第六回 ウマ娘短編合作 ウマ娘のお花見   作:BuddPioneer

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夜に咲く桜もいいものだね


第七話 君と見るあのサクラ(作:暁桃源郷)

春・・・。

それは次第に暖かくなり雪が解け蕾が顔を出す季節。

そんな季節には遡れば奈良時代より始まったとされる日本の文化、花見も一興であろうか。

そんな想いを脳裏に過らせながら新学期そうそうトレセン学園の近所にある河川敷にポツンと一人座り込む少年がいた。

 

 

「お空はこんなに蒼いのに・・・・」

 

 

この少年、背丈は然程高くはない。

と、言うより低いほうだ。

齢17にしては人が見れば中学生と思われる身長である。

 

 

「・・・・・・チヨのやつおっせぇな~・・・」

 

 

この少年、実はサクラチヨノオーのトレーナーであり、同時にとあるチームのトレーナーだ。

今日はチーム最古参のサクラチヨノオーと花見の約束であった。

もう既にバックレようか、等と思うこの体たらくだが実は最年少のトレーナーと凄いことには凄い。

 

 

「おまたせしました!」

 

 

声が聞こえてトレーナーが振り向くとそこには風呂敷を携えた当のサクラチヨノオーが立っていた。

 

 

「・・・・・・・何それ?」

「三色団子です!」

「・・・・・・・・・」

 

 

これ以上は頭が痛くなりそうなので聞かないことにしたが明らかに明日は太り気味を覚悟して頭の中でトレーニングメニューを考える。

 

 

「えっと・・・・、移動しないんですか?」

 

 

チヨノオーの質問に空を見ながら沈黙し、しばらくしてチヨノオーを見る。

 

 

「あぁ」

「桜、ありませんけど・・・・」

「花見が桜じゃなきゃいけないって誰が決めたよ。ほら、そこにグラスが好きそうな蒲公英あるだろ」

 

 

チヨノオーは困った顔をしながらもトレーナーの隣に座り風呂敷を広げる。

実はチヨノオー、今回の花見は最近トレーナーの元気が無いことから元気を出してもらおうと連れ出したわけだが正直トレーナーが不調の理由もチヨノオーには分かっていない。

チラッとトレーナーを見てみるとずっと無言で三色団子を食べている。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

 

 

ずっと無言の時間が続いていく。

空を浮かぶ雲が何時もより早く流れている。

 

 

「・・・・・・・・・・空はこんなに蒼いのに・・・」

 

 

やっと吐き出したトレーナーの言葉はやはり暗い言葉で何と返していいのか分からない。

 

 

「あ、あの!「なんや?トレーナーとチヨノオーやんけ」?」

 

 

チヨノオーがトレーナーに話しかけようとすると後ろから聞き慣れた声が聞こえてきた。

 

 

「タマモさんと・・・オグリさん」

「おう、ちょいと野暮用でな、それ終わって帰るとこやったんやけどな。それにしてもエライ量の団子やな。二人で食べるんか?」

「まぁな、何なら二人も食べるか?」

「いいのか!?」

 

 

トレーナーの言葉にいち早く反応したのはやはりオグリキャップだった。

 

 

「あぁ。このままだったらチヨノオーがトレーナーさん考案スーパーハードトレーニングで身体絞るとこだったからよ」

「なら、お言葉に甘えさせて貰うわ」

「あぁ、残したらお団子が勿体ないからな!」

 

 

タマモクロスとオグリキャップが座り団子を食べる。

 

 

「そう言えばトレーナーはチヨノオーと何してんねん。ピクニックか?」

「・・・・・・・花見」

「花見て・・・桜ないやんけ・・・」

「桜ならある」

 

 

タマモクロスの言葉にトレーナーはチヨノオーをちらっと見る。

そのまま視線を空に移す。

 

 

「・・・・・何かこうしてると昔思い出すな~。家貧乏やったからお父ちゃん買ってくれた団子一玉ずつチビ達と分けてお花見して・・・」

「・・・・・・・・・」

 

 

トレーナーは三色団子を食べながらタマモクロスの話に耳を傾ける。

それを見ていたチヨノオーが溜め息を付く。

 

 

「?どうしたんだ?お腹が空いたのか?」

「あ、いえ・・・・。だだ・・・・・・」

「・・・・・・・トレーナーはずっと私達の事を考えてくれている」

「・・・・・・え?」

 

