生している森。それは魔力の瘴気に近く、普通の人間なら数時間も居られない濃度が常に森を覆い隠す。

その森は道が入り組み、迷う者が居ても可笑しくない。実際、ここに入って帰ってこない人間も居るのだろう。それぐらい危ない森なのだ。

 

その森にも、とある鎖の音が響き渡る。木々が音を反響させ、不気味な音が更に厚みを増す。人によっては耳を塞ぎたくなるぐらいだろう。

何処から鳴るかも分からない音が響く中、一人の魔女が立っている。

少しウェーブのかかった短い金髪、目の色も金色、肌も白く、まるで人形の様な女性だ。さらに、彼女の横には人形が数体、ふわふわと浮いている。意思があるかのように動く人形だ。意思があるのかは、魔女本人にしか分からないだろう。

 

そんな森の中、魔女は辺りを警戒している。人形も辺りを浮遊し、鎖の音の主を探しているようだ。そして、痺れを切らしたのか、魔女はある程度の目処を立て、音の元へと人形を連れて歩いていく。

 

段々と音が近くなり、遂には土を踏む音が聞こえる距離。

だが、今日に限り瘴気が多く、互いの姿はシルエットでしか見えない。

魔女から見た鎖の音の主は人型なのだが、どこか変に感じる。それもそのはず、その人型は蠢いているのだ。

普通ならば動かないはずの肩付近、そこがまるで触手が這うように脈打つ。その度に、鎖の音が鳴り響く。

魔女は訝しみながらも、友好的かも知れないと思い声をかける。勿論、戦闘態勢はとったままだが、

 

「..さっきからジャラジャラ鳴ってると思ってたら..こんな所に何の用かしら?もし、道に迷ってる様なら..案内してあげるけど」

 

今も蠢く人影に声をかける。すると、こちらに気付いたようで、鎖の鳴りを収める。魔女は一層警戒を強めた瞬間、

 

魔女のすぐ横で風を切る音が鳴った。

 

音の発生源を理解するのに差程時間はかから無かった。人影からある物が伸びている。一本の鎖、それが魔女の人形を一つ撃ち抜いていた。鎖は後ろの木に刺さったようで、鈍い音を鳴らした。

 

魔女は身の危険を感じ、後ろへと大きく下がった。が、人影は一歩一歩近付いて、人形を着実に撃ち抜いていく。

 

だが、こんな事でやられていれば魔女とは言われない。何処から出て来たのか、更に数体の人形を繰り出し、それぞれ色の違う光の玉を射出。鎖を打ち落とす。そして、数で押し返す。人影は自由自在に鎖を動かすも、全てを打ち消せずに被弾しているようだ。

 

弾幕により、風が吹き荒れる。風の音に呼応する様に鎖の音も響き渡る。未だはっきりと姿を表さない人影に魔女は段々恐怖を感じるようになっていく。幾ら弾幕を当てても、怯みもせず、攻撃の手を緩めない。まるで、そこに本体が無いかの様に...。

 

そんな事を考えた瞬間、後ろに人影とは違う気配を感じた。敵かも知れない、そう思った魔女は後ろを振り向く。

 

そこには、人影に撃ち落とされた人形が浮いていた。が、その人形は鎖でグルグルに巻かれ、もう自分の支配下でない事は瞬時に理解出来たのだが、防御が間に合わない。

 

「がっ..!!」

 

痛みのあまり、声が漏れ出る。人形から飛び出した鎖が魔女の左肩を貫いたのだ。さらに、攻撃の手が緩んでしまい、人影の鎖も右足を貫く。

 

人影を背に攻撃を受け、倒れ込んでしまう。足も撃ち抜かれ、立つことも厳しい。

 

土を踏む音と鎖の擦れる音が後ろから響く。魔女は残った右腕と左足で這い逃げようとするが、人影は逃がしてはくれない。

 

悲痛な叫びが一回響き渡るが..木々に吸い込まれ、瘴気が包み隠し、虚しくもその声は誰にも届かなかった...。




どうもこんにちは。数ヶ月ぶりに復活した者です。この話..結構人を選ぶと思うので...まだまだ序章ですけど、「あ、無理だな」って人は読むのを辞める事をオススメします。まだ始まったばかりで..これからですもの...。こういうのが好き!って物好きな方は次話をお待ちください。
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