 

チヨノオーは驚いた。

基本走るか食べるかにしか興味が無いオグリキャップはあろうことがチヨノオーの思っていることを気付いたのだ。

 

 

「きっと悩んでることも私達のことじゃないだろうか」

「そう、ですよね・・・「ダラッシャァァァァァァ!!!!」」

 

 

タマモクロスの雄叫びが聞こえて振り返るとそこにはタマモクロスとイナリワンに踏まれるトレーナーとそれを笑顔で見守るスーパークリーク。

 

 

「イナリ、コイツ簀巻きにして川に放おるぞ!」

「おう!」

 

 

二人がトレーナーを担ぎ川に捨てに行く。

 

 

「な、何があったんですか!?」

「それが・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

これはほんの数分前。

偶然四人を見つけたイナリワンとスーパークリーク。

近付いてタマモクロスを撫でるスーパークリーク。

 

 

『ヨーシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシヨシタマちゃんはいい子ですね~』

『何でウチばっか子供扱いすんねん!イナリかって同じくらいの背やんけ!』

『・・・・・・・・・胸の違いじゃね?』

『・・・・・・・・・ダラッシャァァァァァァ!!!!』

 

 

 

 

 

 

「というわけでして・・・」

「それは・・・トレーナーさんが悪いです!」

「そうなのか?」

 

 

しばらく三人が団子を食べながらゆっくりしているとトレーナーを川に放おってきたであろう二人が戻ってくる。

 

 

「トレーナーはデリカシーってもんが無いんや!」

「んなもん何時ものことじゃあねぇかい?どうせ、直ぐにケロッと帰ってくらぁ」

「ケロッとじゃあねぇ。ぬるっとだ!間違えんな!」

「ほらな」

 

 

川に捨てられたはずの癖にドヤ顔で戻るトレーナー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、それを抱えるバンブーメモリーとヤエノムテキ、更にトレーナーを心配そうに眺めるメジロアルダン。

 

 

「ったく、川流された時どうなるかと思ったぜ」

「今度は何やったんっスか?」

「全く記憶にねぇ・・・」

 

 

バンブーメモリーに立たされながらトレーナーは頭をかく。

 

 

「あ、あの!」

 

 

遂に状況が理解できていないチヨノオーが声を上げる。

 

 

「私、状況が理解できてないんですけど・・・」

 

 

チヨノオーの言葉にトレーナーが考え始める。

しかし、考えると言ってもトレーニングを考えているような悪戯を考えるクソガキのようなイタズラな顔だった。

 

 

「そうだなぁ・・・・。先ずは何から話そうかね。何か質問・・・・の前に皆今日は何してた?」

「ウチは特売」

「私はたくさん食べれると言う大会に行っていた」

「私たちはここにいらっしゃると言う幽霊様に会いに」

「私とイナリちゃんはトレーナーさんに呼ばれて一緒にここに来ました~」

「あぁ、間違いねぇ」

 

 

全員が言い終わると次にトレーナーは「じゃあ質問は?」と聞き返す。

すると「では・・・」、とメジロアルダンが手を上げる。

トレーナーが頷いてメジロアルダンに手を差し出す。

 

 

「どうして、私はあつめられたのでしょうか?」

「どういう事っスか?」

「私たちは今日偶然ここに居たんです。それなのに今、皆がここに居る」

「確かに、言われて見れば変な話やな・・・。ウチとオグリかて偶然会ったわけやしな」

 

 

バンブーメモリーの疑問にヤエノムテキが答え、タマモクロスが更に疑問を呈す。

 

 

「ふむ、いい質問だ。流石アルダン。じゃあ、先ずはタマモとオグリからだ。俺は先ずタマモに特売の、オグリには食べ放題のチラシを渡した」

「せやな、だからウチは行った訳やしオグリも・・・」

「あぁ。あのご飯は美味しかった」

 

 

トレーナーは苦笑いをしながら次にバンブーメモリーとヤエノムテキ、メジロアルダンを見る。

 

 

「次にバンブー達にはここに出る幽霊の噂を流させてもらった」

「で、では!幽霊の話は・・・」

「もちろん嘘ハッタリnegotiation」

 

 

三人が残念がっているのを見ながら今度はスーパークリークとイナリワンをみる。

 

 

「二人はまぁ、仰る通りすぎてなんも無し。うん」

「てやんでぇ!何でぃ、そりゃあ!」

「いや、ごめん」

 

 

トレーナーは少し笑って直ぐに空を見上げる。

既にあたりは夕暮れ時で空は穏やかな蒼から燃えるような赤色へと移り変わっていた。

 

 

「そ、それで皆さんをここに集めてどうするんですか?それにトレーナーさんがいきなり元気になった理由も気になります!」

 

 

トレーナーがチヨノオーのその言葉を聞くと笑い出す。

全員がなぜ笑うのか不思議に思っているとトレーナーがチヨノオーを撫でだす。

 

 

「何だよ。心配してくれてたのか?でも別に俺悩んでねぇよ?」

「で、でも空はあんなに蒼いのにって!」

「あ?あぁ、あれはほら、空は蒼いだろ?でもその向こうにある宇宙って真っ黒だから何でかなーって」

 

 

チヨノオーは驚いた。

今まで元気がないと思っていたトレーナーは唯々空が蒼い理由を探していただけだったのだ。

 

 

「まぁ、んなのはもうどうでも良いんだ。俺が欲しかったのはこれだからよ!」

 

 

トレーナーが天高く手を上げ遥か上の空を指差す。

空は既に燃えるような赤から星の光が綺麗に見えそうなそんな黒い夜空へと変わっていた。

 

 

「空が、どないしたってんねん?まだ星すら出てないで?」

「自分はもう分かったっス!流れ星が出るまで粘るんスね!」

「!流れ星・・・・・・ッ!」

「ソイツァ粋だねぇ」

「ノンノンノン」

 

 

トレーナーが舌鼓をしながらも指を左右に揺らす。

 

 

「なんやちゃうんか・・・」

「タマちゃん、ヨシヨシ」

「止めぇ!」

「・・・・ただ、タマ。タマの言った星一つない空、それがいいんじゃあないか!」

 

 

トレーナーが空に向かって腕を大きく広げる。

次の瞬間ヒュ~、と言う何かが打ち上がった音が聞こえ、バン!、と空にピンク色の桜の形をした花火が静寂の夜空に咲き誇った。

 

 

「っ!これは・・・・」

「桜の花火・・・・?」

 

 

ヤエノムテキとメジロアルダンがそう声を漏らしているのを尻目にトレーナーはサクラチヨノオーを見る。

彼女もまた驚きのあまり開いた口が塞がっていない。

 

 

「チヨ、お前は言ったな。桜が無いって。でも実はあったんだよ、桜は。この無限に広がる空に!」

 

 

サクラチヨノオーがトレーナーを見ると更にトレーナーは畳み掛けるようにサクラチヨノオーに指を突きつける。

 

 

「チヨ、次のセリフは『これも計算の内ですか、トレーナーさん』、だ!」

「これも計算の内ですか、トレーナーさ「バクシーンッ!!」」

 

 

ほんの一瞬だった。

トレーナーに気が向いてサクラバクシンオーの接近に気付けなかったのだ。

その一瞬が、避けれたであろう運命に衝突したのだ。

 

 

「きゃっ!」

「うおっ!」

 

 

後ろから来たサクラバクシンオーに突進されたサクラチヨノオーがトレーナーまで吹き飛ばされ二人まとめて倒れたのだ。

 

 

「ちょわ!皆さんお待たせしました!皆の学級委員長サクラバクシンオーが桜餅をお持ちしました!」

「こ、これも計算の内ですか、トレーナーさん」

「当たり前だ。この俺は、何から何まで計算尽くだぜ!・・・・って言えたら良かったけどな。流石にこれは計算外」

 

 

トレーナーがポケットから盃を取り出して中にカルピスを入れる。

それを少し飲み盃を見ると何処から飛んできたのか桜の花びらが浮いていた。

それを見て少し笑うとトレーナーはサクラチヨノオーをチラッと見て桜が満開の夜空を見る。

そして心の中で歌を呟いた。

 

 

 

 

桜咲く 一夜ばかしの 花なれば

 

 

刹那の時さへ 永久と思ふ




夜に咲く桜もいいものだね

作者:暁桃源郷
https://syosetu.org/novel/263151/

代表作:担当を持たないトレーナー
https://syosetu.org/novel/263151/
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